(完)私はもう貴方の知っている妻ではありません

青空一夏

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7 ダニエルの末路

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ダニエルは賭け事が大好きだった。幼い頃はおやつを賭けてのかけっこから始まり、成長するにつれて金を賭けて仲間とカード遊びに興じた。大人になるとカジノや競馬に入り浸り、金があればあるだけつぎ込んでしまうがやめられない。

大損すればしばらくは『もう二度とやるもんか!』と思うのだが、少しでも金が入るとまたカジノに足が向く。
「この金を二倍にすればいいんだものな」そう言いながら賭けていくが、二倍になどなったことはたった一度しかないのである。その成功のイメージが頭に焼き付いて離れない。
そうして気がつけば、お金は底をつき借金だらけで首もまわらない。エンドレスなのだ。

今回はアーサ-のおかげで文官にせっかくなれたのに公の金を横領してしまった。炭鉱に行くのかと思いきや連れてこられた先は特別戒律が厳しい修道院だった。

「やぁ、ダニエル。君の父親と兄は、私の両親を事故に装い殺したらしい。ブラック侯爵は私の父上への妬みだけで犯行に及んだと聞いた。私は君の父親と兄を殺すだろう。君の弟も今は地獄をあじわっているよ。だが、君だけは立ち直って皆の冥福を祈ってほしい。殺そうとする私が言うのもおかしな話だけどね。君の妹には手を出さないし君にはここで立ち直ってほしい。これはルミネの望みだ」
アーサ-がにこやかにそう言うとそのまま立ち去って行く。

(おかしな話だ。俺が憎いはずなのにこんなところに入れやがって……改心なんか簡単にできるわけがないだろう?)

朝は早くから起きて祈りを捧げ、修道院の掃除や薬草園と農園の手入れ、牛馬の世話に明け暮れて一日が終わる。食事は粗末だがパンにミルク、自給自足の野菜で健康的だ。最初はギャンブルがしたくてたまらなくなったが、半年も経つと諦めがついてただぼんやりと日々を過ごした。


1年後のある日、騎士団の人間が数名やってきてダニエルに面会を申し入れて兄の死を告げた。
「ダニエル、アルビーが死んだぞ。第1級殺人罪で八つ裂きの刑になった。」

「八つ裂き……そんな……」

「死体は魔物のいる辺境地の森に捨てられ墓はない。罪人の末路って惨めだな。次はブラック侯爵で釜ゆでか火あぶりになりそうだ。カンザス公爵家を陥れた奴は皆殺しになるよ。アーサー様からの伝言だ」

『気合いをいれて祈り続けろ! 心を入れ替えて神に許しを請え! でなければいずれお前の番になる。』

その言葉にダニエルは身震いすると、翌朝からは必死で祈り働いた。アーサーは間違いなくやってくる。だから、ダニエルは寝る暇も惜しんで祈らなければならない。


「来るよ、来る……今度こそ俺の番だよ。助けてくれ……助けて……」
ダニエルは生涯、アーサーの影に怯えて暮らすことになった。ダニエルは自分自身が作る闇の囚人に自らなっていったのである。



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