243 / 277
51~60話
58c、ななな殴るならっ!
しおりを挟む
「やっ、やましいことはありません!! グレンがっ、スターシュ伯爵のことで、よく眠れてなかったみたいだから……っ!」
「———ユベルの?」
「だからっ、安眠の助けになれればと思って押しかけてたんです! わっ、私が勝手にしたことなので、ななな殴るならっ! わわ、私を殴ってくだひゃい……っ!!」
歯を食いしばってぎゅっと目を瞑り、来るべき衝撃に備える。
身体の大きなグレニスでもこれほど吹き飛んだのだ。自分なんて、窓を突き破って外へ飛んでいってしまうかもしれない。
……どうか下の植え込みがクッションになってくれますように。
「…………」
「———っ」
さあ早く!
やるなら一思いにやってほしい!
恐怖が長引くと、決心が鈍りそうになるから……!
…………
ぽんっ
頭上に落ちた衝撃にビクリと肩を跳ねさせる。
拳骨を食らうのだろうかと全身を強張らせていると、大きな手のひらはそのままよーしよーしと私の頭を撫でさすった。
「……?」
恐る恐る薄目を開けば、目の前には困ったような表情をした前侯爵様の姿。
「リヴェリー、恐ろしい思いをさせてすまなかった。俺が早計だったよ。……愚弟の件では本当に迷惑をかけたね」
「い、いえ、私は別に……」
前侯爵様は、ちらと視線でグレニスを指す。
「これは母親に似て繊細なんだ。気にかけてやってくれてありがとうな。———事件の責任に関しては安心してくれ。俺と弟の問題のツケを、おまえたちに負わせはしない」
私とグレニスの目をしっかりと見据えたあと、前侯爵様はふっと笑顔に戻った。
「———ユベルの?」
「だからっ、安眠の助けになれればと思って押しかけてたんです! わっ、私が勝手にしたことなので、ななな殴るならっ! わわ、私を殴ってくだひゃい……っ!!」
歯を食いしばってぎゅっと目を瞑り、来るべき衝撃に備える。
身体の大きなグレニスでもこれほど吹き飛んだのだ。自分なんて、窓を突き破って外へ飛んでいってしまうかもしれない。
……どうか下の植え込みがクッションになってくれますように。
「…………」
「———っ」
さあ早く!
やるなら一思いにやってほしい!
恐怖が長引くと、決心が鈍りそうになるから……!
…………
ぽんっ
頭上に落ちた衝撃にビクリと肩を跳ねさせる。
拳骨を食らうのだろうかと全身を強張らせていると、大きな手のひらはそのままよーしよーしと私の頭を撫でさすった。
「……?」
恐る恐る薄目を開けば、目の前には困ったような表情をした前侯爵様の姿。
「リヴェリー、恐ろしい思いをさせてすまなかった。俺が早計だったよ。……愚弟の件では本当に迷惑をかけたね」
「い、いえ、私は別に……」
前侯爵様は、ちらと視線でグレニスを指す。
「これは母親に似て繊細なんだ。気にかけてやってくれてありがとうな。———事件の責任に関しては安心してくれ。俺と弟の問題のツケを、おまえたちに負わせはしない」
私とグレニスの目をしっかりと見据えたあと、前侯爵様はふっと笑顔に戻った。
応援ありがとうございます!
23
お気に入りに追加
1,243
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる