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番外編
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ラザフォードは生まれたばかりの頃から、熱心に私やライオネル様に話しかけるように言葉を発した。まだ意味のある単語は話せなくて、なにをしゃべっているのかはわからない時期も、私たちは推測も交えてラザフォードと会話をした。
ラザフォードが満足そうに頷く時は、きっと私たちの相づちは正解なのだと思う。困ったような表情で首を傾げている時は少しだけ不満そうに唇を尖らせ、首を横に振った。
「まるで、私たちの言葉がすっかりわかるみたいですわね? ライオネル様に似て神童なのかしら?」
「いや、私は神童などではなかったよ。いたって平凡な子供だったと思う」
ライオネル様が平凡な子供だったわけがないわ。私の夫はいつも謙虚で誠実よ。本当にすごい方なのに、まるで威張らないし自慢めいた言葉さえ口にしない。
「ラザフォードもそうなるのかしら? きっと、とても立派な人になるでしょうけど、威張りんぼさんにはならないでね。お父様のような優しい男性になってほしいわ」
ラザフォードは私に神妙な顔つきで頷いた。まるで、大人と話しているみたいよ。猫のロロはラザフォードの側を離れない。喉をゴロゴロ鳴らせてラザフォードにくっついているから、とてもこの子たちは気が合うようだった。
ラザフォードの二歳のお誕生日はたくさんの人々を招いて盛大に催された。マリエッタとニッキーはもちろんのこと、ジョディやアーリンも来てくれたのよ。
私はとても嬉しい報告を招待客の方々にお話したわ。それは私のお腹のなかに新しい命が宿っているということだった。
すると、ラザフォードは私のお腹に向き合うような形で、真剣な顔でなにやら話しかけた。
「ラザフォードはきっと、お腹にいる子とお話ができるのね?」
私は冗談にそう尋ねると、とても真面目な顔で首を縦に振る。
「それはすごいな。いったいどんな会話をしたのかお父様に教えておくれよ」
ライオネル様が尋ねると、ラザフォードは首を横に振って、「ひみゅつ(秘密)」と可愛い声を出した。「ひみゅつ」はラザフォードのなかにはたくさんあって、答えに詰まるとなんでもそう言うのよ。
「秘密なのね。でも、お母様には教えてほしいわ。なにをお話したの?」
「よーせー」
ラザフォードの人差し指は、ラザフォードの周りに飛んでいる小さな可愛い妖精たちを指していた。ライオネル様も軽く笑って頷く。
「妖精か。ラザフォードもソフィのお腹にいる子供も、きっと妖精が見えるんだね。実に羨ましいな」
「ふふ。妖精が見えたら素敵よね」
実は卒業式の日から、私には妖精が見えていた。ライオネル様も見えるようで、今も飾り棚にいる可愛い妖精が花瓶の横ですやすや寝ているのがとても気になっている。でも、それは私とライオネル様の秘密だった。
「風邪を引くのじゃないかしら?」
「妖精だからきっと大丈夫だ」
「でも、なんだか気になるわ。ハンカチだけでも掛けてあげましょう」
密やかな声でライオネル様に相談した私が、頻繁にハンカチをいろいろな所に置くので、ボナデアお母様が心配する。
「ソフィ。なぜ、ハンカチを落としてばかりいるの?」
「ちがうよ。おかぁーしゃまはね、よーせーにおふゅとんをかけていりゅんだよ」
私に代わってラザフォードが答えた。
「なんですって? ソフィは妖精にお布団を掛けてあげているのね? なんて素敵なんでしょう。きっと、ビニ公爵家には可愛い妖精がたくさんいるのね。そして、ここでお昼寝をするほど寛いでくれているんだわ。早速、妖精用のお布団を作らせましょう。心が綺麗なソフィとラザフォードだから、妖精が見えるんだわ」
ボナデアお母様はコロコロとお笑いになって、小さな可愛い羽布団をたくさん作らせた。職人に妖精用の小さなベッドも作らせると、家族用居間のシャンデリアの上やサイドテーブルや本棚の隅や窓辺にインテリアのように飾った。庭園の花壇の隅や大きな木の根元などには小さな妖精用のベンチも置かれた。
「ありがとう!」
「嬉しい」
「ビニ公爵家にずっといるね!」
妖精たちは、キラキラと輝く笑顔で、鈴のような声を聴かせてくれた。ビニ公爵家の庭園では幸せの鳥がさえずり、さらにそれから数ヶ月後には、元気な女の子の赤ちゃんの産声が響いたのだった。
ラザフォードが満足そうに頷く時は、きっと私たちの相づちは正解なのだと思う。困ったような表情で首を傾げている時は少しだけ不満そうに唇を尖らせ、首を横に振った。
「まるで、私たちの言葉がすっかりわかるみたいですわね? ライオネル様に似て神童なのかしら?」
「いや、私は神童などではなかったよ。いたって平凡な子供だったと思う」
ライオネル様が平凡な子供だったわけがないわ。私の夫はいつも謙虚で誠実よ。本当にすごい方なのに、まるで威張らないし自慢めいた言葉さえ口にしない。
「ラザフォードもそうなるのかしら? きっと、とても立派な人になるでしょうけど、威張りんぼさんにはならないでね。お父様のような優しい男性になってほしいわ」
ラザフォードは私に神妙な顔つきで頷いた。まるで、大人と話しているみたいよ。猫のロロはラザフォードの側を離れない。喉をゴロゴロ鳴らせてラザフォードにくっついているから、とてもこの子たちは気が合うようだった。
ラザフォードの二歳のお誕生日はたくさんの人々を招いて盛大に催された。マリエッタとニッキーはもちろんのこと、ジョディやアーリンも来てくれたのよ。
私はとても嬉しい報告を招待客の方々にお話したわ。それは私のお腹のなかに新しい命が宿っているということだった。
すると、ラザフォードは私のお腹に向き合うような形で、真剣な顔でなにやら話しかけた。
「ラザフォードはきっと、お腹にいる子とお話ができるのね?」
私は冗談にそう尋ねると、とても真面目な顔で首を縦に振る。
「それはすごいな。いったいどんな会話をしたのかお父様に教えておくれよ」
ライオネル様が尋ねると、ラザフォードは首を横に振って、「ひみゅつ(秘密)」と可愛い声を出した。「ひみゅつ」はラザフォードのなかにはたくさんあって、答えに詰まるとなんでもそう言うのよ。
「秘密なのね。でも、お母様には教えてほしいわ。なにをお話したの?」
「よーせー」
ラザフォードの人差し指は、ラザフォードの周りに飛んでいる小さな可愛い妖精たちを指していた。ライオネル様も軽く笑って頷く。
「妖精か。ラザフォードもソフィのお腹にいる子供も、きっと妖精が見えるんだね。実に羨ましいな」
「ふふ。妖精が見えたら素敵よね」
実は卒業式の日から、私には妖精が見えていた。ライオネル様も見えるようで、今も飾り棚にいる可愛い妖精が花瓶の横ですやすや寝ているのがとても気になっている。でも、それは私とライオネル様の秘密だった。
「風邪を引くのじゃないかしら?」
「妖精だからきっと大丈夫だ」
「でも、なんだか気になるわ。ハンカチだけでも掛けてあげましょう」
密やかな声でライオネル様に相談した私が、頻繁にハンカチをいろいろな所に置くので、ボナデアお母様が心配する。
「ソフィ。なぜ、ハンカチを落としてばかりいるの?」
「ちがうよ。おかぁーしゃまはね、よーせーにおふゅとんをかけていりゅんだよ」
私に代わってラザフォードが答えた。
「なんですって? ソフィは妖精にお布団を掛けてあげているのね? なんて素敵なんでしょう。きっと、ビニ公爵家には可愛い妖精がたくさんいるのね。そして、ここでお昼寝をするほど寛いでくれているんだわ。早速、妖精用のお布団を作らせましょう。心が綺麗なソフィとラザフォードだから、妖精が見えるんだわ」
ボナデアお母様はコロコロとお笑いになって、小さな可愛い羽布団をたくさん作らせた。職人に妖精用の小さなベッドも作らせると、家族用居間のシャンデリアの上やサイドテーブルや本棚の隅や窓辺にインテリアのように飾った。庭園の花壇の隅や大きな木の根元などには小さな妖精用のベンチも置かれた。
「ありがとう!」
「嬉しい」
「ビニ公爵家にずっといるね!」
妖精たちは、キラキラと輝く笑顔で、鈴のような声を聴かせてくれた。ビニ公爵家の庭園では幸せの鳥がさえずり、さらにそれから数ヶ月後には、元気な女の子の赤ちゃんの産声が響いたのだった。
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