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「泣いている場合じゃない。君を金のなる木としか思っていない男にいつまで振り回されているつもりなのですか。ご自分がなにもので、実際は誰が主導権を握っているかを考えなさい。ペシオ公爵夫妻はソレンヌ嬢を不幸にさせる為に愛を注いで育ててきたわけじゃないのですよ」
お金のなる木なの? 私って・・・・・・
「ランディ様は幼い頃に庇ってくださって、本当はとても優しい方なのです」
「わたしにはソレンヌ嬢の未来が見えます。このままあいつといたら、金を湯水のように使われ浮気はされ放題。ペシオ公爵家は落ちぶれ大借金を背負いソレンヌ嬢は破滅する。正妃殿下はお喜びになるでしょう」
「なぜ正妃殿下が出てくるのですか? 私はあの方に憎まれているのですか?」
「正妃殿下の実家はブラッカー公爵家です。強力なライバル公爵家であるペシオ公爵家の没落は歓迎すべきことでしょう。王家がソレンヌ嬢とランディ殿下の婚約を喜んだのは、財政が傾いた時にもペシオ公爵家に金をたかれるからという一面もあると思いますよ。ランディ殿下は疫病神なのですよ。いい加減目を覚ませ!」
ぞっとする未来を予言するモンタナ様は意地悪だわ。良い方だと思っていたのに・・・・・・酷い。モンタナ様はポケットからなにかを取りだしてそれをランディ様の方にかざした。
「それはなんですか?」
「父上から借りた魔法のような機械です。隣国で開発された、まだ市場には出回っていないものです。これは今起こっている出来事を記録することができる。ランディ殿下とエリーズ嬢の情事を保存しておきましょう。これはわたしが持っておきます。必要な時には差し上げますよ」
抱き合って怪しげな動きをしている二人にモンタナ様はそれを向ける。私は目の前の光景をぼんやりと見ているだけだ。
「録画しましたよ。さあ、堂々と文句を言って来なさい。わたしはここにいます。なにかあったら出ていってソレンヌ嬢を助けます」
モンタナ様にそう言われても私はまだ迷っている。
でも、二人のこの会話が私の頭をガツンと殴った。まるで大きな石が頭に落ちてきたみたいなの。
「ねぇ、学園の屋上でこんなことをして、ソレンヌ様にバレたらどうしよう。でもきっとあの方は文句も言わなさそうですね。ランディ殿下に夢中だって噂ですし・・・・・・ふふふ」
「バレても構わないよ。真面目すぎてつまらない女さ。たいした女でもないくせにもったいぶって、キスもさせてくれない。浮気されたくなかったら身体を差し出せって言ってやるよ」
「まぁ、キスもしていなのですか? 本当にもったいぶった嫌な女ですねぇ」
「だろう? だが、ソレンヌ相手に欲情できるかは疑問だけれどね。元デブも含めてデブは苦手なのだよ。今でこそ細いけれど、幼い頃のソレンヌときたらまるで子豚だった。母上に言われてしぶしぶ声をかけたけのは、ソレンヌが金の卵を産む雌鶏だからだ」
大きな石となったそれらの言葉は、私の心をすっと冷ます。涙は乾きさっきまでの切ない思いは見事に怒りに変わっていったわ。
(私の幼い頃の恋心は返せ! ずっと大事に思ってきたこの恋は、偽りの優しさから生まれた勘違いだったのだわ)
「何をなさっているのです?」
私はランディ様達に声をかけた。
「え? ソレンヌ? なんでここにいる? いつからいたんだい?」
「30分程前からですわ。そのお弁当は私が一生懸命作ったものですよ? なぜ食べてくださらないのですか? 広げたままで放置して食材が可哀想です」
「え? そっちに怒っているのかい? やっぱりソレンヌは最高だよ、あっははは。これはもうひからびてしまったから、食べられないよ。こんなものは、第2王子のわたしが食べるべきものじゃない。明日は魚を入れてくれよ。肉ばかり続きすぎるし、味付けはまだ濃いと思う。食べてないけどね」
「いいえ、そのひからびたお弁当は、第2王子のランディ様が食べるべきものですわ。あなたはペシオ公爵家で養われているお立場です。さぁ、食べなさい!」
「なにぉお? わたしは第2王子だぞ。無礼であろう」
私の中に流れる血は紛れもなく王家の血だ。私の祖父は王弟だし曾祖母は隣国の第1王女だった。
私は自然と片方の眉をつり上げた。これは祖父の癖だった。曾祖母に似た琥珀色の瞳はランディ殿下をきっと睨みつける。
「無礼ですって?・・・・・・」
私のなかの高貴な血が騒ぎこの男を叩きのめせ、と叫んでいるようだった。私がこの男から卒業した瞬間だった。
お金のなる木なの? 私って・・・・・・
「ランディ様は幼い頃に庇ってくださって、本当はとても優しい方なのです」
「わたしにはソレンヌ嬢の未来が見えます。このままあいつといたら、金を湯水のように使われ浮気はされ放題。ペシオ公爵家は落ちぶれ大借金を背負いソレンヌ嬢は破滅する。正妃殿下はお喜びになるでしょう」
「なぜ正妃殿下が出てくるのですか? 私はあの方に憎まれているのですか?」
「正妃殿下の実家はブラッカー公爵家です。強力なライバル公爵家であるペシオ公爵家の没落は歓迎すべきことでしょう。王家がソレンヌ嬢とランディ殿下の婚約を喜んだのは、財政が傾いた時にもペシオ公爵家に金をたかれるからという一面もあると思いますよ。ランディ殿下は疫病神なのですよ。いい加減目を覚ませ!」
ぞっとする未来を予言するモンタナ様は意地悪だわ。良い方だと思っていたのに・・・・・・酷い。モンタナ様はポケットからなにかを取りだしてそれをランディ様の方にかざした。
「それはなんですか?」
「父上から借りた魔法のような機械です。隣国で開発された、まだ市場には出回っていないものです。これは今起こっている出来事を記録することができる。ランディ殿下とエリーズ嬢の情事を保存しておきましょう。これはわたしが持っておきます。必要な時には差し上げますよ」
抱き合って怪しげな動きをしている二人にモンタナ様はそれを向ける。私は目の前の光景をぼんやりと見ているだけだ。
「録画しましたよ。さあ、堂々と文句を言って来なさい。わたしはここにいます。なにかあったら出ていってソレンヌ嬢を助けます」
モンタナ様にそう言われても私はまだ迷っている。
でも、二人のこの会話が私の頭をガツンと殴った。まるで大きな石が頭に落ちてきたみたいなの。
「ねぇ、学園の屋上でこんなことをして、ソレンヌ様にバレたらどうしよう。でもきっとあの方は文句も言わなさそうですね。ランディ殿下に夢中だって噂ですし・・・・・・ふふふ」
「バレても構わないよ。真面目すぎてつまらない女さ。たいした女でもないくせにもったいぶって、キスもさせてくれない。浮気されたくなかったら身体を差し出せって言ってやるよ」
「まぁ、キスもしていなのですか? 本当にもったいぶった嫌な女ですねぇ」
「だろう? だが、ソレンヌ相手に欲情できるかは疑問だけれどね。元デブも含めてデブは苦手なのだよ。今でこそ細いけれど、幼い頃のソレンヌときたらまるで子豚だった。母上に言われてしぶしぶ声をかけたけのは、ソレンヌが金の卵を産む雌鶏だからだ」
大きな石となったそれらの言葉は、私の心をすっと冷ます。涙は乾きさっきまでの切ない思いは見事に怒りに変わっていったわ。
(私の幼い頃の恋心は返せ! ずっと大事に思ってきたこの恋は、偽りの優しさから生まれた勘違いだったのだわ)
「何をなさっているのです?」
私はランディ様達に声をかけた。
「え? ソレンヌ? なんでここにいる? いつからいたんだい?」
「30分程前からですわ。そのお弁当は私が一生懸命作ったものですよ? なぜ食べてくださらないのですか? 広げたままで放置して食材が可哀想です」
「え? そっちに怒っているのかい? やっぱりソレンヌは最高だよ、あっははは。これはもうひからびてしまったから、食べられないよ。こんなものは、第2王子のわたしが食べるべきものじゃない。明日は魚を入れてくれよ。肉ばかり続きすぎるし、味付けはまだ濃いと思う。食べてないけどね」
「いいえ、そのひからびたお弁当は、第2王子のランディ様が食べるべきものですわ。あなたはペシオ公爵家で養われているお立場です。さぁ、食べなさい!」
「なにぉお? わたしは第2王子だぞ。無礼であろう」
私の中に流れる血は紛れもなく王家の血だ。私の祖父は王弟だし曾祖母は隣国の第1王女だった。
私は自然と片方の眉をつり上げた。これは祖父の癖だった。曾祖母に似た琥珀色の瞳はランディ殿下をきっと睨みつける。
「無礼ですって?・・・・・・」
私のなかの高貴な血が騒ぎこの男を叩きのめせ、と叫んでいるようだった。私がこの男から卒業した瞬間だった。
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