(完結)真実の愛っていいですね、どうぞお幸せに!

青空一夏

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13 再び王家へ? キースにほだされるアラナ 最終話

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 私は王太子妃ではなくなりルース家に戻ることができたけれど、毎日のようにいらっしゃるキース王太子に辟易していた。かれはスタンフォード王太子殿下の失脚とともに王太子になり、まもなく国王に就任する。

 スタンフォード元王太子殿下の私への暴言や裏切りを何度も謝罪してくださったけれど、弟の彼にはなんの責任もないしわざわざ毎日伝えにいらっしゃるのもどうかと思う。

「兄に代わって心から謝罪します。アラナ嬢に降りかかっていた不幸は全てわたしの不徳の致すところだ」

 等とおっしゃるのよ。なぜキース王太子殿下が不徳の致すところだと思うのかよくわからない。

(責任感が強すぎるのかしら。スタンフォード王太子殿下とは大違いね)

「キース王太子殿下のせいではありません。これから王位を継ぐあなた様が頻繁にこのような所にいらっしゃってはいけませんわ。私はもう王家とはなんの関係もない人間ですよ」

「いいえ。あのような形で王太子妃の座から降りたのです。貴族の男達からは縁談もこないでしょうし、まして平民の男達では元王太子妃という立場に怖じ気づき誰も求婚してこないはずです。これは王家の責任ですから関係は充分にあります」

「再婚なんて考えていませんわ。スタンフォード王太子殿下との結婚生活で男性に対して良いイメージが持てなくなりましたから」

「あの兄上と父上だけを見て男性全般に幻滅しないでください。あれは醜悪な最も下劣な男で、皆がそうではありませんよ」

「そうでしょうね。ですがこれからまた夫を持つことに対しては極めて消極的になっております」

「・・・・・・この花はわたしの気持ちです。どうぞあなたに捧げます。わたしを少しでも可哀想だと思うのなら一緒に過ごす時間をください。ほんの数分でも良いのです」

 キース王太子が置いていった花束はリナリアだった。花言葉は『この恋に気づいて』だ。通常、こちらの気持ちに気づいてくれない相手に切ない思いを伝える花だけれど・・・・・・

 それから毎日、数分しか一緒にいられなくてもキース王太子殿下はルース家に出向き、わずかな時間でも私と過ごそうとした。不思議なものね。毎日いらっしゃるとそう邪険にもできなくて、数日来ない日が続くとどうしたのかと首を傾げるようになっていく。




 

 まもなくキース王太子はキース国王陛下となられ、それからも1日も欠かさずルース家に現れた。常にリナリアの花を手に携えて・・・・・・。

「陛下、その花を千切り私の髪に挿していただけませんか?」

 キース国王陛下がルース家に通うようになって3年ほど経ったある日、私はにっこりと笑いながらそうささやいたのだった。








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