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4 クララ視点(主人公)/ アメリ視点
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そしてエリザベス様から伝えられた事実は、
「クララ、あなたは養女になっていないわ。後見人になっているだけよ。遺産はいいように使われたのだと思う。それにしたって、貴族学園にも行けないと言われたですって? なんたる恥知らずなアーバスノット家なの!」
「えぇ、それでたった今縁を切られました。もうあの家は私の家じゃないって。アーバスノット家の人間じゃないって言われたんです」
「まぁ、そうね。それだけは真実だわ。クララはあそこの人間ではないわね。それにしてもなんて腹立たしい話なのかしら! ヘンリー、早速このクララを貴族学園に通わせなければいけないわ。クララは私の養女になりなさい。私はサマセット侯爵未亡人ですよ。夫は亡くなって子供もいないのよ。跡継ぎはヘンリーが結婚してできた子供に継がそうとしていたの。だから、クララが養女になってもなにも問題ないわ」
「え? すごく話が早すぎやしませんか? 私という人間を知らないのに大丈夫ですか? さっきお会いしたばかりで養女?」
「うふふ。人間には理解できないかもね。私達獣人は番とは離れられないし、それは親戚一同が応援するおめでたい縁なのよ。番を見つけられて一緒になれば絶対に幸せになるし、とてもその一族が繁栄するの。だから、会ったばかりでも私はクララに絶大な信頼感があるのよ」
「はぁ・・・・・・そんなものなんですね・・・・・・人間とはちょっと違うんだ」
「そうね。人間より純粋でひたむきで真面目なのが獣人。獣人を馬鹿にする人間もいるけれど、それは多分劣等感だと思うわ。獣人は人間より能力が高い者が多いから」
私はサマセット侯爵家の養女にあっという間になって、貴族学園に通うことになったのだった。
ꕤ୭*アメリ視点
クララが実の妹じゃないって知ったのは貴族学園に通い始めた頃だった。それまでは実の妹と思い、かわいがっていたけれどクラスメートから言われた言葉は衝撃的だった。
「できそこないの弟の方の娘のわりには勉強ができるのね?」
「それはどういう意味かしら?」
「どういう意味もそのままの意味よ? アメリ様のお父様は、お兄様がうけるはずだった爵位を受け取り名声を自分のものにしたでしょう? あなたのお父様は、お兄様のお手伝い程度のことしかしていなかったって噂で聞いたわよ!」
「そんなことは嘘よ! お父様は立派な発明家だわ。私とクララはお父様を尊敬しているんだから」
「あぁ、そのクララ様こそ多分天才よ? 楽しみだって学園の先生達もおっしゃっているみたいよ? 天才の娘はあなたじゃなくてクララ様だもの」
私はそんなデマを聞かされて屋敷に不安な気持ちで帰った。
「お父様。お母様! クララが天才の娘ってどういうことなの?」
今までは両親が引き合わせてくれた友人とだけしか付き合ってこなかった私は、貴族学園に行き他人から初めて自分の家の内情を聞かされたのだ。
「あぁ、聞いてしまったのね。つまりはそういうことよ」
淡々と言ってのけるお母様は、クララは妹ではなく天才はお父様のお兄様だったと言った。
「クララには知らせていないのよ。だって、クララの後見人になってあの子の遺産を全て使ってしまったのだもの。本当のことなんて言えるはずがないじゃない?」
「な、なにに使ったのよ? お母様!」
「それはアメリの教育費とかドレス、宝石、いろいろよ。いろいろ! 生活するってお金がかかるんだもの。だから、アメリが上級学園に行くお金も厳しいわ。でも解決策はあるの。それはね・・・・・・」
「わかったわ。クララを貴族学園には行かせないようにするわ。あの子はお人好しでおバカさんだからきっと大丈夫。ふっ、私の為に犠牲にならせてあげる。一生、下女と変わらない身分で生きていけばいいのよ! なにが天才の娘よ! 私こそが天才なのに」
そして、私はクララを追い出すことに成功した。バカな子だ。やがて私はハワード伯爵家の嫡男に見初められた。上級学園に行きたかったのはこれが目当て。
上級学園に通う男性は高位貴族や大金持ちしかいない。ここで出会いを求めて玉の輿に乗るのが目標だった。アーバスノット家は一代限りの男爵家だもの。貴族の嫡男に嫁ぐ使命が私にはある。
結婚式の前のお披露目パーティのこの日、私は素晴らしいドレスに身を包みハワード伯爵家の大広間にいた。ハワード伯爵家は豹獣人のエジャートン侯爵家やサマセット侯爵家の親戚筋にあたる。
もちろん家格はあちらの方がずっと上だ。今すごく私が緊張しているのは、これからエジャートン侯爵嫡男とサマセット侯爵令嬢がいらっしゃることだ。このお二人は婚約者同士だという。
「失礼のないようにしてくれたまえ。ハワード伯爵家の事業はエジャートン侯爵家とサマセット侯爵家に保護されて事業運営をしている業種が多い。まさに主筋というか本家的な立場の方々だよ。絶対に逆らわないで」
「はい、任せてちょうだい。私、絶対その方達に気に入られるように努力するわ」
微笑みながら言った私の言葉がたちまち凍り付いたのは、サマセット侯爵令嬢として紹介された令嬢がよく見知った女だったからだ。
「・・・・・・クララ?」
「クララ、あなたは養女になっていないわ。後見人になっているだけよ。遺産はいいように使われたのだと思う。それにしたって、貴族学園にも行けないと言われたですって? なんたる恥知らずなアーバスノット家なの!」
「えぇ、それでたった今縁を切られました。もうあの家は私の家じゃないって。アーバスノット家の人間じゃないって言われたんです」
「まぁ、そうね。それだけは真実だわ。クララはあそこの人間ではないわね。それにしてもなんて腹立たしい話なのかしら! ヘンリー、早速このクララを貴族学園に通わせなければいけないわ。クララは私の養女になりなさい。私はサマセット侯爵未亡人ですよ。夫は亡くなって子供もいないのよ。跡継ぎはヘンリーが結婚してできた子供に継がそうとしていたの。だから、クララが養女になってもなにも問題ないわ」
「え? すごく話が早すぎやしませんか? 私という人間を知らないのに大丈夫ですか? さっきお会いしたばかりで養女?」
「うふふ。人間には理解できないかもね。私達獣人は番とは離れられないし、それは親戚一同が応援するおめでたい縁なのよ。番を見つけられて一緒になれば絶対に幸せになるし、とてもその一族が繁栄するの。だから、会ったばかりでも私はクララに絶大な信頼感があるのよ」
「はぁ・・・・・・そんなものなんですね・・・・・・人間とはちょっと違うんだ」
「そうね。人間より純粋でひたむきで真面目なのが獣人。獣人を馬鹿にする人間もいるけれど、それは多分劣等感だと思うわ。獣人は人間より能力が高い者が多いから」
私はサマセット侯爵家の養女にあっという間になって、貴族学園に通うことになったのだった。
ꕤ୭*アメリ視点
クララが実の妹じゃないって知ったのは貴族学園に通い始めた頃だった。それまでは実の妹と思い、かわいがっていたけれどクラスメートから言われた言葉は衝撃的だった。
「できそこないの弟の方の娘のわりには勉強ができるのね?」
「それはどういう意味かしら?」
「どういう意味もそのままの意味よ? アメリ様のお父様は、お兄様がうけるはずだった爵位を受け取り名声を自分のものにしたでしょう? あなたのお父様は、お兄様のお手伝い程度のことしかしていなかったって噂で聞いたわよ!」
「そんなことは嘘よ! お父様は立派な発明家だわ。私とクララはお父様を尊敬しているんだから」
「あぁ、そのクララ様こそ多分天才よ? 楽しみだって学園の先生達もおっしゃっているみたいよ? 天才の娘はあなたじゃなくてクララ様だもの」
私はそんなデマを聞かされて屋敷に不安な気持ちで帰った。
「お父様。お母様! クララが天才の娘ってどういうことなの?」
今までは両親が引き合わせてくれた友人とだけしか付き合ってこなかった私は、貴族学園に行き他人から初めて自分の家の内情を聞かされたのだ。
「あぁ、聞いてしまったのね。つまりはそういうことよ」
淡々と言ってのけるお母様は、クララは妹ではなく天才はお父様のお兄様だったと言った。
「クララには知らせていないのよ。だって、クララの後見人になってあの子の遺産を全て使ってしまったのだもの。本当のことなんて言えるはずがないじゃない?」
「な、なにに使ったのよ? お母様!」
「それはアメリの教育費とかドレス、宝石、いろいろよ。いろいろ! 生活するってお金がかかるんだもの。だから、アメリが上級学園に行くお金も厳しいわ。でも解決策はあるの。それはね・・・・・・」
「わかったわ。クララを貴族学園には行かせないようにするわ。あの子はお人好しでおバカさんだからきっと大丈夫。ふっ、私の為に犠牲にならせてあげる。一生、下女と変わらない身分で生きていけばいいのよ! なにが天才の娘よ! 私こそが天才なのに」
そして、私はクララを追い出すことに成功した。バカな子だ。やがて私はハワード伯爵家の嫡男に見初められた。上級学園に行きたかったのはこれが目当て。
上級学園に通う男性は高位貴族や大金持ちしかいない。ここで出会いを求めて玉の輿に乗るのが目標だった。アーバスノット家は一代限りの男爵家だもの。貴族の嫡男に嫁ぐ使命が私にはある。
結婚式の前のお披露目パーティのこの日、私は素晴らしいドレスに身を包みハワード伯爵家の大広間にいた。ハワード伯爵家は豹獣人のエジャートン侯爵家やサマセット侯爵家の親戚筋にあたる。
もちろん家格はあちらの方がずっと上だ。今すごく私が緊張しているのは、これからエジャートン侯爵嫡男とサマセット侯爵令嬢がいらっしゃることだ。このお二人は婚約者同士だという。
「失礼のないようにしてくれたまえ。ハワード伯爵家の事業はエジャートン侯爵家とサマセット侯爵家に保護されて事業運営をしている業種が多い。まさに主筋というか本家的な立場の方々だよ。絶対に逆らわないで」
「はい、任せてちょうだい。私、絶対その方達に気に入られるように努力するわ」
微笑みながら言った私の言葉がたちまち凍り付いたのは、サマセット侯爵令嬢として紹介された令嬢がよく見知った女だったからだ。
「・・・・・・クララ?」
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