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10 最終話 この幸せは永遠に……+おまけ🌷(残酷が苦手な方は読まないでください)
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私は仲良しのフローラ達と一緒に音楽室に移動します。全学年の生徒が、がやがやとおしゃべりをしながら音楽室に着くと遮光性のカーテンが全部閉まっており電気もついていないのです。
音楽の先生が首を傾げながらも電気をつけると……床にカールに組み敷かれたイェーナの乱れた姿がありました。
「きゃぁーー! あっ、貴方達はなにをやっているのです! この神聖な学びの場でこのようなことをするなど……たっ、退学です! 学園長と保護者に報告します……離れなさい! いつまで抱き合っているのです! 不謹慎で大変おぞましい行為です」
「うわぁーー! こんなところで……なんて恥さらしなのぉ? びっくり!」
「あら、あの子は最近転校した子でしょう? 早速、カールと……こんな醜態が全校生徒に見られたらもうまともな家にはお嫁にいけないわねぇーー」
「気持ち悪いわね。学校で欲情するなんて……猿じゃあるまいし……」
「あっはははは! カールは、猿顔には違いない」
「あら、お猿は可愛いわよっ! あんな脳が足りないカールと一緒にしちゃだめよ」
全校生徒の軽蔑の眼差しと嘲りを一身に受けて、イェーナは青ざめてはいましたが目がトロンとして様子がどことなく変でした。
二人は退学処分になり、
『カールとイェーナは元から恋人同士で、あの日のイェーナは媚薬まで飲んでいた。どうやら、二人とも人に見られることが好きな性癖らしい』
と、このような噂が流れたのでした。
お父様はこの醜聞に烈火のごとく怒り、エイシャと別れることにしたらしいです。
イェーナは、結局……以前の私になったのです……カールと結婚するしかなくなり、かつての私と同じように殴られ蹴られても、誰にも助けてもらえない悲しい存在に……
☆彡★彡☆彡
「イェーナはウリ男爵家でいつも殴られている! 可哀想なあの子を嵌めたのはお前だろう? わかっているんだ!性悪めっ! この悪魔めっ! 私が懲らしめてやるぅうぅうーー」
そう言いながらヴァーノン侯爵家に乗り込んできたエイシャは、最近ではすっかり私の横にいるのが定番のアクセル様に弾き飛ばされ、牢屋に入っています。
侯爵令嬢に刃物を振り回す罪は普通の殺人未遂より重く、懲役15年という判決がでました。その後、いつのまにか終身刑に変わっていたのは不思議ですけれど……
☆彡★彡☆彡
お父様はすっかり反省し人が違ったようになりました。
「もう再婚はしない。女は怖い……人の良いエイシャはアーリアを殺そうとするし、素直で良い子だと思っていたイェーナは恥知らずのろくでなしだったし……庭園の花や木の手入れでも庭師と一緒にしていたほうがよほど心が和む」
そんなことを言いながら草むしりをし、花を植えるのを嬉しそうにしているのは不気味でしたが、5年後に心優しい花屋の女主人のマドナさんを後妻に迎えた時には皆が祝福しました。
マドナさんは化粧っ気のないそばかすが愛らしい、働き者の女性です。歳もお父様とおなじぐらいで、いつも麦わら帽子に簡素なワンピース姿でした。
「エイシャさんと真反対よね? よっぽど、厚化粧の着飾るタイプが嫌いになったようね?」
「うん、うん。でも、さっぱりした性格の働き者のマドナさんはいい人よ」
「そう、そう。エイシャさんよりずっといいわね! 夫婦でお花を植えたり庭の手入れをするって平和よねぇーー」
私の専属侍女はそう言いながら笑ったのでした。
☆彡★彡☆彡
私はアクセル様と結婚し、子供を3人授かりました。私はお父様の跡を継ぎヴァーノン女侯爵となり、私の長男のアイザアスはエフレイン伯父様の養子になりました。
私達家族はエフレイン伯父様と暮しています。そこに頻繁に遊びに来るお父様とマドナさん。子供に囲まれ朗らかな笑い声に包まれたこの家庭を私はずっと守っていきたいです!
やり直しの機会を与えてくれたことを神様に感謝します!
完
※後味よく読み終わりたい方は読まないでください。残酷注意!
🌷おまけ……イェーナ視点
カールに来る日も来る日も殴られて……遠のく意識で考えた……なにがいけなかったのかな……アーリアになろうとしただけなのに……
「ったく、使えねぇーー女だなぁーー! 売り払っちまうかなぁーー。どうせ、こいつ母親しかいないしそれも牢屋だって言うしなぁーー」
そんな言葉が聞こえてきて……私は逃げて……また連れ戻され殴られ……また逃げて連れ戻され殴られ……
アーリアがこうなれば良かったのに……悔しいぃーー! 悔しいぃーー!……そして……なにもかも無になった。もう痛さも悔しさも妬ましさも感じない。
私はやっと楽になった……
🌷おまけ🌷……エイシャ視点
侯爵夫人になりそこねた私はアーリアの殺人未遂で15年の懲役が決まった。ふん、出てきたら絶対仕返ししてやるわ!
でもなぜかその監獄には、私を挑発する女がたくさんいた。片っ端から私に嫌がらせをしてくるのでやり返していたら、私だけどんどん懲役の年数が伸びっていった。
ついに終身刑と言われて、その時になって気がついた。一緒にいた女達は必ず10日間ほどしかいなくて、少しづつ入れ代わっていた。すぐに私にケンカを仕掛けて私が罰を受ける前に姿を消す……誰かに嵌められたと思って間違いない……監獄にでも部下を送ってこれる大物に……
今の私は気が狂うことを望んでいる……一生出られない監獄で長い時間は絶えられない……正常でなんていられない……誰か助けて……
音楽の先生が首を傾げながらも電気をつけると……床にカールに組み敷かれたイェーナの乱れた姿がありました。
「きゃぁーー! あっ、貴方達はなにをやっているのです! この神聖な学びの場でこのようなことをするなど……たっ、退学です! 学園長と保護者に報告します……離れなさい! いつまで抱き合っているのです! 不謹慎で大変おぞましい行為です」
「うわぁーー! こんなところで……なんて恥さらしなのぉ? びっくり!」
「あら、あの子は最近転校した子でしょう? 早速、カールと……こんな醜態が全校生徒に見られたらもうまともな家にはお嫁にいけないわねぇーー」
「気持ち悪いわね。学校で欲情するなんて……猿じゃあるまいし……」
「あっはははは! カールは、猿顔には違いない」
「あら、お猿は可愛いわよっ! あんな脳が足りないカールと一緒にしちゃだめよ」
全校生徒の軽蔑の眼差しと嘲りを一身に受けて、イェーナは青ざめてはいましたが目がトロンとして様子がどことなく変でした。
二人は退学処分になり、
『カールとイェーナは元から恋人同士で、あの日のイェーナは媚薬まで飲んでいた。どうやら、二人とも人に見られることが好きな性癖らしい』
と、このような噂が流れたのでした。
お父様はこの醜聞に烈火のごとく怒り、エイシャと別れることにしたらしいです。
イェーナは、結局……以前の私になったのです……カールと結婚するしかなくなり、かつての私と同じように殴られ蹴られても、誰にも助けてもらえない悲しい存在に……
☆彡★彡☆彡
「イェーナはウリ男爵家でいつも殴られている! 可哀想なあの子を嵌めたのはお前だろう? わかっているんだ!性悪めっ! この悪魔めっ! 私が懲らしめてやるぅうぅうーー」
そう言いながらヴァーノン侯爵家に乗り込んできたエイシャは、最近ではすっかり私の横にいるのが定番のアクセル様に弾き飛ばされ、牢屋に入っています。
侯爵令嬢に刃物を振り回す罪は普通の殺人未遂より重く、懲役15年という判決がでました。その後、いつのまにか終身刑に変わっていたのは不思議ですけれど……
☆彡★彡☆彡
お父様はすっかり反省し人が違ったようになりました。
「もう再婚はしない。女は怖い……人の良いエイシャはアーリアを殺そうとするし、素直で良い子だと思っていたイェーナは恥知らずのろくでなしだったし……庭園の花や木の手入れでも庭師と一緒にしていたほうがよほど心が和む」
そんなことを言いながら草むしりをし、花を植えるのを嬉しそうにしているのは不気味でしたが、5年後に心優しい花屋の女主人のマドナさんを後妻に迎えた時には皆が祝福しました。
マドナさんは化粧っ気のないそばかすが愛らしい、働き者の女性です。歳もお父様とおなじぐらいで、いつも麦わら帽子に簡素なワンピース姿でした。
「エイシャさんと真反対よね? よっぽど、厚化粧の着飾るタイプが嫌いになったようね?」
「うん、うん。でも、さっぱりした性格の働き者のマドナさんはいい人よ」
「そう、そう。エイシャさんよりずっといいわね! 夫婦でお花を植えたり庭の手入れをするって平和よねぇーー」
私の専属侍女はそう言いながら笑ったのでした。
☆彡★彡☆彡
私はアクセル様と結婚し、子供を3人授かりました。私はお父様の跡を継ぎヴァーノン女侯爵となり、私の長男のアイザアスはエフレイン伯父様の養子になりました。
私達家族はエフレイン伯父様と暮しています。そこに頻繁に遊びに来るお父様とマドナさん。子供に囲まれ朗らかな笑い声に包まれたこの家庭を私はずっと守っていきたいです!
やり直しの機会を与えてくれたことを神様に感謝します!
完
※後味よく読み終わりたい方は読まないでください。残酷注意!
🌷おまけ……イェーナ視点
カールに来る日も来る日も殴られて……遠のく意識で考えた……なにがいけなかったのかな……アーリアになろうとしただけなのに……
「ったく、使えねぇーー女だなぁーー! 売り払っちまうかなぁーー。どうせ、こいつ母親しかいないしそれも牢屋だって言うしなぁーー」
そんな言葉が聞こえてきて……私は逃げて……また連れ戻され殴られ……また逃げて連れ戻され殴られ……
アーリアがこうなれば良かったのに……悔しいぃーー! 悔しいぃーー!……そして……なにもかも無になった。もう痛さも悔しさも妬ましさも感じない。
私はやっと楽になった……
🌷おまけ🌷……エイシャ視点
侯爵夫人になりそこねた私はアーリアの殺人未遂で15年の懲役が決まった。ふん、出てきたら絶対仕返ししてやるわ!
でもなぜかその監獄には、私を挑発する女がたくさんいた。片っ端から私に嫌がらせをしてくるのでやり返していたら、私だけどんどん懲役の年数が伸びっていった。
ついに終身刑と言われて、その時になって気がついた。一緒にいた女達は必ず10日間ほどしかいなくて、少しづつ入れ代わっていた。すぐに私にケンカを仕掛けて私が罰を受ける前に姿を消す……誰かに嵌められたと思って間違いない……監獄にでも部下を送ってこれる大物に……
今の私は気が狂うことを望んでいる……一生出られない監獄で長い時間は絶えられない……正常でなんていられない……誰か助けて……
応援ありがとうございます!
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