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51~60話
58b、ななな殴るならっ!
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「えっ……ええっ!? グレンっ!!?」
状況の理解に頭が追い付かないながらも、慌てて部屋の中ほどに倒れるグレニスに駆け寄る。
「ちょっ、だっ大丈夫ですか!?」
「ああ、大事ない……」
「わぁっ! 口から血がっ!」
上体を起こしたグレニスの口端からは、つうと血が滴っている。
「グレニス……貴様、婚約したからと図に乗りおって……! こんな時間に婚前のレディを部屋に呼びつけるなど、不埒千万!!」
前侯爵様は収まらぬ怒りに拳を戦慄かせ、グレニスにさらなる鉄槌を与えるべく、のっしのっしとこちらへ迫る。
闘神もかくやという憤怒の形相に腰を抜かしてへたり込みながらも、私は必死にグレニスにしがみついて震える声を上げた。
「わ、私が勝手に来たんです……!」
「! レディに庇わせるなど———っ」
ひぇぇ、さらに怒らせてしまった!
うちのお父様はどんなに怒ろうと、逆立ちしたってこんな迫力はなかった。
前侯爵様はお父様よりも大分歳上なはずなのに、老いなんて微塵も感じさせない猛々しさだ。
「リヴ、庇わなくていい。これは俺の責任だ」
そっと私を剥がそうとする手を拒絶して、前侯爵様から守るようにぎゅうぎゅうとグレニスを抱きしめる。
状況の理解に頭が追い付かないながらも、慌てて部屋の中ほどに倒れるグレニスに駆け寄る。
「ちょっ、だっ大丈夫ですか!?」
「ああ、大事ない……」
「わぁっ! 口から血がっ!」
上体を起こしたグレニスの口端からは、つうと血が滴っている。
「グレニス……貴様、婚約したからと図に乗りおって……! こんな時間に婚前のレディを部屋に呼びつけるなど、不埒千万!!」
前侯爵様は収まらぬ怒りに拳を戦慄かせ、グレニスにさらなる鉄槌を与えるべく、のっしのっしとこちらへ迫る。
闘神もかくやという憤怒の形相に腰を抜かしてへたり込みながらも、私は必死にグレニスにしがみついて震える声を上げた。
「わ、私が勝手に来たんです……!」
「! レディに庇わせるなど———っ」
ひぇぇ、さらに怒らせてしまった!
うちのお父様はどんなに怒ろうと、逆立ちしたってこんな迫力はなかった。
前侯爵様はお父様よりも大分歳上なはずなのに、老いなんて微塵も感じさせない猛々しさだ。
「リヴ、庇わなくていい。これは俺の責任だ」
そっと私を剥がそうとする手を拒絶して、前侯爵様から守るようにぎゅうぎゅうとグレニスを抱きしめる。
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