(完)義妹が全てを奪っていったーもう貴女には騙されない

青空一夏

文字の大きさ
4 / 11

4 エイシャを撃退(アーリア視点)

 私が以前とは違う行動をしても、起こること(イベント)は避けられないようです。お父様に再婚を反対しても、やはりエイシャが会いに来るという。

「エイシャは心の優しい女性で、アーリアのことを心配してくれている。週末に一人で遊びに来たいそうだ。仲良くしなさい。同じ年頃の娘がいる母親だから、アーリアを自分の娘以上に可愛がりたいとも言ってくれたよ」

 あぁ、これも以前と同じセリフ。だとすれば、エイシャはわざと階段から転げ落ちて、私のせいにするはずです。以前は私から突き飛ばされたとお父様に偽りを言い、私への不信感をお父様に根付かせたのだから。

 エイシャは巧妙な女なのです。自分でタイミングを見計らって階段から転げ落ちて、皆が駆けつけるとこうさけんだのだから。

「アーリア様を誰も責めてはいけません! お母様が亡くなったばかりで親しくなろうとした私が悪いのです。『私をお母様と思って甘えてちょうだい』などと言った私が悪いのです。私は突き飛ばされても大丈夫ですからっ!」

 その場に駆けつけたお父様も使用人も全てがその言葉を信じました。私はあまりのことに呆然として言葉はでません。お父様の私を見る目が変わったのは、あれがきっかけだったかもしれない。

 でも、今回は貴女には嵌められないわ。


☆彡★彡☆彡


「お父様、ちょっとピアノのお稽古に行ってきますわ」

 私はアンバー侯爵家に向かいます。伯父様が護身術の先生を呼んでくださっているのです。最初はお爺ちゃん先生の家まで習いに行っていたのですが、お父様には隠しておいたほうが良さそうなので伯父様に相談したのです。

「エフレイン伯父様、私が護身術を習っているのを誰にもバレないようにしたいのです。だって、恥ずかしいですもの。ピアノやバイオリンを習っていることにできませんか?」

「だったら、私の屋敷に来ればいい。護身術の先生もピアノの先生も、私が用意しよう。年齢も近く友人になれる身元の確かな若者がいいな。うん、うん。実にいい考えだ。私に任せておきなさい。両方習えば嘘をついたことにならないし、私の屋敷にアーリアが通い続けて長時間過ごしても、誰も不審がる者はいないだろう。長い間、会えなかった伯父と姪が仲良くおしゃべりを楽しんでいると思うさ」

「ありがとうございます! エフレイン伯父様」

 そんなわけで私はエフレイン伯父様の屋敷にいつも通うようになりました。


☆彡★彡☆彡
 

「上手に階段を落ちるにはどうしたらいいですか?」

 「なんだって? 全く君は面白い子だね?」

 護身術の先生はハッピー侯爵家の三男・アクセル様で、私より4歳上のとても大きな身体の男性です。背も高く身体も鍛えられた筋肉で覆われていまして、王家の騎士団の副団長様です。

「だって、いつ階段から落ちるかわからないですよね? 例えば人から引っ張られたり、突き飛ばされたりしたときはどうすればいいですか?」

「うーーん。まずは落ちないように心がけることと、突き飛ばすような人間とは親しくならないことだけれど……例えば、意地悪な女の子に突き飛ばされて落ちそうになったら、迷わずその子の手をつかんでクッション代わりに使うと良いよ」

「え? クッション代わりですか? そんなことができるんですか?」

「もちろんさ! コツはね……」

 私はその練習を何度も繰り返し、相手の身体を使って一緒に転げおちるワザを磨きました。

「あぁ、わかった! アーリアは、舞台女優を目指しているんだね? 最近は意地悪な女に突き飛ばされるヒロインの話が多いものね? うん、舞台だと上手に転ばないといけないものね」

 舞台女優なんて目指してはいないけれど……もちろん、そういうことにしておいた。本当のことなんて言えやしない……


☆彡★彡☆彡


 ピアノの先生は3歳上のガイ侯爵家の次男でエリオット様です。ピアノの天才で有名で、まるで魔術師のように指が華麗にピアノのうえで踊り、美しい曲を自由自在に弾くことができます。長い金髪に整った顔立ちは優美です。このような方が先生って、すごく贅沢すぎる……

「エフレイン伯父様、こんな凄すぎる方が教えてくださるなんて……緊張しちゃいます」

「ん? あぁ、大丈夫だよ。それで、どっちの男性が気に入った?」

「え? あのぅ、どちらもとても良い先生です……」

「ふむ……もう少し、集めるかなぁ……」

「?」

 

☆彡★彡☆彡



 とにかく私は階段から落ちる練習を何度もしたお陰で、無傷でエイシャを撃退できました。

 エイシャがニヤニヤしながら転げ落ちようとした時に、その手をつかみ彼女と一緒に落ちていった私は被害者です。

 お父様と侍女達が駆け寄って来た時には、私が下敷きになり庇ったように見えたでしょう。

「大丈夫でしたか? エイシャ様、私が庇って一緒に落ちてさしあげなければ大変なことになっておりましたわね?」

 私は涙を溜めてエイシャの身体を気遣うふりをしました。エイシャとイェーナのお陰で意地悪のテクニックはすっかり身についたようです。だって、いつもそれは私がされてきたことだから。

 これからも私はあの二人には嵌められないわ。きっちり因果応報を味わいなさい!
感想 71

あなたにおすすめの小説

妹に婚約者を奪われ、舞踏会で婚約破棄を言い渡された姉は、怒りに魔力を暴発させた。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

婚約破棄をされ、谷に落ちた女は聖獣の血を引く

基本二度寝
恋愛
「不憫に思って平民のお前を召し上げてやったのにな!」 王太子は女を突き飛ばした。 「その恩も忘れて、お前は何をした!」 突き飛ばされた女を、王太子の護衛の男が走り寄り支える。 その姿に王太子は更に苛立った。 「貴様との婚約は破棄する!私に魅了の力を使って城に召し上げさせたこと、私と婚約させたこと、貴様の好き勝手になどさせるか!」 「ソル…?」 「平民がっ馴れ馴れしく私の愛称を呼ぶなっ!」 王太子の怒声にはらはらと女は涙をこぼした。

そんなに聖女になりたいなら、譲ってあげますよ。私は疲れたので、やめさせてもらいます。

木山楽斗
恋愛
聖女であるシャルリナ・ラーファンは、その激務に嫌気が差していた。 朝早く起きて、日中必死に働いして、夜遅くに眠る。そんな大変な生活に、彼女は耐えられくなっていたのだ。 そんな彼女の元に、フェルムーナ・エルキアードという令嬢が訪ねて来た。彼女は、聖女になりたくて仕方ないらしい。 「そんなに聖女になりたいなら、譲ってあげると言っているんです」 「なっ……正気ですか?」 「正気ですよ」 最初は懐疑的だったフェルムーナを何とか説得して、シャルリナは無事に聖女をやめることができた。 こうして、自由の身になったシャルリナは、穏やかな生活を謳歌するのだった。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。 ※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。

異母妹に婚約者の王太子を奪われ追放されました。国の守護龍がついて来てくれました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 「モドイド公爵家令嬢シャロン、不敬罪に婚約を破棄し追放刑とする」王太子は冷酷非情に言い放った。モドイド公爵家長女のシャロンは、半妹ジェスナに陥れられた。いや、家族全員に裏切られた。シャロンは先妻ロージーの子供だったが、ロージーはモドイド公爵の愛人だったイザベルに毒殺されていた。本当ならシャロンも殺されている所だったが、王家を乗っ取る心算だったモドイド公爵の手駒、道具として生かされていた。王太子だった第一王子ウイケルの婚約者にジェスナが、第二王子のエドワドにはシャロンが婚約者に選ばれていた。ウイケル王太子が毒殺されなければ、モドイド公爵の思い通りになっていた。だがウイケル王太子が毒殺されてしまった。どうしても王妃に成りたかったジェスナは、身体を張ってエドワドを籠絡し、エドワドにシャロンとの婚約を破棄させ、自分を婚約者に選ばせた。

【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜

彩華(あやはな)
恋愛
 一つの密約を交わし聖女になったわたし。  わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。  王太子はわたしの大事な人をー。  わたしは、大事な人の側にいきます。  そして、この国不幸になる事を祈ります。  *わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。  *ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。 ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。

国王ごときが聖女に逆らうとは何様だ?

naturalsoft
恋愛
バーン王国は代々聖女の張る結界に守られて繁栄していた。しかし、当代の国王は聖女に支払う多額の報酬を減らせないかと、画策したことで国を滅亡へと招いてしまうのだった。 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ゆるふわ設定です。 連載の息抜きに書いたので、余り深く考えずにお読み下さい。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。