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2 死を願ってはいけない / プチざまぁ
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「うふふ。これからよろしくお願いね! あ、離れを増築してよ。それか本邸に私達を住まわせてリリアーナが離れに住みなさいよ。一人で本邸を独占するなんて良くない事よ? これから私の両親も来るから狭すぎるわよ!」
従姉妹のマーガレットが満面の笑みで私に指図をしてくるのもおかしな話しだ。
「モーセ準男爵夫妻も来るですって? なんの為に?」
「なんの為に? もちろん一族でこのランス伯爵家を盛り立てる為よ! 皆で協力すればきっとランス伯爵家は大金持ちになれるわ!」
「そうさ! 俺達はお前に協力してやっているんだ! マーガレットが男の子を産んだらララは養女にだそう。俺様の子はマーガレットが産んだ子供だけだからな!」
私はこのあり得ない言葉に我慢してきたものがプツンと切れた。ここは、もう怒っていい場面よね? 怒るべき場面でしょう?
――お父様、ご先祖様! ごめんなさい! もう波風を立てないわけにはまいりませんわ! 波風どころじゃない・・・・・・嵐よ! 雷よ! 竜巻よ! 今こそ吹き荒れ給え!
心の中でそう叫んだ瞬間、外では暴風が吹き荒れ稲妻が走り落雷が起こった。これが私の魔法の力の目覚めだった。
ラモントとマーガレットは、急な天気の荒れように抱きしめあっている。私はそれを無視して執務室に戻りご先祖様の日記を読み始めた。
「リリアーナ。もしもこの先不思議なことが自分の身に起こったらこれを読むように」
そう言いながら亡きお父様は、生前私に黄ばんだぼろぼろのご先祖様の日記を手渡してくださった。そっと開いて見れば中の文字は鮮明で少しも色あせていない。
なんてことだ! 俺には魔法が使える。怒りの感情が湧いた瞬間に発動したこの魔法は呪文もアイテムもいらない。願うだけで実現するのは便利だが不便だ。特に憎しみの感情はコントロールしないと大虐殺に発展してしまいそうだ。・・・・・・子孫に告ぐ。もしも、この力を身につけることがあっても憎たらしい相手の死だけは願ってはいけない。・・・・・・・それをしてしまうと自分に返ってくる・・・・・・
最期の一文で想像できたのは、このご先祖様は相手の死を願って・・・・・・
――私は死なんか願わないわよ。願わない・・・・・・願いそう? あいつらの顔を見るだけで怒りが湧き上げってくるから困るわね。
「別邸の周りに鉄格子のフェンスを張り巡らせて本邸に気軽に来れないようにしましょう。顔を見なければ怒りに振り回されなくて済みそう」
執務室から窓の外を見ながらの私のつぶやきは早速実行された。あっという間にできた刑務所並みのフェンスに私自身がぎょっとした。こんなものがいきなり出現したらまずい。
「そ、それはないほうがいいわ。もっと簡単な・・・・・・そうね・・・・・・ちょっと待って。こちらに来させたくないのだから来たら具合が悪・・・・・・」
ぶつぶつと頭を抱えて独り言を言っていた私に、背後から脳天気な声が降りかかる。
「ねぇ、ねぇ! 離れを増築する話しは考えてくれた? ほら、もう両親が来ちゃったわ! とりあえず、本邸に両親を住まわせてよ!」
マーガレットが執務室にまでノックもせずに入ってきて、また私をイライラさせたのだ。
――ちょっとお願いだから私に殺意を感じさせないで!
「やぁ、リリアーナ! 私達を離れに追いやるなんておかしいだろう? かりにも叔父だぞ!」
さらにその後ろからは、マーガレットの両親!
――だからさぁ、なんでその叔父夫婦がここに住むのよ! 死んで・・・・・・違う、違う・・・・・・し、しらみ・・・・・・そうよ! シラミでも湧いて一晩中痒くて眠れなくなればいいのに!
シラミはとても良い働きをしてしばらくは離れが騒がしかったが、隔離する為の鉄格子のフェンスを離れにほどこしても当然という世間の評価を得られて大満足だった。
ꕤ୭*ラモント視点
マーガレットの両親が特大シラミを離れに持ち込みやがって、痒くてたまらない。
「毛があるとダメですから剃った方がいいかも」
医者はふざけたことを抜かすが、そんなことはできない! 粉末の薬を毎日ふりかけ、隔離されて過ごすことになった。
外出もできないし、一晩で鉄格子のフェンスが張り巡らされ私兵までが扉に立っていた。
「おい、このフェンスはなんだよ! まるで俺達が罪人みたいじゃないか! リリアーナに話しがあるんだ。お金が・・・・・・」
「リリアーナ様にはお会いになれませんよ。だってそのシラミ移りますからね。私の近くに寄るのもやめてください。そもそもあなた方は外出禁止なので、お金は必要ないでしょう?」
ランス伯爵家の私兵がせせら笑った。よく見たらこのフェンスには扉がどこにもない。本邸に通じた扉も外に放たれた扉もないなんて・・・・・・
従姉妹のマーガレットが満面の笑みで私に指図をしてくるのもおかしな話しだ。
「モーセ準男爵夫妻も来るですって? なんの為に?」
「なんの為に? もちろん一族でこのランス伯爵家を盛り立てる為よ! 皆で協力すればきっとランス伯爵家は大金持ちになれるわ!」
「そうさ! 俺達はお前に協力してやっているんだ! マーガレットが男の子を産んだらララは養女にだそう。俺様の子はマーガレットが産んだ子供だけだからな!」
私はこのあり得ない言葉に我慢してきたものがプツンと切れた。ここは、もう怒っていい場面よね? 怒るべき場面でしょう?
――お父様、ご先祖様! ごめんなさい! もう波風を立てないわけにはまいりませんわ! 波風どころじゃない・・・・・・嵐よ! 雷よ! 竜巻よ! 今こそ吹き荒れ給え!
心の中でそう叫んだ瞬間、外では暴風が吹き荒れ稲妻が走り落雷が起こった。これが私の魔法の力の目覚めだった。
ラモントとマーガレットは、急な天気の荒れように抱きしめあっている。私はそれを無視して執務室に戻りご先祖様の日記を読み始めた。
「リリアーナ。もしもこの先不思議なことが自分の身に起こったらこれを読むように」
そう言いながら亡きお父様は、生前私に黄ばんだぼろぼろのご先祖様の日記を手渡してくださった。そっと開いて見れば中の文字は鮮明で少しも色あせていない。
なんてことだ! 俺には魔法が使える。怒りの感情が湧いた瞬間に発動したこの魔法は呪文もアイテムもいらない。願うだけで実現するのは便利だが不便だ。特に憎しみの感情はコントロールしないと大虐殺に発展してしまいそうだ。・・・・・・子孫に告ぐ。もしも、この力を身につけることがあっても憎たらしい相手の死だけは願ってはいけない。・・・・・・・それをしてしまうと自分に返ってくる・・・・・・
最期の一文で想像できたのは、このご先祖様は相手の死を願って・・・・・・
――私は死なんか願わないわよ。願わない・・・・・・願いそう? あいつらの顔を見るだけで怒りが湧き上げってくるから困るわね。
「別邸の周りに鉄格子のフェンスを張り巡らせて本邸に気軽に来れないようにしましょう。顔を見なければ怒りに振り回されなくて済みそう」
執務室から窓の外を見ながらの私のつぶやきは早速実行された。あっという間にできた刑務所並みのフェンスに私自身がぎょっとした。こんなものがいきなり出現したらまずい。
「そ、それはないほうがいいわ。もっと簡単な・・・・・・そうね・・・・・・ちょっと待って。こちらに来させたくないのだから来たら具合が悪・・・・・・」
ぶつぶつと頭を抱えて独り言を言っていた私に、背後から脳天気な声が降りかかる。
「ねぇ、ねぇ! 離れを増築する話しは考えてくれた? ほら、もう両親が来ちゃったわ! とりあえず、本邸に両親を住まわせてよ!」
マーガレットが執務室にまでノックもせずに入ってきて、また私をイライラさせたのだ。
――ちょっとお願いだから私に殺意を感じさせないで!
「やぁ、リリアーナ! 私達を離れに追いやるなんておかしいだろう? かりにも叔父だぞ!」
さらにその後ろからは、マーガレットの両親!
――だからさぁ、なんでその叔父夫婦がここに住むのよ! 死んで・・・・・・違う、違う・・・・・・し、しらみ・・・・・・そうよ! シラミでも湧いて一晩中痒くて眠れなくなればいいのに!
シラミはとても良い働きをしてしばらくは離れが騒がしかったが、隔離する為の鉄格子のフェンスを離れにほどこしても当然という世間の評価を得られて大満足だった。
ꕤ୭*ラモント視点
マーガレットの両親が特大シラミを離れに持ち込みやがって、痒くてたまらない。
「毛があるとダメですから剃った方がいいかも」
医者はふざけたことを抜かすが、そんなことはできない! 粉末の薬を毎日ふりかけ、隔離されて過ごすことになった。
外出もできないし、一晩で鉄格子のフェンスが張り巡らされ私兵までが扉に立っていた。
「おい、このフェンスはなんだよ! まるで俺達が罪人みたいじゃないか! リリアーナに話しがあるんだ。お金が・・・・・・」
「リリアーナ様にはお会いになれませんよ。だってそのシラミ移りますからね。私の近くに寄るのもやめてください。そもそもあなた方は外出禁止なので、お金は必要ないでしょう?」
ランス伯爵家の私兵がせせら笑った。よく見たらこのフェンスには扉がどこにもない。本邸に通じた扉も外に放たれた扉もないなんて・・・・・・
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