可愛くない私に価値はないのでしょう?

青空一夏

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26-6 ベリンダ視点 プチざまぁのおまけ

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※ベリンダ視点です。ネズミ狩り屋が帰った後の様子です。


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「ベリンダお嬢様、これは髪を切るしか無いですね」

 ネズミの糞がこびりつき、凄まじい勢いで絡まった髪はブラシで梳かすこともできない。髪を洗った後も綺麗な薄桃色の巻き毛は戻らず、雀の巣のようになってしまった。仕方が無いので、メイドが言うように庭先に出て少しづつ切ってもらっていると、お母様とお父様がやって来た。やはり二人とも髪が絡まり爆発したようになっている。

「なにをちまちまと切っているのです! これはかなりバッサリと切るしか無いでしょう。ハサミを貸しなさい。可愛いベリンダの髪は私が切ってあげます。母親の私の方がベリンダに似合う髪型がわかっているのだから」

「かしこまりました。奥様、どうぞ。ハサミはこちらです。少しづつ切ってくださいね」

「うるさいわね、この私に指図なんてしないでちょうだい! そうね、これくらいかしら? うーーん、左右の長さが違うわね。バランスがおかしくなっちゃう」

「ダメだな。ちょっとハサミを貸してみろ。わたしの方が上手く切ってあげられると思う。右が長いな。あぁ、今度は左が長い。それにどこもかしこも絡まっているし・・・・・・」

「あなたは不器用なのですわ。私にハサミを返してください。こっちを切って、あっちを切って・・・・・・あら? うーーん・・・・・・」

 お母様とお父様の連携技で切られた髪は不安しか感じない。

「で、できたぞ。まぁ、こんなもんだろう」

「そうね、まぁ、仕方がないわよね」

 その弁解じみた様子がとても気になった。

「鏡を見せてくださいな」

「しばらくは見ない方がいいかもしれないわ」

「そうだとも。今は見なくていいと思うよ」

「お父様、私の髪はどうなっているの?」

「ん? あぁ、なんて言うか・・・・・・とてもさっぱりしたと思う」

 不安になり自分の頭に手をやると、さっぱりしているどころか髪に全く触ることができない。急いで自室に駆け込み鏡台の前に座ると、坊主頭の私が驚愕の表情を浮かべていた。

「私の髪の毛がすっかりないわ! 酷いぃーー。なんであのままメイドにやらせなかったのよ? お父様達が余計なことをしたせいで坊主になっちゃった。なんて使えない不器用な人達なの!」

「親に向かってその口の利き方はなんですか? 良かれと思ってやってあげたのよ、これは母親としての愛情なのよ。思い切ってここまで短くしたらきっと前より綺麗な髪が生えてくるのです! ベリンダの辛さを充分わかっているのよ」

「そうだぞ。その頭もなかなか似合うじゃないか? わたしは父親としての愛情からお前のことを思い、こうして試行錯誤を重ねて切ってやったのだぞ。文句を言うんじゃない! 髪の毛なんかいずれ生えてくるだろう?」

 お父様達は自分達の失敗を誤魔化そうとしていろいろ言い訳をしていたけれど、単純にこの二人は私の髪を切るには不器用すぎただけだ。

「だったら今度は私が娘としての愛情を持って、お父様達の髪を切ってあげますね」

「あら、嫌だ。私はメイドに切ってもらいますわよ」

「わたしもメイドに切ってもらう。ベリンダの手を煩わせては可哀想だからな」

「あら、遠慮なさらず。お二人の愛娘の私が喜んで切ってさしあげますわ」
 
 二人とも私と同じように丸坊主にしてあげた。

「これでは外に出られませんわ。酷いじゃないの!」

「元の髪に戻るには半年ほどかかりそうだ。なんてことをしてくれたのだ? わたしの髪はまだお前達よりは絡まっていなかったのに」

 私には我慢するように諭していたのに、自分のことになると途端に文句を言ってくる。

「旦那様達の切ってしまった髪はもう元に戻りませんよ。早急にカツラをお買い求めになったほうがよろしいのではないですか?」

「確かにそうね」

「うむ、もっともだ」

「お父様、お母様。今すぐ買いに行きましょう」

(オーダーメイドのカツラになると制作日数はどうなるのかしら? 風が強い日にカツラが飛んだらどうしよう・・・・・・)

 私達はメイドの忠告を素直に聞いて、早速帽子を被りカツラを作りに行った。



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