ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【1年生】

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授業も始まり、また通常の生活に戻った。でも、2つ変わったことがある。

1つは、コンラッド殿下、ジークハルト王太子殿下の補佐官候補の誰か一人と必ず行動するようになった。護衛兼監視。監視が目的だと思うけど。
婚約者がいる方は事前にきちんと説明して、同意書にサインをもらってから、護衛兼監視役をしてもらっている。学園に婚約者がいた場合、エリー様からも説明していただいた。
いらんフラグは立てない。『あるある』の鉄則。
それに殿下2人は、『死にたくなかったら、一歩離れた距離を保て』と伝えていた。私に触ると死ぬのか、…ヤドクガエル扱いだよ。

もう1つは、上位貴族の令息令嬢から、お茶会や夜会のお誘いが大量にきた。全て断ったけど。
全て断ったため、廊下を歩けば、何とか話しかけてこようとする。でも、補佐官候補に止めてくれる。
今のところ、コンラッド殿下が睨みをきかせているクラスだけは、一切なかった。



「もうやだぁ。人が怖い!」

って昼食時に、エリー様に泣きついた。マジ泣きした。いっぱいいっぱいで、感情が爆発した。
休暇明けから3週間経った頃であった。一歩外に出れば、誰かしらに話しかけてこられる。気が休まらなくなっていた。
今日の魔法の合同授業なんて、見られ過ぎて、気持ち悪くなった。SAN値ピンチ!(この使い方で合っている?息子から教えてもらった。)

「ジークハルト様。」

エリー様がジークハルト王太子殿下に判断を求めた。

「アオイ、少しの間、シュバルツバルトに帰るか?」

「それはヤダ!逃げ出したみたいで、負けた気分になる!」

私は、エリー様に顔を埋めながら、イヤイヤした。

「城で静養するか?」

「…まだ、大丈夫。でも、今日はもう寮に戻りたい。見られ過ぎて気持ち悪い。」

「そうしよう。担任は俺から伝えるから。」

コンラッド殿下が言ってくれた。

3人共、食事を取らないで、私が落ち着くまで見守ってくれた。エリー様は私が泣いている間、ずっと頭を撫でてくれた。
マリアさんに迎えに来てもらい、寮に戻ることになった。

ドアのノック音がしたので、マリアさんが来たかと思ったら、ロイさんが入口にいた。

エリー様に引っ付いていた私は、ロイさんの顔を見た途端、駆け出した。

「ロイさん!ロイさん!」

胸に飛び込んだ私を抱きしめて、縦抱きにする。私はロイさんの肩口で、また泣き出した。ロイさんに背中を優しくポンポンされる。

「アオイ、ちょっと休もう。心が疲れているだろう?城に行こう?」

顔を埋めながら、コクンと頷く。久しぶりのロイさんの心臓の音を聴いて、安心して、すぐに眠ってしまった。




「ジーク、コンラッド、1週間アオイを城で静養させる。俺が使っていた離宮で休ませる。」

「お、叔父上、あそこは!」

「ジーク、大丈夫だ。兄上に許可を貰って、3日前からロバートを行かせて整えてもらっている。」

「…叔父上、申し訳ございません。このような事態になってしまい。」

「コンラッド、お前がまめに連絡をくれなければ、俺は動かなかった。それに、お前らがいなかったら、アオイは3日で引き篭もりになっていた。ありがとう。エリザベス嬢にも迷惑をかけた。」

「シュバルツバルト公、謝らないで下さい。…私達、アオイが好きだから、助けただけです。」

「…ああ、感謝する。」

「…アオイは、人目が苦手なんですか?」

「人目というより、決めつけられることをされるのが嫌いなんだ。今回は、魔力量が多いから、優秀な子供を産むだろうって思われたことが嫌だったんだろう。アオイは、もう子供を産めない体だから、尚更堪えたんだろう。」

「えっ、…そんな。」

「叔父上、私は、アオイから聞きました。」

「…知らなかった。」

「ジークは兄上と一緒の時に話したって言っていたな。詳しくは、ジークから聞いてくれ。お前達なら、アオイは話したことを許してくれるから。今日はこのまま、城に連れて行く。」

「わかりました。」

「迷惑かける。」

と、言ってアオイを大事に抱き抱えて、部屋から出て行った。



「俺、叔父上のあんな優しい顔、初めて見ました。」
「私もです。」
「私もだ。アオイもすんなりいうことを聞いていたし。」
「アオイの安心しきった寝顔が可愛かったわ。」
「アオイが可愛いと思う日がくるとは、…思わなかった。」
「1番の被害者だからな、おまえは。…1週間猶予はもらった。バカどもを抑えつける。」
「「はい!」」





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