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番外編 お仕置きして⑥熊狩視点
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(熊狩視点)
サブスペースに入ったSubの反応は人それぞれと千差万別だけど、琥太郎の場合はとにかく甘えたがりになるらしい。
何回も自分からキスしてってせがんでくる、目をハートにして俺を好き好きと言ってくれる。
(久しぶりにサブスペースに入ってくれた、俺も嬉しいよ)
軽くとはいえお仕置きしたことでパートナーとしての信頼関係が深まったのかもしれない。
無防備で甘えん坊。こんな姿は俺だけが知っていればいい。誰にも見せてやるもんか
(……)
そう思う反面、どうしてだろう。せっかく腕の中に寛いでる恋人がいるってのに、少しだけ意地悪したい衝動に駆られるのは…。
「琥太郎。そろそろコンビニにアイス買いに行きたいんだけど」
「だめ、いっちゃヤだ」
ヤだ…っ……!?!?
何度も絶頂を迎えた琥太郎は体力を使い切っての満身創痍だ。それでも『熊狩だけズルい、オレも行きたい…!』って駄々を捏ねると思いきや、予想外のそれもクッソかわいい返事に面喰らってしまった。
「でも買いに行かなきゃ琥太郎の好きなチョコ味ないよ?」
「……いらない。勝利が、離れる方が無理」
「(んぐっ)。えー、そんなにいて欲しいのか?」
「いてよ…、意地悪しないで」
ぐりぐりと俺の胸板に縋りついてくる。
普段アイスを楽しみにして耳をぴくぴくさせてる琥太郎が、俺といることを優先してる!?
アイス食べてる最中は琥太郎にとって至福タイムで、絶対触らせてくれないほどなのに!!
(なにこの超絶可愛い生き物!付き合ってるけど付き合ってほしい、いっそ結婚してもらいたいっ…!)
「無理。俺も離れるの無理だ」
どこにだっていくもんか。
たまらずぎゅーーっと琥太郎の小さな体を包み込む。
此処は、俺と琥太郎の空間だ。
他の誰にも邪魔をさせたくない。いないはずの"Dom"にザワザワと鳥肌が立つ。
妄想の中でも仄暗い警戒心にグレアが出てしまったのか、ピクンと琥太郎が反応した。
「んぅ、しょうり…?」
「…ごめん。痕だらけにしちゃって、痛くなかった?」
キスマークに歯形。大事な恋人に噛み跡をつけたなんて信じられない。
――――そして、そのほんのり色づいた琥太郎の肌を見て、とてつもなく満たされている俺がいた。
「ううん。…気持ちよかった。オレ、ちゃんと勝利のだから」
「琥太郎…」
琥太郎はこんなにも俺の事を恋人としてもパートナーとしても信頼して認めてくれている。
やっぱり渡すタイミングは、今しかない。
「渡したいものがあるんだけど、ちょっと離れていい?」
「………」
「ちょっとだけ、ほんとすぐ戻る」
「うん、…」
お互い名残惜しそうに離れるけど、用事のある行き先なんて目の鼻の先にある引き出しだ。
(あー、ヤッベぇ… 緊張でめっちゃ手が震える)
こんなに震えたのは何年ぶりだ?
意気地なしの手を叱咤してラッピングされた箱を掴むとベッドの上でまだボーッとしている琥太郎に差し出した。
「…?」
「琥太郎へのプレゼントだよ。受け取ってくれないか?」
真っ白な箱に大きな赤いリボン。
なんとなく分かりそうなのに琥太郎はまだ意味が分かってないらしい。「?」と可愛らしく首を傾げて、ゆっくりとリボンを解き―――箱を開けた瞬間、琥太郎の瞳が大きく揺れた。
「これって、カラー?」
「そうだよ。俺から琥太郎への、心を込めての贈り物」
ドキドキより、バクバクッてずっと心臓の音がうるさい。
軽くてアレルギー反応も出ずらい。さらに長時間つけてても蒸れにくい高性能な革製品。Subに一番人気の商品だってすすめられたんだけど、どうしよう、まだ首輪なんていらないって言われたら…
ごくりと唾を飲んで琥太郎からの返事を促した。
「受け取ってくれる?」
「こんな高そうなもの、オレに?ほんとうに?」
「冗談で渡すもんか。俺につけされてくれる?」
「……うん。つけて、勝利の手で、つけて欲しい」
ぽろっと落ちる涙まで、ほんとう綺麗だな君は。
緊張よりも、とても背徳的な時間に思えて、ぞくりと鳥肌が立った。
「全然、苦しくない…。ほんとについてる?」
「勿論。あ、それGPSもついてるから」
「え、うそ。外して」
「はは。さすがに冗談だよ」
いくら独占欲が強くたってそんなことするわけないじゃん。
せいぜいチェックしてるのはスマホの履歴くらいだよ。
「熊狩の冗談って本当ぽいから」
「あれ?もう勝利って呼んでくれないんだ?」
いつの間にかサブスぺも終わってしまったらしい。琥太郎にんーっとキスしようとすれば、条件反射のように胸板に手をつかれてしまった。
えぇ~~??
さっきまでの甘い雰囲気は一体どこへ??せっかく気持ちが通じ合ったっていうのに…
「なぁ呼べよ。琥太郎だって、まだしたいだろ?」
「……アイス食べたい」
「だーめ。今はアイスより俺だろ?明日はしっかり面倒みるから、もう諦めろ」
不出来な息子にスイッチが入ってしまった。
歯痒くってカリッと、愛おしさ余って首輪を噛めば拒絶の声があがった。
「だめ、それ…!首輪、噛まないで!」
「いいじゃん。もしボロボロになってもまた買い直すから」
「ダメだ、大事にしたいのに…!」
んー、わかってないなぁ。
首輪に噛み跡をつけるDomがいると分かれば、まず普通のDomは絶対琥太郎に手を出そうとか考えない。
これは一目でわかる牽制だ。
このSubに手を出せば、どうなるか分かってんだろうな?という。
「首輪より、俺を大事にしろよ」
「ひ、あっ…、ばかっ、熊狩の、ばかっ…!」
「あ、悪い」
まだ敏感な肌はすぐ昂る。
琥太郎がとろんとした表情で、でも顔を真っ赤にさせて俺を睨んでいた。
「うゔ~~、も、やなのに…っ」
「セーフワード使わない琥太郎が悪い」
そっと柔らかい太ももに噛みつけば、ひゃんと可愛い声だ。
(待ってろ。そのうち…指の方にも輪っかをつけやるからな)
何ならそっちの方が本命だけど
楽しみだなぁ と小さな笑みを浮かべた。
―――――――――――――
番外編 END
サブスペースに入ったSubの反応は人それぞれと千差万別だけど、琥太郎の場合はとにかく甘えたがりになるらしい。
何回も自分からキスしてってせがんでくる、目をハートにして俺を好き好きと言ってくれる。
(久しぶりにサブスペースに入ってくれた、俺も嬉しいよ)
軽くとはいえお仕置きしたことでパートナーとしての信頼関係が深まったのかもしれない。
無防備で甘えん坊。こんな姿は俺だけが知っていればいい。誰にも見せてやるもんか
(……)
そう思う反面、どうしてだろう。せっかく腕の中に寛いでる恋人がいるってのに、少しだけ意地悪したい衝動に駆られるのは…。
「琥太郎。そろそろコンビニにアイス買いに行きたいんだけど」
「だめ、いっちゃヤだ」
ヤだ…っ……!?!?
何度も絶頂を迎えた琥太郎は体力を使い切っての満身創痍だ。それでも『熊狩だけズルい、オレも行きたい…!』って駄々を捏ねると思いきや、予想外のそれもクッソかわいい返事に面喰らってしまった。
「でも買いに行かなきゃ琥太郎の好きなチョコ味ないよ?」
「……いらない。勝利が、離れる方が無理」
「(んぐっ)。えー、そんなにいて欲しいのか?」
「いてよ…、意地悪しないで」
ぐりぐりと俺の胸板に縋りついてくる。
普段アイスを楽しみにして耳をぴくぴくさせてる琥太郎が、俺といることを優先してる!?
アイス食べてる最中は琥太郎にとって至福タイムで、絶対触らせてくれないほどなのに!!
(なにこの超絶可愛い生き物!付き合ってるけど付き合ってほしい、いっそ結婚してもらいたいっ…!)
「無理。俺も離れるの無理だ」
どこにだっていくもんか。
たまらずぎゅーーっと琥太郎の小さな体を包み込む。
此処は、俺と琥太郎の空間だ。
他の誰にも邪魔をさせたくない。いないはずの"Dom"にザワザワと鳥肌が立つ。
妄想の中でも仄暗い警戒心にグレアが出てしまったのか、ピクンと琥太郎が反応した。
「んぅ、しょうり…?」
「…ごめん。痕だらけにしちゃって、痛くなかった?」
キスマークに歯形。大事な恋人に噛み跡をつけたなんて信じられない。
――――そして、そのほんのり色づいた琥太郎の肌を見て、とてつもなく満たされている俺がいた。
「ううん。…気持ちよかった。オレ、ちゃんと勝利のだから」
「琥太郎…」
琥太郎はこんなにも俺の事を恋人としてもパートナーとしても信頼して認めてくれている。
やっぱり渡すタイミングは、今しかない。
「渡したいものがあるんだけど、ちょっと離れていい?」
「………」
「ちょっとだけ、ほんとすぐ戻る」
「うん、…」
お互い名残惜しそうに離れるけど、用事のある行き先なんて目の鼻の先にある引き出しだ。
(あー、ヤッベぇ… 緊張でめっちゃ手が震える)
こんなに震えたのは何年ぶりだ?
意気地なしの手を叱咤してラッピングされた箱を掴むとベッドの上でまだボーッとしている琥太郎に差し出した。
「…?」
「琥太郎へのプレゼントだよ。受け取ってくれないか?」
真っ白な箱に大きな赤いリボン。
なんとなく分かりそうなのに琥太郎はまだ意味が分かってないらしい。「?」と可愛らしく首を傾げて、ゆっくりとリボンを解き―――箱を開けた瞬間、琥太郎の瞳が大きく揺れた。
「これって、カラー?」
「そうだよ。俺から琥太郎への、心を込めての贈り物」
ドキドキより、バクバクッてずっと心臓の音がうるさい。
軽くてアレルギー反応も出ずらい。さらに長時間つけてても蒸れにくい高性能な革製品。Subに一番人気の商品だってすすめられたんだけど、どうしよう、まだ首輪なんていらないって言われたら…
ごくりと唾を飲んで琥太郎からの返事を促した。
「受け取ってくれる?」
「こんな高そうなもの、オレに?ほんとうに?」
「冗談で渡すもんか。俺につけされてくれる?」
「……うん。つけて、勝利の手で、つけて欲しい」
ぽろっと落ちる涙まで、ほんとう綺麗だな君は。
緊張よりも、とても背徳的な時間に思えて、ぞくりと鳥肌が立った。
「全然、苦しくない…。ほんとについてる?」
「勿論。あ、それGPSもついてるから」
「え、うそ。外して」
「はは。さすがに冗談だよ」
いくら独占欲が強くたってそんなことするわけないじゃん。
せいぜいチェックしてるのはスマホの履歴くらいだよ。
「熊狩の冗談って本当ぽいから」
「あれ?もう勝利って呼んでくれないんだ?」
いつの間にかサブスぺも終わってしまったらしい。琥太郎にんーっとキスしようとすれば、条件反射のように胸板に手をつかれてしまった。
えぇ~~??
さっきまでの甘い雰囲気は一体どこへ??せっかく気持ちが通じ合ったっていうのに…
「なぁ呼べよ。琥太郎だって、まだしたいだろ?」
「……アイス食べたい」
「だーめ。今はアイスより俺だろ?明日はしっかり面倒みるから、もう諦めろ」
不出来な息子にスイッチが入ってしまった。
歯痒くってカリッと、愛おしさ余って首輪を噛めば拒絶の声があがった。
「だめ、それ…!首輪、噛まないで!」
「いいじゃん。もしボロボロになってもまた買い直すから」
「ダメだ、大事にしたいのに…!」
んー、わかってないなぁ。
首輪に噛み跡をつけるDomがいると分かれば、まず普通のDomは絶対琥太郎に手を出そうとか考えない。
これは一目でわかる牽制だ。
このSubに手を出せば、どうなるか分かってんだろうな?という。
「首輪より、俺を大事にしろよ」
「ひ、あっ…、ばかっ、熊狩の、ばかっ…!」
「あ、悪い」
まだ敏感な肌はすぐ昂る。
琥太郎がとろんとした表情で、でも顔を真っ赤にさせて俺を睨んでいた。
「うゔ~~、も、やなのに…っ」
「セーフワード使わない琥太郎が悪い」
そっと柔らかい太ももに噛みつけば、ひゃんと可愛い声だ。
(待ってろ。そのうち…指の方にも輪っかをつけやるからな)
何ならそっちの方が本命だけど
楽しみだなぁ と小さな笑みを浮かべた。
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