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連載
続編 コンスタンティン恋の自覚そのに
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わたしは時計をイライラと見上げた。サロンに掛かっている大きな柱時計の針はもうすぐ16時をさす。グレイスに会いたい。
「ちょっとアーネット子爵家別荘にお邪魔してきます」
「あら、手ぶらで行くつもりですか? アーネット子爵夫人と私は大親友ですし、あちらとは家族ぐるみのお付き合いをしておりますが、『親しき仲にも礼儀あり』ですわ。これからは紳士の振る舞いを忘れてはなりません」
「お母様のおっしゃる通りですわね。花束とラファッシニのお菓子ぐらいは持って行くべきですわ。それも特別に作らせたものをね」
エリザベッタは当然のようにわたしに、訪問は準備を整えて明日にするように忠告した。歩いて5分ほどの距離にあるアーネット子爵家別荘がとても遠く感じられた。
「そうそう、コンスタンティン。アーネット子爵夫妻はすっかりグレイスを実の娘のように溺愛しているわ。だから、グレイスの結婚相手は本人に選ばせたいのですって」
母上までが思いがけないことを言い出した。
「グレイスはわたしの妻になるのだと思っていました。以前国王陛下にもそのように手紙を書いたことがおありですよね?」
「あれは私の願望ですわ。最終的にはコンスタンティンとグレイスの気持ち次第なのですよ」
(わたし達の気持ち次第? まさかそのようなことを言われるとは思わなかった)
翌日、白薔薇の花束と菓子を準備してアーネット子爵家別荘に向かう。エリザベッタの忠告通りに、ラファッシニに前日から連絡をいれ、特別な菓子を作らせた。
徒歩5分ほどの距離がやたらに長く感じる。いつもの風景も目にはいらず、心ここにあらずとはこのような状態なのかと初めて味わう。
「まぁ、コンスタンティン様! いらっしゃいませ。グレイスはイーサン生徒会副会長と庭園に面したガーデンルームにいますよ」
わたしは礼を言いつつ花束と菓子を渡す。
「まぁ、ご丁寧にありがとうございます。グレイスも喜ぶでしょう。コンスタンティン様の白い薔薇はとても素敵ですわね。そう言えばイーサン様も、先日は白いマーガレットを持って来てくださいましたわ」
ガーデンルームには侍女達が控えてはいたものの、他の生徒会メンバーは一人もいない。
「あ、コンスタンティン様。いらっしゃいませ! 今日はどうされたのですか?」
わたしに気がつき、愛らしい笑顔をパッと浮かべたグレイスは、すぐにこちらに駆け寄った。その表情が可愛らしくて頬が緩むが言葉尻が妙に気になる。
(ちょっと待て。明らかな用事がないとわたしはここに来てはいけないのか? グレイスの一挙一動がなぜこんなにも気になるんだ?)
渋々ながらも出した結論は、わたしがグレイスに恋をしている、というものだった。
「どうもしないよ。グレイスがこちらにばかりいるから寂しくてね。君の顔を見たくて来たんだよ」
自分の気持ちに気がついたからには、全力でグレイスをわたしの妻にするだけだ。今日から早速甘い言葉を囁くことに決めた。
(悪いがお前(イーサン)に譲るわけにはいかないよ)
マーガレットの花言葉を思い出したわたしは心の中で宣戦布告する。
(「秘めた愛」なんて弱々しい花言葉の花を贈るなんて駄目だ。わたしから力尽くでも奪い取るほどの気概を持つ男でなければ張り合う価値もないのだよ。私が贈った白い薔薇の花言葉を見習え!)
「さぁ、生徒会の話ならわたしも参加しよう。グレイスの側にいつもいたいんだ。グレイスは迷惑かな?」
グレイスは頬をピンクに染めながらゆっくりと首を横に振った。
「ついさきほどまでイーサン君と、教会で読み書きを大人や子供に教えるのを、ポールスランド学園の生徒達が順番にボランティアでしたらどうか、というお話をしていました」
通信教育教材の開発もコンテストを開き、学生達や一般市民から広くアイディアを集めたいとのことだった。その間、イーサンの表情を観察していたが、グレイスに対する恋心は全く感じられない。
しばらくして書記のマリエルが合流すると、イーサンがちらちらとマリエルを頻繁に盗み見た。その眼差しは、わたしがグレイスを見る眼差しと同じ種類のものだ。
(エリザベッタめ・・・・・・わたしをからかったな。誰が見てもイーサンがマリエルに惚れているのはわかる。・・・・・・ということはわたしも自分が気がつかないだけで、周囲の者にはバレバレだったのか? 恥ずかしい・・・・・・)
イーサンとマリエルが帰った後も、わたしはアーネット子爵家別荘に留まった。ディナーをご馳走になり、アーネット子爵に折り入って話しがある旨を告げる。
「グレイスが学園を卒業したらプロポーズしたいと思います。正式に許可をください」
アーネット子爵の書斎で真剣に願い出た。
「もちろん、コンスタンティン様がそうおっしゃってくださって、これほど嬉しいことはありませんよ。ですが、プロポーズの許可は差し上げますが、選ぶのはグレイスです。わたし達はすっかり親バカになっていますからね」
つまりは自分でグレイスの心を掴めということだ。自分の恋心に気がついたわたしは、これからグレイスを学園が休みのたびにデートに誘うだろう。たくさんの思い出を今から作るのと、彼女の愛を勝ち取る為に。
「グレイス嬢、今度の祭日は一緒にサーカスにでも行きませんか? ちょうど今、世界的に有名なショーが開催されています」
わたしはポールスランド伯爵家に戻る際に、グレイスにそう声をかけたのだった。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
※次回、サーカス鑑賞デートです。
「ちょっとアーネット子爵家別荘にお邪魔してきます」
「あら、手ぶらで行くつもりですか? アーネット子爵夫人と私は大親友ですし、あちらとは家族ぐるみのお付き合いをしておりますが、『親しき仲にも礼儀あり』ですわ。これからは紳士の振る舞いを忘れてはなりません」
「お母様のおっしゃる通りですわね。花束とラファッシニのお菓子ぐらいは持って行くべきですわ。それも特別に作らせたものをね」
エリザベッタは当然のようにわたしに、訪問は準備を整えて明日にするように忠告した。歩いて5分ほどの距離にあるアーネット子爵家別荘がとても遠く感じられた。
「そうそう、コンスタンティン。アーネット子爵夫妻はすっかりグレイスを実の娘のように溺愛しているわ。だから、グレイスの結婚相手は本人に選ばせたいのですって」
母上までが思いがけないことを言い出した。
「グレイスはわたしの妻になるのだと思っていました。以前国王陛下にもそのように手紙を書いたことがおありですよね?」
「あれは私の願望ですわ。最終的にはコンスタンティンとグレイスの気持ち次第なのですよ」
(わたし達の気持ち次第? まさかそのようなことを言われるとは思わなかった)
翌日、白薔薇の花束と菓子を準備してアーネット子爵家別荘に向かう。エリザベッタの忠告通りに、ラファッシニに前日から連絡をいれ、特別な菓子を作らせた。
徒歩5分ほどの距離がやたらに長く感じる。いつもの風景も目にはいらず、心ここにあらずとはこのような状態なのかと初めて味わう。
「まぁ、コンスタンティン様! いらっしゃいませ。グレイスはイーサン生徒会副会長と庭園に面したガーデンルームにいますよ」
わたしは礼を言いつつ花束と菓子を渡す。
「まぁ、ご丁寧にありがとうございます。グレイスも喜ぶでしょう。コンスタンティン様の白い薔薇はとても素敵ですわね。そう言えばイーサン様も、先日は白いマーガレットを持って来てくださいましたわ」
ガーデンルームには侍女達が控えてはいたものの、他の生徒会メンバーは一人もいない。
「あ、コンスタンティン様。いらっしゃいませ! 今日はどうされたのですか?」
わたしに気がつき、愛らしい笑顔をパッと浮かべたグレイスは、すぐにこちらに駆け寄った。その表情が可愛らしくて頬が緩むが言葉尻が妙に気になる。
(ちょっと待て。明らかな用事がないとわたしはここに来てはいけないのか? グレイスの一挙一動がなぜこんなにも気になるんだ?)
渋々ながらも出した結論は、わたしがグレイスに恋をしている、というものだった。
「どうもしないよ。グレイスがこちらにばかりいるから寂しくてね。君の顔を見たくて来たんだよ」
自分の気持ちに気がついたからには、全力でグレイスをわたしの妻にするだけだ。今日から早速甘い言葉を囁くことに決めた。
(悪いがお前(イーサン)に譲るわけにはいかないよ)
マーガレットの花言葉を思い出したわたしは心の中で宣戦布告する。
(「秘めた愛」なんて弱々しい花言葉の花を贈るなんて駄目だ。わたしから力尽くでも奪い取るほどの気概を持つ男でなければ張り合う価値もないのだよ。私が贈った白い薔薇の花言葉を見習え!)
「さぁ、生徒会の話ならわたしも参加しよう。グレイスの側にいつもいたいんだ。グレイスは迷惑かな?」
グレイスは頬をピンクに染めながらゆっくりと首を横に振った。
「ついさきほどまでイーサン君と、教会で読み書きを大人や子供に教えるのを、ポールスランド学園の生徒達が順番にボランティアでしたらどうか、というお話をしていました」
通信教育教材の開発もコンテストを開き、学生達や一般市民から広くアイディアを集めたいとのことだった。その間、イーサンの表情を観察していたが、グレイスに対する恋心は全く感じられない。
しばらくして書記のマリエルが合流すると、イーサンがちらちらとマリエルを頻繁に盗み見た。その眼差しは、わたしがグレイスを見る眼差しと同じ種類のものだ。
(エリザベッタめ・・・・・・わたしをからかったな。誰が見てもイーサンがマリエルに惚れているのはわかる。・・・・・・ということはわたしも自分が気がつかないだけで、周囲の者にはバレバレだったのか? 恥ずかしい・・・・・・)
イーサンとマリエルが帰った後も、わたしはアーネット子爵家別荘に留まった。ディナーをご馳走になり、アーネット子爵に折り入って話しがある旨を告げる。
「グレイスが学園を卒業したらプロポーズしたいと思います。正式に許可をください」
アーネット子爵の書斎で真剣に願い出た。
「もちろん、コンスタンティン様がそうおっしゃってくださって、これほど嬉しいことはありませんよ。ですが、プロポーズの許可は差し上げますが、選ぶのはグレイスです。わたし達はすっかり親バカになっていますからね」
つまりは自分でグレイスの心を掴めということだ。自分の恋心に気がついたわたしは、これからグレイスを学園が休みのたびにデートに誘うだろう。たくさんの思い出を今から作るのと、彼女の愛を勝ち取る為に。
「グレイス嬢、今度の祭日は一緒にサーカスにでも行きませんか? ちょうど今、世界的に有名なショーが開催されています」
わたしはポールスランド伯爵家に戻る際に、グレイスにそう声をかけたのだった。
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※次回、サーカス鑑賞デートです。
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