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神隠し
4:44
しおりを挟む霊との会話が頻繁になると、こちらも通訳を忘れるので、三橋がちょっと置いて行かれたような顔をしていた。
だが、なんとなく雰囲気で察してはいるようだ。
三橋もスムーズに霊の人と会話出来るようになればいいのだが。
そう思ったあとで気づく。
そうだ。
あっちの世界に行けば、三橋くんにも霊の声が聞こえるはず。
「ねえ、やっぱり、4:44の世界に行ってみない?」
いやいやいや、と三村が手を振った。
「今まで行こうと思っても行けなかったじゃない」
「でも、さっきまでの仮説が正しいのなら行けるかも。
この人の本体があちらにあるのなら、一緒に居たら、空間が繋がりやすくなるはずよ。
まあ、もちろん、この霊の人が、死んでから、あちらの世界に迷い込んで、更に誰かと追いかけっこしてたのなら話は別だけど」
三橋が腕を組んで言う。
「霊体になってから入り込んだ世界で、悪霊に追われでもしたのか。
まあ、死んでから入り込んだのに、殺した人間と更に追いかけっこしてたんだとしたら、殺した人間も死んでるってことになるけどな」
霊はその説が気に入ったようで、勢い込んで言う。
「じゃあ、あれかもなっ。
俺がタダでやられるとも思えねえから、最後に相手に一太刀浴びせてやったんじゃねえかなっ」
だから、その無駄に血気盛んなところがトラブルの原因だったのでは。
てか、一太刀って――
なに時代の人間だ、と思ったが、今更言っても無駄なので言わなかった。
そこで、三村が心配そうに口を挟む。
「まあ、そういうことならいいんだけどさ。
最初の説が正しくて、犯人とともに、向こうの世界に入り込んでいたのなら、あっちには、まだ、生きた犯人が居るかもしれないってことだよね?
危なくない?
それに、矢部さん」
と呼びかけられ、なに? と目で問う。
「槻田先生探したいんじゃないの?
具合悪そうだったんでしょ?」
そこに割り込むように、
「槻田くんなら、何処にも居ませんよ」
という声が廊下に響いた。
「校長先生……」
「私も用事があって探してるんですけどねえ。
帰った様子はないのに、校内の何処にも居ないんですよ」
と溜息をつく。
その言葉に確信した。
あのとき、槻田の気配を感じたと思ったのは気のせいではなかったのだ。
槻田は向こうの世界に迷い込んでしまったのだ。
だから近くに居ても見えなかったのに違いない。
「校長先生」
「なんです?」
「あの、この学校の時計。
全部、4:44にしてもいいですか?」
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「何処が繋がるかわからないので」
「いいですよ。
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それと、あとで戻して置いてくださいよ。
時計を変えて、変な時間に設定してあるチャイムが鳴ったりすると困るから。
それからもちろん、私も行きますよ。
連絡係くらいは出来るでしょうから」
と笑顔のまま頷いていた。
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