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14-4 お帰り、セオ叔父ちゃん!
セオ主演の「愚かな男」の舞台が大ヒットし連日公演が催されると他国の貴族たちもその舞台を見に足を運ぶようになった。
「すばらしい演技だったね! まさに愚かな男と言う感じがにじみ出ていたよね」
「ほんとだよなぁー。あの俳優は憎まれ役をやると最高なんだよ! 金にだらしない男とか、女にだらしない男とか、ダメ男の役でセオに並べるものはいないな」
そんな周りの観客の評価の言葉にクスリと笑う若者がいた。歳の頃は10代の終わりあたり、美しい顔立ちにほどよく鍛えられた体つき、漂う雰囲気は高位貴族か王族に違いない。
セオの控え室にやってきた男は、
「セオさん、久しぶりだね」
そのように気さくに声をかけてきたのである。
驚いたセオを見返すその若者にセオは全く誰だかわからない。
「失礼ですが、どなたですか? 」
「このところのあなたの活躍にみんな喜んでいる。父上とグレイソン叔父上が会いたがっているよ。立ち直って頑張っている弟を励ましたいんだろうな。この私もあなたが良い方向に才能を発揮して活躍しているのには尊敬しているよ。愚か者と言うこの劇は実にすばらしいね。あなたにぴったりな役だな」
この褒めているのか、けなしているのかわからないような言葉を投げかけた若者はラーニーだった。
「お褒めに預かり光栄ですよ。それで、この国には何をしにいらっしゃったんですか?」
「実はね、ポワゾン家で大きなパーティがあるんだ。そこに招待したい」
「私は貴族籍を追放された男ですよ。ポワゾン家とはもう何も関係がない。出席できるわけがないじゃないですか」
「ちょっとした喜劇の和やかな舞台をそのパーティーの席で披露してほしいのです。これは父上とグレイソン叔父上の望みだよ」
セオに一方的にそう告げてさっさと去っていくラーニーだった。
当日のセオは舞台俳優仲間の数人と、ポワゾン家の大広間に設置された舞台で短い劇を披露する。大勢の招待客の中にはズラリと高位貴族達が並び、各国の王族らしき方々までいた。
「今日はラーニーの婚約パーティーなんだよ。もう少しこの場にいて叔父としてラーニーを祝福してくれ」
セオは劇を終えて帰ろうとするが、兄のジャクソンに引き止められる。
「最近のお前はよく頑張ってるよ。見直したぞ」
とグレイソンまでが引き止めたのである。
2人の兄たちの懐かしい顔を間近で見てセオは思わず涙がこぼれた。
「いつも、お前の活躍を見守ってるぞ」
そんな2人の優しい言葉が1番嬉しかった。
だがラーニーと幸せそうに微笑むその婚約者、そしてイレーヌとジャクソンの子供たちを見るにつけ、ここは自分がいて良い場所ではないと悟る。この場の去り際を敏感に感じ取ったセオは爽やかな笑顔を浮かべた。
「さて、とても素敵なご招待をありがとうございました。そろそろ私も帰るタイミングだと思います。兄上たちがどんなに許しても、ここにはいないほうがよさそうです」
セオは華やかで喜びに満ちたポワゾン家を後にして、少し肌寒い外に歩き出した。
「ちょっと待って! まだ帰らないでちょうだい。 セオはもうポワゾン家には関わらないつもりだろうけれどそうはいかないわよ。私の三番目の息子が舞台俳優になりたいと言うのよ。あなたと是非話をしたいとうずうずしているわ。さぁ、戻って」
セオが振り返った先にはイレーヌがニコニコと立っていた。
「だって………私は………」
「いいから、こっちに来てちょうだい。あなたは私の息子たちにいろいろと教えられることがあると思うわ。ふふふふ。昔素行が悪かったけれど改心した親戚の叔父さんは、一家に一人はいてもいいと思うの。今が立派な俳優ならば別に遠慮することないわよ」
5人の子供を産んだイレーヌはすっかり押しが強くなったようだ。
セオは言われるがままにパーティー会場に戻りラーニーに声をかけられた。
「やぁ、おかえり! セオ叔父ちゃん! 」
セオは無言でうなづいて、目元をそっと拭いた。
「すばらしい演技だったね! まさに愚かな男と言う感じがにじみ出ていたよね」
「ほんとだよなぁー。あの俳優は憎まれ役をやると最高なんだよ! 金にだらしない男とか、女にだらしない男とか、ダメ男の役でセオに並べるものはいないな」
そんな周りの観客の評価の言葉にクスリと笑う若者がいた。歳の頃は10代の終わりあたり、美しい顔立ちにほどよく鍛えられた体つき、漂う雰囲気は高位貴族か王族に違いない。
セオの控え室にやってきた男は、
「セオさん、久しぶりだね」
そのように気さくに声をかけてきたのである。
驚いたセオを見返すその若者にセオは全く誰だかわからない。
「失礼ですが、どなたですか? 」
「このところのあなたの活躍にみんな喜んでいる。父上とグレイソン叔父上が会いたがっているよ。立ち直って頑張っている弟を励ましたいんだろうな。この私もあなたが良い方向に才能を発揮して活躍しているのには尊敬しているよ。愚か者と言うこの劇は実にすばらしいね。あなたにぴったりな役だな」
この褒めているのか、けなしているのかわからないような言葉を投げかけた若者はラーニーだった。
「お褒めに預かり光栄ですよ。それで、この国には何をしにいらっしゃったんですか?」
「実はね、ポワゾン家で大きなパーティがあるんだ。そこに招待したい」
「私は貴族籍を追放された男ですよ。ポワゾン家とはもう何も関係がない。出席できるわけがないじゃないですか」
「ちょっとした喜劇の和やかな舞台をそのパーティーの席で披露してほしいのです。これは父上とグレイソン叔父上の望みだよ」
セオに一方的にそう告げてさっさと去っていくラーニーだった。
当日のセオは舞台俳優仲間の数人と、ポワゾン家の大広間に設置された舞台で短い劇を披露する。大勢の招待客の中にはズラリと高位貴族達が並び、各国の王族らしき方々までいた。
「今日はラーニーの婚約パーティーなんだよ。もう少しこの場にいて叔父としてラーニーを祝福してくれ」
セオは劇を終えて帰ろうとするが、兄のジャクソンに引き止められる。
「最近のお前はよく頑張ってるよ。見直したぞ」
とグレイソンまでが引き止めたのである。
2人の兄たちの懐かしい顔を間近で見てセオは思わず涙がこぼれた。
「いつも、お前の活躍を見守ってるぞ」
そんな2人の優しい言葉が1番嬉しかった。
だがラーニーと幸せそうに微笑むその婚約者、そしてイレーヌとジャクソンの子供たちを見るにつけ、ここは自分がいて良い場所ではないと悟る。この場の去り際を敏感に感じ取ったセオは爽やかな笑顔を浮かべた。
「さて、とても素敵なご招待をありがとうございました。そろそろ私も帰るタイミングだと思います。兄上たちがどんなに許しても、ここにはいないほうがよさそうです」
セオは華やかで喜びに満ちたポワゾン家を後にして、少し肌寒い外に歩き出した。
「ちょっと待って! まだ帰らないでちょうだい。 セオはもうポワゾン家には関わらないつもりだろうけれどそうはいかないわよ。私の三番目の息子が舞台俳優になりたいと言うのよ。あなたと是非話をしたいとうずうずしているわ。さぁ、戻って」
セオが振り返った先にはイレーヌがニコニコと立っていた。
「だって………私は………」
「いいから、こっちに来てちょうだい。あなたは私の息子たちにいろいろと教えられることがあると思うわ。ふふふふ。昔素行が悪かったけれど改心した親戚の叔父さんは、一家に一人はいてもいいと思うの。今が立派な俳優ならば別に遠慮することないわよ」
5人の子供を産んだイレーヌはすっかり押しが強くなったようだ。
セオは言われるがままにパーティー会場に戻りラーニーに声をかけられた。
「やぁ、おかえり! セオ叔父ちゃん! 」
セオは無言でうなづいて、目元をそっと拭いた。
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