(完)私の家を乗っ取る従兄弟と従姉妹に罰を与えましょう!

青空一夏

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ꕤ୭*ラマ・レミントン視点

 私の兄が死体で発見された時に、私はとても不審感をもった。

ーー物盗りなら家紋入りの指輪を盗らないはずがないし、ランス伯爵令嬢が贈ったというペンダントもそのままだ。それなのに顔だけ潰されて、この死体は兄上だと主張している。おかしいいだろう?

 私があらゆる可能性を考えて森を捜索した結果は、実に恥じ入る事実だった。
「兄上! 生きていたのか? なぜなんだ? 木こりの娘がそんなに好きか?」
 兄上は森の近くの村落の木こりの娘と結婚していたのだ。

「これが『真実の愛』だと気づいた。この娘に子供ができたんだ!」
「くっ! 意味がわからん! あれだけ優秀だった兄上が・・・・・・父上も母上もどれだけ悲しんだと思っているんだ?」

「『真実の愛』に犠牲はつきものだ!」
「は? もういいよ。確かに、私の知っている兄上は死んだようだ。ここにいるのは姿が似ているが違う人間だ」
 私はが怖くてその場を急いで離れた。これは私だけの秘密だ。



 兄が生きていることは自分の胸の奥だけにしまっておくべきだ。夜会でリリアーナを見かけて近況を報告しあううちに彼女の違和感に気がついた。彼女もなにか隠しているように思う。

 夜会にはいつも彼女の夫の姿はないし、親族を皆敷地に住まわせているというのも不思議だった。





 ある日の夜会で、彼女は思い詰めたようにポツリと言った。

「レオン様は天国にいらっしゃるのでしょうね。私も天国に行く為にいつも天使の心でいなければなりません。それが辛くて、地獄に行っても会えるなら思いっきり鬼になれるのに」
 その意味のわからないつぶやきに、私は真顔で答えた。

「兄上は地獄に行くよ。間違いなくね。それに、それほど会いたいと思うような相手じゃないから!」

「どういうことですか? お願い! 教えて」



 結局彼女に全ての事情を話した私に、彼女は苦笑いをしながらこう言った。

「死を願ってはいけないと固く心に刻まねばならない人がまた増えたわけね」

「あぁ、そうだな。全く、迂闊に悪口も考えられない! あの糞兄め。いや、まずい、まずい・・・・・・死は願っていないからな・・・・・・」

「え?」
「えぇ~~?」
 私達は顔を見合わせたのだった。






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次回、最終回です。
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