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連載
続編 姉妹の明暗 グレイス視点/ベリンダ視点 そのいち
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※グレイス視点です。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
アーネット子爵家別荘とポールスランド伯爵家を行ったり来たりしていた私だけれど、ヴェレリアお母様が領地に戻らずほとんどの時間を別荘で過ごすようになり、私の居場所は自然とこちらに移った。
ロナルドお父様も頻繁に領地を往復しているが、基本的にこちらに居ることが多くなった。私達は本当の親子のような時間を過ごすようになっていく。
もちろんポールスランド伯爵夫人とエリザベッタは頻繁にこちらにいらっしゃって、私とヴェレリアお母様は一緒に女性同士の会話を弾ませていた。
ある日のこと、アーネット子爵家別荘のサロンで私達四人は、いつものように一緒にお茶を飲みながら寛いでいた。
「グレイスはなるべくポールスランド伯爵邸に行ってはなりませんよ。そろそろお年頃のあなたはどんと構えている必要があります」
「そうね、グレイスはこちらに常に居るようになさい」
「ふふっ。とても良い案ですわね」
「ヴェレリアお母様達のおっしゃっている意味がわかりません。ポールスランド伯爵邸に以前のように気軽に行ってはいけないのですか? とても寂しいわ」
「ミツバチは甘い香りのする綺麗な花に寄ってきます。花がミツバチを追いかけたらだめなのですよ」
ポールスランド伯爵夫人とヴェレリアお母様が顔を見合わせて頷き合う。わけのわからない例えに私の頭は混乱したし、サロンの前を通りかかったロナルドお父様は苦笑していた。
それから次々と私の荷物がアーネット子爵家別荘に移され、年々増築され豪華になっていく別荘に、少しばかり不安を感じた。生徒会の仲間も頻繁にこちらを訪れるようになり、コンスタンティン様とはたまにしか会えない日々が続く。
コンスタンティン様に会いたいと思い出した頃に、白い薔薇の花束とラファッシニの特製お菓子を持って、コンスタンティン様が私に会いに来てくださった。
わざわざ来てくださったのが嬉しくて、いそいそとコンスタンティン様の側に走り寄る。
「あ、コンスタンティン様。いらっしゃいませ! 今日はどうされたのですか?」
「どうもしないよ。グレイスがこちらにばかりいるから寂しくてね。君の顔を見たくて来たんだよ」
胸がキュンとしかけたけれど、これはきっと妹として私が気になっているだけに違いない。だって私はアーネット子爵令嬢とはいえ、元はフラメル家の長女なのだから。勘違いしてはいけない。けれど頬が熱くなるのは抑えられなかった。
生徒会の行事に自ら関わるとおっしゃったのは嬉しいけれど、コンスタンティン様はポールスランド伯爵領とウォルフェンデン侯爵領の二つの領地経営もなさっている。まだ当主の地位は継いでいないけれど、次期当主として多くの勉強をなさっているはずなのに時間は取れるのだろうか。
おまけに次の休みにはサーカスに行こうと誘ってくださった。目が回るほどお忙しい方のはずなのに?
「ヴェレリアお母様、コンスタンティン様はこれから二つの領地を治める方です。王太子様を支える為にも多くのことを学んでいる最中だと聞きました。なのにポールスランド学園の生徒会に関わるとか、私をサーカスに誘ってくださいます。眠る時間はあるのでしょうか?」
「ふふっ。良い傾向ですわ。いくら仕事ができても、そればっかりの男性では女性を幸せにできませんからね。楽しんでいらっしゃい」
満足げに頷くヴェレリアお母様に私は小首を傾げた。コンスタンティン様は私の恩人だ。あの方の負担にはなりたくないし、困らせたくないのに・・・・・・
サーカス見物の当日、コンスタンティン様が前回と同じく白い薔薇の花束を持って来てくださった。白い薔薇の花言葉をこっそり調べると『わたしはあなたに相応しい』という意味が出てきた。
(うーーん。これはどういう意味なのかしら? 私とコンスタンティン様とでは到底釣り合わないのだけれど)
私は平民のフラメル家出身で、ポールスランド伯爵家に拾われたような立場だ。アーネット子爵令嬢になった今でも、ポールスランド伯爵家やウォルフェンデン侯爵家を継ぐコンスタンティン様とでは、天と地ほどの身分差がある。
そう言えばイーサン君も私にマーガレットの花束をくれた。あの花言葉は『秘めた愛』だった。それを冗談に指摘したらイーサン君はあっさりと否定した。
「グレイス様が白い花を好きだと以前からお聞きしていましたので、庭にたくさん咲いていた花を持ってきただけですよ。特に深い意味はないです。花言葉を気にしない男性は多いですよ」
「そうなのですか?」
「僕の母は黄色いチューリップが好きなのですよ。ですから父は交際中もそれを贈っていたそうです。花言葉は『希望のない恋』とか『高慢』らしいです」
かつて私はコンスタンティン様に白い花が好きだと申し上げたことがあった気がするわ。合点がいってホッとした。
私はいずれ家政婦長(ハウスキーパー)としてポールスランド伯爵家に一生お仕えしたい、という夢を持っている。この世界での女性は爵位を継げないから、私は外で仕事を探さねばならないはずだ。
サーカスに向かう馬車の中でそこまでいろいろ考えていると、コンスタンティン様と目が合い、蕩けるような笑顔を見せられた。
まるで私に並々ならぬ好意を抱いているようにも見える。
(いけない、いけない。勘違いをしてはいけないわ。この方は雲の上の存在なのだから)
サーカスの会場は大きなドーム型テントで、たくさんの見物客で溢れかえっていた。まずはスパンコールの散りばめられたドレス姿の女性がステージに上がり美声を響かせ歌い出す。
ミステリアスな曲調に合わせた歌で一気にテント内が別世界に変わる。ここは現実の世界とは違う夢の世界だ。しなる長い棒を使った曲芸では、人の上に人が乗りさらにもう一人とかなりの高さになったところで、その棒に身体をダイブさせた。
しなる棒の上で身体を弾ませジャンプするのは高度な技術が不可欠だ。それをいとも簡単にしてしまう熟練の技に感嘆した。
両端に火をつけた棒を縦横無尽に振り回す大男はそれが火だとは思えないほど雑に扱う。よく火傷しないものだと感心する。
優雅な曲で演じられる空中ブランコでは、身体が宙に浮かぶたびに私の胸もドキドキした。落ちたら大変と思うと呼吸も乱れて自分が演技しているようで手に汗握る。
「大丈夫だよ。彼らは絶対落ちないから安心して。ほら、手を貸して。わたしが握っていてあげよう」
「え? ・・・・・・あのぉ、はい。ありがとうございます?」
なぜここで手を握られたかはわからない。きっと私の緊張をほぐしてくださっただけよ。それよりこのようなことをされると余計ドキドキして心臓がもたない・・・・・・
柔らかすぎる身体を持つ美女はありえない体勢で音楽に合わせて踊り、迫真の演技の合間に繰り広げられる道化に気持ちがほっこり和んだ。
隣にいるコンスタンティン様も楽しそうで一緒の時間をこれほど楽しく過ごせたことが嬉しい。でも、この手はいつ離してくださるのかしら?
「今度はピクニックに行こうか? わたしの馬に乗せてあげよう。馬車とはまた違って楽しいよ」
「はい。実はヴェレリアお母様から馬術は学んでおりますから、一人でも乗ることができますわ」
ヴェレリアお母様はその昔お転婆娘と呼ばれていて、とても活発で外交的な女性だったらしい。ジョアンが亡くなり内向的で引き籠もりがちになったけれど、今では前よりずっとパワーアップしたと、ロナルドお父様も喜んでいた。
私とヴェレリアお母様は頻繁に乗馬やオペラに観劇も楽しむ仲良し母娘になっている。
サーカスからの帰路、馬車内でコンスタンティン様とたくさんのおしゃべりをした。このままずっとこの時間が続けば良いのに。
「これからもたくさんの場所にグレイスを連れて行ってあげるよ。わたしはグレイスにずっと側にいてほしいと思っているのだよ」
(一生懸命勉強して、必ずポールスランド伯爵家やウォルフェンデン侯爵家を管理する総家政婦長(ハウスキーパー)になってみせるわ。そうしたらずっとコンスタンティン様のお側にいられるし、ポールスランド伯爵夫人のもとにも居られるわ。ヴェレリアお母様とも離れなくて済む)
家政婦長(ハウスキーパー)は女性使用人達の長となる立場だ。執事と同等の権限を持つ役職で、教養がなくては務まらない職業だ。
「私はずっと総家政婦長(ハウスキーパー)としてコンスタンティン様のお側にいます! 私の居場所はそこしかないと思っていますから」
真っ直ぐコンスタンティン様の目を見て私は決意表明をさせていただいた。
(あれ? コンスタンティン様が戸惑った顔をなさっている? そうか、もっと頑張らないと無理って意味かしら? もっともっと精進しなくちゃ!)
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※ベリンダちょっこっと暗黒結婚生活。ベリンダ視点です。
10年の犯罪奴隷としての刑期を終えても私に幸福はいっこうに訪れない。幸福どころか平穏すらなく、常に暴力と搾取に怯える毎日だ。
「おい! もう金がねーぞ。お前が食堂の厨房で皿を洗うぐらいじゃぁ酒は足りねぇよ。もっと働け!」
すっかり自堕落になり、酒に溺れたデリクは悪態をつくしか能が無い。ボロボロのアパートで屋根は雨漏りがして夏は暑く冬は寒い。食べる物もままならないのに、デリクはお金が入ると酒を買ってしまう。
「自分も真面目に働くことを考えなよ。職に就いちゃぁすぐに辞めてくるの繰り返しじゃない? いつまでも貴族様気分でいられちゃぁ、こっちも迷惑なんだけどぉ?」
「なんだとぉーー! お前のせいだぞ。俺がこんなことになったのは全てお前のせいなんだぁーー」
身体を思いっきり突き飛ばされて馬乗りになって殴られる。私は殴られすぎて、今ではすっかり顔の原型が変わっていた。骨が折れ不自然な形に曲がった鼻に、暴力で折られた前歯とかぶれた後の色素沈着した肌。昔の可愛かった面影は全くない。
この悪魔から逃げても王命の離婚不可で役人が探し出し、またこの男の元に連れ戻される。これは死刑宣告と同じだ。
私は今地獄のなかを生きている。
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アーネット子爵家別荘とポールスランド伯爵家を行ったり来たりしていた私だけれど、ヴェレリアお母様が領地に戻らずほとんどの時間を別荘で過ごすようになり、私の居場所は自然とこちらに移った。
ロナルドお父様も頻繁に領地を往復しているが、基本的にこちらに居ることが多くなった。私達は本当の親子のような時間を過ごすようになっていく。
もちろんポールスランド伯爵夫人とエリザベッタは頻繁にこちらにいらっしゃって、私とヴェレリアお母様は一緒に女性同士の会話を弾ませていた。
ある日のこと、アーネット子爵家別荘のサロンで私達四人は、いつものように一緒にお茶を飲みながら寛いでいた。
「グレイスはなるべくポールスランド伯爵邸に行ってはなりませんよ。そろそろお年頃のあなたはどんと構えている必要があります」
「そうね、グレイスはこちらに常に居るようになさい」
「ふふっ。とても良い案ですわね」
「ヴェレリアお母様達のおっしゃっている意味がわかりません。ポールスランド伯爵邸に以前のように気軽に行ってはいけないのですか? とても寂しいわ」
「ミツバチは甘い香りのする綺麗な花に寄ってきます。花がミツバチを追いかけたらだめなのですよ」
ポールスランド伯爵夫人とヴェレリアお母様が顔を見合わせて頷き合う。わけのわからない例えに私の頭は混乱したし、サロンの前を通りかかったロナルドお父様は苦笑していた。
それから次々と私の荷物がアーネット子爵家別荘に移され、年々増築され豪華になっていく別荘に、少しばかり不安を感じた。生徒会の仲間も頻繁にこちらを訪れるようになり、コンスタンティン様とはたまにしか会えない日々が続く。
コンスタンティン様に会いたいと思い出した頃に、白い薔薇の花束とラファッシニの特製お菓子を持って、コンスタンティン様が私に会いに来てくださった。
わざわざ来てくださったのが嬉しくて、いそいそとコンスタンティン様の側に走り寄る。
「あ、コンスタンティン様。いらっしゃいませ! 今日はどうされたのですか?」
「どうもしないよ。グレイスがこちらにばかりいるから寂しくてね。君の顔を見たくて来たんだよ」
胸がキュンとしかけたけれど、これはきっと妹として私が気になっているだけに違いない。だって私はアーネット子爵令嬢とはいえ、元はフラメル家の長女なのだから。勘違いしてはいけない。けれど頬が熱くなるのは抑えられなかった。
生徒会の行事に自ら関わるとおっしゃったのは嬉しいけれど、コンスタンティン様はポールスランド伯爵領とウォルフェンデン侯爵領の二つの領地経営もなさっている。まだ当主の地位は継いでいないけれど、次期当主として多くの勉強をなさっているはずなのに時間は取れるのだろうか。
おまけに次の休みにはサーカスに行こうと誘ってくださった。目が回るほどお忙しい方のはずなのに?
「ヴェレリアお母様、コンスタンティン様はこれから二つの領地を治める方です。王太子様を支える為にも多くのことを学んでいる最中だと聞きました。なのにポールスランド学園の生徒会に関わるとか、私をサーカスに誘ってくださいます。眠る時間はあるのでしょうか?」
「ふふっ。良い傾向ですわ。いくら仕事ができても、そればっかりの男性では女性を幸せにできませんからね。楽しんでいらっしゃい」
満足げに頷くヴェレリアお母様に私は小首を傾げた。コンスタンティン様は私の恩人だ。あの方の負担にはなりたくないし、困らせたくないのに・・・・・・
サーカス見物の当日、コンスタンティン様が前回と同じく白い薔薇の花束を持って来てくださった。白い薔薇の花言葉をこっそり調べると『わたしはあなたに相応しい』という意味が出てきた。
(うーーん。これはどういう意味なのかしら? 私とコンスタンティン様とでは到底釣り合わないのだけれど)
私は平民のフラメル家出身で、ポールスランド伯爵家に拾われたような立場だ。アーネット子爵令嬢になった今でも、ポールスランド伯爵家やウォルフェンデン侯爵家を継ぐコンスタンティン様とでは、天と地ほどの身分差がある。
そう言えばイーサン君も私にマーガレットの花束をくれた。あの花言葉は『秘めた愛』だった。それを冗談に指摘したらイーサン君はあっさりと否定した。
「グレイス様が白い花を好きだと以前からお聞きしていましたので、庭にたくさん咲いていた花を持ってきただけですよ。特に深い意味はないです。花言葉を気にしない男性は多いですよ」
「そうなのですか?」
「僕の母は黄色いチューリップが好きなのですよ。ですから父は交際中もそれを贈っていたそうです。花言葉は『希望のない恋』とか『高慢』らしいです」
かつて私はコンスタンティン様に白い花が好きだと申し上げたことがあった気がするわ。合点がいってホッとした。
私はいずれ家政婦長(ハウスキーパー)としてポールスランド伯爵家に一生お仕えしたい、という夢を持っている。この世界での女性は爵位を継げないから、私は外で仕事を探さねばならないはずだ。
サーカスに向かう馬車の中でそこまでいろいろ考えていると、コンスタンティン様と目が合い、蕩けるような笑顔を見せられた。
まるで私に並々ならぬ好意を抱いているようにも見える。
(いけない、いけない。勘違いをしてはいけないわ。この方は雲の上の存在なのだから)
サーカスの会場は大きなドーム型テントで、たくさんの見物客で溢れかえっていた。まずはスパンコールの散りばめられたドレス姿の女性がステージに上がり美声を響かせ歌い出す。
ミステリアスな曲調に合わせた歌で一気にテント内が別世界に変わる。ここは現実の世界とは違う夢の世界だ。しなる長い棒を使った曲芸では、人の上に人が乗りさらにもう一人とかなりの高さになったところで、その棒に身体をダイブさせた。
しなる棒の上で身体を弾ませジャンプするのは高度な技術が不可欠だ。それをいとも簡単にしてしまう熟練の技に感嘆した。
両端に火をつけた棒を縦横無尽に振り回す大男はそれが火だとは思えないほど雑に扱う。よく火傷しないものだと感心する。
優雅な曲で演じられる空中ブランコでは、身体が宙に浮かぶたびに私の胸もドキドキした。落ちたら大変と思うと呼吸も乱れて自分が演技しているようで手に汗握る。
「大丈夫だよ。彼らは絶対落ちないから安心して。ほら、手を貸して。わたしが握っていてあげよう」
「え? ・・・・・・あのぉ、はい。ありがとうございます?」
なぜここで手を握られたかはわからない。きっと私の緊張をほぐしてくださっただけよ。それよりこのようなことをされると余計ドキドキして心臓がもたない・・・・・・
柔らかすぎる身体を持つ美女はありえない体勢で音楽に合わせて踊り、迫真の演技の合間に繰り広げられる道化に気持ちがほっこり和んだ。
隣にいるコンスタンティン様も楽しそうで一緒の時間をこれほど楽しく過ごせたことが嬉しい。でも、この手はいつ離してくださるのかしら?
「今度はピクニックに行こうか? わたしの馬に乗せてあげよう。馬車とはまた違って楽しいよ」
「はい。実はヴェレリアお母様から馬術は学んでおりますから、一人でも乗ることができますわ」
ヴェレリアお母様はその昔お転婆娘と呼ばれていて、とても活発で外交的な女性だったらしい。ジョアンが亡くなり内向的で引き籠もりがちになったけれど、今では前よりずっとパワーアップしたと、ロナルドお父様も喜んでいた。
私とヴェレリアお母様は頻繁に乗馬やオペラに観劇も楽しむ仲良し母娘になっている。
サーカスからの帰路、馬車内でコンスタンティン様とたくさんのおしゃべりをした。このままずっとこの時間が続けば良いのに。
「これからもたくさんの場所にグレイスを連れて行ってあげるよ。わたしはグレイスにずっと側にいてほしいと思っているのだよ」
(一生懸命勉強して、必ずポールスランド伯爵家やウォルフェンデン侯爵家を管理する総家政婦長(ハウスキーパー)になってみせるわ。そうしたらずっとコンスタンティン様のお側にいられるし、ポールスランド伯爵夫人のもとにも居られるわ。ヴェレリアお母様とも離れなくて済む)
家政婦長(ハウスキーパー)は女性使用人達の長となる立場だ。執事と同等の権限を持つ役職で、教養がなくては務まらない職業だ。
「私はずっと総家政婦長(ハウスキーパー)としてコンスタンティン様のお側にいます! 私の居場所はそこしかないと思っていますから」
真っ直ぐコンスタンティン様の目を見て私は決意表明をさせていただいた。
(あれ? コンスタンティン様が戸惑った顔をなさっている? そうか、もっと頑張らないと無理って意味かしら? もっともっと精進しなくちゃ!)
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
※ベリンダちょっこっと暗黒結婚生活。ベリンダ視点です。
10年の犯罪奴隷としての刑期を終えても私に幸福はいっこうに訪れない。幸福どころか平穏すらなく、常に暴力と搾取に怯える毎日だ。
「おい! もう金がねーぞ。お前が食堂の厨房で皿を洗うぐらいじゃぁ酒は足りねぇよ。もっと働け!」
すっかり自堕落になり、酒に溺れたデリクは悪態をつくしか能が無い。ボロボロのアパートで屋根は雨漏りがして夏は暑く冬は寒い。食べる物もままならないのに、デリクはお金が入ると酒を買ってしまう。
「自分も真面目に働くことを考えなよ。職に就いちゃぁすぐに辞めてくるの繰り返しじゃない? いつまでも貴族様気分でいられちゃぁ、こっちも迷惑なんだけどぉ?」
「なんだとぉーー! お前のせいだぞ。俺がこんなことになったのは全てお前のせいなんだぁーー」
身体を思いっきり突き飛ばされて馬乗りになって殴られる。私は殴られすぎて、今ではすっかり顔の原型が変わっていた。骨が折れ不自然な形に曲がった鼻に、暴力で折られた前歯とかぶれた後の色素沈着した肌。昔の可愛かった面影は全くない。
この悪魔から逃げても王命の離婚不可で役人が探し出し、またこの男の元に連れ戻される。これは死刑宣告と同じだ。
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