33 / 64
連載
26-6 ベリンダ視点 プチざまぁのおまけ
しおりを挟む
※ベリンダ視点です。ネズミ狩り屋が帰った後の様子です。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
「ベリンダお嬢様、これは髪を切るしか無いですね」
ネズミの糞がこびりつき、凄まじい勢いで絡まった髪はブラシで梳かすこともできない。髪を洗った後も綺麗な薄桃色の巻き毛は戻らず、雀の巣のようになってしまった。仕方が無いので、メイドが言うように庭先に出て少しづつ切ってもらっていると、お母様とお父様がやって来た。やはり二人とも髪が絡まり爆発したようになっている。
「なにをちまちまと切っているのです! これはかなりバッサリと切るしか無いでしょう。ハサミを貸しなさい。可愛いベリンダの髪は私が切ってあげます。母親の私の方がベリンダに似合う髪型がわかっているのだから」
「かしこまりました。奥様、どうぞ。ハサミはこちらです。少しづつ切ってくださいね」
「うるさいわね、この私に指図なんてしないでちょうだい! そうね、これくらいかしら? うーーん、左右の長さが違うわね。バランスがおかしくなっちゃう」
「ダメだな。ちょっとハサミを貸してみろ。わたしの方が上手く切ってあげられると思う。右が長いな。あぁ、今度は左が長い。それにどこもかしこも絡まっているし・・・・・・」
「あなたは不器用なのですわ。私にハサミを返してください。こっちを切って、あっちを切って・・・・・・あら? うーーん・・・・・・」
お母様とお父様の連携技で切られた髪は不安しか感じない。
「で、できたぞ。まぁ、こんなもんだろう」
「そうね、まぁ、仕方がないわよね」
その弁解じみた様子がとても気になった。
「鏡を見せてくださいな」
「しばらくは見ない方がいいかもしれないわ」
「そうだとも。今は見なくていいと思うよ」
「お父様、私の髪はどうなっているの?」
「ん? あぁ、なんて言うか・・・・・・とてもさっぱりしたと思う」
不安になり自分の頭に手をやると、さっぱりしているどころか髪に全く触ることができない。急いで自室に駆け込み鏡台の前に座ると、坊主頭の私が驚愕の表情を浮かべていた。
「私の髪の毛がすっかりないわ! 酷いぃーー。なんであのままメイドにやらせなかったのよ? お父様達が余計なことをしたせいで坊主になっちゃった。なんて使えない不器用な人達なの!」
「親に向かってその口の利き方はなんですか? 良かれと思ってやってあげたのよ、これは母親としての愛情なのよ。思い切ってここまで短くしたらきっと前より綺麗な髪が生えてくるのです! ベリンダの辛さを充分わかっているのよ」
「そうだぞ。その頭もなかなか似合うじゃないか? わたしは父親としての愛情からお前のことを思い、こうして試行錯誤を重ねて切ってやったのだぞ。文句を言うんじゃない! 髪の毛なんかいずれ生えてくるだろう?」
お父様達は自分達の失敗を誤魔化そうとしていろいろ言い訳をしていたけれど、単純にこの二人は私の髪を切るには不器用すぎただけだ。
「だったら今度は私が娘としての愛情を持って、お父様達の髪を切ってあげますね」
「あら、嫌だ。私はメイドに切ってもらいますわよ」
「わたしもメイドに切ってもらう。ベリンダの手を煩わせては可哀想だからな」
「あら、遠慮なさらず。お二人の愛娘の私が喜んで切ってさしあげますわ」
二人とも私と同じように丸坊主にしてあげた。
「これでは外に出られませんわ。酷いじゃないの!」
「元の髪に戻るには半年ほどかかりそうだ。なんてことをしてくれたのだ? わたしの髪はまだお前達よりは絡まっていなかったのに」
私には我慢するように諭していたのに、自分のことになると途端に文句を言ってくる。
「旦那様達の切ってしまった髪はもう元に戻りませんよ。早急にカツラをお買い求めになったほうがよろしいのではないですか?」
「確かにそうね」
「うむ、もっともだ」
「お父様、お母様。今すぐ買いに行きましょう」
(オーダーメイドのカツラになると制作日数はどうなるのかしら? 風が強い日にカツラが飛んだらどうしよう・・・・・・)
私達はメイドの忠告を素直に聞いて、早速帽子を被りカツラを作りに行った。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
「ベリンダお嬢様、これは髪を切るしか無いですね」
ネズミの糞がこびりつき、凄まじい勢いで絡まった髪はブラシで梳かすこともできない。髪を洗った後も綺麗な薄桃色の巻き毛は戻らず、雀の巣のようになってしまった。仕方が無いので、メイドが言うように庭先に出て少しづつ切ってもらっていると、お母様とお父様がやって来た。やはり二人とも髪が絡まり爆発したようになっている。
「なにをちまちまと切っているのです! これはかなりバッサリと切るしか無いでしょう。ハサミを貸しなさい。可愛いベリンダの髪は私が切ってあげます。母親の私の方がベリンダに似合う髪型がわかっているのだから」
「かしこまりました。奥様、どうぞ。ハサミはこちらです。少しづつ切ってくださいね」
「うるさいわね、この私に指図なんてしないでちょうだい! そうね、これくらいかしら? うーーん、左右の長さが違うわね。バランスがおかしくなっちゃう」
「ダメだな。ちょっとハサミを貸してみろ。わたしの方が上手く切ってあげられると思う。右が長いな。あぁ、今度は左が長い。それにどこもかしこも絡まっているし・・・・・・」
「あなたは不器用なのですわ。私にハサミを返してください。こっちを切って、あっちを切って・・・・・・あら? うーーん・・・・・・」
お母様とお父様の連携技で切られた髪は不安しか感じない。
「で、できたぞ。まぁ、こんなもんだろう」
「そうね、まぁ、仕方がないわよね」
その弁解じみた様子がとても気になった。
「鏡を見せてくださいな」
「しばらくは見ない方がいいかもしれないわ」
「そうだとも。今は見なくていいと思うよ」
「お父様、私の髪はどうなっているの?」
「ん? あぁ、なんて言うか・・・・・・とてもさっぱりしたと思う」
不安になり自分の頭に手をやると、さっぱりしているどころか髪に全く触ることができない。急いで自室に駆け込み鏡台の前に座ると、坊主頭の私が驚愕の表情を浮かべていた。
「私の髪の毛がすっかりないわ! 酷いぃーー。なんであのままメイドにやらせなかったのよ? お父様達が余計なことをしたせいで坊主になっちゃった。なんて使えない不器用な人達なの!」
「親に向かってその口の利き方はなんですか? 良かれと思ってやってあげたのよ、これは母親としての愛情なのよ。思い切ってここまで短くしたらきっと前より綺麗な髪が生えてくるのです! ベリンダの辛さを充分わかっているのよ」
「そうだぞ。その頭もなかなか似合うじゃないか? わたしは父親としての愛情からお前のことを思い、こうして試行錯誤を重ねて切ってやったのだぞ。文句を言うんじゃない! 髪の毛なんかいずれ生えてくるだろう?」
お父様達は自分達の失敗を誤魔化そうとしていろいろ言い訳をしていたけれど、単純にこの二人は私の髪を切るには不器用すぎただけだ。
「だったら今度は私が娘としての愛情を持って、お父様達の髪を切ってあげますね」
「あら、嫌だ。私はメイドに切ってもらいますわよ」
「わたしもメイドに切ってもらう。ベリンダの手を煩わせては可哀想だからな」
「あら、遠慮なさらず。お二人の愛娘の私が喜んで切ってさしあげますわ」
二人とも私と同じように丸坊主にしてあげた。
「これでは外に出られませんわ。酷いじゃないの!」
「元の髪に戻るには半年ほどかかりそうだ。なんてことをしてくれたのだ? わたしの髪はまだお前達よりは絡まっていなかったのに」
私には我慢するように諭していたのに、自分のことになると途端に文句を言ってくる。
「旦那様達の切ってしまった髪はもう元に戻りませんよ。早急にカツラをお買い求めになったほうがよろしいのではないですか?」
「確かにそうね」
「うむ、もっともだ」
「お父様、お母様。今すぐ買いに行きましょう」
(オーダーメイドのカツラになると制作日数はどうなるのかしら? 風が強い日にカツラが飛んだらどうしよう・・・・・・)
私達はメイドの忠告を素直に聞いて、早速帽子を被りカツラを作りに行った。
12
あなたにおすすめの小説
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。