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手続きに忙しい(リン視点)

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俺はジョセリンから王都の学校に通うと聞いて、愕然とした。

ーー聖女様だって?あんなインチキ石に魔力測定などできるはずがない。俺の番からは魔力のようなものはなにも感じなかった。そもそも、あの鑑定人からして胡散臭い奴だった。

俺は、ジョセリンと同じ学園に行くことを決意した。そう、学園に忍び込むには貴族の屋敷と高位貴族の爵位がいる。そのためには準備期間が必要だった。

俺は、ジョセリンの周りに保護の結界を張ると、彼女の前から姿を消した。






高位貴族を調査していくと、ちょうどいい貴族が見つかった。ルイ・デュラン侯爵の一人息子が病に冒されて息を引き取ろうとしていた。このままいけば、間違いなくこの息子は死ぬ。

一人息子の名前はジェネシス・デュラン。ちょうどジョセリンと同じ歳だ。俺はこの少年の枕元に立っている。ブラウンの髪と瞳、肌の色は病弱で外に出たことがないのだろう。透き通るように白い。軟弱な身体だが、しかたあるまい。少年が当主や母親に見守られて息を引き取ったその瞬間に俺はその身体に潜り込んだ。

この少年と同化するために、半日は必要だ。ジェネシスと俺の身体の融和はゆっくりとおこなわれた。数時間後、一度死にかけて眼をあけた俺を当主と母親は歓喜して涙を流した。

「「「「奇跡だ(わ!)!あぁ、神様、感謝します」」」」」

俺は、弱々しく微笑んだ。母親のデュラン侯爵夫人は俺を抱きしめて泣いていた。





乗り移ったこの身体は俺の九つある命の一つを使って同化するように仕向けた。ジョセリンは人間だから、彼女と同じものになりたかった。もちろん、あやかしの力は残ったままだ。

鏡を見ると、ブラウンの髪と瞳の青白い少年が映っていた。少し、鍛えなければいけないな、そんなことを考えていた。

こうして、俺は、王家の血を引くルイ・デュラン侯爵の一人息子のジェネシス・デュランになったのだった。

デュラン侯爵夫人が部屋に入ってきて俺に聞いてきた。

「なにか、欲しいものはある?してほしいことはあるかしら?」
母親らしい優しい口調で愛おしそうに俺を見つめる。

「母上。私は学園に通いたいです」

俺は驚くデュラン夫人に、にっこり笑いかけながら言ったのだった。

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