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5 捕らえられた私
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ある日のことです。ブレイクの留守中に王家の騎士達がドヤドヤと私達のささやかな住まいにやって来ました。
先頭にはもちろんあのヘンリー王太子。私に目をキラキラさせて近づいてくるのでした。
「グレイス! 探したよ。魔物が人を食いだした。あいつらは凶悪で毎日人をさらっては食っているんだよ。罪のない国民が魔物のエサになってもいいのかい?」
「え? それは本当ですか? 魔物が人間を食べるなんて初めて聞きましたが、それは見過ごせませんね」
「最近の魔物は女性や子供を食べるのが好きなようだ。お願いだ! 魔物から、か弱い女性や子供を守ってくれ!」
そう言われては断るわけにはいきません。このヘンリー王太子を助ける気は少しもありませんが、民のそれも女子供が犠牲になっているのを見ないふりなどできません。
「わかりました。少しお待ちください。今、彼に手紙を書きますので」
さっさっと簡単に『民を守る為に聖女の勤めを果たしてきます』とだけ書いてヘンリー王太子の後に続いた。
ところが、森を出るとすぐに私は待機していた馬車に閉じ込められて封鎖されていた神殿に閉じ込められました。
「ここで、ずっとこの国の為に祈るんだ! 前とおなじようにな!」
ヘンリー王太子は誰もいないすっかり埃の被った神殿に、私を乱暴に押し込めると去って行こうとしたのでした。
「お待ちください! 襲われて怪我をした女性や子供の治癒に行かせてください。魔物に食べられるとすれば女性や子供達に魔物を弾く防御の魔法をかけてあげなければなりません」
「あぁ、あれは嘘だ。魔物が人間を食らうわけがないだろう? ここで今までどおり、魔物が悪さをしないように聖女の祈りを捧げろ!」
私はヘンリー王太子にまんまと騙されたのでした。
神官も侍女も一人もいない神殿はすっかりさびれており、庭園には草が生え放題。かつての賑わいは全くありませんでした。
私には聖女の加護があり、私に危害を加えることはできません。森の中からでも聖女の祈りはできるのですからここにいる必要はない気がしました。市井に魔物が来ないように祈ればいいだけのこと・・・・・・ここから逃げよう!
窓からこっそりと抜けだしほんの少しだけ歩いたこところで、すぐに王家の騎士達に取り囲まれてヘンリー王太子にこう脅されたのでした。
「お前が逃げたら一緒に住んでいるという男を殺してやろう。聖女は殺せないが猟師ならいくらでも殺せるからな! それから塔に幽閉しているお前の両親も殺すぞ!」
私はもう二度とあの森に帰れないのかと悲しくなりました。人間っておかしな生き物ですよね? 今まで当たり前にあの猟師と暮していたのにあの生活に戻れないとわかった今、とてもあの時間が愛おしく感じたのです。
優しく微笑むブレイクが私の為に花を摘んでくれたこと、彼の入れるお茶はとても美味しくて、二人で作る食事はけっして豪華ではなかったけれど笑い合い食べる味はどんなご馳走にも負けない味でした。
「ブレイク・・・・・・私・・・・・・あなたに側に帰りたい」
その言葉と同時にまばゆい光が私をおおったのでした。
先頭にはもちろんあのヘンリー王太子。私に目をキラキラさせて近づいてくるのでした。
「グレイス! 探したよ。魔物が人を食いだした。あいつらは凶悪で毎日人をさらっては食っているんだよ。罪のない国民が魔物のエサになってもいいのかい?」
「え? それは本当ですか? 魔物が人間を食べるなんて初めて聞きましたが、それは見過ごせませんね」
「最近の魔物は女性や子供を食べるのが好きなようだ。お願いだ! 魔物から、か弱い女性や子供を守ってくれ!」
そう言われては断るわけにはいきません。このヘンリー王太子を助ける気は少しもありませんが、民のそれも女子供が犠牲になっているのを見ないふりなどできません。
「わかりました。少しお待ちください。今、彼に手紙を書きますので」
さっさっと簡単に『民を守る為に聖女の勤めを果たしてきます』とだけ書いてヘンリー王太子の後に続いた。
ところが、森を出るとすぐに私は待機していた馬車に閉じ込められて封鎖されていた神殿に閉じ込められました。
「ここで、ずっとこの国の為に祈るんだ! 前とおなじようにな!」
ヘンリー王太子は誰もいないすっかり埃の被った神殿に、私を乱暴に押し込めると去って行こうとしたのでした。
「お待ちください! 襲われて怪我をした女性や子供の治癒に行かせてください。魔物に食べられるとすれば女性や子供達に魔物を弾く防御の魔法をかけてあげなければなりません」
「あぁ、あれは嘘だ。魔物が人間を食らうわけがないだろう? ここで今までどおり、魔物が悪さをしないように聖女の祈りを捧げろ!」
私はヘンリー王太子にまんまと騙されたのでした。
神官も侍女も一人もいない神殿はすっかりさびれており、庭園には草が生え放題。かつての賑わいは全くありませんでした。
私には聖女の加護があり、私に危害を加えることはできません。森の中からでも聖女の祈りはできるのですからここにいる必要はない気がしました。市井に魔物が来ないように祈ればいいだけのこと・・・・・・ここから逃げよう!
窓からこっそりと抜けだしほんの少しだけ歩いたこところで、すぐに王家の騎士達に取り囲まれてヘンリー王太子にこう脅されたのでした。
「お前が逃げたら一緒に住んでいるという男を殺してやろう。聖女は殺せないが猟師ならいくらでも殺せるからな! それから塔に幽閉しているお前の両親も殺すぞ!」
私はもう二度とあの森に帰れないのかと悲しくなりました。人間っておかしな生き物ですよね? 今まで当たり前にあの猟師と暮していたのにあの生活に戻れないとわかった今、とてもあの時間が愛おしく感じたのです。
優しく微笑むブレイクが私の為に花を摘んでくれたこと、彼の入れるお茶はとても美味しくて、二人で作る食事はけっして豪華ではなかったけれど笑い合い食べる味はどんなご馳走にも負けない味でした。
「ブレイク・・・・・・私・・・・・・あなたに側に帰りたい」
その言葉と同時にまばゆい光が私をおおったのでした。
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