3 / 6
3 あの家族の正体は・・・・・・
しおりを挟む
うっ、うっ、ふぇ。ふえぇーーん!
私の泣き声に待機していたヘンリー様が慌てて駆け寄ってきた。
「どうした? なにかされたのか? なんでそんなに泣いているんだ?」
「私、もうこの家の者じゃないそうです。貴族学園に行かなかった私は恥ずかしい存在なんです」
私の言葉を聞いてヘンリー様は明るく笑った。
「ふーーん、家族の縁を切るって言われたのかい? だったら喜んだ方がいい。そんな薄情な親や姉ならいない方がよっぽどましだ。さぁ、馬車に乗って。君は新しく生まれ変わるんだ」
ヘンリー様はエジャートン侯爵家には戻らずに全く逆の方向に馬車を走らせた。
「エリザベス伯母様はご在宅かな? 伯母様! 伯母様!」
大きな門をくぐり抜け白亜の豪邸を勝手に開けるなりヘンリー様がエリザベス伯母様という方を探し回る。
「ヘンリー様! いくらなんでもいきなり入っていいのですか? 伯母様とは言ってもこれでは・・・・・・」
「うん? 大丈夫だよ! 豹獣人はそんなこと気にしない! それにここは私を息子のように可愛がってくれているエリザベス伯母様の屋敷だから」
「ヘンリー! どうしたって・・・・・・はぁーーん! やっと見つけたのね? 運命の子ね?」
「はい、この子がそうです。エジャートン侯爵家にアーバスノット家から奉公に来ている娘なのですが、今日まで気がつかなかった! こんなことってあるのかな? 普通は出会ってすぐわかるものでしょう?」
「その子は普通の人間でしょう? だから気配が少し弱いのかもね。特に家族の愛に包まれている人間は心が満たされていて番を求める匂いが薄いらしいからね」
「あぁ、なら納得ですね。今のクララからとても甘い香りがするのは、家族から捨てられて助けを求めている香りなのかもなぁ。大丈夫だよ、君には僕がいるから」
家族から捨てられたという言葉に私は凹んで涙が出てきた。
「あら、あら。ヘンリー、もう少しデリカシーをもたないと傷つけてしまうわ。いったいどういうことなのかしら?」
私はそのエリザベス様に促されて今までのことをかいつまんで話をした。話しているうちにも悲しくなって涙が頬をつたう。
「アーバスノット男爵家? あの一代限りの男爵家よね? たしか録音装置やカメラを開発して爵位をもらった家だと思ったけれど、違う?」
「えっと、そうです。お父様はそんな発明をしたと聞いています」
「そうそう。兄弟で発明して兄夫妻は亡くなってそれから爵位をもらったのだったわよね? 貴族名鑑に書いてあるはず・・・・・・ちょっと持ってくるわね」
エリザベス様は分厚い本を持ってきて念入りに調べていた。
「あった、あった。そうね。うん、兄夫妻には当時子供がいて、それを弟夫妻が引き取ったのよ。で、爵位は弟がもらったのよね。あれは棚ぼたよね。だって、兄の方が天才だったしかなりの財を築いたんだから。それが事故で亡くなって、弟だけが爵位をもらって兄の子供の後見人になって遺産も手に入れた。当時は社交界でずいぶん噂になったわよ。」
「遺産? うちは貧乏で貴族学園にも行けませんでした。姉が上級学園に行くから私は貴族学園に行くお金と結婚の際の持参金を放棄したんです」
「まさか! 兄の方はとても優秀な発明家だったし実業家でしたよ。娘さんの名はクララだから、あなたね? あなたが引き継ぐ財産は相当あったはずだけれどおかしいわね? 」
「私はあの人達の実の子供じゃないの?」
私は思いもかけなかった事実に驚愕していた。でも、それならさきほどの両親の対応はとても納得がいく。
「どうやらそのようだね。謎が解けたね。アーバスノット家から奉公に出されているから娘のはずなのに、アメリしか娘はいないことになっているなんて変だものね? エリザベス伯母様はね、貴族籍の管理をしている役所の所長だったんだよ。それもあってここに来てみたんだ。昔のこともよく知っているし社交界の噂にも明るいんだ。もともとアーバスノット家の令嬢はアメリだけでクララは養女になっていないんだと思う」
「そうね。役所に問い合わせてみましょうね。ちょっと待っていてくれる。紅茶を淹れさせるから寛いでいてね」
テキパキと確認していくエリザベス様と、貴族名鑑を隅々まで見て「怪しいなぁ」とつぶやくヘンリー様。なにかとてつもなく大きな事件に巻き込まれた気がして怖かった。
私の不安を敏感に察したヘンリー様は私に優しく微笑んだ。
「君は僕が守るから大丈夫! なにも心配しなくていい」
そして、エリザベス様から伝えられた事実は・・・・・・
私の泣き声に待機していたヘンリー様が慌てて駆け寄ってきた。
「どうした? なにかされたのか? なんでそんなに泣いているんだ?」
「私、もうこの家の者じゃないそうです。貴族学園に行かなかった私は恥ずかしい存在なんです」
私の言葉を聞いてヘンリー様は明るく笑った。
「ふーーん、家族の縁を切るって言われたのかい? だったら喜んだ方がいい。そんな薄情な親や姉ならいない方がよっぽどましだ。さぁ、馬車に乗って。君は新しく生まれ変わるんだ」
ヘンリー様はエジャートン侯爵家には戻らずに全く逆の方向に馬車を走らせた。
「エリザベス伯母様はご在宅かな? 伯母様! 伯母様!」
大きな門をくぐり抜け白亜の豪邸を勝手に開けるなりヘンリー様がエリザベス伯母様という方を探し回る。
「ヘンリー様! いくらなんでもいきなり入っていいのですか? 伯母様とは言ってもこれでは・・・・・・」
「うん? 大丈夫だよ! 豹獣人はそんなこと気にしない! それにここは私を息子のように可愛がってくれているエリザベス伯母様の屋敷だから」
「ヘンリー! どうしたって・・・・・・はぁーーん! やっと見つけたのね? 運命の子ね?」
「はい、この子がそうです。エジャートン侯爵家にアーバスノット家から奉公に来ている娘なのですが、今日まで気がつかなかった! こんなことってあるのかな? 普通は出会ってすぐわかるものでしょう?」
「その子は普通の人間でしょう? だから気配が少し弱いのかもね。特に家族の愛に包まれている人間は心が満たされていて番を求める匂いが薄いらしいからね」
「あぁ、なら納得ですね。今のクララからとても甘い香りがするのは、家族から捨てられて助けを求めている香りなのかもなぁ。大丈夫だよ、君には僕がいるから」
家族から捨てられたという言葉に私は凹んで涙が出てきた。
「あら、あら。ヘンリー、もう少しデリカシーをもたないと傷つけてしまうわ。いったいどういうことなのかしら?」
私はそのエリザベス様に促されて今までのことをかいつまんで話をした。話しているうちにも悲しくなって涙が頬をつたう。
「アーバスノット男爵家? あの一代限りの男爵家よね? たしか録音装置やカメラを開発して爵位をもらった家だと思ったけれど、違う?」
「えっと、そうです。お父様はそんな発明をしたと聞いています」
「そうそう。兄弟で発明して兄夫妻は亡くなってそれから爵位をもらったのだったわよね? 貴族名鑑に書いてあるはず・・・・・・ちょっと持ってくるわね」
エリザベス様は分厚い本を持ってきて念入りに調べていた。
「あった、あった。そうね。うん、兄夫妻には当時子供がいて、それを弟夫妻が引き取ったのよ。で、爵位は弟がもらったのよね。あれは棚ぼたよね。だって、兄の方が天才だったしかなりの財を築いたんだから。それが事故で亡くなって、弟だけが爵位をもらって兄の子供の後見人になって遺産も手に入れた。当時は社交界でずいぶん噂になったわよ。」
「遺産? うちは貧乏で貴族学園にも行けませんでした。姉が上級学園に行くから私は貴族学園に行くお金と結婚の際の持参金を放棄したんです」
「まさか! 兄の方はとても優秀な発明家だったし実業家でしたよ。娘さんの名はクララだから、あなたね? あなたが引き継ぐ財産は相当あったはずだけれどおかしいわね? 」
「私はあの人達の実の子供じゃないの?」
私は思いもかけなかった事実に驚愕していた。でも、それならさきほどの両親の対応はとても納得がいく。
「どうやらそのようだね。謎が解けたね。アーバスノット家から奉公に出されているから娘のはずなのに、アメリしか娘はいないことになっているなんて変だものね? エリザベス伯母様はね、貴族籍の管理をしている役所の所長だったんだよ。それもあってここに来てみたんだ。昔のこともよく知っているし社交界の噂にも明るいんだ。もともとアーバスノット家の令嬢はアメリだけでクララは養女になっていないんだと思う」
「そうね。役所に問い合わせてみましょうね。ちょっと待っていてくれる。紅茶を淹れさせるから寛いでいてね」
テキパキと確認していくエリザベス様と、貴族名鑑を隅々まで見て「怪しいなぁ」とつぶやくヘンリー様。なにかとてつもなく大きな事件に巻き込まれた気がして怖かった。
私の不安を敏感に察したヘンリー様は私に優しく微笑んだ。
「君は僕が守るから大丈夫! なにも心配しなくていい」
そして、エリザベス様から伝えられた事実は・・・・・・
125
あなたにおすすめの小説
私の婚約者を奪った妹が婚約者を返品してきようとするけど、返品は受け付けません。 どうぞご幸せに。
狼狼3
恋愛
ある日。
私の婚約者を奪った妹。
優越感に浸っているのか、私を見下しながらそう告げた妹に、そっと呟く。
奪うのはいいけど、返品は受け付けないからね?
妹がどうなるのか、私は楽しみで仕方なくなった。
【完結】今更そんな事を言われましても…
山葵
恋愛
「お願いだよ。婚約解消は無かった事にしてくれ!」
そんな事を言われましても、もう手続きは終わっていますし、私は貴方に未練など有りません。
寧ろ清々しておりますので、婚約解消の撤回は認められませんわ。
(完結)お姉様の恋人をとってもいいでしょう?(全6話)
青空一夏
恋愛
私と姉はオマール男爵家の長女と次女で、姉は屋敷から出て、仕事をして暮していた。姉は昔から頭が良くて、お金を稼ぐことが上手い。今は会社を経営していて、羽振りが良かった。
オマール家で、お兄様が結婚して家督を継ぐと、私は実家に居づらくなった。だから、私は姉の家に転がりこんだのよ。
私は姉が羨ましかった。美人で仕事ができてお金が稼げる・・・姉の恋人を奪えば・・・
コメディタッチの、オチがあるお話です。※現代日本によく似た部分のある西洋風の爵位がある不思議異世界もの。現代機器あり。
幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ
猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。
そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。
たった一つボタンを掛け違えてしまったために、
最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。
主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる