学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

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第76話

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神坂春華かみさかはるか 視点◆

新学期の2日目、お姉を見送ったあと美波みなみちゃんの部屋へ行き一緒に勉強をすることにした。

あたしも美波ちゃんも勉強ができる方ではあるのでわからないところを聞き合うということもほとんどなく黙々と進め、お互いに切りの良いところで少し休憩を入れる様にしていた。

お昼になって、ランチを食べながら学校での様子を話しお互いに今後どうしようかという話になった。


「高卒認定受けたいけど、今からだと今年の試験は間に合わないんだよね。
 こんなことならフユが受けるって聞いた時に申し込んでおけばよかったよ」


「春華ちゃんはそんなことになるなんて想像もできなかったんだからしょうがないよ。
 わたしは締め切りに間に合ったから申込みだけはしてあるよ」


「そうなんだ。たしかに美波ちゃんのあれは夏休み前だったから締め切りに間に合ったもんね。
 あたしは来年まで待つか迷っているけど、学校へ行くのが怖いから視野に入れないといけないかなって思ってるんだ」


「うん、わたしも学校へ行くのは怖いかな。人の噂も七十五日とは言うけど、わたしの場合は変な動画も出回っちゃっているからほんと嫌だ。
 もう行かないつもりで高卒認定試験に申し込んだし、春華ちゃんも受けるのならわたしも協力するよ」


「ありがとう。とりあえず、試験を受けたら感触を教えてね。
 それにしても、全然食べてないけど大丈夫?夏バテ?」


「う~ん、ここのところ全然食欲がわかないんだよね。
 サプリも飲んでるから栄養は大丈夫だと思うけど・・・」


「サプリかぁ。でもフユが『栄養素は食事からちゃんと摂らないと』って言ってちゃんとした料理を用意してくれてたから飲んだことないし、抵抗感あるんだよね」


「たしかに、食事から摂った方が良いとは言われてるよね」


「うん、フユの料理全然食べてないからなぁ・・・泊まりに行った日だって久しぶりだったし、あれから1度もないし・・・
 あたしが悪いんだけど、ほんと鷺ノ宮さぎのみやが憎たらしいよ」


「そ、そうだね・・・」


「どうしたの?すごく顔色悪くなったよ!
 鷺ノ宮と何かあったの!?」


「何もないよ!急に名前を聞いて驚いただけだから!」


「そ、そう?ごめんね。嫌な奴の名前なんか出して」


「ううん。わたしが神経質になりすぎてるだけだから・・・気にしないで」


「わかった。でも、ほんと顔色悪いから今すぐ休んだ方が良いよ。
 あたしは邪魔にならない様に戻るね」


「まだお昼なのに帰らせちゃってごめんね」



家に戻りながら美波ちゃんの部屋で見ちゃった産婦人科のパンフレットはやっぱり鷺ノ宮が関係しているのではないかと思ったけど、お姉に相談して良いものかすら悩ましいと思った。



◆鷺ノ宮隆史たかし 視点◆

今日は珍しく姉貴がひとりで面会にやってきた。


「隆史、元気にしてた?」


「身体だけはなんとか・・・」


「そうよね。これで心も元気とか言ったら被害者のたちに失礼よね。
 最低限のモラルは残っていたようでホッとしたわ」


「姉貴・・・ごめん・・・」


「あまり時間もないから手短に言うわね。
 お父さんは正式に会社を辞めて無職になったわ。次の仕事を探しているけど、今までが良い条件だったし隆史のことがあるから同じくらいの条件の仕事は諦めてるみたい。
 お母さんは引っ越しやあなたのしたことの対応をしているうちにノイローゼになってしまったから、川崎の実家に行ってもらっておばあちゃんに面倒を見てもらってる」


「そんな・・・」


「私はね、義之よしゆきさんとの婚約は破棄して、式のキャンセル料は全部私持ちになったわ。
 義之さんは最後までご両親を説得し続けてくれてたんだけど、少し前に芳川よしかわさんのお兄さんがうちに来て『妹の人生を滅茶苦茶にした奴の家族が幸せになるのは許せない』って言われてね、たしかに義之さんが良くても私が『結婚して幸せです』なんてダメだなって思って、私から破棄してもらったの」


「っ!」


「あと、私の会社にも『犯罪者の身内を雇っているのか』というクレームの電話が何度かかかってきたのもあって退職を促されて辞めることになったの。今は有給休暇を消化させてもらっているところね。
 それと今までの女の子たちの分とは別に神坂さんからの慰謝料請求も来ていて、今の状況だとまともに払えないから・・・
 このあと風俗の面接に行く予定なの。ほら、自分で言うのは難だけど、私って見た目はけっこう良いからなんとかなるかなってね」


「ごめん・・・姉さん・・・ほんとにごめん」


「それからね・・・」


限られた面会時間なので事務的になったが、俺と一緒に捕まった友人や部活の仲間たちは大なり小なり家族が不幸になっていることを話してもらった。

俺のせいで婚約破棄に加えてお金の工面で風俗で働くハメになったというのに、原因の俺に対して恨み言の一つも言わずに淡々と語る姉貴の顔をまともに見ていられなくなった。


「泣いてるのね。話を聞いて泣けるくらいには人の心が残っていたようで、姉さんは少しホッとしたわ」


姉貴に言われて気付いたがいつの間にか泣いていた。気恥ずかしくもあったけど、今更なにを取り繕うというのかという気持ちにもなっていた。


「私は隆史のお姉ちゃんだから手伝ってあげるけど、償うのは隆史がやらないと駄目よ。
 これから新しい生活を送るから次いつ会いに来れられるかわからないけど、ちゃんと前を向いて頑張るのよ」


「うん・・・わかった」



何も悪いことをしていない姉貴や両親が不幸になったのは俺の罪だ・・・でも、その原因は二之宮凪沙にのみやなぎさに他ならない。あの女だけは絶対に許さない・・・そう心に誓った。
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