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4 マルガレータの人生(マルガレータ視点)
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最初はこのエメリーンに嫉妬をしたけれど、「お姉様」と屈託なく私に呼びかけてくる彼女はなにも知らない。アルフォンズ様を実の兄と思い込み、そこには兄として慕っている感情以外は見いだせなかった。
「ずっと幼い頃からお姉様が欲しかったんです!」
そのように言いながら、キラキラとした眼差しで懐いてくる彼女を邪険になどできない。懐かれれば自然と可愛く思えるのも人情だ。
アルフォンズ様の妻になった私は、夫からとても大事にされた。例え愛がそこになくても、妻としては充分すぎるくらいに大切に守られている。
けれど、結婚するまでは健康そのものだったアルフォンズ様が病気になった。どんどん弱っていく。
「私は死ぬかもしれない。エメリーンが心配だ。あの子を守ってやってくれ」
死に直面しても、なおエメリーンを心配する夫。
「私の心配はしてくださらないのですか?」
「君は聡明でとても美しい。私がいなくなっても大丈夫」
大丈夫か、そうでないかは私が決めること。なぜ、この方は「私は大丈夫」と断言するの? でも死にゆく夫を悩ませたくない。
私は「承知しました」と答える。
アルフォンズ様が亡くなり実家に戻った私に、またもや求婚してくるコンスタンティン。拒み続けていたら彼はエメリーンに手を出した。
夫の一番にはなれなかったとはいえ、彼なりに私を大事にしてくれたと思う。だから、私は愛する人の大事だった女性を守る。
「・・・・・・それなら、コンスタンティン! 他の女と浮気をしなさいよ!」
「えぇーー。無理!!」
「だって、エメリーンにコンスタンティンを嫌いにさせなければならないのよ? 一番いいのは浮気現場を見せることでしょう?」
「あぁ、うん。だけど・・・・・・僕はマルガレータとしか抱き合えないよ」
(嘘ばっかり・・・・・・)
コンスタンティンは私とならお芝居ができる、と言った。
こうなったら・・・・・・私がこいつと抱き合っている姿を見せて、エメリーンに失恋させるしかない。私はシェリダンに事の詳細を話し、エメリーンに目撃されるべきあいつと抱き合った。
「マルガレータ様! なぜ・・・・・・コンスタンティン王太子殿下は私の憧れで婚約者になる方ですよ?」
「ふっふっ、もちろん知っているわよ。でも、考えてみて? あなたより私の方が数千倍、王太子妃に相応しいでしょう? それにコンスタンティン王太子殿下はこの私が好きなのです。ねぇ、そうでしょう?」
「あぁ、そうだよ。僕の女神様」
エメリーンは大きな瞳に涙を滲ませその場を去った。
(エメリーンは守れたけれど・・・・・・これで私は嫌われたわね・・・・・・でもこれは報いかも)
「僕の愛する未来の王太子妃。これからマルガレータは、僕の婚約者になるのだよね?」
「ええ、そうね。その前に私に似た女を囲っていたでしょう? 手を切ってちょうだいね? 知らないとでも思った?」
「あ、あれはマルガレータの身代わりで・・・・・・あいつを抱く時も、マルガレータと呼びかけながらしていたんだ」
私はコンスタンティンを殴りつける。こんな男は女の敵だ。
「じゃぁ、私はあなたとしている時に、アルフォンズ様を思い浮かべるわ」
コンスタンティンの顔が歪んで泣き崩れる。誰も心の中まで支配なんかできない。
「なんでだよ。これじゃぁ・・・・・・せっかくアルフォンズに・・・・・・したのに報われない」
「ずっと幼い頃からお姉様が欲しかったんです!」
そのように言いながら、キラキラとした眼差しで懐いてくる彼女を邪険になどできない。懐かれれば自然と可愛く思えるのも人情だ。
アルフォンズ様の妻になった私は、夫からとても大事にされた。例え愛がそこになくても、妻としては充分すぎるくらいに大切に守られている。
けれど、結婚するまでは健康そのものだったアルフォンズ様が病気になった。どんどん弱っていく。
「私は死ぬかもしれない。エメリーンが心配だ。あの子を守ってやってくれ」
死に直面しても、なおエメリーンを心配する夫。
「私の心配はしてくださらないのですか?」
「君は聡明でとても美しい。私がいなくなっても大丈夫」
大丈夫か、そうでないかは私が決めること。なぜ、この方は「私は大丈夫」と断言するの? でも死にゆく夫を悩ませたくない。
私は「承知しました」と答える。
アルフォンズ様が亡くなり実家に戻った私に、またもや求婚してくるコンスタンティン。拒み続けていたら彼はエメリーンに手を出した。
夫の一番にはなれなかったとはいえ、彼なりに私を大事にしてくれたと思う。だから、私は愛する人の大事だった女性を守る。
「・・・・・・それなら、コンスタンティン! 他の女と浮気をしなさいよ!」
「えぇーー。無理!!」
「だって、エメリーンにコンスタンティンを嫌いにさせなければならないのよ? 一番いいのは浮気現場を見せることでしょう?」
「あぁ、うん。だけど・・・・・・僕はマルガレータとしか抱き合えないよ」
(嘘ばっかり・・・・・・)
コンスタンティンは私とならお芝居ができる、と言った。
こうなったら・・・・・・私がこいつと抱き合っている姿を見せて、エメリーンに失恋させるしかない。私はシェリダンに事の詳細を話し、エメリーンに目撃されるべきあいつと抱き合った。
「マルガレータ様! なぜ・・・・・・コンスタンティン王太子殿下は私の憧れで婚約者になる方ですよ?」
「ふっふっ、もちろん知っているわよ。でも、考えてみて? あなたより私の方が数千倍、王太子妃に相応しいでしょう? それにコンスタンティン王太子殿下はこの私が好きなのです。ねぇ、そうでしょう?」
「あぁ、そうだよ。僕の女神様」
エメリーンは大きな瞳に涙を滲ませその場を去った。
(エメリーンは守れたけれど・・・・・・これで私は嫌われたわね・・・・・・でもこれは報いかも)
「僕の愛する未来の王太子妃。これからマルガレータは、僕の婚約者になるのだよね?」
「ええ、そうね。その前に私に似た女を囲っていたでしょう? 手を切ってちょうだいね? 知らないとでも思った?」
「あ、あれはマルガレータの身代わりで・・・・・・あいつを抱く時も、マルガレータと呼びかけながらしていたんだ」
私はコンスタンティンを殴りつける。こんな男は女の敵だ。
「じゃぁ、私はあなたとしている時に、アルフォンズ様を思い浮かべるわ」
コンスタンティンの顔が歪んで泣き崩れる。誰も心の中まで支配なんかできない。
「なんでだよ。これじゃぁ・・・・・・せっかくアルフォンズに・・・・・・したのに報われない」
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