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お兄様との初めての夜
「お前のせいで大事な妃が死んだ。お前を身ごもったせいで‥‥!どこの馬の骨かもわからん男の子どもを今まであんなに可愛がっていたとは!」
お父様は私を汚いものを見るような蔑んだ目で見た。
「お父様‥‥」
「言うな!お前は私の娘ではない。」
お父様はぞっとするほど冷ややかな声で言った。
☆
「ほら、パンをもう一つお食べ?」
お兄様がこっそりと食べ物を持ってきてくれた。
「ありがとう。でも食べたくないわ」
「だめだよ。ちゃんと食べて」
お兄様は私の口のちぎったパンを放り込んだ。
「毎日、こうして会いに来るよ。エリザベスが来てくれたように」
お兄様はそう言って私の髪を撫でた。
お兄様、ずっと一緒にいたい‥‥
言葉には出せない思いは、日に日に増していった。
血がつながっていないなら、お兄様のそばにいられる?
ううん、無理だわ。だって、私は不義の子の烙印を押された元皇女。
将来の皇帝になるお兄様は、もう手の届かない人なんだ‥‥
私の目から一粒の涙が流れた。
☆
私が18歳の誕生日を迎えたとき、お父様が宮殿に私を呼び出した。
お兄様はお父様の一段下の皇子の椅子に座っていた。
臣下もいるなかで、お父様は私に近づき、思いもかけないことを言ったの。
「エリザベス!お前は皇妃にそっくりだ。金髪にエメラルドの瞳、ますます愛おしい皇妃にそっくりになっていく!あぁ、いいことを思いついた。お前は余の愛妾になれ。娘ではないのだからかまわないだろう。はははは!実にいい考えだ」
あまりのことに私はブルブルと身を震わせた。
「嫌か?嫌ならお前は王宮にいる資格はない!!即刻、出て行け!皇帝の命令に背くのだから罰を与えよう。お前は明日、娼館に売ろう。その麗しい容姿だ、客もたくさんつくだろう!!」
お父様の目を見ると、もうかつての穏やかな愛に満ちた色あいはすっかり失われて、そこにあるのは狂気だった。
溺愛するお母様を死に追いやったお父様は、完全に心が壊れていて、その目は異様なほどギラギラしていた。
「父上!なにをおっしゃるのです!!戯れ言だ。誰も本気にしてはならない。父上は乱心している」
お兄様は大きな声を張り上げて臣下に向かって叫んだが誰もなにも言わなかった。
「狂っているだと?まさか、正気だ。今までにないほど余は気分がいい!皇子はエリザベスと仲が良すぎる。この女は卑しいどこの誰ともわからぬ男の娘だ。かばうことはない。エリザベスが娼館の行くまで皇子を閉じ込めておけ。二人で逃げるようなことがあれば、見逃した奴もそれに関わったすべての者もそんなことを極刑に処す」
「父上!!お考え直しください。エリザベスは皇妃の子です。天国にいったナタリー皇妃皇妃が悲しまれます」
「あぁ、ナタリー皇妃は天国に行った。しかし、それは誰のせいだ?このエリザベスの父親のせいだろう!!」
狂っている‥‥お兄様のちいさなつぶやきがお父様にもきこえたようだ。
「皇子の目が覚めるよう、地下牢にエリザベスが娼館に行くまで閉じ込めろ!!明日の昼まで出してはならん!!」
騎士達がお兄様を取り囲んで、無理矢理、地下牢へと連れていくのを私は胸が張り裂ける思いで見ていた。
☆
私は夜中にそっと抜け出して地下牢に向かった。
「お願いよ。私がする最後のお願いだわ。娼婦になる前にお兄様に会いたいの」
懇願する私に地下牢の監視人は頷いた。
「おかわいそうな皇女様。夜明け前には戻ってください。わたしはなにも見ていないことにします」
「ありがとう」
私はランプを片手に地下牢へと降りていった。
「お兄様!」
私は牢の鍵を開け、お兄様の胸に飛び込んだ。
「エリザベス!一緒に逃げよう。ここから、この国から逃げるんだ」
私は首を横に振った。
そんなことをすれば、それに関わった者全てが殺される。
お兄様もさっきの監視人もただでは済まない。
そして、国境まで逃げることは不可能なのは誰が考えてもわかること‥‥
「私、今だから言うわ!大好きだったの。お兄様をずっと。ずっと一緒にいたかった」
「僕も大好きだ。絶対に助け出すよ。必ず迎えに行くから」
私達はその夜、愛を確かめあった。
切ないキスを何度もかわすと、泣きたくなるくらいお兄様を愛していることを実感したわ。
手を握りしめ、足をからませて、離れがたいお互いの身体をきつく抱きしめた。
「皇女様、朝になります。お戻りください」
さきほどの監視人があわただしい声で告げて、私はお兄様に別れを告げた。
「お兄様、お元気で」
「エリザベス!待っていて、必ず迎えに行く。絶対に、生きていて。なにがあっても僕のこの愛は変わらない」
私は一番粗末な馬車に乗せられ、けばけばしい娼館に向かうのだった。
お父様は私を汚いものを見るような蔑んだ目で見た。
「お父様‥‥」
「言うな!お前は私の娘ではない。」
お父様はぞっとするほど冷ややかな声で言った。
☆
「ほら、パンをもう一つお食べ?」
お兄様がこっそりと食べ物を持ってきてくれた。
「ありがとう。でも食べたくないわ」
「だめだよ。ちゃんと食べて」
お兄様は私の口のちぎったパンを放り込んだ。
「毎日、こうして会いに来るよ。エリザベスが来てくれたように」
お兄様はそう言って私の髪を撫でた。
お兄様、ずっと一緒にいたい‥‥
言葉には出せない思いは、日に日に増していった。
血がつながっていないなら、お兄様のそばにいられる?
ううん、無理だわ。だって、私は不義の子の烙印を押された元皇女。
将来の皇帝になるお兄様は、もう手の届かない人なんだ‥‥
私の目から一粒の涙が流れた。
☆
私が18歳の誕生日を迎えたとき、お父様が宮殿に私を呼び出した。
お兄様はお父様の一段下の皇子の椅子に座っていた。
臣下もいるなかで、お父様は私に近づき、思いもかけないことを言ったの。
「エリザベス!お前は皇妃にそっくりだ。金髪にエメラルドの瞳、ますます愛おしい皇妃にそっくりになっていく!あぁ、いいことを思いついた。お前は余の愛妾になれ。娘ではないのだからかまわないだろう。はははは!実にいい考えだ」
あまりのことに私はブルブルと身を震わせた。
「嫌か?嫌ならお前は王宮にいる資格はない!!即刻、出て行け!皇帝の命令に背くのだから罰を与えよう。お前は明日、娼館に売ろう。その麗しい容姿だ、客もたくさんつくだろう!!」
お父様の目を見ると、もうかつての穏やかな愛に満ちた色あいはすっかり失われて、そこにあるのは狂気だった。
溺愛するお母様を死に追いやったお父様は、完全に心が壊れていて、その目は異様なほどギラギラしていた。
「父上!なにをおっしゃるのです!!戯れ言だ。誰も本気にしてはならない。父上は乱心している」
お兄様は大きな声を張り上げて臣下に向かって叫んだが誰もなにも言わなかった。
「狂っているだと?まさか、正気だ。今までにないほど余は気分がいい!皇子はエリザベスと仲が良すぎる。この女は卑しいどこの誰ともわからぬ男の娘だ。かばうことはない。エリザベスが娼館の行くまで皇子を閉じ込めておけ。二人で逃げるようなことがあれば、見逃した奴もそれに関わったすべての者もそんなことを極刑に処す」
「父上!!お考え直しください。エリザベスは皇妃の子です。天国にいったナタリー皇妃皇妃が悲しまれます」
「あぁ、ナタリー皇妃は天国に行った。しかし、それは誰のせいだ?このエリザベスの父親のせいだろう!!」
狂っている‥‥お兄様のちいさなつぶやきがお父様にもきこえたようだ。
「皇子の目が覚めるよう、地下牢にエリザベスが娼館に行くまで閉じ込めろ!!明日の昼まで出してはならん!!」
騎士達がお兄様を取り囲んで、無理矢理、地下牢へと連れていくのを私は胸が張り裂ける思いで見ていた。
☆
私は夜中にそっと抜け出して地下牢に向かった。
「お願いよ。私がする最後のお願いだわ。娼婦になる前にお兄様に会いたいの」
懇願する私に地下牢の監視人は頷いた。
「おかわいそうな皇女様。夜明け前には戻ってください。わたしはなにも見ていないことにします」
「ありがとう」
私はランプを片手に地下牢へと降りていった。
「お兄様!」
私は牢の鍵を開け、お兄様の胸に飛び込んだ。
「エリザベス!一緒に逃げよう。ここから、この国から逃げるんだ」
私は首を横に振った。
そんなことをすれば、それに関わった者全てが殺される。
お兄様もさっきの監視人もただでは済まない。
そして、国境まで逃げることは不可能なのは誰が考えてもわかること‥‥
「私、今だから言うわ!大好きだったの。お兄様をずっと。ずっと一緒にいたかった」
「僕も大好きだ。絶対に助け出すよ。必ず迎えに行くから」
私達はその夜、愛を確かめあった。
切ないキスを何度もかわすと、泣きたくなるくらいお兄様を愛していることを実感したわ。
手を握りしめ、足をからませて、離れがたいお互いの身体をきつく抱きしめた。
「皇女様、朝になります。お戻りください」
さきほどの監視人があわただしい声で告げて、私はお兄様に別れを告げた。
「お兄様、お元気で」
「エリザベス!待っていて、必ず迎えに行く。絶対に、生きていて。なにがあっても僕のこの愛は変わらない」
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