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【黒の創造召喚師 ―Closs over the world―】
第020話 ゴミはゴミ箱へ、クズはくずカゴへ①
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4月も下旬に差し掛かろうとする頃。ツグナたちが白桜学院の生徒となってから2週間あまりの時が過ぎた。
当初はどこかよそよそしい雰囲気に包まれていたクラスも、学校生活が始まれば割と早く落ち着きを見せた。
初日に「気疲れした」と訴えていたアリアとキリアも、少しずつではあるがクラスの雰囲気に馴染んできており、折に触れて授業の話やクラスメイトの話が話題に上って来ている。
そうしたなか――
(はぁ……ったく。またかよ……)
朝、ソアラたちと一緒に登校したツグナは、机の中に入っていた手紙の存在に気付くと、げんなりとした表情で心の中にため息を吐く。中から取り出した手紙には差出人の記載はない。ツグナはゆっくりと席を立つと、手にした手紙を中身も見ずにゴミ箱に放り込んだ。
「え゛っ……? また入ってたのかい?」
欠伸を噛み殺しながら自席に戻る途中、ツグナの横から声がかけられる。
「あぁ、まぁそうだろうな。中身を見てないからどんなことが書いてあったのかは知らんが」
いい加減にしてくれ、とでも言いたげな調子で返すツグナに、声をかけた茶髪の男子生徒がクスクスと笑いながら口を開く。
「そんなことができるのは、おそらく継那くらいだと思うよ? 僕なら見もしないで捨てるというのは無理だね。どんな仕返しがあるか分かったもんじゃない」
「そぉかあ? 気分を害すると分かってて開けるってのは、罰ゲームもんだろう、彰彦」
席に着いたツグナは、ため息混じりに前の席に座る小野寺彰彦に言葉を返す。
彰彦はツグナと同じ白桜学院の普通科所属の生徒で、初日にクラスメイトとしての挨拶をしてから妙に意気投合した生徒の一人だった。笑う彰彦にカリカリと頭を掻きながらため息を吐くツグナに、別の声が混じる。
「継那よぉ、確かに気分がいいもんじゃないだろうが、それでも見ないで捨てるのは後で面倒なことになるんじゃないか? ただでさえ、俺たちは普通科なんだからな」
ツグナが声のした方に顔を向けると、そこにはがっしりとした体格の男子生徒が立っている。短く刈り込んだ黒髪に、やや吊り上がった目のその生徒は、名を「本城瑞基」と言い、ツグナや彰彦と同じ普通科の生徒である。
「普通科だから、ねぇ……このクラスが別の『特化クラス』とは違うからって、なんで『半端者』とか言うかねぇ? 同じ学院の生徒だっつうのに」
「さあな。自分たちは『適性』があるとか、『才能』があるとか見せつけたいからじゃないか? 実際、特進II類のクラスの連中は、大会では何度も優勝するほどだし、プロや実業団からのオファーを受けているヤツもいるしな」
「へぇ……」
ツグナは瑞基の言葉に、興味なさそうな態度で適当に相槌を打った。
彼の言葉にもあるように、ツグナの所属する普通科は、他のコースである特進I、II類や外国語学科といった「特化クラス」から冷めた目で見られる存在だった。
半端者、凡庸……などと陰口を叩かれる普通科の生徒たちだったが、もはやその言葉に何の感情も湧かない。
技術は特進I類に、スポーツは特進II類に、国際的交流は外国語学科に……と、華々しい活躍を見せるのは、いずれも特化クラス所属の生徒なのだ。
これまでに築き上げた実績があるからこそ、普通科の生徒たちは何も言えない――いや、言わない。
「それで、だ。彰彦、今日は何通来ると思う?」
机の上に頬を乗せ、朝からテンションだだ下がりなツグナを尻目に、瑞基はニヤリと口の端を持ち上げながら隣の彰彦に問いかける。
「えぇっと……今のところの最高記録が15だっけ? なら……無難に10くらいかなぁ」
「ほうほう、慎重だねぇ。なら、俺は20だな。より近い数の方が勝ち。負けた方は……明日の昼、購買でカツサンドを買ってくること。どうだ?」
「いいよ。でも、大丈夫かい? このところ、負け越しみたいだけど?」
当人を見ながら、彰彦と瑞基の間でツグナのもとにやって来る手紙の数を対象とした賭けが成立する。
「お前ら……他人事だからって楽しそうに。毎度毎度、寄越されるこっちの身にもなってみろよ……」
覇気のない声音で呟くツグナに、賭けを成立させた両人は悪戯っぽい笑みを浮かべながら口を開く。
「だって、ねぇ……こんなに僕たちのクラスが注目されることはないし」
「それに、送り主の言い分も……分からんでは無いしなぁ。継那の家族……ありゃあ反則だ。他人から見れば、あんな美人揃いの輪の中に入ってるのが、さぞ羨ましくて妬ましいんだろうよ」
瑞基の言葉に、ツグナは「勘弁してくれよ……」と脱力気味に答える。そんな彼の脳裏には、初めて手紙を受け取った時のことが思い返されていた。
当初はどこかよそよそしい雰囲気に包まれていたクラスも、学校生活が始まれば割と早く落ち着きを見せた。
初日に「気疲れした」と訴えていたアリアとキリアも、少しずつではあるがクラスの雰囲気に馴染んできており、折に触れて授業の話やクラスメイトの話が話題に上って来ている。
そうしたなか――
(はぁ……ったく。またかよ……)
朝、ソアラたちと一緒に登校したツグナは、机の中に入っていた手紙の存在に気付くと、げんなりとした表情で心の中にため息を吐く。中から取り出した手紙には差出人の記載はない。ツグナはゆっくりと席を立つと、手にした手紙を中身も見ずにゴミ箱に放り込んだ。
「え゛っ……? また入ってたのかい?」
欠伸を噛み殺しながら自席に戻る途中、ツグナの横から声がかけられる。
「あぁ、まぁそうだろうな。中身を見てないからどんなことが書いてあったのかは知らんが」
いい加減にしてくれ、とでも言いたげな調子で返すツグナに、声をかけた茶髪の男子生徒がクスクスと笑いながら口を開く。
「そんなことができるのは、おそらく継那くらいだと思うよ? 僕なら見もしないで捨てるというのは無理だね。どんな仕返しがあるか分かったもんじゃない」
「そぉかあ? 気分を害すると分かってて開けるってのは、罰ゲームもんだろう、彰彦」
席に着いたツグナは、ため息混じりに前の席に座る小野寺彰彦に言葉を返す。
彰彦はツグナと同じ白桜学院の普通科所属の生徒で、初日にクラスメイトとしての挨拶をしてから妙に意気投合した生徒の一人だった。笑う彰彦にカリカリと頭を掻きながらため息を吐くツグナに、別の声が混じる。
「継那よぉ、確かに気分がいいもんじゃないだろうが、それでも見ないで捨てるのは後で面倒なことになるんじゃないか? ただでさえ、俺たちは普通科なんだからな」
ツグナが声のした方に顔を向けると、そこにはがっしりとした体格の男子生徒が立っている。短く刈り込んだ黒髪に、やや吊り上がった目のその生徒は、名を「本城瑞基」と言い、ツグナや彰彦と同じ普通科の生徒である。
「普通科だから、ねぇ……このクラスが別の『特化クラス』とは違うからって、なんで『半端者』とか言うかねぇ? 同じ学院の生徒だっつうのに」
「さあな。自分たちは『適性』があるとか、『才能』があるとか見せつけたいからじゃないか? 実際、特進II類のクラスの連中は、大会では何度も優勝するほどだし、プロや実業団からのオファーを受けているヤツもいるしな」
「へぇ……」
ツグナは瑞基の言葉に、興味なさそうな態度で適当に相槌を打った。
彼の言葉にもあるように、ツグナの所属する普通科は、他のコースである特進I、II類や外国語学科といった「特化クラス」から冷めた目で見られる存在だった。
半端者、凡庸……などと陰口を叩かれる普通科の生徒たちだったが、もはやその言葉に何の感情も湧かない。
技術は特進I類に、スポーツは特進II類に、国際的交流は外国語学科に……と、華々しい活躍を見せるのは、いずれも特化クラス所属の生徒なのだ。
これまでに築き上げた実績があるからこそ、普通科の生徒たちは何も言えない――いや、言わない。
「それで、だ。彰彦、今日は何通来ると思う?」
机の上に頬を乗せ、朝からテンションだだ下がりなツグナを尻目に、瑞基はニヤリと口の端を持ち上げながら隣の彰彦に問いかける。
「えぇっと……今のところの最高記録が15だっけ? なら……無難に10くらいかなぁ」
「ほうほう、慎重だねぇ。なら、俺は20だな。より近い数の方が勝ち。負けた方は……明日の昼、購買でカツサンドを買ってくること。どうだ?」
「いいよ。でも、大丈夫かい? このところ、負け越しみたいだけど?」
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「お前ら……他人事だからって楽しそうに。毎度毎度、寄越されるこっちの身にもなってみろよ……」
覇気のない声音で呟くツグナに、賭けを成立させた両人は悪戯っぽい笑みを浮かべながら口を開く。
「だって、ねぇ……こんなに僕たちのクラスが注目されることはないし」
「それに、送り主の言い分も……分からんでは無いしなぁ。継那の家族……ありゃあ反則だ。他人から見れば、あんな美人揃いの輪の中に入ってるのが、さぞ羨ましくて妬ましいんだろうよ」
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