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第22話
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◆神坂冬樹 視点◆
美晴姉さんの距離感がおかしい。
前から好意的に思ってくれているのは感じていたけど、それは美波や神坂姉弟妹の姉としての立場から弟妹への好意の様なものだったけど、昨日からは異性として見られている様に思えてならない。
美晴姉さんはこどもの頃から身長が低く今でも150cmくらいで、姉さんが高校の時に中学生だった俺と並んでるとパッと見では俺の妹に見られるくらいには幼く見られることが多かったけど、立場で言うと俺らの姉であったので雰囲気は見た目どころか実年齢よりも高いくらいだった。
しかし、昨日からは今までのと質の違う好意をグイグイぶつけてくるので困惑しっぱなしだ。
整っている顔立ちで、背が低いながらも精神的な落ち着きから多くの人が好きになってしまうと思われるくらいには美人だし、そんな美晴姉さんから全力と思える勢いで好意をぶつけられれば意識せずにはいられない。ずっと姉と言う目で見ていたとは言え、他人ではあるので異性として見たことがまったくないわけではないし、とは言えやっぱり姉として見ていた時間が長いので自分でも何が何だかわからない状態に陥っている。
とにかく落ち着きたかったのもあり、話を聞いてみることにした。
「美晴姉さんにそう思ってもらっていると思ってなかったからびっくりしているけど、嬉しいのは間違いない・・・びっくりしているのだけど」
「そうだよね。突然こんなことを言われても困っちゃうよね。ごめんね」
「いや、謝らないで。本当に嫌じゃないし、困って・・・はいるけど、それは今まで全くそういう事を考えたことがなかったからで、混乱してるだけだから」
「それでもごめんね。でもさ、嫌じゃないっていうのは嬉しいな。私ね、ずっと前から冬樹くんのことが好きだったんだ。
でも、4歳というか4学年も離れてるじゃない。私が高校に進学した時だって冬樹くんは小学6年生だったし、それに美波のことを好きでいるのを察していたから、ずっと自分の気持ちを誤魔化してたんだ。
それで、昨日久し振りに冬樹くんを見たら、やっぱり異性として好きだなって思ったし、大学生と高校生なら高校生と小学生の時よりはずっとハードルが低いし、自分の気持ちを誤魔化すのをやめようって思ったんだ」
「そうなんですか、それは嬉しいですけど、美晴姉さんがそんな風に思っていてくれたなんて想像してなかったです」
「それは当然だよ。私がずっと隠していたんだから。むしろ知られてたらマズい高校生だったよ」
「たしかに、いくら女性でも高校生が小学生を好きと言ったら不審な目で見られてしまいますよね」
「でしょっ・・・それで、そんな大好きな冬樹くんが不安定な今ね、ひとりにしたくないんだ。わかってくれる?」
「わかりました。気持ちは嬉しいですけどやはりそれでも、高校生の俺が女性とふたりきりで住むのはまずいと思うんですよ」
「なに言ってるの。私はもう21歳の大人よ。自分の行動の責任くらいちゃんと取れるわよ」
「う~ん。わかりました。でも、美晴姉さんは学生なんだし小父さん小母さんの許可をもらってください」
「しょうがないなぁ。冬樹くんはホ~ント真面目だよね。
どちらにしても学校で使うパソコンとか置いてきちゃっているし、実家に取りに戻らないといけないから、その時に許可をもらってくるよ。
ところでさ、このマンション、すごく立派だけどいつまでも住めるの?家賃とか大丈夫なの?」
美晴姉さんの猛攻をなんとか凌いで・・・と言っても、たぶん許可をもらってくるんだろうなぁと思いながら、元々投資で個人資産を蓄えていてすぐ出せる現金を持っていることと、このマンションは分譲(賃貸は高校生では保証人なしで貸してもらえないから買うしかなかった)で、前の持ち主が早く現金化したくて相場よりもかなり割安で売り出していたのを即金で買ったから普通に時間をかけて買い手を探すだけで利益が出る状態だということを説明し、驚かれた。
『善は急げ』と言いながら美晴姉さんは実家へ戻っていって、家に着いたくらいの時間に岸元の小母さんから『美晴のこと、よろしくね』という電話を受けた。
美晴姉さんの距離感がおかしい。
前から好意的に思ってくれているのは感じていたけど、それは美波や神坂姉弟妹の姉としての立場から弟妹への好意の様なものだったけど、昨日からは異性として見られている様に思えてならない。
美晴姉さんはこどもの頃から身長が低く今でも150cmくらいで、姉さんが高校の時に中学生だった俺と並んでるとパッと見では俺の妹に見られるくらいには幼く見られることが多かったけど、立場で言うと俺らの姉であったので雰囲気は見た目どころか実年齢よりも高いくらいだった。
しかし、昨日からは今までのと質の違う好意をグイグイぶつけてくるので困惑しっぱなしだ。
整っている顔立ちで、背が低いながらも精神的な落ち着きから多くの人が好きになってしまうと思われるくらいには美人だし、そんな美晴姉さんから全力と思える勢いで好意をぶつけられれば意識せずにはいられない。ずっと姉と言う目で見ていたとは言え、他人ではあるので異性として見たことがまったくないわけではないし、とは言えやっぱり姉として見ていた時間が長いので自分でも何が何だかわからない状態に陥っている。
とにかく落ち着きたかったのもあり、話を聞いてみることにした。
「美晴姉さんにそう思ってもらっていると思ってなかったからびっくりしているけど、嬉しいのは間違いない・・・びっくりしているのだけど」
「そうだよね。突然こんなことを言われても困っちゃうよね。ごめんね」
「いや、謝らないで。本当に嫌じゃないし、困って・・・はいるけど、それは今まで全くそういう事を考えたことがなかったからで、混乱してるだけだから」
「それでもごめんね。でもさ、嫌じゃないっていうのは嬉しいな。私ね、ずっと前から冬樹くんのことが好きだったんだ。
でも、4歳というか4学年も離れてるじゃない。私が高校に進学した時だって冬樹くんは小学6年生だったし、それに美波のことを好きでいるのを察していたから、ずっと自分の気持ちを誤魔化してたんだ。
それで、昨日久し振りに冬樹くんを見たら、やっぱり異性として好きだなって思ったし、大学生と高校生なら高校生と小学生の時よりはずっとハードルが低いし、自分の気持ちを誤魔化すのをやめようって思ったんだ」
「そうなんですか、それは嬉しいですけど、美晴姉さんがそんな風に思っていてくれたなんて想像してなかったです」
「それは当然だよ。私がずっと隠していたんだから。むしろ知られてたらマズい高校生だったよ」
「たしかに、いくら女性でも高校生が小学生を好きと言ったら不審な目で見られてしまいますよね」
「でしょっ・・・それで、そんな大好きな冬樹くんが不安定な今ね、ひとりにしたくないんだ。わかってくれる?」
「わかりました。気持ちは嬉しいですけどやはりそれでも、高校生の俺が女性とふたりきりで住むのはまずいと思うんですよ」
「なに言ってるの。私はもう21歳の大人よ。自分の行動の責任くらいちゃんと取れるわよ」
「う~ん。わかりました。でも、美晴姉さんは学生なんだし小父さん小母さんの許可をもらってください」
「しょうがないなぁ。冬樹くんはホ~ント真面目だよね。
どちらにしても学校で使うパソコンとか置いてきちゃっているし、実家に取りに戻らないといけないから、その時に許可をもらってくるよ。
ところでさ、このマンション、すごく立派だけどいつまでも住めるの?家賃とか大丈夫なの?」
美晴姉さんの猛攻をなんとか凌いで・・・と言っても、たぶん許可をもらってくるんだろうなぁと思いながら、元々投資で個人資産を蓄えていてすぐ出せる現金を持っていることと、このマンションは分譲(賃貸は高校生では保証人なしで貸してもらえないから買うしかなかった)で、前の持ち主が早く現金化したくて相場よりもかなり割安で売り出していたのを即金で買ったから普通に時間をかけて買い手を探すだけで利益が出る状態だということを説明し、驚かれた。
『善は急げ』と言いながら美晴姉さんは実家へ戻っていって、家に着いたくらいの時間に岸元の小母さんから『美晴のこと、よろしくね』という電話を受けた。
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