(完結)貴女が浮気相手だったのね?

青空一夏

文字の大きさ
6 / 9

5-2 テモーネの地獄(テモーネ視点) R15ざまぁ

※食事中は読まないでください。食欲をなくす表現があります。R15ざまぁです。テモーネは死にませんが職場がブラック・・・・・・

※人によってはR18に感じるかも。エッチ系ざまぁではありません。





 私はベルラッテ侯爵家を懲戒解雇された。解雇理由は『職務の遂行に必要な能力を著しく欠いている。主を主と思わず勤務態度不良で虚言癖が酷い』というデタラメだらけなものだった。

 どんな職場も再就職するにあたっては解雇事由が問題視される。面接でいかに取り繕っても、最後に前雇用主に問い合わせがいくのだ。この場合ならベルラッテ侯爵夫人だったカロリーヌに最終確認がいくことになる。

 どこにも就職先を見つけられなかった私は、実家のベント伯爵家を頼るしかない。ところがベント伯爵家の門には『売り出し物件』の札がかけられていた。

(どういうことなの? なんでこんなことに・・・・・・)

 この時思い出したのはパイヤ男爵夫人の言葉だった。多額の売掛金の一括返済を求められたに違いない。なんて卑怯な奴らなのだろう。

 もうお兄様を頼ることもできず、親戚のどこに行っても疫病神扱いされた。両親もすでに他界しているしどうしたらいいの?









 そして私が最後にたどり着いた先は特殊清掃商会だった。

 ある建物の一室、ドアを開ける前からなにやらおかしな匂いがする。
「ぐわっ、臭い! え? ウジ虫が湧いてる。し、死体?」
 先輩がドアを開けるといきなり目に飛び込んできた物体。最初はなにかわからなかった。先輩の話では、腐敗は胃や腸から始まるらしい。体内で発生したガスによって膨張し、やがてグズグズに溶解した骨と皮を破って体液がでてくる。

 死臭に呼び寄せられたハエが遺体に産卵したのだろう。大量のウジがわいており、ついその場で嘔吐する。

「その死体はこれから保安局の職員が来て運んでいくが、あたしらはこの部屋を掃除するのが仕事だよ」

「ここを掃除する?・・・・・・」

 無数のハエが顔をかすめて飛んでくる。 室内はかび臭く、淀んだ空気に不快な悪臭。

 屍肉を喰らったウジ虫やゴキブリ、ハサミムシが大量に床をはう。防護ゴーグルと防毒マスクをつけてはいるけれど、室内は目に見えない細菌だらけだと思う。作業終了後しばらくすると目が腫れて、喉も痛くなった。

 床に染みついた遺体の細菌などが作業中に傷口に入ってしまうと、深刻な感染症を引き起こすこともあるらしい。

 まさかこの私がこんな仕事をするようになるなんて・・・・・・ここは地獄だ。しかも劣悪な仕事だというのに、お給金は決して高くはない。日給にして8,000ダラ程度・・・・・・侍女長だった頃はその2倍は頂いていたのに・・・・・・








 私はパイヤ男爵家の門で今日も土下座をしている。
「帰ってくださいよ。邪魔ですし、このようなところに居座られては迷惑です」
 門番に追い払われるけれど、しつこくその場に座り込む。

(なんとしてもカロリーヌ様に許してもらいたい)

 外から戻る馬車のなかに、カロリーヌ様の姿を見つけ大声を張り上げた。

「お願いします。カロリーヌ様、ご慈悲を! 私が悪うございました。反省しております。ですから、あの解雇理由を取り消してくださいませ。あれでは劣悪な環境でしか働けません」

「どのような仕事でも社会には必要です。しっかりと働きなさい。きっと、その職場には見知った顔がどんどん増えていくでしょう。また以前の侍女やメイド達と仲良く働けますわよ。頑張ってね」
 にこやかな顔付きのカロリーヌ様だが、目は少しも笑ってはいなかった。

(私は決して怒らせてはいけない方を怒らせたんだ・・・・・・)




 やがて、かつてベルラッテ侯爵家で働いていた使用人達が次々と特殊清掃商会に雇われた。休憩時間に話す内容は昔の楽しかった職場ベルラッテ侯爵家のことだ。

「あぁ、ベルラッテ侯爵家にいた時は楽だった。カロリーヌ様はお優しかったしお給金も良かった。なにより安全で快適な職場だった」
 ベルラッテ侯爵家の元メイドが愚痴る。

「こうなったのは誰のせい?」
 元侍女が声をあげた。

「侍女長だったテモーネのせいよ」
 元侍女だった別の女が決めつける。

「確かに、テモーネが皆を煽動したんだわ」
 これも元侍女だった女。

 やがてそれは私への虐めに発展する。隠れて私の防護ゴーグルと防毒マスクに穴をあけるかつての部下達。今やすっかり敵にまわった。

 最近身体が重いし、全身が痒くてたまらない。きっとなにかの病気に感染したに違いない。

 でも・・・・・・病院に行くお金もないのよぉおおおーー。た、す、け、てぇーー。
感想 55

あなたにおすすめの小説

【完結】「元カノが忘れられないんでしょう?」と身を引いた瞬間、爽やか彼氏の執着スイッチが入りました

恋せよ恋
恋愛
「元カノが忘れられないなら、私が身を引くわくべきよね」 交際一周年、愛するザックに告げた決別の言葉。 でも、彼は悲しむどころか、見たこともない 暗い瞳で私を追い詰めた。 「僕を捨てる? 逃げられると思っているの、アン」 私の知る爽やかな王子の仮面が剥がれ落ち、 隠されていた狂おしいほどの独占欲が牙を剥く。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!

ジルの身の丈

ひづき
恋愛
ジルは貴族の屋敷で働く下女だ。 身の程、相応、身の丈といった言葉を常に考えている真面目なジル。 ある日同僚が旦那様と不倫して、奥様が突然死。 同僚が後妻に収まった途端、突然解雇され、ジルは途方に暮れた。 そこに現れたのは亡くなった奥様の弟君で─── ※悩んだ末取り敢えず恋愛カテゴリに入れましたが、恋愛色は薄めです。

〖完結〗その愛、お断りします。

藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚して一年、幸せな毎日を送っていた。それが、一瞬で消え去った…… 彼は突然愛人と子供を連れて来て、離れに住まわせると言った。愛する人に裏切られていたことを知り、胸が苦しくなる。 邪魔なのは、私だ。 そう思った私は離婚を決意し、邸を出て行こうとしたところを彼に見つかり部屋に閉じ込められてしまう。 「君を愛してる」と、何度も口にする彼。愛していれば、何をしても許されると思っているのだろうか。 冗談じゃない。私は、彼の思い通りになどならない! *設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。

見えるものしか見ないから

mios
恋愛
公爵家で行われた茶会で、一人のご令嬢が倒れた。彼女は、主催者の公爵家の一人娘から婚約者を奪った令嬢として有名だった。一つわかっていることは、彼女の死因。 第二王子ミカエルは、彼女の無念を晴そうとするが……

〖完結〗時戻りしたので、運命を変えることにします。

藍川みいな
恋愛
愛するグレッグ様と結婚して、幸せな日々を過ごしていた。 ある日、カフェでお茶をしていると、暴走した馬車が突っ込んで来た。とっさに彼を庇った私は、視力を失ってしまう。 目が見えなくなってしまった私の目の前で、彼は使用人とキスを交わしていた。その使用人は、私の親友だった。 気付かれていないと思った二人の行為はエスカレートしていき、私の前で、私のベッドで愛し合うようになっていった。 それでもいつか、彼は戻って来てくれると信じて生きて来たのに、親友に毒を盛られて死んでしまう。 ……と思ったら、なぜか事故に会う前に時が戻っていた。 絶対に同じ間違いはしない。 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全四話で完結になります。

踏み台(王女)にも事情はある

mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。 聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。 王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

婿入り条件はちゃんと確認してください。

もふっとしたクリームパン
恋愛
<あらすじ>ある高位貴族の婚約関係に問題が起きた。両家の話し合いの場で、貴族令嬢は選択を迫ることになり、貴族令息は愛と未来を天秤に懸けられ悩む。答えは出ないまま、時間だけが過ぎていく……そんな話です。*令嬢視点で始まります。*すっきりざまぁではないです。ざまぁになるかは相手の選択次第なのでそこまで話はいきません。その手前で終わります。*突発的に思いついたのを書いたので設定はふんわりです。*カクヨム様にも投稿しています。*本編二話+登場人物紹介+おまけ、で完結。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。