(完)義妹が全てを奪っていったーもう貴女には騙されない

青空一夏

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4 エイシャを撃退(アーリア視点)

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 私が以前とは違う行動をしても、起こること(イベント)は避けられないようです。お父様に再婚を反対しても、やはりエイシャが会いに来るという。

「エイシャは心の優しい女性で、アーリアのことを心配してくれている。週末に一人で遊びに来たいそうだ。仲良くしなさい。同じ年頃の娘がいる母親だから、アーリアを自分の娘以上に可愛がりたいとも言ってくれたよ」

 あぁ、これも以前と同じセリフ。だとすれば、エイシャはわざと階段から転げ落ちて、私のせいにするはずです。以前は私から突き飛ばされたとお父様に偽りを言い、私への不信感をお父様に根付かせたのだから。

 エイシャは巧妙な女なのです。自分でタイミングを見計らって階段から転げ落ちて、皆が駆けつけるとこうさけんだのだから。

「アーリア様を誰も責めてはいけません! お母様が亡くなったばかりで親しくなろうとした私が悪いのです。『私をお母様と思って甘えてちょうだい』などと言った私が悪いのです。私は突き飛ばされても大丈夫ですからっ!」

 その場に駆けつけたお父様も使用人も全てがその言葉を信じました。私はあまりのことに呆然として言葉はでません。お父様の私を見る目が変わったのは、あれがきっかけだったかもしれない。

 でも、今回は貴女には嵌められないわ。


☆彡★彡☆彡


「お父様、ちょっとピアノのお稽古に行ってきますわ」

 私はアンバー侯爵家に向かいます。伯父様が護身術の先生を呼んでくださっているのです。最初はお爺ちゃん先生の家まで習いに行っていたのですが、お父様には隠しておいたほうが良さそうなので伯父様に相談したのです。

「エフレイン伯父様、私が護身術を習っているのを誰にもバレないようにしたいのです。だって、恥ずかしいですもの。ピアノやバイオリンを習っていることにできませんか?」

「だったら、私の屋敷に来ればいい。護身術の先生もピアノの先生も、私が用意しよう。年齢も近く友人になれる身元の確かな若者がいいな。うん、うん。実にいい考えだ。私に任せておきなさい。両方習えば嘘をついたことにならないし、私の屋敷にアーリアが通い続けて長時間過ごしても、誰も不審がる者はいないだろう。長い間、会えなかった伯父と姪が仲良くおしゃべりを楽しんでいると思うさ」

「ありがとうございます! エフレイン伯父様」

 そんなわけで私はエフレイン伯父様の屋敷にいつも通うようになりました。


☆彡★彡☆彡
 

「上手に階段を落ちるにはどうしたらいいですか?」

 「なんだって? 全く君は面白い子だね?」

 護身術の先生はハッピー侯爵家の三男・アクセル様で、私より4歳上のとても大きな身体の男性です。背も高く身体も鍛えられた筋肉で覆われていまして、王家の騎士団の副団長様です。

「だって、いつ階段から落ちるかわからないですよね? 例えば人から引っ張られたり、突き飛ばされたりしたときはどうすればいいですか?」

「うーーん。まずは落ちないように心がけることと、突き飛ばすような人間とは親しくならないことだけれど……例えば、意地悪な女の子に突き飛ばされて落ちそうになったら、迷わずその子の手をつかんでクッション代わりに使うと良いよ」

「え? クッション代わりですか? そんなことができるんですか?」

「もちろんさ! コツはね……」

 私はその練習を何度も繰り返し、相手の身体を使って一緒に転げおちるワザを磨きました。

「あぁ、わかった! アーリアは、舞台女優を目指しているんだね? 最近は意地悪な女に突き飛ばされるヒロインの話が多いものね? うん、舞台だと上手に転ばないといけないものね」

 舞台女優なんて目指してはいないけれど……もちろん、そういうことにしておいた。本当のことなんて言えやしない……


☆彡★彡☆彡


 ピアノの先生は3歳上のガイ侯爵家の次男でエリオット様です。ピアノの天才で有名で、まるで魔術師のように指が華麗にピアノのうえで踊り、美しい曲を自由自在に弾くことができます。長い金髪に整った顔立ちは優美です。このような方が先生って、すごく贅沢すぎる……

「エフレイン伯父様、こんな凄すぎる方が教えてくださるなんて……緊張しちゃいます」

「ん? あぁ、大丈夫だよ。それで、どっちの男性が気に入った?」

「え? あのぅ、どちらもとても良い先生です……」

「ふむ……もう少し、集めるかなぁ……」

「?」

 

☆彡★彡☆彡



 とにかく私は階段から落ちる練習を何度もしたお陰で、無傷でエイシャを撃退できました。

 エイシャがニヤニヤしながら転げ落ちようとした時に、その手をつかみ彼女と一緒に落ちていった私は被害者です。

 お父様と侍女達が駆け寄って来た時には、私が下敷きになり庇ったように見えたでしょう。

「大丈夫でしたか? エイシャ様、私が庇って一緒に落ちてさしあげなければ大変なことになっておりましたわね?」

 私は涙を溜めてエイシャの身体を気遣うふりをしました。エイシャとイェーナのお陰で意地悪のテクニックはすっかり身についたようです。だって、いつもそれは私がされてきたことだから。

 これからも私はあの二人には嵌められないわ。きっちり因果応報を味わいなさい!
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