ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

文字の大きさ
101 / 161
おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

52

しおりを挟む
陛下に謁見がかなったのは、寮に戻る1週間前だった。今回は、内密の話ということで、陛下、宰相、ジークハルト王太子殿下の3人との会談となった。


「神樹が是非、陛下に伝えてほしいことがあると言っていたことがありまして。」

と前置きをする。

「実は、砂漠化が進んでいる箇所は、魔獣のせいだとお伝えしたのですが、その魔獣は人為的に作られた生物だそうです。それらが通った後は、草木はもちろん、土の魔力すら全て食い尽くされるそうです。土自体も力をなくしてしまうから、草木も生えてこなくなるそうで。」

「そ、それはどんな魔獣なのか?」

と、陛下に問われた。

「スライムです。」

ジークハルト王太子殿下が、

「スライムって、川辺とかにいる、冒険者なりたてのものが倒す弱い魔獣のことか?」

「スライムをバカにしてはいけませんよ?神樹の話ではスライムは森のお掃除屋さんなんです。土で分解できないものとか、汚れたところとかを綺麗にしてくれます。だから、川の水も綺麗なんですよ?ただ、そのスライムは、何でも食べてしまうんです。草木も魔獣も魔力も。」

「それがなぜ?」

「人為的に作られたという話ですが、偶然の産物か、そういう研究の末に作られたかはわからないし、人物の特定はできないので、陛下の方で調査、処罰をしてほしいそうです。悪食・暴食が過ぎれば、周辺国にも影響が出ます。この国の神樹は、まだ魔力の相性が良い私がいますが、他の国では、神樹自体が枯れてしまい、国全体が砂漠化して、歴史から消えることもありえます。」

「…カイル。」

「直ちに、調査隊を結成します。ただ、騒ぎになると困りますので、影を使います。」

「うむ、頼んだ。」

私の手書きの地図を拡げて、

「大体出現箇所が、今確認できているのは、シュバルツバルト、グランダルですよね。これ、簡単に描いた地図なんですが、場所的に正反対なのに砂漠化の状況は、同じようです。そうなると自国の問題だけでもなさそうな気がして。」

「なるほど、それも加味して調査しましょう。」

「はい、よろしくお願いします。」

宰相は、編成の企画書を作ると言って、部屋を出ていった。

陛下とジークハルト王太子殿下と私が部屋に残った。
陛下はおもむろに、

「アオイは、いつ結婚式を挙げるのだ?」

と聞いてきた。

落ち着いたところで、お茶を一杯と口に含んだ瞬間に聞かれて、思わずブフッと吹き出してしまった。

「汚い!」

ジークハルト王太子殿下に怒られる。だって今のは、不意打ち過ぎて、吹いちゃったよ。

「失礼致しました。予定はございません。」

「ロイは遊びか?」

お兄ちゃん、おこですか?

「遊びではありません。真剣なお付き合いでございます。ただ、誰に聞いていいのかわからなかったのですが、私は前の世界で結婚していました。こちらの世界で、ロイさんとお付き合いするっていうことは、浮気・不倫に抵触するのですか?あちらの世界には戻れませんし、死亡扱いもされているはずです。向こうでは、死別になりますね。でもこちらだとどうなるんですかね?」

「んんー?どうなる、ジーク?」

「私では、わかりませんよ?そこは、王としての采配で、お願い致します。」

「んー、向こうで死別だけど、別れているということになっているなら、浮気でも不倫でもないような?体も若返ったし、向こうに戻れないのであれば、処罰の対象にはならない。と思う。」

「父上がそう仰るなら、そういうことになります。でも、学園辞めてすぐに式を挙げるかと思ったぞ。」

「いやいや、すぐに挙げませんて。きちんと3年間学園に通います。」

「そうなのか?」

「やっぱり、ロイは…。」

「遊びでないです。ただ、私が怖いんです。旦那という存在が。前の世界では、あまり良い扱いをされなかったので。ロイさんにも話してあります。ゆっくりでいいって言ってくれました。だから、すぐに式を挙げるとかはないです。」

「……。わかった。ロイがそう言うなら、そうしよう。ただ、婚約くらいはしてもらいたい。そうしないと、色々面倒というか厄介というか、な?」

「アオイ、とにかく婚約して欲しい。お前がいない間に、グランダルだけでなく、他の上位貴族からも釣書が届いて。夜会でも紹介してくれと、断るのも面倒で。」

『面倒』言っちゃっているよ、この人達。

「でも、婚約なんてしたら、世の貴族女性に恨まれるの私ですよ?」

「アオイ、『異世界あるある』だ!」

いい笑顔で言うな!

「そんな『あるある』ないです。……まあ、そこら辺は、ロイさんにお任せします。私は、ここでのやり方とかはわからないので。ただ、だまし討ちで結婚式も纏めてしたら、引き籠ります。そして、陛下と殿下に毎日、タンスに足の小指をぶつけますように祈ります!」

握りこぶしを作って、呪い?のようなお祈りをすると伝えた。

「ま、まあ、ロイとやり取りして決めてくれ。」




「ジーク、あの子怖い。」
「父上、私もです。」
「義妹になるのか……。」
「……頑張ってください。母上は喜びそうですが。」
「…だよなあ。」





アオイは、そんな親子の会話は知らない。




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

【完結】妻の日記を読んでしまった結果

たちばな立花
恋愛
政略結婚で美しい妻を貰って一年。二人の距離は縮まらない。 そんなとき、アレクトは妻の日記を読んでしまう。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

みんながみんな「あの子の方がお似合いだ」というので、婚約の白紙化を提案してみようと思います

下菊みこと
恋愛
ちょっとどころかだいぶ天然の入ったお嬢さんが、なんとか頑張って婚約の白紙化を狙った結果のお話。 御都合主義のハッピーエンドです。 元鞘に戻ります。 ざまぁはうるさい外野に添えるだけ。 小説家になろう様でも投稿しています。

女騎士と文官男子は婚約して10年の月日が流れた

宮野 楓
恋愛
幼馴染のエリック・リウェンとの婚約が家同士に整えられて早10年。 リサは25の誕生日である日に誕生日プレゼントも届かず、婚約に終わりを告げる事決める。 だがエリックはリサの事を……

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

処理中です...