52 / 67
52
しおりを挟む
ライオネル殿下視点
夏至祭りの夕方、花火が打ち上がる少し前に、食べ物の屋台が並ぶ噴水の近くのベンチに向かった。ソフィ嬢と三人の女性たちがおしゃべりをしていて、それは私の話題だった。
ソフィ嬢は私のことを非常に褒めてくれ、優しいし思いやりに溢れている素晴らしい男性だ、と話していた。そして、どうやらソフィ嬢は、周りにいたカップルの男性の言動と私を比較していたようだった。
ソフィ嬢が褒めてくれた私の言動は、私にとってはごく当たり前のことだった。大事な女性にはいつも笑顔でいてほしい。その女性と過ごす時間は貴重な時間だし、彼女が喜ぶことに自分の幸せを感じる。だから、ソフィ嬢がいつも笑っていられるように、楽しい気分でいられるように、行動しただけだった。
「私、ライオネル殿下に会いに行くわ」
ソフィ嬢がそのように言うと、待っていましたとばかりに、マリエッタ嬢が口を開いた。
「会いに行かなくても、ライオネル殿下はソフィ様の後ろにいますよ」
振り返ったソフィ嬢は、頬を赤く染めていた。凜とした美しさを持つソフィ嬢が、私を見て頬を染める様子が愛らしい。友人たちと帰ろうとするソフィ嬢をそっと抱きしめた。
もう、絶対離さない。
記憶が戻ったのかと聞かれて、戻っていないことを告げるのは辛かった。しかし、日記の存在で全てを追体験できたことを伝えたかった。もう一度始めから愛を育むことも、申し出たいと思っていた。もし、ソフィ嬢が許してくれるならだが・・・・・・
だから、ソフィ嬢から「いまから新たな始まりを迎えましょう」と言われて、泣きたくなるほど嬉しかった。ソフィ嬢は私を責めず、友人としてでも良いから、側にいて私を支えると言ってくれた。私達の間に立ちこめていた暗雲が、ついにこの瞬間すっきりと晴れたのだ。
心の奥底から湧き上がる喜びと安堵が、胸の内を満たしていく。唯一無二の存在であるソフィ嬢との関係が修復されたことを知った瞬間、胸中に勇気と希望が湧き上がった。
空が夕焼けに染まっていく。鮮やかなオレンジ色は、時折、紫やピンクの色と混じり合う。ゆっくりと広がるオレンジ色のグランデーションを、ソフィ嬢を抱きしめながらも見上げた。やがて花火がうちあがり、ぎこちなく距離をとった。一緒に花火を見上げながら、チラチラとお互いを見ては微笑みあう。
私とソフィ嬢をさらに幸せにしてくれたのはニッキーだった。ニッキーは天使の格好で私の前にやって来て、青いエリクサーを差し出した。少しキザなセリフを言った自信満々な笑顔を信じたい。
これは、おそらく私の記憶を取り戻させるものだろう。迷うことなく、一気にそれを飲み干した。しばらくすると全ての記憶が繋がり、目の前の恋人に思わず言った言葉は、「ただいま、ソフィ」だった。
愛する女性のもとへ、やっと帰ってきたという喜びと感謝がこみ上げた。
「お帰りなさい。ライオネル様」
そう言ってくれたソフィ嬢に両手を広げた瞬間、彼女が胸に飛び込んできた。その柔らかい身体を今度はしっかりと抱きしめた。ソフィ嬢の髪を撫でながらも、神に感謝の言葉を口にした。もちろん、ニッキーにもだ。それから、帰国時の私の言動も深く詫びた。いくら、謝っても足りないけれど、ソフィ嬢の気の済むまで謝りたい。
ソフィ嬢と私の愛は復活した。夏至祭りの会場では軽快な音楽が演奏され、ダンサーやパントマイムアーティストが踊る。ソフィ嬢と手を繋ぐ、その手を優しく握りしめたり、指同士を絡めると、ソフィ嬢は嬉しそうに頬を染めた。ソフィ嬢の瞳の澄んだきらめきを見れば、気持ちが通じ合っていることがわかる。
私はゆっくりとソフィ嬢に顔を近づけ、その柔らかい唇に自分の唇を重ねた。その瞬間、私の心は鼓動と共に高鳴った。彼女の柔らかな唇が自分の唇に触れる感触を感じながら、私は幸せの絶頂に立っていた。私はこの瞬間を一生忘れることはないだろうと確信したのだった。
夏至祭りの夕方、花火が打ち上がる少し前に、食べ物の屋台が並ぶ噴水の近くのベンチに向かった。ソフィ嬢と三人の女性たちがおしゃべりをしていて、それは私の話題だった。
ソフィ嬢は私のことを非常に褒めてくれ、優しいし思いやりに溢れている素晴らしい男性だ、と話していた。そして、どうやらソフィ嬢は、周りにいたカップルの男性の言動と私を比較していたようだった。
ソフィ嬢が褒めてくれた私の言動は、私にとってはごく当たり前のことだった。大事な女性にはいつも笑顔でいてほしい。その女性と過ごす時間は貴重な時間だし、彼女が喜ぶことに自分の幸せを感じる。だから、ソフィ嬢がいつも笑っていられるように、楽しい気分でいられるように、行動しただけだった。
「私、ライオネル殿下に会いに行くわ」
ソフィ嬢がそのように言うと、待っていましたとばかりに、マリエッタ嬢が口を開いた。
「会いに行かなくても、ライオネル殿下はソフィ様の後ろにいますよ」
振り返ったソフィ嬢は、頬を赤く染めていた。凜とした美しさを持つソフィ嬢が、私を見て頬を染める様子が愛らしい。友人たちと帰ろうとするソフィ嬢をそっと抱きしめた。
もう、絶対離さない。
記憶が戻ったのかと聞かれて、戻っていないことを告げるのは辛かった。しかし、日記の存在で全てを追体験できたことを伝えたかった。もう一度始めから愛を育むことも、申し出たいと思っていた。もし、ソフィ嬢が許してくれるならだが・・・・・・
だから、ソフィ嬢から「いまから新たな始まりを迎えましょう」と言われて、泣きたくなるほど嬉しかった。ソフィ嬢は私を責めず、友人としてでも良いから、側にいて私を支えると言ってくれた。私達の間に立ちこめていた暗雲が、ついにこの瞬間すっきりと晴れたのだ。
心の奥底から湧き上がる喜びと安堵が、胸の内を満たしていく。唯一無二の存在であるソフィ嬢との関係が修復されたことを知った瞬間、胸中に勇気と希望が湧き上がった。
空が夕焼けに染まっていく。鮮やかなオレンジ色は、時折、紫やピンクの色と混じり合う。ゆっくりと広がるオレンジ色のグランデーションを、ソフィ嬢を抱きしめながらも見上げた。やがて花火がうちあがり、ぎこちなく距離をとった。一緒に花火を見上げながら、チラチラとお互いを見ては微笑みあう。
私とソフィ嬢をさらに幸せにしてくれたのはニッキーだった。ニッキーは天使の格好で私の前にやって来て、青いエリクサーを差し出した。少しキザなセリフを言った自信満々な笑顔を信じたい。
これは、おそらく私の記憶を取り戻させるものだろう。迷うことなく、一気にそれを飲み干した。しばらくすると全ての記憶が繋がり、目の前の恋人に思わず言った言葉は、「ただいま、ソフィ」だった。
愛する女性のもとへ、やっと帰ってきたという喜びと感謝がこみ上げた。
「お帰りなさい。ライオネル様」
そう言ってくれたソフィ嬢に両手を広げた瞬間、彼女が胸に飛び込んできた。その柔らかい身体を今度はしっかりと抱きしめた。ソフィ嬢の髪を撫でながらも、神に感謝の言葉を口にした。もちろん、ニッキーにもだ。それから、帰国時の私の言動も深く詫びた。いくら、謝っても足りないけれど、ソフィ嬢の気の済むまで謝りたい。
ソフィ嬢と私の愛は復活した。夏至祭りの会場では軽快な音楽が演奏され、ダンサーやパントマイムアーティストが踊る。ソフィ嬢と手を繋ぐ、その手を優しく握りしめたり、指同士を絡めると、ソフィ嬢は嬉しそうに頬を染めた。ソフィ嬢の瞳の澄んだきらめきを見れば、気持ちが通じ合っていることがわかる。
私はゆっくりとソフィ嬢に顔を近づけ、その柔らかい唇に自分の唇を重ねた。その瞬間、私の心は鼓動と共に高鳴った。彼女の柔らかな唇が自分の唇に触れる感触を感じながら、私は幸せの絶頂に立っていた。私はこの瞬間を一生忘れることはないだろうと確信したのだった。
258
あなたにおすすめの小説
「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。
誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。
無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。
ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。
「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。
アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。
そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?!
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています
【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ
水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。
ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。
なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。
アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。
※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います
☆HOTランキング20位(2021.6.21)
感謝です*.*
HOTランキング5位(2021.6.22)
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※短編です。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4800文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。
凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」
リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。
その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。
当然、注目は私達に向く。
ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた──
「私はシファナと共にありたい。」
「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」
(私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。)
妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。
しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。
そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。
それとは逆に、妹は──
※全11話構成です。
※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる