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始まりの日⑥
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「シーラ、よく寝れた?」
「えぇ。ディアナありがとう」
「よかった。友達に紹介してもらった凄腕のお医者様連れてきたから診察してもらって。」
「もう大丈夫なのに…」
「いいの!私が安心したいの、お願い」
「わかったわ。お願いします」
というと、ディアナの後ろに控えていた女性が前に出てきた。
「はじめまして。私はイザベラ。医者兼治癒魔術師よ。早速だけどあなたの状態を診せてちょうだい」
イザベラがシーラの手を握り、魔力を流した。
手のひらがポワッと温かくなった。
「あぁ…なるほど。体は問題なさそうよ」
「体は?」
イザベラは少し思惟して、
「貴方、悪い夢見てないかしら?」
シーラは驚いて
「なんでそれを…」
「単刀直入に言うわ。貴方の精神は膜のような何かに覆われているの。そして、そこに誰かの意思が感じられるわ。要は悪夢を見るように仕組まれているわ」
アレンとディアナは顔を見合わせた。
「お兄さん、貴方の腕のモノ、彼女に渡して」
イザベラが振り返り、アレンのブレスレットを指差した。
「これか?」
「そう。それ。黒水晶とアメジストで出来ているから邪気払いにはちょうどいいわ」
アレンからブレスレットを受け取ったイザベラは魔法を込めて、シーラの左手に装着した。
「紐の強化と石の効果が上がるようにしといたから。肌身放さず着けておいてね」
シーラは頷いた。
「ほらね、診てもらって正解でしょ」
ディアナがシーラに抱きついた。
後ろに下がったイザベラが、棚の上にあるサルの人形を指し、
「ねぇ、あの人形は何?」
シーラが思い出し笑いをしながら
「それね、小さい時にバーニーからもらったの。これを僕だと思って絶対部屋に飾ってね!なんて。バーニーも小さい時は可愛らしいこと言ってたわ」
「手に取っても?」
「ええ、もちろん」
イザベラはサルの人形を手に取り、サルの目に触った。そして、
「なるほど…。ここにあったのね…」
と誰にも聞こえない声で呟いた。
——
その時、外が騒がしくなった。
「お待ち下さい!お嬢さんは今来客中です!」
「僕が最優先だ!使用人の分際で!!おい、シーラ!」
ドアがバンッと勢いよく開いた。
「バーニー…」
「シーラ。お前さっきの態度は何だ!なんで僕を無視して帰ったんだ?」
「…?」
「お前が泣いて被害者ぶったせいであの後僕は悪者にされたんだぞ。僕の付き合いに文句つけるな。」
シーラはバーニーの言葉に絶句した。
隣で今にもバーニーに殴り掛かりそうなディアナを押さえながらアレンが代わりに抗議した。
「バーニー、その言い分はどうかと思うぞ。君はシーラに謝るべきじゃないのか?」
「そうよ!このxx…モゴモゴ…」
アレンがディアナの口を押さえた。
「はっ、何を言っているんだ。お前たちは関係ないだろ。僕とシーラの問題だ。シーラがいつものように受け入れればいいだけだ。なぁシーラ、わかっているだろう?」
バーニーはシーラに近付いて囁いた。
「だってお前は“呪いの子”だもんな」
その言葉でシーラは真っ青になり、カタカタ震えだした。
「シーラ!」
「シーラ、シーラ!」
シーラの様子がおかしいことに気付いたアレンとディアナはバーニーを押しのけてシーラの元へ行った。
「ふん。じゃぁな、シーラ。また明日な」
バーニーはせせら笑いを浮かべて帰って行った。
一連の様子を見ていたイザベラが、
「2人とも落ち着いて。シーラさん、恐慌状態に入ってる。このままだと危ないから魔法で眠らせちゃうわ。」
すると、シーラの体から力が抜け、すぅっと眠りに落ちた。
アレンはシーラをベッドに運び、枕元の水晶に魔力を込め直し、ディアナたちと共に退室した。
「えぇ。ディアナありがとう」
「よかった。友達に紹介してもらった凄腕のお医者様連れてきたから診察してもらって。」
「もう大丈夫なのに…」
「いいの!私が安心したいの、お願い」
「わかったわ。お願いします」
というと、ディアナの後ろに控えていた女性が前に出てきた。
「はじめまして。私はイザベラ。医者兼治癒魔術師よ。早速だけどあなたの状態を診せてちょうだい」
イザベラがシーラの手を握り、魔力を流した。
手のひらがポワッと温かくなった。
「あぁ…なるほど。体は問題なさそうよ」
「体は?」
イザベラは少し思惟して、
「貴方、悪い夢見てないかしら?」
シーラは驚いて
「なんでそれを…」
「単刀直入に言うわ。貴方の精神は膜のような何かに覆われているの。そして、そこに誰かの意思が感じられるわ。要は悪夢を見るように仕組まれているわ」
アレンとディアナは顔を見合わせた。
「お兄さん、貴方の腕のモノ、彼女に渡して」
イザベラが振り返り、アレンのブレスレットを指差した。
「これか?」
「そう。それ。黒水晶とアメジストで出来ているから邪気払いにはちょうどいいわ」
アレンからブレスレットを受け取ったイザベラは魔法を込めて、シーラの左手に装着した。
「紐の強化と石の効果が上がるようにしといたから。肌身放さず着けておいてね」
シーラは頷いた。
「ほらね、診てもらって正解でしょ」
ディアナがシーラに抱きついた。
後ろに下がったイザベラが、棚の上にあるサルの人形を指し、
「ねぇ、あの人形は何?」
シーラが思い出し笑いをしながら
「それね、小さい時にバーニーからもらったの。これを僕だと思って絶対部屋に飾ってね!なんて。バーニーも小さい時は可愛らしいこと言ってたわ」
「手に取っても?」
「ええ、もちろん」
イザベラはサルの人形を手に取り、サルの目に触った。そして、
「なるほど…。ここにあったのね…」
と誰にも聞こえない声で呟いた。
——
その時、外が騒がしくなった。
「お待ち下さい!お嬢さんは今来客中です!」
「僕が最優先だ!使用人の分際で!!おい、シーラ!」
ドアがバンッと勢いよく開いた。
「バーニー…」
「シーラ。お前さっきの態度は何だ!なんで僕を無視して帰ったんだ?」
「…?」
「お前が泣いて被害者ぶったせいであの後僕は悪者にされたんだぞ。僕の付き合いに文句つけるな。」
シーラはバーニーの言葉に絶句した。
隣で今にもバーニーに殴り掛かりそうなディアナを押さえながらアレンが代わりに抗議した。
「バーニー、その言い分はどうかと思うぞ。君はシーラに謝るべきじゃないのか?」
「そうよ!このxx…モゴモゴ…」
アレンがディアナの口を押さえた。
「はっ、何を言っているんだ。お前たちは関係ないだろ。僕とシーラの問題だ。シーラがいつものように受け入れればいいだけだ。なぁシーラ、わかっているだろう?」
バーニーはシーラに近付いて囁いた。
「だってお前は“呪いの子”だもんな」
その言葉でシーラは真っ青になり、カタカタ震えだした。
「シーラ!」
「シーラ、シーラ!」
シーラの様子がおかしいことに気付いたアレンとディアナはバーニーを押しのけてシーラの元へ行った。
「ふん。じゃぁな、シーラ。また明日な」
バーニーはせせら笑いを浮かべて帰って行った。
一連の様子を見ていたイザベラが、
「2人とも落ち着いて。シーラさん、恐慌状態に入ってる。このままだと危ないから魔法で眠らせちゃうわ。」
すると、シーラの体から力が抜け、すぅっと眠りに落ちた。
アレンはシーラをベッドに運び、枕元の水晶に魔力を込め直し、ディアナたちと共に退室した。
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