(完結)家族にも婚約者にも愛されなかった私は・・・・・・従姉妹がそんなに大事ですか?

青空一夏

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ライオネル殿下視点


  夏至祭りの夕方、花火が打ち上がる少し前に、食べ物の屋台が並ぶ噴水の近くのベンチに向かった。ソフィ嬢と三人の女性たちがおしゃべりをしていて、それは私の話題だった。

 ソフィ嬢は私のことを非常に褒めてくれ、優しいし思いやりに溢れている素晴らしい男性だ、と話していた。そして、どうやらソフィ嬢は、周りにいたカップルの男性の言動と私を比較していたようだった。

 ソフィ嬢が褒めてくれた私の言動は、私にとってはごく当たり前のことだった。大事な女性にはいつも笑顔でいてほしい。その女性と過ごす時間は貴重な時間だし、彼女が喜ぶことに自分の幸せを感じる。だから、ソフィ嬢がいつも笑っていられるように、楽しい気分でいられるように、行動しただけだった。

「私、ライオネル殿下に会いに行くわ」

 ソフィ嬢がそのように言うと、待っていましたとばかりに、マリエッタ嬢が口を開いた。

「会いに行かなくても、ライオネル殿下はソフィ様の後ろにいますよ」

 振り返ったソフィ嬢は、頬を赤く染めていた。凜とした美しさを持つソフィ嬢が、私を見て頬を染める様子が愛らしい。友人たちと帰ろうとするソフィ嬢をそっと抱きしめた。

 もう、絶対離さない。

 記憶が戻ったのかと聞かれて、戻っていないことを告げるのは辛かった。しかし、日記の存在で全てを追体験できたことを伝えたかった。もう一度始めから愛を育むことも、申し出たいと思っていた。もし、ソフィ嬢が許してくれるならだが・・・・・・

 だから、ソフィ嬢から「いまから新たな始まりを迎えましょう」と言われて、泣きたくなるほど嬉しかった。ソフィ嬢は私を責めず、友人としてでも良いから、側にいて私を支えると言ってくれた。私達の間に立ちこめていた暗雲が、ついにこの瞬間すっきりと晴れたのだ。

 心の奥底から湧き上がる喜びと安堵が、胸の内を満たしていく。唯一無二の存在であるソフィ嬢との関係が修復されたことを知った瞬間、胸中に勇気と希望が湧き上がった。

 空が夕焼けに染まっていく。鮮やかなオレンジ色は、時折、紫やピンクの色と混じり合う。ゆっくりと広がるオレンジ色のグランデーションを、ソフィ嬢を抱きしめながらも見上げた。やがて花火がうちあがり、ぎこちなく距離をとった。一緒に花火を見上げながら、チラチラとお互いを見ては微笑みあう。

 私とソフィ嬢をさらに幸せにしてくれたのはニッキーだった。ニッキーは天使の格好で私の前にやって来て、青いエリクサーを差し出した。少しキザなセリフを言った自信満々な笑顔を信じたい。

 これは、おそらく私の記憶を取り戻させるものだろう。迷うことなく、一気にそれを飲み干した。しばらくすると全ての記憶が繋がり、目の前の恋人に思わず言った言葉は、「ただいま、ソフィ」だった。

 愛する女性のもとへ、やっと帰ってきたという喜びと感謝がこみ上げた。

「お帰りなさい。ライオネル様」

 そう言ってくれたソフィ嬢に両手を広げた瞬間、彼女が胸に飛び込んできた。その柔らかい身体を今度はしっかりと抱きしめた。ソフィ嬢の髪を撫でながらも、神に感謝の言葉を口にした。もちろん、ニッキーにもだ。それから、帰国時の私の言動も深く詫びた。いくら、謝っても足りないけれど、ソフィ嬢の気の済むまで謝りたい。

 ソフィ嬢と私の愛は復活した。夏至祭りの会場では軽快な音楽が演奏され、ダンサーやパントマイムアーティストが踊る。ソフィ嬢と手を繋ぐ、その手を優しく握りしめたり、指同士を絡めると、ソフィ嬢は嬉しそうに頬を染めた。ソフィ嬢の瞳の澄んだきらめきを見れば、気持ちが通じ合っていることがわかる。

 私はゆっくりとソフィ嬢に顔を近づけ、その柔らかい唇に自分の唇を重ねた。その瞬間、私の心は鼓動と共に高鳴った。彼女の柔らかな唇が自分の唇に触れる感触を感じながら、私は幸せの絶頂に立っていた。私はこの瞬間を一生忘れることはないだろうと確信したのだった。

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