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第7章
第151話
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「色々と直さないとな……」
人族に攻め込まれ、アンヘル島は色々と修復しなくてはならないことが分かった。
調査をした結果、嬉しかったのは猪の魔物と腕鶏が全滅していなかったことだ。
この島の食料として、重要な役割を果たしているこの2種類の肉が、これからも手に入るということはとてもありがたい。
他に良かった事と言えば、ダンジョンが攻略されなかったことだ。
攻略を途中で中止して逃げて行ったらしく、今も変わりなく魔物が出現してくる。
ただ困ったのが、倒した人族の兵の遺体を焼却する時間と手間が面倒だったので、ダンジョンに吸収させて処理してしまったら、アンデッド系の魔物が頻繁に出るようになってしまった。
「あれからどうなったかな?」
「んっ? 何がだ?」
ケイが壊された温泉地の修復をしていると、レイナルドが話しかけてきた。
突然問いかけられたので、ケイはなんのことだか分からなかった。
そのため、聞き返すことになった。
「リシケサ王国のことだよ」
「あぁ、忘れてたな……」
リシケサ王国の王城の地下に封印されていた魔物使いの男を、レイナルドと共に密かに解放して、もう1週間ほどが経つ。
その間、ケイは1度もリシケサの様子を見に行っていない。
島の修復をおこなっていたためか、ケイはそのことが頭から抜け落ちていた。
「忘れてたって……」
レイナルドはケイの反応に呆れたような声をあげる。
混乱を起こしておいて、それを忘れてしまうなんて、やられた方としたら堪ったものではないだろう。
しかも、封印されていただけのことがあり、男が使役する魔物の数はとんでもない量だった。
あれがもしもこの島に来た場合、リシケサの兵たちが攻めてきた時同様に、面倒なことになりかねない。
「見に行くか?」
「あぁ!」
ケイとしては別にリシケサの国がどうなっていようと構わない。
しかし、あの魔物使いの動向だけは知っておいた方がいいのは確かだ。
なので、ケイはレイナルドを伴って、1週間ぶりにリシケサ王国の王都近くの森に転移していった。
「…………王都は壊滅状態みたいだな?」
「だね……」
1週間ぶりに来たリシケサ王国の王都は、見るも無残なほどに破壊されていた。
予想よりも早いこの結果に、レイナルドだけでなくケイも少し驚いている。
思っていた以上に多くの魔物を使役しているのだろうか、それともリシケサの兵の数が少ないからなのか分からないが、どちらにしても、もうここには魔物使いの男はいないようだ。
「リシケサ兵も魔物も多いな」
レイナルドが呟いたように、家や店があった場所には人の死体や魔物の死骸が転がっている。
激しい戦いが繰り広げられてのだろう。
「魔物の死骸が落ちていっているのを見ると、北東に向かって行ったみたいだな……」
ケイの言う通り、王都から北東へ向かって転々と虫の魔物の死骸が落ちている。
それと同じように、リシケサの兵の死体も転がっている。
そちらへ向かいつつ戦って死んだ者たちのようだ。
「北東? 敵を追いかけているのかな?」
魔物使いの男が何を考えているのか分からない。
せっかく封印から解かれたというのに、リシケサの兵が逃げている方向へ追いかけて行っているように思える。
従えている魔物も数に限りがあるはずなのに、お構いなしに追いかけているのだろうか。
それとも、他に何か目的があるのかもしれない。
「地図でもあれば分かるかもしれないが……」
王城の襲撃をおこなったケイたちだが、王都内の地図はあっても、王都以外の町の地図は持っていない。
攻め込んだのはリシケサの王族を始末するためだけだったため、王都のことが分かっていればよかった。
なので、この国の地図は手に入れなかったので、北東に向かっている意味が分からない。
「もしかしたら隣国との境界線に向かっているのかもな……」
たしか、リシケサは北と東の国と仲があまり良くないと聞いている。
隣国との境界線付近には、敵国の侵攻を見張るために軍を派遣していると聞いている。
もしかしたら、サンダリオがまだ生きていて、その軍に助けを求めに向かって行っている可能性がある。
逃げ足が速いサンダリオならありえる気がする。
「とりあえず向かってみるか……」
「うん」
このままここにいても何も情報を得ることはできない。
ただ予想しているだけでは意味がない。
ケイとレイナルドは、人や虫の死体を道しるべにして北東方向に向かってみることにした。
「結構遠くまで進んで行ってるみたいだな」
魔闘術を発動し、かなりの速度で走り続けるケイとレイナルドだが、なかなか魔物とリシケサ兵が戦っている所にまでたどり着かない。
転々と落ちているのは変わらないので、まだ戦っているはずなのだが、見つからない。
「いたっ!」
結構な距離を走り続け、ケイたちはようやく魔物とリシケサ兵が戦っている姿を確認できた。
1週間前同様、蟻中心とした魔物がリシケサ兵の集団に襲い掛かっている。
「…………おかしいな」
「えっ!? 何が?」
数体の魔物とリシケサ兵の戦う姿を見ていたケイが、突然疑問の声を漏らした。
何に対してなのかレイナルドには分からなく、首を傾げるしかなかったのだった。
人族に攻め込まれ、アンヘル島は色々と修復しなくてはならないことが分かった。
調査をした結果、嬉しかったのは猪の魔物と腕鶏が全滅していなかったことだ。
この島の食料として、重要な役割を果たしているこの2種類の肉が、これからも手に入るということはとてもありがたい。
他に良かった事と言えば、ダンジョンが攻略されなかったことだ。
攻略を途中で中止して逃げて行ったらしく、今も変わりなく魔物が出現してくる。
ただ困ったのが、倒した人族の兵の遺体を焼却する時間と手間が面倒だったので、ダンジョンに吸収させて処理してしまったら、アンデッド系の魔物が頻繁に出るようになってしまった。
「あれからどうなったかな?」
「んっ? 何がだ?」
ケイが壊された温泉地の修復をしていると、レイナルドが話しかけてきた。
突然問いかけられたので、ケイはなんのことだか分からなかった。
そのため、聞き返すことになった。
「リシケサ王国のことだよ」
「あぁ、忘れてたな……」
リシケサ王国の王城の地下に封印されていた魔物使いの男を、レイナルドと共に密かに解放して、もう1週間ほどが経つ。
その間、ケイは1度もリシケサの様子を見に行っていない。
島の修復をおこなっていたためか、ケイはそのことが頭から抜け落ちていた。
「忘れてたって……」
レイナルドはケイの反応に呆れたような声をあげる。
混乱を起こしておいて、それを忘れてしまうなんて、やられた方としたら堪ったものではないだろう。
しかも、封印されていただけのことがあり、男が使役する魔物の数はとんでもない量だった。
あれがもしもこの島に来た場合、リシケサの兵たちが攻めてきた時同様に、面倒なことになりかねない。
「見に行くか?」
「あぁ!」
ケイとしては別にリシケサの国がどうなっていようと構わない。
しかし、あの魔物使いの動向だけは知っておいた方がいいのは確かだ。
なので、ケイはレイナルドを伴って、1週間ぶりにリシケサ王国の王都近くの森に転移していった。
「…………王都は壊滅状態みたいだな?」
「だね……」
1週間ぶりに来たリシケサ王国の王都は、見るも無残なほどに破壊されていた。
予想よりも早いこの結果に、レイナルドだけでなくケイも少し驚いている。
思っていた以上に多くの魔物を使役しているのだろうか、それともリシケサの兵の数が少ないからなのか分からないが、どちらにしても、もうここには魔物使いの男はいないようだ。
「リシケサ兵も魔物も多いな」
レイナルドが呟いたように、家や店があった場所には人の死体や魔物の死骸が転がっている。
激しい戦いが繰り広げられてのだろう。
「魔物の死骸が落ちていっているのを見ると、北東に向かって行ったみたいだな……」
ケイの言う通り、王都から北東へ向かって転々と虫の魔物の死骸が落ちている。
それと同じように、リシケサの兵の死体も転がっている。
そちらへ向かいつつ戦って死んだ者たちのようだ。
「北東? 敵を追いかけているのかな?」
魔物使いの男が何を考えているのか分からない。
せっかく封印から解かれたというのに、リシケサの兵が逃げている方向へ追いかけて行っているように思える。
従えている魔物も数に限りがあるはずなのに、お構いなしに追いかけているのだろうか。
それとも、他に何か目的があるのかもしれない。
「地図でもあれば分かるかもしれないが……」
王城の襲撃をおこなったケイたちだが、王都内の地図はあっても、王都以外の町の地図は持っていない。
攻め込んだのはリシケサの王族を始末するためだけだったため、王都のことが分かっていればよかった。
なので、この国の地図は手に入れなかったので、北東に向かっている意味が分からない。
「もしかしたら隣国との境界線に向かっているのかもな……」
たしか、リシケサは北と東の国と仲があまり良くないと聞いている。
隣国との境界線付近には、敵国の侵攻を見張るために軍を派遣していると聞いている。
もしかしたら、サンダリオがまだ生きていて、その軍に助けを求めに向かって行っている可能性がある。
逃げ足が速いサンダリオならありえる気がする。
「とりあえず向かってみるか……」
「うん」
このままここにいても何も情報を得ることはできない。
ただ予想しているだけでは意味がない。
ケイとレイナルドは、人や虫の死体を道しるべにして北東方向に向かってみることにした。
「結構遠くまで進んで行ってるみたいだな」
魔闘術を発動し、かなりの速度で走り続けるケイとレイナルドだが、なかなか魔物とリシケサ兵が戦っている所にまでたどり着かない。
転々と落ちているのは変わらないので、まだ戦っているはずなのだが、見つからない。
「いたっ!」
結構な距離を走り続け、ケイたちはようやく魔物とリシケサ兵が戦っている姿を確認できた。
1週間前同様、蟻中心とした魔物がリシケサ兵の集団に襲い掛かっている。
「…………おかしいな」
「えっ!? 何が?」
数体の魔物とリシケサ兵の戦う姿を見ていたケイが、突然疑問の声を漏らした。
何に対してなのかレイナルドには分からなく、首を傾げるしかなかったのだった。
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