(完)私の家を乗っ取る従兄弟と従姉妹に罰を与えましょう!

青空一夏

文字の大きさ
9 / 12

9 マーガレットの両親の末路

しおりを挟む
ꕤ୭*モーセ準男爵夫人視点

「なぜみんな帰ってこないのかしら?」
「そ、そうだな・・・・・・なんでだろう?」

 マーガレットもラモントも、エイナお姉様まで帰って来ないのは不気味で夫と毎日疑問を口にした。私達は本邸に向いリリアーナに会いに行ったが、あの薄情者は全く関心を示さなかった。

「あの3人の行方を知らない?」
「さあ? ここより楽しい場所でも見つけたのでは? だいたい、あの二人は子育てもまともにしていなかったでしょう? 無責任な者は、なにもかも棄てて逃げ出すことが多いようですわ」

「そんなことがあるわけがないわ! きっと事件に巻き込まれたのよ。探してよ!」
「あぁ、ラモントは一応夫なので行方不明の届け出はしておきましたが捜索願はだしておりません」

「なんでよ!」

「だって、愛人のマーガレットと消えたんですよ? あの二人は『真実の愛』で結ばれていたのでしたっけ? ですから、愛の逃避行なんじゃないですか? 子育てが嫌になったのかも」

「そんな・・・・・・でも、そうしたら私達はどうしたらいいのよ」

「あぁ、孫がいるではありませんか? きっちり面倒を見てくださいよ」

「無理よ。子供の世話なんて。ナニーを雇ってちょうだい!」

「それは無理です。最低限の住まいは提供しますが、それだけです」

――なんて冷たい女なの!

 マーガレットがいなくなってしまった今、私が子供の世話をしなければならない。この歳で子供の世話なんてやってられない。

 なんとかして・・・・・・あぁ、良いことを考えたわ。ここのララを殺せば私の孫のジョナサンが跡継ぎになれる。

 夫と相談して計画をすすめた私は、ある日の夜遅くに本邸に忍び込んだ。運良く誰にも会わずララの部屋にたどり着き、思いっきりヒモでララの首を締め上げた。

―うっふふ、やったわ! うまいこと死んだじゃない!

 私はぐったりしたララを夫と運びだし裏庭に埋めた。青白い月が冴え渡るそんな日に幼い子を殺した私達。

 ところが朝起きてみると殺したはずのララは元気に庭園を散歩しているのが見えたが、孫のジョナサンはどこにもいなかった。

――おかしい・・・・・・なんでよ?・・・・・・まさか?

 あのララを埋めた穴をもう一度掘りおこした私達夫婦は、そこにジョナサンの服の柄を見つける。慌ててすっかり掘りかえし、よくよく見たそれは・・・・・・紛れもなく私達の孫だった。

 ワナワナと震えだした私は夫を責めた。夫も私を責めた。なぜなの? 殺したのはララはずなのにジョナサンを殺していた。

「このバカ女! ララを殺そうなんていうからこうなったんだ!」

「なによ。あんただって賛成したじゃない。元はと言えばあんたが甲斐性なしだからここに転がり込んだんじゃないよ! あんたみたいな男と結婚したのがそもそもの間違い・・・・・・」

「なっ、なんだとぉ!!」

 逆上した夫にナイフで刺され、とっさに自分も夫の胸に編み棒を突き立てていた。

 孫を殺した私達の精神状態はもう破滅に突き進むしかないのだった。
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

笑う令嬢は毒の杯を傾ける

無色
恋愛
 その笑顔は、甘い毒の味がした。  父親に虐げられ、義妹によって婚約者を奪われた令嬢は復讐のために毒を喰む。

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

“いつまでも一緒”の鎖、貴方にお返しいたします

ファンタジー
男爵令嬢エリナ・ブランシュは、幼馴染であるマルグリット・シャンテリィの引き立て役だった。 マルグリットに婚約が決まり開放されると思ったのも束の間、彼女は婚約者であるティオ・ソルベに、家へ迎え入れてくれないかというお願いをする。 それをティオに承諾されたエリナは、冷酷な手段をとることを決意し……。 ※複数のサイトに投稿しております。

【完結】私が愛されるのを見ていなさい

芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定) 公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。 絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。 ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。 完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。  立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。

今、私は幸せなの。ほっといて

青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。 卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。 そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。 「今、私は幸せなの。ほっといて」 小説家になろうにも投稿しています。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

婚約者に愛されたいので、彼の幼馴染と体を交換しました【完結】

小平ニコ
ファンタジー
「すまない。でも、全部きみのためなんだ」 ランデリック様はそう言って、私との婚約を解消した。……許せない、きっと、『あの女』にたぶらかされたのね。半年ほど前から、ランデリック様のそばをウロチョロするようになった、彼の幼馴染――ウィネットに対する憎しみが、私に『入れ替わり』の呪文の使用を決意させた。 『入れ替わり』の呪文は、呪文を唱えた者と、使用対象の心を、文字通り、『入れ替え』てしまうのである。……呪文は成功し、私の心はウィネットの体に入ることができた。これからは、私がウィネットとなって、ランデリック様と愛を紡いでいくのよ。 しかしその後、思ってもいなかった事実が明らかになり……

処理中です...