転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

542.大会戦14

ハルバートを突きを高速でトロルに向かって繰り出すヴェル。
その突きをトロルは受けるが気にせず手に持つ巨大な棍棒を
ヴェルに向けて振り下ろした。

7面メイスを横なぎに振り回す誠一。
メイスを粗末な剣でホブゴブリンは受けた。
剣はメイスに砕かれ、そのまま脇腹にメイスの一撃を受けた。
ホブゴブリンはうめき声を上げた。
誠一は間髪を入れずにホブゴブリンの右肩口にメイスを打ちおろした。
ぼこっという音が鳴るとホブゴブリンはその場に倒れて動かなくなった。

「ちっ」
それを横目にヴェルは舌打ちをした。
厚い脂肪に阻まれて、何度も斬ろうが突こうがヴェルは致命傷を
トロルへ与えることが出来なかった。

誠一は3匹目のホブゴブリンを倒して、
3匹のオーガと相対していた。
オーガたちは誠一を難敵と見なしたのか牽制するだけで
安易に攻撃を加えなかった。

　少し距離を取った誠一は、魔術を唱えた。
誠一の上空に白色の槍の様な物が二つ浮いていた。

「眼前の全てを突貫せよ、風の槍。エアジャベリン」

宙に浮く二槍が凄まじい勢いでオーガとトロルに向かって飛翔した。
トロルの頭部が吹っ飛び、頸から血が吹き上がった。
一匹のオーガは胸に穴を開けてその場にどさりと倒れた。

「くっアルの野郎。俺の得物を奪いやがって。
ハアアッ3段突き」
ヴェルのハルバートが3度同じ軌跡を描いてオーガを突いた。
よろめいたオーガに向けてヴェルはハルバートを
横なぎに振り回して切り刻んだ。
腹部より臓物と血を垂れ流してそのままオーガは倒れた。
「これは俺の情けだ。苦しまずに逝け」
ヴェルはオーガの心臓部を突き刺した。

これらの様子を見ていた残りの一匹のオーガは、
全速全力で逃亡を試みた。

「駄目じゃんよ。二人とも余裕を見せ好きだって」
オーガの背後に突如としてサリナが現れた。
サリナはそのまま短剣を突き刺した。
振り向いたオーガは叫ぼうとしたのだろうが、
声にならなかった。そして全身が震え出していた。

「流石、オーガね。常人なら昏倒するところだけど、
まあでもこれで勝負ありでしょ」
サリナは短剣からレイピアに持ち替えると、
オーガを切り刻んだ。
刻まれたオーガの肉体は血が溢れ出ていた。
オーガは地に臥した。

「くそっ。ジェイコブの野郎を取り逃がしたか」
ヴェルはその場で地団駄を踏んだ。
ジェイコブはどこから調達したのか馬に騎乗して
地平線の彼方向こうに走り去っていた。

「部下を見捨てた上に戦場を放棄して、後々、問題にならないのかな」
誠一は他人事ながら、考え込んでしまった。

「負けたら、処罰もへったくれもあるかよ。
ダンブルから完全に独立するんじゃねえ」
誠一はそれもそうかと納得の表情で
崩壊したジェイコブの軍を眺めた。