ただ、好きなことをしたいだけ

ゆい

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おばちゃん学園に通っちゃいます!【2年生】

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目が覚めると、知らない天井だった。造りからは学園内だとは分かったけど。
頭が痛むので、起き上がれはしなかった。
ふーっと息を吐く。

「あら、起きたわね。」

美人なオネエさんが声をかけてきた。

「保険医のレオナ=ラングウェイよ。具合はいかが?」

「目は覚めましたが、頭が痛くて動きたくないです。」

「ちょっと失礼。」

と、私の首に手をあてる。脈と熱を測っているみたいだ。

「脈も熱も正常。なんで倒れたか覚えている?」

「はい。強い匂いを嗅ぐと頭が痛くなる体質なのですが、今朝急に強い匂いを嗅いでしまったためかと。」

「連れてきた人からも同じようなことを言っていたわ。」

「誰が私をここまで連れてきたんでしょうか?」

「コンラッド殿下、マクスウェルさん。後からルーベルトさんが来て倒れた時の状況を説明してくれたのよ。」

あとできちんと御礼を言おう。

「もう少し休んでいなさい。誰か迎えに来るように伝えたから、来たら寮で大人しく休んでね。念の為、明日も休むように担任には伝えておくわ。」

私は、その言葉に安心したのか、また目を閉じて寝始めた。

マリアさんが迎えに来てくれたので起こされた時は、頭痛も幾分か引いて歩けるくらいにはなっていた。
ベットからでて、支度を整え、先生に御礼を言って保健室を出ようとドアに向かう。
先生とすれ違った時に小声で言われた。男性らしい低い声で。

「久しぶりだね。サトウナツコさん。」と。

ばっと振り返り、彼を凝視した。

「お大事にね。」

さっきまでの保険医の声に戻っていた。
ラングウェイ先生は、にこやかな顔をして私を見送った。
その後、私は寮までどう戻ってきたか覚えていなかった。






「佐藤さん、日誌書き終わった?」

「もう少しで終わる。」

「こっちは黒板消し、クリーナーかけたから終わったよ。あとは日誌出して終わりだ。」

「…ねぇ、知っている?再来年から完全週休2日制になるんだって。」

「知っている。俺らが卒業してからじゃん。ズルいよな。」

「今は、第2・第4週の土曜だけ休みじゃない。それが土日休みか。」

「あんまり嬉しそうじゃないね。あっ、佐藤さん就職希望だっけ?珍しいよね、この学校で就職希望って。会社だと週休2日制なんてまだ夢のまた夢だもんな。親父が言っていた。」

「今も部活で日曜日もないんだけどね。」

「俺も大学行けたら、サッカー続けたいな。」

「小宮山君ならサッカー推薦でも行けるんじゃないの?」

「いや、無理。県大会決勝まで行くほど、うち強くないし。クラブに入っているわけでもないし。」

「……なんか好きなことを続けるって難しいよね。」

「俺ら、まだ子供だもんな。女子は16歳で結婚できるけど、今時16歳で結婚するっていないしな。義務教育は終わったけど、まだまだ親の庇護下にいる以上は子供だもんなぁ。結局は親の言うことをきかないとなんだよな。」

「就職したら、20歳になったら、好きなことできるかな?」

「わかんないけど、今よりは自由になるんじゃないの?」

「だと、いいね。」

「そうだな。…あっ、もうこんな時間だ!担任待っているよ。早く持って行こう。先輩に怒られる!」

「ごめん、長話しちゃった。私も怒られる!」







就職して、20歳過ぎたけど、何も変わらなかった。卒業後は自分の時間もお金もただ家族に搾取されているだけのように感じていた。
結婚しても変わらなかった。ただ、搾取する人が変わっただけだった。

1回だけでいいから可愛いワンピースを買ってみたかった。
オールで友達とカラオケをしたかった。
原宿でクレープ食べてみたかった。
就職したら、大人になったらできると思ったけど、どれ一つ叶わなかった。

ねぇ神様、私の好きなことってなんですか?





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