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41~50話
47c、大事な話
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大切な枕を本体に預けてドアに駆け寄ると、ドアの隙間からティーセットの乗ったトレイを受け取る。
「ありがとう。あとは私がやるから下がっていいわ」
「かしこまりました。……お嬢様、本っ当ーにお一人で大丈夫ですか? こっそり旦那様か奥様を呼んで来ましょうか?」
先ほどのグレニスはきっと、他の人間の目から見ても恐ろしく不機嫌に映ったのだろう。
ひそひそ声で私の身を案じてくれるメイドを安心させるため、にっこりと笑顔を向ける。
「大丈夫よ。ああ見えてすごく優しい人だから」
———ああ、そうだった。
グレニスはとても優しくて……そして人一倍責任感が強いのだ。
もしかしたら私のことも、責めに来たのではなく責任を感じて追いかけてくれたのかもしれない。
ソファ前のテーブルにティーセットを並べ終えると、元通りグレニスの膝の上に乗る。
預けたはずの枕はクッションと共にソファの端に置かれており、残念ながら抱え直せる雰囲気ではない。
「どうぞ」
両手に持ったカップの一方を差し出せば、グレニスも受け取って一息に紅茶を呷った。
「っは……。……結婚をせず修道院に入ると書いてあったな」
「……はい」
空のカップを受け取り、まとめてテーブルに戻す。
「親にはもう告げたのか?」
「いいえ、まだです」
だって私も、つい先ほど帰ってきたばかりなのだ。
「そうか」
グレニスはなぜか、ひどく安堵したかのように息をついた。
「ありがとう。あとは私がやるから下がっていいわ」
「かしこまりました。……お嬢様、本っ当ーにお一人で大丈夫ですか? こっそり旦那様か奥様を呼んで来ましょうか?」
先ほどのグレニスはきっと、他の人間の目から見ても恐ろしく不機嫌に映ったのだろう。
ひそひそ声で私の身を案じてくれるメイドを安心させるため、にっこりと笑顔を向ける。
「大丈夫よ。ああ見えてすごく優しい人だから」
———ああ、そうだった。
グレニスはとても優しくて……そして人一倍責任感が強いのだ。
もしかしたら私のことも、責めに来たのではなく責任を感じて追いかけてくれたのかもしれない。
ソファ前のテーブルにティーセットを並べ終えると、元通りグレニスの膝の上に乗る。
預けたはずの枕はクッションと共にソファの端に置かれており、残念ながら抱え直せる雰囲気ではない。
「どうぞ」
両手に持ったカップの一方を差し出せば、グレニスも受け取って一息に紅茶を呷った。
「っは……。……結婚をせず修道院に入ると書いてあったな」
「……はい」
空のカップを受け取り、まとめてテーブルに戻す。
「親にはもう告げたのか?」
「いいえ、まだです」
だって私も、つい先ほど帰ってきたばかりなのだ。
「そうか」
グレニスはなぜか、ひどく安堵したかのように息をついた。
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