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続編 デリクの末路 デリク視点
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※デリクの末路ですが、二通りになります。途中からIF版が続きます。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
俺は海の上にいる。無理矢理、船に乗せられて高級魚を捕る為に波に揺られている最中だ。乗った当初は、船の揺れに対応できずに吐いてばかりいたが、今ではだいぶ慣れてきた。
しかし、なかなか慣れることができないのは、この狭すぎる船内のベッドだった。寝返りも満足に打てないのだ。隣のベッドとはカーテンで仕切られているだけでプライバシーなどないし、なにより隣に寝ている男のいびきと歯ぎしりに毎晩悩まされた。
(最悪だよ。なんで俺がこんな目に遭わなきゃならない? だいたい姉上とベリンダの奴がいけないんだ。俺はなにも悪くねーーのにっ)
☆☆
ある日、漁網に子供のイルカがひっかかり網が破けて、他の魚が逃げ出しそうになっていた。なんのためらいもなく、船長はイルカよりも網を優先しようとした。
「ちっ。こいつの尾を切って網の損傷を防ごう。新しい網をおろすのはもったいねーぜ」
「待ってくださいよ。俺の稼ぎから引いてもらって良いので、イルカを助けてください」
船員のほとんどがイルカを殺してしまうことに疑問を感じていない。俺は必死で船長に意見し、子イルカを網から逃してやった。
翌日、高波がきて船が転覆し船員全員が海に投げ出された。不運なことにサメが近くにいて、船長はまっさきに足を食いちぎられた。他の船員達も漏れなくサメの餌になる。
(あぁ、俺もここまでか・・・・・・海でサメに食われて終わりか・・・・・・くっそ! これも姉上達のせいだ。いや、元はといえば、父上や母上のせいかもしれないな。姉上を甘やかしすぎたんだよ。俺は少しも悪くないのに運が悪すぎた・・・・・・)
サメの鋭い歯が俺に迫ってくる。息ができなくて窒息死する前にサメに腹を食いちぎられて・・・・・・俺は海の底に沈んでいった・・・・・・おかしいよ、こんな死に方は納得できない・・・・・・
※IF版(こちらは更生編です)
サメの鋭い歯が俺に迫ってくる。意識がなくなりそうになった瞬間、サメに猛スピードで体当たりしたイルカに救われた。イルカの大群が人食いザメを囲み一斉攻撃を仕掛けたのだ。
次々とまるで俺を守るように、イルカ達がサメに立ち向かってくれるのはなぜだ?
(嘘だろう? サメとイルカが戦うなんてあり得るのか?)
不思議なことに、気づいたら異国の浜にうちあげられていた。イルカが俺を背中に乗せてくれたような記憶がよぎるが、あれは夢だったのかな。
それからイルカに興味を持ち、いろいろと調べてみると興味深いことがわかった。イルカは海に住んではいるが哺乳類であることと、驚くほど知能が高いらしいのだ。
子供や仲間を守る為にはサメにさえ闘いを挑むらしく、サメはあばら骨がないためにイルカから猛スピードで体当たりされたらひとたまりないらしい。しかもイルカは集団で応戦することもあるので、サメより強いとのことだった。
あの時のイルカが、俺を意図的に守ってくれたとしたら、助けてやった子イルカの親の恩返しかもしれない。きっとあのイルカ集団のボスが子イルカの親だったのだ。
義理堅いイルカに命を救われたと思った俺は、イルカに感謝と畏敬の念を抱いた。そんな気持ちが俺をこの異国に住み着かせ、水族館で飼育員として働かせる原動力となった。
イルカと毎日触れあっていると次第に心が和み、イルカも俺によく懐き、ちょっとした芸ができるようになった。イルカショーの誕生だ。
家族連れや恋人同士が俺とイルカの活躍を楽しみに来てくれるようになる。ちょっとこそばゆいような気持ちでいたが、イルカが人気者になるのが嬉しかった。
毎日が充実してイルカとの楽しい日々が続いた。貴族だった頃も忘れ、荒んだ生活をしていたことも忘れ、一心不乱に働いた。
だが、あの海の底でのサメに襲われそうになった恐怖だけは忘れなかった。だからこそ、死ぬまでイルカと関わっていたいと思うし、それが俺なりの恩返しだと思った。
それから長い歳月が過ぎた。姉上に似た女性が孫を連れてイルカショーを見に来た。息子夫婦に連れられて幸せそうに微笑んでいたよ。
俺もめっきり老人になりイルカショーは後輩に任せていた。それでも、ずっとイルカに関わっていたくて、イルカ博士なんて呼ばれながらも、管理職として勤務するようになった。
姉上に似た女性には声をかけなかったし、向こうも俺には話しかけてこなかった。異国の地に姉上が来るとも思えないから人違いかもしれない。だが、幸せそうでいた様子を心から喜べたのは不思議だった。
今の俺が幸せな証拠だな、と思う。人は自分が幸せでなければ人の幸せなんて喜べないから・・・・・・そう、俺はイルカに救われて生まれ変わったんだ。
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俺は海の上にいる。無理矢理、船に乗せられて高級魚を捕る為に波に揺られている最中だ。乗った当初は、船の揺れに対応できずに吐いてばかりいたが、今ではだいぶ慣れてきた。
しかし、なかなか慣れることができないのは、この狭すぎる船内のベッドだった。寝返りも満足に打てないのだ。隣のベッドとはカーテンで仕切られているだけでプライバシーなどないし、なにより隣に寝ている男のいびきと歯ぎしりに毎晩悩まされた。
(最悪だよ。なんで俺がこんな目に遭わなきゃならない? だいたい姉上とベリンダの奴がいけないんだ。俺はなにも悪くねーーのにっ)
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ある日、漁網に子供のイルカがひっかかり網が破けて、他の魚が逃げ出しそうになっていた。なんのためらいもなく、船長はイルカよりも網を優先しようとした。
「ちっ。こいつの尾を切って網の損傷を防ごう。新しい網をおろすのはもったいねーぜ」
「待ってくださいよ。俺の稼ぎから引いてもらって良いので、イルカを助けてください」
船員のほとんどがイルカを殺してしまうことに疑問を感じていない。俺は必死で船長に意見し、子イルカを網から逃してやった。
翌日、高波がきて船が転覆し船員全員が海に投げ出された。不運なことにサメが近くにいて、船長はまっさきに足を食いちぎられた。他の船員達も漏れなくサメの餌になる。
(あぁ、俺もここまでか・・・・・・海でサメに食われて終わりか・・・・・・くっそ! これも姉上達のせいだ。いや、元はといえば、父上や母上のせいかもしれないな。姉上を甘やかしすぎたんだよ。俺は少しも悪くないのに運が悪すぎた・・・・・・)
サメの鋭い歯が俺に迫ってくる。息ができなくて窒息死する前にサメに腹を食いちぎられて・・・・・・俺は海の底に沈んでいった・・・・・・おかしいよ、こんな死に方は納得できない・・・・・・
※IF版(こちらは更生編です)
サメの鋭い歯が俺に迫ってくる。意識がなくなりそうになった瞬間、サメに猛スピードで体当たりしたイルカに救われた。イルカの大群が人食いザメを囲み一斉攻撃を仕掛けたのだ。
次々とまるで俺を守るように、イルカ達がサメに立ち向かってくれるのはなぜだ?
(嘘だろう? サメとイルカが戦うなんてあり得るのか?)
不思議なことに、気づいたら異国の浜にうちあげられていた。イルカが俺を背中に乗せてくれたような記憶がよぎるが、あれは夢だったのかな。
それからイルカに興味を持ち、いろいろと調べてみると興味深いことがわかった。イルカは海に住んではいるが哺乳類であることと、驚くほど知能が高いらしいのだ。
子供や仲間を守る為にはサメにさえ闘いを挑むらしく、サメはあばら骨がないためにイルカから猛スピードで体当たりされたらひとたまりないらしい。しかもイルカは集団で応戦することもあるので、サメより強いとのことだった。
あの時のイルカが、俺を意図的に守ってくれたとしたら、助けてやった子イルカの親の恩返しかもしれない。きっとあのイルカ集団のボスが子イルカの親だったのだ。
義理堅いイルカに命を救われたと思った俺は、イルカに感謝と畏敬の念を抱いた。そんな気持ちが俺をこの異国に住み着かせ、水族館で飼育員として働かせる原動力となった。
イルカと毎日触れあっていると次第に心が和み、イルカも俺によく懐き、ちょっとした芸ができるようになった。イルカショーの誕生だ。
家族連れや恋人同士が俺とイルカの活躍を楽しみに来てくれるようになる。ちょっとこそばゆいような気持ちでいたが、イルカが人気者になるのが嬉しかった。
毎日が充実してイルカとの楽しい日々が続いた。貴族だった頃も忘れ、荒んだ生活をしていたことも忘れ、一心不乱に働いた。
だが、あの海の底でのサメに襲われそうになった恐怖だけは忘れなかった。だからこそ、死ぬまでイルカと関わっていたいと思うし、それが俺なりの恩返しだと思った。
それから長い歳月が過ぎた。姉上に似た女性が孫を連れてイルカショーを見に来た。息子夫婦に連れられて幸せそうに微笑んでいたよ。
俺もめっきり老人になりイルカショーは後輩に任せていた。それでも、ずっとイルカに関わっていたくて、イルカ博士なんて呼ばれながらも、管理職として勤務するようになった。
姉上に似た女性には声をかけなかったし、向こうも俺には話しかけてこなかった。異国の地に姉上が来るとも思えないから人違いかもしれない。だが、幸せそうでいた様子を心から喜べたのは不思議だった。
今の俺が幸せな証拠だな、と思う。人は自分が幸せでなければ人の幸せなんて喜べないから・・・・・・そう、俺はイルカに救われて生まれ変わったんだ。
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