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Side - 184 - 21 - なんどもいうがいまおまえはぜんらだぞ -

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Side - 184 - 21 - なんどもいうがいまおまえはぜんらだぞ -


俺の名前はベネット・ブライアス 39歳独身だ。

故郷の街に帰って来たら奴が呑気に歩いてやがった、・・・驚かせてやろうとしたら大惨事になっちまった。

「ぐすっ・・・ひっく・・・うぅ・・・」

「泣くなよ・・・俺が悪かった、・・・鼻水垂れてるぞ、ほらよ、これで鼻擤め、それはまだ洗ってねぇから遠慮するな」

「ずびー・・・うぅ・・・臭いのです・・・」

「すまねぇ!、間違えた!、そいつは俺の下着だ!、ハンカチはこっちだ!」

「ふぇぇ・・・ひっく・・・ぐすっ・・・うぅ・・・」

俺は今爺さんの家の裏にある水場でまだグズグズ泣いてるあいつと一緒に服を洗っている、2人とも全裸で!。

奴が撒き散らしやがった小便が服に付いてびしょびしょだったんだ、悪かったよ全部俺のせいだ!、奴はもう何度も俺に全裸を見られているからなのか、向こうの家で居る時も開き直って無防備で居やがったし、何よりまだガキだ、俺は欲情しねぇ・・・と思う・・・多分・・・水場に連れてきてやったら躊躇なく服を脱いで全裸で洗濯を始めやがった・・・。

少しは恥じらえよ!、ここ外だぞ!、向こうの通りから覗いたら見えるんだぞ!。

「あの時は助けてくれてありがとうな、お前、死んじまったと思ってたから、無事な姿見れて・・・本当に嬉しかったんだ、だから少し驚かせようとしてな・・・」

「・・・酷いのです・・・ぐすっ・・・助けてあげたのに、・・・ご飯も・・・食べさせて・・・あげたのに、・・・お漏らし・・・街中の人に・・・見られたの・・・」

「いや漏らすの見られるより全裸を俺に見られる方が恥ずかしいと思うが・・・」

「いいのです・・・おじさんはもう、人間じゃなくて・・・獣だと・・・思う事にしたのです・・・」

「ひでぇな・・・ハハハ・・・」

あの家で居た時には会話にならなかったのに、今は普通に会話できてやがる、・・・少しは俺に対する警戒解いてくれたのか・・・、こうやって水場で話してると、側から見たら親子に見えるな・・・、まだ若いって思ってたが・・・俺も歳をとったな。

「さて、綺麗になった、・・・乾くまで何か服借りてきてやる」

「・・・貸すのです」

俺が持ってる洗濯物の籠を奪い取り、立ち上がって・・・おい、丸見えなんだが・・・。

「ホット・ロッキン」

奴の手から白銀の魔法陣が放たれて・・・濡れた洗濯物が一瞬で乾きやがった!。

「魔法・・・使えるのか、・・・すげぇな」

「・・・そうなのです!・・・私は凄いのです!、・・・幼い頃から努力して・・・習得したのです、・・・だから・・・おじさんは、・・・もっと・・・私を崇めるのです!」

そう言って奴は無い胸を張りやがった・・・おい、何度も言うが今お前は全裸だぞ・・・。

「そんな無防備じゃ、心配だな、お前可愛いから男に襲われちまうぞ、男ってのは怖いんだ、油断してたらこうやって襲われるんだ、ガオー!」

「ひゃぁ!、怖いのです!」




「おい!、ベネット!、無事に帰って・・・ってお前!、なんでリゼお姉ちゃん全裸に剥いて襲ってやがるんだ!」

「ベネ坊・・・お前・・・」

兄貴が爺さんの家の裏口から出て来て全裸の俺たちに向かって叫んだ、後ろからは痛そうに腰を押さえつつ爺さんも居やがる。




「うぅ・・・サリーくんやカカーシィーくんにも全裸を見られたのです、・・・ぐすっ・・・」

泣きながら服を着て・・・奴は今、俺と兄貴の座るソファの前でまだぐずぐず泣いてるな、場所は爺さんの家の居間だ、もちろん爺さんも居るぞ、・・・ってか何でみんな当然のようにこいつ知ってるんだよ!。

「つまり、お前はランサー大陸で死にかけてたところをリゼお姉ちゃんに助けられて、治療してもらった上に、毎日飯まで作ってもらってたと・・・俺が死ぬほど心配してた時に」

兄貴が責めるような目で俺を見ながら言った。

「あぁ、飯はすげぇ美味かった、・・・それに王都のでかい病院より丁寧に治療してもらったな」

「リゼお姉ちゃんは腕のいい医者だからな、そこらの医者と同じにすんじゃねぇぞ、それに料理はタダーノの創業者、タダーノ・カカーシィー・ブライアス直伝、美味くて当然だ、ついでに言うと俺も俺の親父とリゼお姉ちゃんの2人から料理を習った」

爺さんがちょっと意味分からねぇ事言い出したぞ、遂にボケたか。

「爺さんも・・・ってなんだよ、こいつ一体幾つだよ、見た目まだガキじゃねぇか!」

「・・・あー、お前知らなかったのか・・・そうだよな・・・14くらいの頃にハンターになるって飛び出して、そんなに帰って来ねぇから紹介してなかったか・・・だがお前、8歳くらいの時リゼお姉ちゃんに抱きついて嬉しそうに頭撫でてもらってただろ・・・」

「・・・そんな昔の事・・・」

・・・いや待て、うっすらと記憶にあるぞ!、・・・俺より背の高い・・・足が不自由な女、・・・甘くていい香りがして、・・・親父と喧嘩して泣いてた時に・・・お菓子をもらって、・・・頭を撫でて慰めて貰った・・・。

「・・・確か、親父と喧嘩して泣いてた時、「どうして泣いてるの?、大丈夫」って、・・・それから、・・・あのレストランのテラスでケーキ食わして貰った、・・・それから「一緒に謝りに行こうね」って」

「思い出したか、あれからリゼお姉ちゃんもあまりこの街に来なくなったし、お前も普段は丘の方で遊んでたろ、それから次に何回か来た時にはお前はもうこの街飛び出してハンターになってたしな、だから会ったのはその時だけかもな・・・」

「それで、こいつ・・・リゼお姉ちゃんとやらは何者だよ」

「お前、秘密は守れるか?、他人にべらべら喋るような奴じゃないとは思ってるんだが、金に困って情報を誰かに売ったりしないと誓えるか?」

「あぁ、もちろんだ、こいつは俺の命の恩人だ、それを売るようなクズじゃねぇ」

「彼女はリーゼロッテ・シェルダン、ここの領主・・・より偉い人だな、それから白銀の大魔導士って呼ばれてる、・・・お前、幻影っていう白金級のハンター知ってるか?」

俺は飲んでた茶を吹き出した、目の前に居る兄貴の方に出すと殴られるから咄嗟に横向いたらリゼお姉ちゃんとやらが居やがったが・・・、なん・・・だと・・・。

「ぎゃぁー、おじさん何をするのです!、汚いのです!、わーん!」

奴が何か叫んでやがるがそれどころじゃねぇ!、情報が多すぎて頭が回らねぇ・・・なんだよそれ・・・。

「待ってくれよ、・・・この・・・こいつが・・・幻影?、・・・嘘だろ」

横で奴がハンカチで顔を拭きながら、まだ泣いてやがるが・・・懐からカードを取り出した、あの白金級のすげぇ身分証だ!。

「・・・これで信じるのです?」

俺は差し出されたカードを受け取った、確かにあの時見たカードと同じやつだな、初めて見た時は驚きの方がデカかったから気付かなかったが・・・、金級以上のカードはドラゴンのブレス食らっても燃えねぇように丈夫な金属でできてんだが、このカード、金級のやつよりすげぇ、光に当たると虹色に光ってるぞ。

「・・・おじさん、私のお洋服漁って匂いを嗅いでたし、・・・その時にこのカード見つけて・・・リーゼロッテを知ってるかって聞いて来たから、・・・もう知ってると思ったのです」

「ベネ坊・・・お前って奴は・・・」

「ベネット・・・お前・・・」

爺さんと兄貴が何か誤解してるようだが違う!、違うんだ!。

「待て、誤解だ!」

「誤解じゃないのです・・・おじさん・・・私がお風呂に入ってる時・・・扉を蹴破って襲いかかって来たのです!、お漏らしするくらい怖かったの・・・」

「いや待て、それは謝るが・・・」

「襲いかかった・・・リゼお姉ちゃんに・・・」

爺さんの声が1段階低くなりやがった!、やべぇ!、久しぶりに雷が落ちるぞ・・・。
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