(完結)家族にも婚約者にも愛されなかった私は・・・・・・従姉妹がそんなに大事ですか?

青空一夏

文字の大きさ
10 / 67

10

しおりを挟む
 メイドはヘレンという名前だった。とても自信たっぷりにマリエッタ様を指さしている。だとすれば、お部屋に入ったことは事実なのかもしれない。

「マリエッタ様は私の部屋に入ったのかしら?」

「・・・・・・はい、入りました。ごめんなさい。お姉様とお話がしたくて訪ねていったのですけれどいらっしゃらなくて、ドアも少し開いていたのでつい覗いたら、あんまり素敵なお部屋なので中に入って見とれていました。でも、それだけです。なにも触っていません」

 彼女の話は信じられた。私のことを恨む理由もないはずだし、今では一緒に過ごす時間が一番長い。ドレスを切り裂く必要はないのよ。

「ヘレン。マリエッタ様が私の部屋の中に入ったのを見ただけで、私のドレスを切り裂いたところを見たわけではないでしょう?」
「マリエッタ様がやったのに決まっています! とても我が儘で今まで散々威張ってきたのですよ? 自分よりも身分が上でお金持ちのソフィ様が入ってきて、絶対に嫉妬したに決まっています」

「ヘレン。私はマリエッタ様よりも決して身分が上ではないわ。出目はシップトン国のラバジェ伯爵家ですから。ただ伯母様がビニ公爵夫人なだけです」

「ビニ公爵夫人の姪御様で、それだけ大事にされているのなら公爵令嬢と変わりません。メドフォード国の他の公爵家には、男性の子供しかおりませんから、ソフィ様と同じぐらい高貴な女性はほとんどおりません」
 
「ソフィ様。マリエッタ様に騙されていらっしゃるのですわ。彼女はとても意地悪な嫉妬深い令嬢なのです」
 マリエッタ様に意地悪をされた令嬢達も、メイドのヘレン側に立っていた。

 まだ、恨んでいるのかしら? マリエッタ様は心から謝罪をしていたのに。

 そのようなことを言ってくる方達の方こそ、マリエッタ様をよく知らない方達だ。彼女と知り合ったのは最近だったけれど、このような陰湿なことをする方ではない。

 けれど、目撃情報とマリエッタ様自身が私の部屋に入ったことを正直に言ってしまったせいで生徒達の半分がマリエッタ様を疑いの眼差しで見た。

「もう犯人を捜すのはやめましょう。誰がやったにせよ、今回だけはお咎め無しに致します」
「どうしてですか? ソフィ様。私、許せません! マリエッタ様は最初の日、ソフィ様にあれだけ暴言を吐いたのですよ」
 涙ながらにヘレンは訴えかけてきた。なぜ、彼女が泣くのかわからない。私は今では気にもしていないのに。

「お気持ちは嬉しいですが済んだことです。それから、私はこの学園ではあまり問題を起こしたくありません。ボナデア伯母様を心配させますもの」

 ただ、ドレスが台無しになってしまった理由は言わなくてはいけないかもしれない。ボナデア伯母様はとてもがっかりなさるだろう。ボナデア伯母様を悲しませたくないのに。


☆彡 ★彡
 


 週末が訪れた。私を迎えにビニ公爵家からお迎えの馬車がやって来た。修道院を去るときに乗った馬車より、さらに豪奢な馬車に圧倒された。車体は壮麗な装飾品で飾られ、ダイヤモンドやサファイア等の宝石が埋め込まれていた。窓枠は鍍金され、王家と公爵家のエンブレム入りの純金の飾りが馬車の高貴な雰囲気を一層引き立てていた。

 扉が開かれると絢爛な絨毯が広がり、柔らかな感触が足裏を包み込む。壁は上質なシルクで覆われ、金箔が施された彫刻が美しく浮かび上がっていた。さらに馬車の中ではルビーやエメラルドで飾られたシャンデリアが輝き、細かなクリスタルが光を反射していた。

 座席は最高級の革で作られ、ふわふわのクッションが身体を包み込む。ゴールドの装飾が施されたテーブルには、上品な食器と食花が添えられた小さなケーキが用意され、お茶を楽しむためのティーカップとティーポットが置かれていた。

 ゴッサム修道院に迎えに来てくださった時に、ボナデア伯母様が目立たない馬車で来た、とおっしゃった意味がわかった。

 
「ソフィお嬢様。スザンナと申します。本日から、よろしくお願い致します」

 ビニ公爵家の侍女が馬車の横で待機しており、私の専属侍女になると挨拶をしてきた。スザンナは黒髪で瞳は琥珀色だった。上品で美しい容姿を持ち、公爵家の侍女らしく控えめながらも優雅に見えた。そのような女性からとても丁寧にお辞儀をされ、私はどうしていいかわからない。ラバジェ伯爵家の侍女よりずっと洗練されていて、自信と風格に満ちていたのよ。私が馬車に乗り込み席に座ると、すぐにビニ公爵邸に向けて出発したのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。 誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。 無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。 ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。 「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。 アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。 そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?! ⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています

【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ

水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。 ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。 なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。 アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。 ※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います ☆HOTランキング20位(2021.6.21) 感謝です*.* HOTランキング5位(2021.6.22)

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※短編です。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4800文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。  マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。

凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」 リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。 その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。 当然、注目は私達に向く。 ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた── 「私はシファナと共にありたい。」 「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」 (私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。) 妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。 しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。 そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。 それとは逆に、妹は── ※全11話構成です。 ※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。

処理中です...