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2 エフレイン・アンバー候爵
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お母様と私の手紙を侍従に持たせてから、まだそれほど時間を経っていないはずですが、豪奢な馬車が3台も連なってヴァーノン侯爵家にやって来ました。
「バレリア! バレリアはどこだ?」
威厳のある声が聞こえて、お母様の目には涙が浮かんでいます。
「お兄様の声だわ……お兄様をここに呼んでちょうだい」
お母様は侍女におっしゃいましたが、私は駆け出して玄関までお迎えにあがります。
「伯父様、はじめまして! 姪のアーリアと申します。お母様のお部屋にご案内します」
私はアンバー侯爵様にしっかりとご挨拶をしました。お母様にそっくりのお顔立ちの伯父様は、私の顔を嬉しそうにみています。
「あぁ、すっかり立派なレディだな。今まで会いに来なくて申し訳なかった……バレリアの為に腕利きの医者を連れてきた」
伯父様は、お医者様を3人も連れていらっしゃいました。お母様のお部屋に案内するとお母様を抱きしめました。
「大丈夫だ。こんな病気など私が治してやる」
伯父様はそうおっしゃって、私とお母様を元気づけてくださいますが……診察が終わる頃には暗い表情になっておりました。やはり……時は遡っても奇跡はおこらないようです。
それでも、以前と同じ日にちに亡くなったお母様の顔は安らかでした。
☆彡★彡☆彡
ーーバレリア・ヴァーノン侯爵夫人の葬儀ーー
伯父様は泣きはらし、もっと早くに会いにくれば良かったと悲しんでおりました。
「お母様は幸せな顔をなさっていました。そんなにご自分を責めないでください」
私は伯父様を慰めますと、伯父様は私の頭をそっと撫でました。
お父様は伯父様にはペコペコしています。アンバー侯爵家は爵位が同じでも、豊かな資源に恵まれた領土は遙かに広く、ヴァーノン侯爵家より何倍もお金持ちだったようです。
「アーリア、なにか欲しいものがあれば伯父の私に言いなさい。妹の分もお前には幸せになってほしい」
その伯父様の言葉に、私は護身術を習いたいと即座に答えました。
「え? なんでだ? そんなものが、なぜ必要なのだ?」
「今は必要ないかもしれませんが……いずれ必要になるかもしれません」
「あぁ、今、市井で流行っている小説の主人公の影響だろう? なんでも、凄腕のヒロインだとか……あそこまで強くなるとお嫁のもらい手がなくなるから気をつけて」
伯父様はそうおっしゃって笑って納得してくださいました。そう言えば、そんな小説が流行っていたようです。早速、買って私の部屋に置いておきましょう。
護身術は毎日、先生のところに参りまして必死で頑張りました。だってあのカールに立ち向かえるようになれたら、前のような悲惨な目にあわなくって済みます。
お父様がそろそろ再婚する時期が近づいてきます。やはり、過去に起こる決まったことはおとずれるのでしょうか?
「アイシャよ。実は私には付き合っている女性がいてなぁ。お前にお母様と妹ができることを、喜んでくれるかな?」
あぁ、そっくり同じセリフです。あの時は『もちろんよ! お父様が幸せになるのなら、私も嬉しいです』と答えたけれど……今回は逆にしよう。
「お父様! お母様をもう忘れたのですか? それに、お父様をとられるようでとても悲しいです。私の大好きな大事なお父様が再婚なさるなんて反対です!」
私は、大泣きしてみました。するとお父様は困ったような顔をしながらも、瞳は嬉しそうに輝いていたのでした。
「バレリア! バレリアはどこだ?」
威厳のある声が聞こえて、お母様の目には涙が浮かんでいます。
「お兄様の声だわ……お兄様をここに呼んでちょうだい」
お母様は侍女におっしゃいましたが、私は駆け出して玄関までお迎えにあがります。
「伯父様、はじめまして! 姪のアーリアと申します。お母様のお部屋にご案内します」
私はアンバー侯爵様にしっかりとご挨拶をしました。お母様にそっくりのお顔立ちの伯父様は、私の顔を嬉しそうにみています。
「あぁ、すっかり立派なレディだな。今まで会いに来なくて申し訳なかった……バレリアの為に腕利きの医者を連れてきた」
伯父様は、お医者様を3人も連れていらっしゃいました。お母様のお部屋に案内するとお母様を抱きしめました。
「大丈夫だ。こんな病気など私が治してやる」
伯父様はそうおっしゃって、私とお母様を元気づけてくださいますが……診察が終わる頃には暗い表情になっておりました。やはり……時は遡っても奇跡はおこらないようです。
それでも、以前と同じ日にちに亡くなったお母様の顔は安らかでした。
☆彡★彡☆彡
ーーバレリア・ヴァーノン侯爵夫人の葬儀ーー
伯父様は泣きはらし、もっと早くに会いにくれば良かったと悲しんでおりました。
「お母様は幸せな顔をなさっていました。そんなにご自分を責めないでください」
私は伯父様を慰めますと、伯父様は私の頭をそっと撫でました。
お父様は伯父様にはペコペコしています。アンバー侯爵家は爵位が同じでも、豊かな資源に恵まれた領土は遙かに広く、ヴァーノン侯爵家より何倍もお金持ちだったようです。
「アーリア、なにか欲しいものがあれば伯父の私に言いなさい。妹の分もお前には幸せになってほしい」
その伯父様の言葉に、私は護身術を習いたいと即座に答えました。
「え? なんでだ? そんなものが、なぜ必要なのだ?」
「今は必要ないかもしれませんが……いずれ必要になるかもしれません」
「あぁ、今、市井で流行っている小説の主人公の影響だろう? なんでも、凄腕のヒロインだとか……あそこまで強くなるとお嫁のもらい手がなくなるから気をつけて」
伯父様はそうおっしゃって笑って納得してくださいました。そう言えば、そんな小説が流行っていたようです。早速、買って私の部屋に置いておきましょう。
護身術は毎日、先生のところに参りまして必死で頑張りました。だってあのカールに立ち向かえるようになれたら、前のような悲惨な目にあわなくって済みます。
お父様がそろそろ再婚する時期が近づいてきます。やはり、過去に起こる決まったことはおとずれるのでしょうか?
「アイシャよ。実は私には付き合っている女性がいてなぁ。お前にお母様と妹ができることを、喜んでくれるかな?」
あぁ、そっくり同じセリフです。あの時は『もちろんよ! お父様が幸せになるのなら、私も嬉しいです』と答えたけれど……今回は逆にしよう。
「お父様! お母様をもう忘れたのですか? それに、お父様をとられるようでとても悲しいです。私の大好きな大事なお父様が再婚なさるなんて反対です!」
私は、大泣きしてみました。するとお父様は困ったような顔をしながらも、瞳は嬉しそうに輝いていたのでした。
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