125 / 375
第6章
第125話
しおりを挟む
「ハッ!」
「くっ!?」
セレドニオの剣がケイの肩を掠める。
遠距離戦では無駄に時間がかかるため、接近戦を選んだのはケイの方だが、圧倒的に有利という訳ではない。
2人の攻撃が僅かにだがケイに掠り、傷の数を増やしている。
「がっ!?」
剣を振って体制が崩れたセレドニオに対し、ケイは反撃に出る。
ケイは、セレドニオの顔面に蹴りを叩きこもうとする。
すると、セレドニオは左腕を上げてその蹴りを受け止める。
そのままケイが銃口を向けると、セレドニオはバックステップして距離をとった。
蹴った感触からすると、恐らく防いだ左腕はヒビが入ったのではないだろうか。
その証拠に、セレドニオは左手を体で隠すようにしている。
ケイの銃撃に当たらないように警戒しているので、2人には当たらないでいるが、打撃攻撃の方は躱しきれず直撃している。
2人も怪我が増えてきているはずだ。
「オラッ!!」
「っ!?」
セレドニオのあいてが一旦済んだと思ったら、今度はライムンドが槍を振り下ろし、斬りかかって来た。
それをケイは体を半身にして避ける。
「ハッ!!」
「くっ!?」
攻撃を避けてもライムンドの攻撃は続き。体重の乗った拳がケイの顔面に迫る。
ケイはそれを腕を上げて防ぐ事に成功する。
しかし、かなりの威力の拳に、防いだ腕がカルいいて身と共に痺れる。
「くらえやっ!!」
腕が痺れて手の動きが鈍い。
それがバレていたのか、ライムンドはそのまま槍で突きを放ってきた。
「ぐっ!?」
体を回転させて躱そうとするが、ケイは躱しきれず三叉の槍の残った横の刃で横っ腹を浅く斬られる。
「このっ!!」
「うごっ!?」
避ける時の回転の力を利用して、ケイは回し蹴りを放つ。
それがライムンドの腹に入り、吹き飛んいった。
「くぅ……」
2人と距離がとれたことで、ケイは斬られた横っ腹を抑えて顔を歪める。
傷は浅いとは言っても、2人相手に体中を少しずつ怪我を負わされ、ケイの服は赤く染まってきている。
ケイの攻撃も当たっているので、2人も弱ってきてはいるが、ケイの動きの方がどんどんと鈍くなってきているように思える。
『くそっ!! 魔力が足りない。やっぱり考えが甘かったかな……』
魔法が得意なエルフの一族。
距離を取って強力な魔法を放って敵を討つのがセオリーなのだが、現在のケイは魔力がかなり減っている。
60人程の人間を長距離転移したことで、いつもの10分の1もない状態だ。
できる限り省エネモードで戦っているが、この2人相手にこれではさすがに無理があったのかもしれない。
『何か、いい方法がないか……』
このままでは2人に勝てるかどうかは微妙だ。
例え勝てたとしても、すんなり他の兵たちが引いてくれるかは分からない。
魔力が尽きれば、ケイは普通の兵の1人と同等程度の戦力しかなくなる。
その状態では、あっという間に捕まるか殺されるだろう。
できる限り魔力をつかわず、今の戦力を維持できないかと、ケイは頭をフル回転させていた。
「ハッ!!」「ダリャッ!!」
「……ったく、考える時間を寄越せっての!」
交互に向かって来ていたセレドニオとレイナルドだが、アイコンタクトでもしたのだろうか、2人同時にケイへと接近してきた。
「ハッ!!」
「っ!?」
迫り来る途中、ライムンドは魔法を放つ。
ただの魔力の球のため、ケイは不思議に思う。
その程度の魔力球が効くとでも思ったのだろうか。
しかし、魔力球はケイの足下の地面にぶつかり、土煙を舞わせる。
「ハーッ!!」「くらえっ!!」
狙いは土煙で視界を遮っての攻撃かと思ったが、それは通用しないことは分かっているはず。
何をする気なのかとケイ思っていると、途中で足を止めた2人は魔力を合わせて魔法を放ってきた。
無数の氷の棘のような物を作り出し、それをケイに向かって放出してきた。
ケイたちには簡単にできる魔法だが、氷の魔法は結構難しいらしい。
2人が出したこの魔法も、ライムンドが水を出して、それをセレドニオが冷やすといった、2人の連携があっての魔法のようだ。
「ぐあぁっ!?」
躱そうにも、今のケイの魔力では躱せるほどの速度が出せない。
それでも魔力を多く出して、懸命に防御を高める。
「ハハハ……」
「その両手では自慢の武器も使えまい?」
魔法攻撃の結果を見て、ライムンドは笑顔を見せる。
その後のセレドニオの言うように、ケイの両手には氷の棘が貫通し、両手がもう使えない状況になっていた。
メイン武器である銃を落としていないのが不思議なくらいだ。
「万事休す…………か?」
この状態では足しか使えない。
魔力も少ないなか、これ以上子に2人と戦う術が思いつかない。
「これ以上は戦えまい? 私たちに怪我を負わせたのは許しがたいが、貴様は貴重なエルフだ」
セレドニオの言いたいことは分かる。
どうせ国に連れて帰って奴隷なり、実験なりするつもりなのだろう。
「命ばかりは奪わないでやろう。今すぐ魔闘術を解け!」
「まぁ、ちょっと腹いせはさせてもらうがな……」
セレドニオと違い、ライムンドは何発も殴られたりしたことを許すつもりはない。
回復師もいることだし、ハーフの2人同様に、いたぶるつもりでいるようだ。
「……………………」
“フッ!!”
半紙を聞いたケイは、俯いて少し考えた後、痛みで震える腕を動かし銃をホルスターにゆっくり戻すと、纏っていた魔力を解除したのだった。
「くっ!?」
セレドニオの剣がケイの肩を掠める。
遠距離戦では無駄に時間がかかるため、接近戦を選んだのはケイの方だが、圧倒的に有利という訳ではない。
2人の攻撃が僅かにだがケイに掠り、傷の数を増やしている。
「がっ!?」
剣を振って体制が崩れたセレドニオに対し、ケイは反撃に出る。
ケイは、セレドニオの顔面に蹴りを叩きこもうとする。
すると、セレドニオは左腕を上げてその蹴りを受け止める。
そのままケイが銃口を向けると、セレドニオはバックステップして距離をとった。
蹴った感触からすると、恐らく防いだ左腕はヒビが入ったのではないだろうか。
その証拠に、セレドニオは左手を体で隠すようにしている。
ケイの銃撃に当たらないように警戒しているので、2人には当たらないでいるが、打撃攻撃の方は躱しきれず直撃している。
2人も怪我が増えてきているはずだ。
「オラッ!!」
「っ!?」
セレドニオのあいてが一旦済んだと思ったら、今度はライムンドが槍を振り下ろし、斬りかかって来た。
それをケイは体を半身にして避ける。
「ハッ!!」
「くっ!?」
攻撃を避けてもライムンドの攻撃は続き。体重の乗った拳がケイの顔面に迫る。
ケイはそれを腕を上げて防ぐ事に成功する。
しかし、かなりの威力の拳に、防いだ腕がカルいいて身と共に痺れる。
「くらえやっ!!」
腕が痺れて手の動きが鈍い。
それがバレていたのか、ライムンドはそのまま槍で突きを放ってきた。
「ぐっ!?」
体を回転させて躱そうとするが、ケイは躱しきれず三叉の槍の残った横の刃で横っ腹を浅く斬られる。
「このっ!!」
「うごっ!?」
避ける時の回転の力を利用して、ケイは回し蹴りを放つ。
それがライムンドの腹に入り、吹き飛んいった。
「くぅ……」
2人と距離がとれたことで、ケイは斬られた横っ腹を抑えて顔を歪める。
傷は浅いとは言っても、2人相手に体中を少しずつ怪我を負わされ、ケイの服は赤く染まってきている。
ケイの攻撃も当たっているので、2人も弱ってきてはいるが、ケイの動きの方がどんどんと鈍くなってきているように思える。
『くそっ!! 魔力が足りない。やっぱり考えが甘かったかな……』
魔法が得意なエルフの一族。
距離を取って強力な魔法を放って敵を討つのがセオリーなのだが、現在のケイは魔力がかなり減っている。
60人程の人間を長距離転移したことで、いつもの10分の1もない状態だ。
できる限り省エネモードで戦っているが、この2人相手にこれではさすがに無理があったのかもしれない。
『何か、いい方法がないか……』
このままでは2人に勝てるかどうかは微妙だ。
例え勝てたとしても、すんなり他の兵たちが引いてくれるかは分からない。
魔力が尽きれば、ケイは普通の兵の1人と同等程度の戦力しかなくなる。
その状態では、あっという間に捕まるか殺されるだろう。
できる限り魔力をつかわず、今の戦力を維持できないかと、ケイは頭をフル回転させていた。
「ハッ!!」「ダリャッ!!」
「……ったく、考える時間を寄越せっての!」
交互に向かって来ていたセレドニオとレイナルドだが、アイコンタクトでもしたのだろうか、2人同時にケイへと接近してきた。
「ハッ!!」
「っ!?」
迫り来る途中、ライムンドは魔法を放つ。
ただの魔力の球のため、ケイは不思議に思う。
その程度の魔力球が効くとでも思ったのだろうか。
しかし、魔力球はケイの足下の地面にぶつかり、土煙を舞わせる。
「ハーッ!!」「くらえっ!!」
狙いは土煙で視界を遮っての攻撃かと思ったが、それは通用しないことは分かっているはず。
何をする気なのかとケイ思っていると、途中で足を止めた2人は魔力を合わせて魔法を放ってきた。
無数の氷の棘のような物を作り出し、それをケイに向かって放出してきた。
ケイたちには簡単にできる魔法だが、氷の魔法は結構難しいらしい。
2人が出したこの魔法も、ライムンドが水を出して、それをセレドニオが冷やすといった、2人の連携があっての魔法のようだ。
「ぐあぁっ!?」
躱そうにも、今のケイの魔力では躱せるほどの速度が出せない。
それでも魔力を多く出して、懸命に防御を高める。
「ハハハ……」
「その両手では自慢の武器も使えまい?」
魔法攻撃の結果を見て、ライムンドは笑顔を見せる。
その後のセレドニオの言うように、ケイの両手には氷の棘が貫通し、両手がもう使えない状況になっていた。
メイン武器である銃を落としていないのが不思議なくらいだ。
「万事休す…………か?」
この状態では足しか使えない。
魔力も少ないなか、これ以上子に2人と戦う術が思いつかない。
「これ以上は戦えまい? 私たちに怪我を負わせたのは許しがたいが、貴様は貴重なエルフだ」
セレドニオの言いたいことは分かる。
どうせ国に連れて帰って奴隷なり、実験なりするつもりなのだろう。
「命ばかりは奪わないでやろう。今すぐ魔闘術を解け!」
「まぁ、ちょっと腹いせはさせてもらうがな……」
セレドニオと違い、ライムンドは何発も殴られたりしたことを許すつもりはない。
回復師もいることだし、ハーフの2人同様に、いたぶるつもりでいるようだ。
「……………………」
“フッ!!”
半紙を聞いたケイは、俯いて少し考えた後、痛みで震える腕を動かし銃をホルスターにゆっくり戻すと、纏っていた魔力を解除したのだった。
0
あなたにおすすめの小説
エレンディア王国記
火燈スズ
ファンタジー
不慮の事故で命を落とした小学校教師・大河は、
「選ばれた魂」として、奇妙な小部屋で目を覚ます。
導かれるように辿り着いたのは、
魔法と貴族が支配する、どこか現実とは異なる世界。
王家の十八男として生まれ、誰からも期待されず辺境送り――
だが、彼は諦めない。かつての教え子たちに向けて語った言葉を胸に。
「なんとかなるさ。生きてればな」
手にしたのは、心を視る目と、なかなか花開かぬ“器”。
教師として、王子として、そして何者かとして。
これは、“教える者”が世界を変えていく物語。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる