(完結)私が貴方から卒業する時

青空一夏

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そして、私はいま一度考えたわ。モンタナ様のお陰で浮気の証拠はこちらにある。つまり、ランディ様にはいつでも婚約破棄できるわけだ。
でも、それは今かしら? それとも、もっと先にする? ・・・・・・もちろん・・・・・・先よね?

(身の程知らずにはお仕置きが必要だもの)

「私が作ったお料理を残してはいけませんわ。これは私の真心が入った特別なお弁当です。これを食べずに捨てるということは、それを作ったのと同義ですわ。ペシオ公爵家の保護下から離れるおつもりですか?」
私は少しだけ悲しそうにうつむいた。もちろん悲しさなんてもう全く感じないけれどね。

「いや、そんなつもりはない。わたしはソレンヌと別れるつもりは少しもないのだ」

(そうでしょうね? 私は金の卵を産む雌鶏ですものね)

「まぁ、だったらどうぞ召し上がれ。そちらのエリーズ様もお残しは許しませんよ。ペシオ公爵家の誠意を踏みにじるのですか? 私は一人娘ですから次期ペシオ女公爵です。私の気持ちを踏みにじると言うことは、ペシオ公爵家とその派閥の全ての貴族を敵に回すということですよ?」

二人とも涙ながらに黙々と、放置されてすっかり干からびた私のお弁当を食べている。今までなにを遠慮していたのだろう? ペシオ公爵家の威光を振りかざすのが嫌だった私はもういない。

自分の血筋の尊さを封じ思い出さないようにしていたのは、ランディ様のお気の毒な立場に同情したからだ。決して自分が上であるような物言いをしないように気をつけていたわ。でも、もうこんな男に気を遣う必要はない。

どちらが従わなければならない立場なのか、身をもって教えてあげよう。





私は屋敷に戻ると早速、使用人達とコックを集める。
「アルバ王国のお料理をランディ様に召し上がっていただきたいのです。庭園の一画でアレを育てるようにしてもらえないかしら?」

使用人達はにっこりと頷いた。ランディ様の私への扱い方に日頃から疑問を持っていた使用人達は嬉々としてアレを集める。

「ほぉ、ランディ殿下にアレを食べさせるのかい? なかなか面白いことを考えたな?」
 お父様はにこにこと笑った。久しぶりに見るお父様の満面の笑顔だわ。

「まぁ、ビアトリクス様お祖母様の祖国のお料理を作らせるのね。アレはなかなか美味しいですからねぇ。こちらでは滅多に食べないけれど」
クスクスお笑いになったお母様に私も微笑んだ。

 私の両親はもう私の気持ちをくみ取ってくださっているわ。だってアレをランディ様に食べさせるということは、私がランディ様を捨てるということだから。









「さぁ、今日のお弁当ですわ。これからは皆で中庭でいただきましょう」
翌日の昼休みに二人を中庭に呼んだ私は、ペシオ公爵家派閥の生徒達に周りを取り囲ませた。モンタナ様も加わったのでドロレ公爵家の傘下の貴族達もそこにはいる。

「ひゃぁーー!!」
ランディ様がお弁当を開けて叫び声をあげた。

「ぎゃぁーー!!」
エリーズ様もだ。

「どうかなさいまして? 早く召し上がれ?」
 
「こんな物は人間の食べる物ではない。私にこのようなゲテモノを食べさせるつもりなのか?」

「まぁ、酷い。ソレンヌ様の曾祖母様は大国アルバ王国の第1王女殿下でしたのよ? アルバ王国では普通に食べられておりますのに」
 ペシオ公爵家の派閥令嬢が良い感じに発言。

「アルバ王国の文化を今、貶しましたわよね? 大国に喧嘩を売るおつもりですか? 遙かに軍事力が上の国を悪くおっしゃるなんて王子としての自覚が足りませんわよね」
私によく思われたい貴族達は、私が望む言葉をランディ様に次々と言ってくれた。

「全てアルバ王国では当たり前に食べられているものですわ。お嫌なのですか? ひいお祖母様の祖国のお味を堪能していただきたくてわざわざ作らせたのですよ? ペシオ公爵家の使用人達の愛がたっぷりです。これを食べないのなら、悲しいですけれど価値観の違いでお別れですわね」
 と私。このような時は脅すよりは涙が効果的だと思う。

「いや、そんなつもりはない、本当だよ。済まなかった。食べるから」

「食べさせていただきます、とおっしゃってください。大国の王女であった私のひいお祖母様に敬意を表してくださいね。さぁ、私が食べさせてさしあげましょうね。はい、あーーん」

「こ、これはコオロギか?」

「えぇ、そうですわ。ザザムシとセミも料理しました。美味しそうでしょう? さぁ、召し上がれ」

ちなみにこの国では昆虫を食べる習慣など一切ない。
でも、ひいお祖母様の国では昆虫を炒めたり油で揚げて食べるのは普通なことだった。

「タガメもどうぞ。シロアリは生のままでデザートに食べてくださいね?」

「う、うげぇええーー」

「ランディ様にはアルバ王国の良さを味わっていただきたいのですわ。さぁ、遠慮なさらずお召し上がりくださいませ。そちらのエリーズ様も」

「げぇぇええーー。無理、無理です」

「あら嫌だ、遠慮なさらいで。まさかアルバ王国の食生活をバカにしています?」

「いや、それはない。アルバ王国をバカになどしていないよ」
コオロギとセミ、タガメも完食したランディ様に、デザートは生のシロアリだと言って無理矢理、口に入れてさしあげた。もちろん食べる時に羽はとってあげたわ。

必死で食べる様子がおかしい。ペシオ公爵家から捨てられたらまずいことになるのはわかっているようだ。それがわかっていたのなら、私を大事にすれば良かったのに。もう遅いわ。


学園卒業まで昆虫食を強要し、最後にモンタナ様の保持していた証拠を突きつけて婚約破棄した。慰謝料とこれまでの援助していたお金も利息をつけて請求した。






その結果、ランディ様は王族ではなくなり今は鉱山で肉体労働をしているみたい。平民のエリーズさんは私への慰謝料を払うために、人には言えない場所で働いているらしい。

そうして私はモンタナ様と結婚した。
「コオロギってエビのような味だね。美味しいよ」
彼はコオロギが気に入ったみたいなの。

私? 実はあまり昆虫は好きではないのはナイショよ。

「ソレンヌの為なら毒でない限りなんでも食べるよ。いや待てよ、毒でも食べるかもしれない」
コオロギをつまむモンタナ様は私を抱き上げておっしゃった。

私は笑いながらモンタナ様の頬にキスをした。

毒なんて食べさせないわ。だって大事な旦那様なのよ? コオロギも食べなくて良いのだけれど・・・・・・





私はランディ様から卒業した。今はとても愛してくれるモンタナ様がいて幸せだわ・・・・・・卒業できて本当に良かった!









おしまい
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感想 39

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みんなの感想(39件)

サボテン君
2022.10.29 サボテン君

作者様(。・ω・)ノ゙ コンチャ

お久しぶりです
(*/ω\*)キャー!!♡

最高のざまぁでした

ヒィーーー(ノ)ºДº(ヾ)ーーー!!!!!
昆虫苦手
鳥肌モノですね
さむいぼがぁあぁあ

スカッとスッキリ〜
日々のストレスも
スッキリしました
(笑)

完結お疲れ様ですっ
  + +
 +     +
   ∧_∧ /
+  ( n ´ ∀ ` n お疲れさま
  /  ノ \
 +(__)_)+


楽しめましたありがとうございますっっ
次の作品も楽しみでつ

    ∧∞∧ テク
   (・ω・〃) テク
   ⊂(  ⊃
    ○ーJ...
がぉがぉ
 
 
     シュタタタタ…
  ∧∞∧≡=-
 (-ω-〃)-=-
  ⊂、⊂ヽ≡=-
   ○ー、_)≡=-
がぉー

 
∧_∧∞∧
(*・ω・)ω<*)
/⌒ づ⊂⌒ヽ がぉ~♡
お邪魔しました
   ∧_∧
  (_ _ ) ペコリ
   ヽ ノ)
      」」

2022.10.31 青空一夏

感想ありがとうございます😆💕

アスキーアート駆使してくださって嬉しいです☺

    ∧_∧ テク
   (・ω・* ) テク
   ⊂(  ⊃
    ⊂ーJ...

  ∧_∧≡=-
 (ーωー* )-=-
  ⊂、⊂ヽ≡=-
   ⊂ー、_)≡=-
シュタタタタ…

∧_∧_∧
(๑・ω・)ω<๑)
/⌒ づ⊂⌒ヽ ぎゅ❤

解除
荷居人(にいと)

昆虫食に鍛えられたようですし、きつい労働環境でも食事に関しては誰よりも食材(虫)見つけて餓死する可能性はなさそうですね(笑)

食事代浮かせられる分、お金の返済も多くできそうではありませんか!w

2022.10.19 青空一夏

感想ありがとうございます♡♡♪
        _
   ● ●  / |
 _/(・ω・)/☆.|
!/ .} ̄ ̄ ̄   /
i\_}/ ̄|__/≡=
  ` ̄ ̄❤ ♡
      ♡
        ♡
          ♡
            ♡

(*´・ω・)´-ω-)ウン
確かにおっしゃる通りwww

その辺にいる虫を食べてればいいんだから
食事代浮きますよねꉂꉂ(ˊᗜˋ*)笑

解除
蘭丸
2022.10.18 蘭丸

完結🎉🎉🎉お疲れ様でした♬

性格悪い婚約者から卒業出来て
良かった👏👏👏

2022.10.18 青空一夏

♥Årїgätö♥(\∧
   ∧__(_○ ̄)
   /    ヽ_)
  士 0 o < 士♡♡感想謝謝♡
   乂゙___゙メ
♡━┳┳〇━〇┳┳┳┓
┗┳┫。*┃┳┃:)┃ ┫
 ┻┗┻┻┻┻┻┻┻♡
⌒⌒┏┳┳━┳┳┓*.゚%
\/┗┳┫ロ┃U(⌒⌒)
゚*:.。.┻┗━┻━*ヽ/。

うんうん(#^.^#)
めでたし、めでたし

解除

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