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ラジヲ
霊にとり憑かれた理由
しおりを挟む「癪だから、で命を危険に晒すのどうだろうね」
なんとか生きてたどり着いた教室。
前の席の住人がまだ来ていないので、そこに座った三村が軽く睨んで、そう言ってくる。
槻田に確かめなかったことを責めているようだ。
三村は少し声を落とし、言ってきた。
「心配しなくても、槻田先生、矢部さんちに泊まっても、たいしたことしてないと思うよ」
だって、そういう人じゃん、という三村の言葉は妙にリアルだった。
不本意ながらも、此処最近、槻田と居る時間が長くなっているので、その話には納得できるのだが……。
「でも、そういう問題じゃないんだ」
と呟くと、三村はすぐさま、
「そうだね。
そこが問題なんじゃないよね。
三橋の槻田先生への拒否反応」
と語り出す。
「矢部さんって簡単に気持ちの動きそうにない人だよね。
あの人、基本、恋愛に興味ないからね。
あっちへふらふら、こっちへふらふらとかない人だから」
そう。
七月の気持ちは簡単には動かない。
簡単に好きにならない分、簡単に嫌いにもなれない。
恋愛に興味のない七月が、唯一、心を動かされたのが槻田。
そこから彼女の気持ちは生半可なことでは動かない気がしていた。
本人にその自覚はなくとも。
「すっごい言いたくないし、言っても意味のないこと言っていい?」
じゃあ、言うなよ、と思ったが、
「言わないと、話が締められない感じだから」
と三村は言う。
「三橋、実は結構モテるんだから、他に目を向けてみたら?」
「……棒読みで言うなよ」
いや、だから、言っても意味ないと思ってるからだよ、と三村は言った。
えらく気を使わせてるな、と珍しく申し訳ない気持ちになる。
「まあそうねえ。
あんたの見てくれだけじゃなくて、陰湿なところが好きっていう変わった女の子も中には居るでしょうしね」
ふいにそんな声が背後で聞こえ、心臓が凍りつく。
鞄を手にした七月が立っていた。
言葉が出ないでいると、代わりに三村が代わりに訊いてくれる。
「矢部さん、今、来たとこだよね?」
三村の視界に入ったのも今なのだろう。
「そうそう。
あんたがモテるとかいう不穏なところから聞いたわ」
とこちらを見下ろし言う。
何が不穏だ、と思いながら、死ぬほど、ほっとしていた。
「なんか考えてた?」
と七月に訊かれ、えっ!? と返した声が裏返ってしまう。
「そのとき強く考えてたことによって、霊を引っ張ってきちゃったりするから。
何を考えてたかで、憑いてきちゃう霊が大体、どんな霊なのかは推察できるかもね」
「なに考えてたの?」
ともう一度、訊かれ、答えられないでいると、三村が軽く唸ってから勝手に答える。
「……殺人?」
「そこまで飛躍してねえっ」
っていうか、俺が殺されるところだったろうが、と鼻先を掠めていったトラックを思い返しながら三橋は叫んだ。
「……ま、あんまりよくないことを考えてたわけね。
そうか。
それでか」
と七月は更に考える風な仕草をする。
何処で、その霊に出逢ったのかとか突っ込んで訊くなよ、と思ったとき、三村が座っていた席の男が来た。
三村は笑って挨拶しながら、立ち上がる。
「程よくあったかいよ」
と冗談を言いながら。
「いいなあ。
三村くん、私の席にも座ってよ」
と言いながら七月も行こうとした。
ほっとしたとき、彼女は振り返って言う。
「で?
何処でその霊、拾ったの?」
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