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運命の舵輪編
ルクレールの憂鬱・前編
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リリィとセラフ
リリィとセラフは幼馴染みでした、小さな頃は良く一緒に遊んでいました。
だけど二人には大きな違いがありました、一つ目は性別であり二つ目は性格です。
リリィは天真爛漫な女の子でした、とっても優しい女の子でした、暖かい性質で皆からも好かれていましたが、一方で。
セラフは内気で暗い男の子でした、友達も多くはありません。
いつもいじけてウジウジしていてことある毎に“自分はダメな奴なんだ”と自分で自分をこき下ろしていました、彼は自分に自信を持つ事が出来なかったのです。
そしてそれ故にー。
他人が自分に対して掛けてくれる労いや賞賛の言葉も、素直に受け取る事が出来ませんでした。
そしてそれはリリィに対しても同様でしたが、セラフはリリィに対してだけは少しだけ、心を開いていました、そうです、セラフはリリィの事が好きだったのです。
そしてリリィもまた同様にセラフの事が好きだったのですが。
二人は結局は、上手くは行きませんでした、性質が違いすぎたのです。
リリィはそれでも、一生懸命にセラフに自信を付けさせようと色々と気配りをしました。
毎日のようにセラフに挨拶をして務めて言葉を交わすようにしたり、ゲームの話をしたり、学校での出来事を話して聞かせたり。
二人はダンスを習っていて、その話もしました、リリィはセラフの、正直余り上手くは無いけど、それでも一生懸命に踊る姿が大好きでした。
だからその事を彼に伝えてみたのですが、結局は上手くは行きませんでした。
そうこうしている内に、とうとう二人が別れなければならない時が近付いて来ました。
リリィのお家がお父さんの仕事の都合で何千マイルも彼方の外国へと引っ越してしまうことになったのです。
別れの日、リリィは黙って旅立ちました、セラフはそれを見ていていてもたってもいられなくなったのですが、彼は自分がどうしたいのか、どうすればいいのかさえも解りませんでした。
言いたいことはいっぱいあったのにそれらを話し合う事も出来ずに結局は、セラフは一人になってしまいました、後に残されたのはリリィとの切ない思い出だけです、だけどそれらは。
彼を変える事に、立ち直らせる事に役立ちました、彼はここに来てようやく自分と向き合い、自分を信じ、そしてだからこそ、人の言葉を信じることが出来るようになったのですが。
その時にはもう、遅すぎました、彼に出来る事など何一つとしてありません。
それでももし、唯一出来る事があるとすればそれは、ただただリリィをの事を思って夢を見る事だけです。
リリィとセラフ第一章より
作 セラフ・ゴールドウィン、
共著リリィ・マグワイア・ゴールドウィン夫妻
ーーーーーーーーーーーーーー
エイジャックス連合王国の誇る、王宮直属魔導騎士団“レウルーラ”。
そこに所属している数多の騎士団員達の中においても、特に“超新星(スーパーノヴァ)”と呼ばれている最高戦力の一人に彼女はいた。
“レイチェル・エルシー・ルクレール・ウィンザー”、通称“黄昏のルクレール”。
今年で22歳となるこの才媛の誇る戦闘能力は他の超新星達の中でも頭一つ飛び抜けており、“泉の騎士”の称号を与えられている至高の存在“玉泉のマーガレット”を除けば誰もが敵(かな)う者は無し、とまで言われ続けていた女傑であった。
そんな彼女には同い年の恋人がいる。
相手はクイーンズベリー公爵家の次男“ロバート・ダニエルズ・ウェズリー・ウェリントン”だ。
ついでに言うとこの二人は幼馴染みで遠縁の遠縁のそのまた遠縁に当たる許嫁同士でもあったから、自然に二人の関係は両家にとっても目出度い上に応援して然るべきモノとなっていったのである。
「ねえレイ(レイチェルのニックネーム)」
「なによボブ(ロバートのニックネーム)」
「どうして日本人の描く女の子って言うのは、こんなにもチャーミングで魅力的なんだろうなぁ!?」
「あら?」
とその言葉を聞いたルクレールは、否、“レイチェル”は些か拗ねたような、それでいて何処か甘えたような表情をロバートに対して向けるモノの、そんな彼女に対してロバートもまた微笑みながら“ごめんごめん”と若干、慌てふためきながら返して宥める。
「もちろん、君が一番魅力的さ、レイ。僕の心が君にしか無いって解っているだろ?」
「ふふっ。それだったら許してあげる・・・っ!!」
そう言ってー。
チュッとその唇に唇を重ねるモノの、この時のレイチェルの見せる顔は間違いなく一人の素敵なレディのそれであり、幼い頃からロバートの知っている彼女のそれだった、ちなみに。
ロバートもまたエイジャックス連合王国の秘密組織である“M16”でエージェントとして活動しておりその関係上、当然の成り行きとして彼女の“役職”も知っていた、そしてそれは逆もまた然りであったがそんな二人の関係はだから、オフに恋人同士で出会えた時には一般人達のそれとは比較にならない位に激しく燃え上がり、かつ仲睦まじくじゃれ合って過ごせるモノだったのだ。
“自分達がいつ死ぬかも知れない”、“今を逃したならもう、この人と会えるチャンスは無いかも知れない”。
その思いが彼等を、もっと言ってしまえば彼等の意識を“今、この瞬間に”のみ集中させて行きその結果、気が付くと二人はお互いに対して全身全霊で向き合えるようになっていた、自然と神経を研ぎ澄ませつつも相手の事を良く見つめる事が出来るようになっていたロバートとレイチェルはだから、そのスタイルや心境の変化、気持ちの機微と言ったモノをいち早く察して見抜く事が可能であったし、それ故につまらない喧嘩や言い争いと言った事も、あまり起きないようになっていたのだ。
「だけど凄いね、その“ソウタ”って言うヤツ。何者なんだろうね、君を圧倒するなんて・・・」
「単に戦闘技術が云々って言う問題じゃ無いのよ?そう言った事も含めて全体的な運び方や戦法の採り方が凄い上手い男の子なのよ!!」
「ううーむ・・・」
レイチェルの言葉にロバートも思わず唸ってしまうが彼だってマーシャルアーツの使い手であると同時にフェンシング、果てはジョストまで修めている身である、そう言う訳だったからもちろん、エージェントとしての側面からの知的好奇心もあるモノの、一個人としてもそう言った、武術や格闘技と言ったモノについては少なからず潜在的な興味を持っていた人間だったのである。
それになにより。
自身の大切な恋人の事を一敗地に塗れさせたのであり、そう言った意味においても同じ男として意識せずにはいられない存在と化していたのだ。
しかし。
「確かに尊敬すべき敵なんだろうけれど・・・。だけど君をやったのは許せないな、今度は僕が相手になってやる。ソイツの事を伸(の)して来てやるよ!!」
「もうっ、ロバートったらまたそんな事を言って・・・!!」
“ダメよ!?”とレイチェルは釘を刺すモノの、一人の女としてはやはり、彼氏がこう言ってくれるのはとても嬉しい事であったし、なにより。
レイチェルはロバートの、こう言う所を愛していた、どんな強敵に対しても決して臆さずに立ち向かって行く勇気、あるいは闘争心の塊のようなその姿と姿勢を。
それは時には無鉄砲すぎて彼女をヤキモキさせるモノの、一方でそんな彼氏の男らしい姿に彼女の女の部分が疼いてしまい、“しょうがない人ね”と思ってしまう。
「だけど貴男(あなた)も変わったわよね?昔はあんなに根暗で内気で引き篭もりだったのに・・・」
「もう、その話は止めてくれ!!」
と、それまでの戦闘モードはどこへやら、“敵わないな”と言う呈でロバートが彼女に向き合うモノの、その顔には苦笑いが浮かび上がり、どこか憐れみをこうような、寂し気な眼差しをこの幼馴染みの恋人へと投げ掛けて行く。
「僕は本当にただのクソッタレ野郎だったんだ、それを立ち直らせてくれたのが君さ!!」
「そんな事を言わないで!?」
と、不意に床に視線を落として暗い面持ちとなった恋人へと駆け寄ると、レイチェルは一生懸命にフォローを入れた。
「貴男は立派な男の子だったわ!?確かに閉じ篭もりがちだったけど卑怯じゃ無かったし。それにとっても勇敢だったわ、私の事を一生懸命に守ろうとしてくれたじゃない!!」
そう言ってレイチェルはかつての日々を思い返すがあれはまだ、二人が7歳になった前後位の事だったかと思う。
その日、レイチェルは実家であるウィンザー家の所有している森林で遊んでいた、ここは中々広大で500年以上にも渡って生態系が失われておらずそのため、関係のあった貴族や政財界の大物達等が良く、頻繁に訪れる事でも大変、有名な森だったのだ、そんな森の中をー。
レイチェルは一人で歩き回っていた、季節は5月を少し過ぎた辺りであり新緑に燃える草木の中を風が優しく吹き抜けて行き、火照った彼女の頬をソッと涼めて行ってくれた。
ちなみにこの日はレイチェル一家以外にもロバート達の“クイーンズベリー公爵家”の面々も連れたって遊びに来ており、しかも“家族水入らずでゆっくりと過ごしたい”と言う両家の意向から護衛やお供達の人数は必要最低限にまで絞り込まれてしまっていた。
即ち人員に余裕が無かったのであるモノの、その上途中からは“お昼は皆でバーベキューにしたい”と言う意見が出始めていた為に、ただでさえ数少ない供回りの面々はその準備に追われて大わらわとなっていたのだ、そしてー。
そんな中で“事件”は起こった、上機嫌で散歩を楽しんでいた彼女の前に突如として3匹の大型野犬が姿を現したのである。
「ウウウウ・・・ッ!!!」
「ガルルル・・・ッ!!!」
「・・・・・っ!!!」
一応、その時点のレイチェルにも魔法の心得はあったモノの何分、まだ習いたてだった事もあって生成が満足に覚束無ず、しかも使えるのも初級のそれらが一個か二個、やっとと言う有様であった。
即ち。
「あっ。あ、あ・・・っ!!」
(ど、どうしよう!?どうしたら良いのっ?誰か助けてっ!!)
「とりゃあああぁぁぁぁぁっ!!!!!」
とてもの事、一人で戦闘が行えるような状況等では決して無く、それ故にー。
思わずパニックに陥ってしまった少女がその場にへたり込みそうになってしまった、まさにその時。
太めの木の枝を右手に持ったロバートが助けに来てくれたのであるがこの時の彼は確かに勇敢だった、普段は宮殿の自室に籠もってやれパソコンだ、ゲームだ、等と言ったモノに現を抜かしていた筈の少年はしかし、こう言ったいざの際にはどんな難敵相手にも立ち向かって行く事の出来る勇気と強さを持ち合わせていたのだった。
「レイから離れろっ!!こいつら、この、このっ!!ぐわっ、いたい、いたいぃぃぃっ!!!」
「あ、あっ。あ・・・っ!!!」
最初は優勢だったその戦いもしかし、アッという間に逆転してしまっていた、やはり普段から家屋の中で遊んでいたロバートの腕力ではまだ、野犬の群れを相手にするのは分が悪すぎたのだ。
「レイ、速く逃げてっ。逃げて・・・っ。レイィ・・・ッ!!」
「いやあああぁぁぁぁぁーーー・・・・・・・・・っっっ!!!!!!!!」
「・・・っ?ん、ん?」
「なんだ!?今のは・・・!!」
腕や太腿、身体等の至る部分に噛み付かれてツメを立てられ、ロバートの身体から血が噴き出して来るモノの、それを見たレイチェルは無意識の内に叫んでいた、自身の日常を構成していた幼馴染みの少年が、自分が本当に大切にしていたモノが無残にも引き裂かれて行くその現実そのものが我慢できずに彼女は叫び声を挙げるという形でそれを拒否したのであるモノの、それをー。
周囲にいた警備や庭師、両親等の大人達が聞いていたのであり、異変を察して駆け付けて見るとなんとロバートが野犬の群れに襲われながらもそれを振り解こうと必死になってのたうち回っているではないか!!
「コイツら!!」
その場で衛兵が空に向かって警備用ライフルをダァーン、ダァーン、と撃ち放つとその音に驚いた野犬達は途端に及び腰となり、方々の呈でその場から逃げ去って行ってしまったのである。
「ボブ、ボブウゥゥゥッ!!!」
「なんと言う事だ!!」
駆け付けた衛兵らによってロバートは直ちに近くの病院へと運び込まれ、そこで念入りな治療と同時に“狂犬病”等に対する各種ワクチンの接種を行いそれから経過を見るためにと、実に2週間の間、入院する事となった。
「ごめんなさい、私の為に・・・」
「そんなこと、気にしなくて良いんだってば!!」
処置が終わって一段落し、体調が落ち着いた後でお見舞いへとやって来たレイチェルは泣きじゃくりながらロバートに謝罪した、しかし。
「第一君のせいじゃ無いだろ?気にしなくて良いよ」
「うえ、グス・・・ッ!!うん。でも・・・!!」
“本当にゴメンね?”とレイチェルは改めてそう告げるモノのあの時、もし下手な事をすればロバートは確実に死んでいたのかも知れないのであり、それが故にー。
本当に極限状態に追いやられてしまっていたレイチェルはこの時に、ハッキリと自身の中に秘められていた彼への気持ちを理解したのだ、“自分はボブの事が好き”と言う“恋心”を、である。
ただし。
そんな二人が正式にお付き合いし始めたのはそれから更に5年も経ってからのことであり、それまではロバートが中々、陰気で後ろ向きと言うか、自分に今一歩、自身が持てずにいた為に、彼女の気持ちに応えられずにいたのであるが、皮肉な事にそんな彼がようやく自分の殻を破って本格的に立ち直って行ったのは兄弟の中の誰よりも武術の才能があったからであって、例の“野犬事件”の後に「お前も少しは身体を鍛えろ!!」との父であり現当主であった“ロード・ハリー・トーマス・クロージャー・ウェリントン”の意見に従って、マーシャルアーツを習い始めてからの事であったのだ。
彼の家庭教師に就いたのが当時、“M16”において武術を教えていた“ジョシュア”と呼ばれていた男性であって、彼から厳しく指導されたロバートはみるみる内にその才覚を現して行き、彼の主催するジム(門下生には当然、“M16”や警察等に勤務している者も多い)の中でも常にトップ3に入る程の実力を身に付けるに至っていたのだ。
(僕、こんな強かったのか!!ってかやれば出来んじゃん、僕って!!)
この時の経験から彼はようやく自分の事を一人の人間として意識する事が出来るようになって行き、そして“己自身の貴重さ、大切さ”と言うモノを認識するようになっていったのである。
そしてそうなった瞬間にー。
彼は意識が覚醒して行くのをハッキリと感じ取り、文字通り世界が広がった気がした、それまで思いを馳せる事が出来なかった人の気持ち、人の好意と言ったモノが理解できるようになって、そしてようやく“他人を受け入れる”と言う事が、出来るようになったのである。
そしてそれと同時に。
ロバートは悟ったのである、レイチェルの自分へと向ける気持ちを。
その純真にして嘘偽りの無い、どこまでも真っ直ぐなまでの恋心を。
それしてそれがどれだけ貴重で有り難くて、大切なモノなのか、と言う事も彼は“実感として”理解したのでありそれ故にこそー。
そんな大切な女性(ひと)を窮地に追いやった“ソウタ・アヤカベ”と言う人間を、このままにしておくことは出来ないと心に決めたのであり、何とかしてヤツを討伐しなければ、と言うある種の使命感にも燃えていたのだ、しかしー。
「断っておくけれどー」
と彼が何をするつもりなのか、大体の所で理解しているレイチェルは先に釘を刺しておくことにした“下手な手出しは無用だからね?”とそう言ってー。
「ヤツは必ず私が倒す。この前のリベンジマッチを果たす意味でもね、だからあなたは絶対に手を出さないで!!・・・解った?」
「ああ。よく解っているよ、レイ・・・」
恋人からのその言葉に、取り敢えずはそう頷いて見せたロバートだったが腹の中は違っていた、彼はどうしてもソイツと戦ってみたかった、勿論、恋人に苦杯をなめさせた憎き怨敵ではあるけれども、一方でこの武闘派貴族な御曹司は彼女の強さをよくよく知っていたのであり、それを打ち破ったと言われているソウタと言う男の実力に、少なからず興味を持ったのである。
そして更にもう一つ、実はこれが彼としてみても、なによりかによりの理由となる最大のモノであったのであるが、ロバートはこのまま、その“ソウタ”なる人物を野放しにしておくことは将来的な重大なる禍根となるのでは無いのか、と言うかなり強い懸念があった。
そしてそれは回り回ってレイチェル自身へと跳ね返って行く事になるのでは無いか、と言うある種の危機感のような感覚が働いていたのであり、それが彼をしてレイチェルからの制止を振り切らせる事を“止む無し”と判断させていたのである。
(レイチェルに、嫌われたくはないけれど・・・。それでもやはり、これは今のうちに“処理”しておかなくてはならない問題なんじゃないのか?いいや、間違いなくそうだ!!)
そう腹の中で結論を出したロバートは、先ずは情報収集から行う事とした、相手の詳しい素性、能力が解らなければ、そしてそれ以前の問題として居場所が判らない限りかは此方としては何にも出来ない。
(本部のコンピュータに、アクセスしてみるか。この子達の報告した状況表や住所なんかが乗っている筈だ・・・)
心の中でレイチェルに“ごめんねレイチェル”と詫びを入れつつ、ロバートは密かに行動を開始し始めて行ったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
読者の皆様こんにちは、いつも小説を読んで下さりまして誠にありがとうございます。
ハイパーキャノンと申します。
今回は少し趣向を変えまして、敵側のルクレールちゃんのお話で御座います。
なぜこのタイミングで、敵側のお話を書いたのか、と申しますと、それには一つの理由が御座います。
と申しますのはもうそろそろ第二部が完結いたしますのでその前に登場したキャラクター達の物語(エピソード)を少し深めておこう、と思ったからです。
もう後、この話を入れまして3話~4話程度で第二部は完結いたします。
少しネタバレになってしまうのですが、今後は蒼太君達は“ガリア帝国”へと帰る事になります。
そこでかつての仲間や他の幼馴染み達と再開し、総力をもってこの世界での“ドラクロワ・カウンシル”であります“ACO”(“アンチ・クライスト・オーダー”、もしくは“アンチ・クライスト・オーガニゼーション”の略です)の面々との間に決戦を挑むことになります。
その前に少しでも、キャラクター達同士における掛け合いをやっておきたい、と思い至りましてこのような物語の生成と相成りました事を、ここに御報告させていただきます。
ちなみに、この“ルクレールの憂鬱”と言うお話には“元ネタ”が存在しております。
ただしそれは他の作家さんや先生方の書かれている“漫画”や“小説”ではありません、まったく違うジャンルのモノなのです。
ではそれは何か、と言われますと、実は“音楽”なのですが皆様は“ELLEGARDEN(エルレガーデン)”と呼ばれるバンドを御存知ですか?
その方々の作曲されました“SUPERNOVA(スーパーノヴァ)”と言う楽曲がこのお話を描く切っ掛けと申しますか、発想をくれたのです。
この歌の歌詞自体は凄い切ない系なのですが、曲は凄いアップテンポでイカしたモノです、ユーチューブで視聴できますので、宜しければ是非聞いて見て下さいませ(中でも“和訳”と書かれているのが特に良いです!!)。
リリィとセラフは幼馴染みでした、小さな頃は良く一緒に遊んでいました。
だけど二人には大きな違いがありました、一つ目は性別であり二つ目は性格です。
リリィは天真爛漫な女の子でした、とっても優しい女の子でした、暖かい性質で皆からも好かれていましたが、一方で。
セラフは内気で暗い男の子でした、友達も多くはありません。
いつもいじけてウジウジしていてことある毎に“自分はダメな奴なんだ”と自分で自分をこき下ろしていました、彼は自分に自信を持つ事が出来なかったのです。
そしてそれ故にー。
他人が自分に対して掛けてくれる労いや賞賛の言葉も、素直に受け取る事が出来ませんでした。
そしてそれはリリィに対しても同様でしたが、セラフはリリィに対してだけは少しだけ、心を開いていました、そうです、セラフはリリィの事が好きだったのです。
そしてリリィもまた同様にセラフの事が好きだったのですが。
二人は結局は、上手くは行きませんでした、性質が違いすぎたのです。
リリィはそれでも、一生懸命にセラフに自信を付けさせようと色々と気配りをしました。
毎日のようにセラフに挨拶をして務めて言葉を交わすようにしたり、ゲームの話をしたり、学校での出来事を話して聞かせたり。
二人はダンスを習っていて、その話もしました、リリィはセラフの、正直余り上手くは無いけど、それでも一生懸命に踊る姿が大好きでした。
だからその事を彼に伝えてみたのですが、結局は上手くは行きませんでした。
そうこうしている内に、とうとう二人が別れなければならない時が近付いて来ました。
リリィのお家がお父さんの仕事の都合で何千マイルも彼方の外国へと引っ越してしまうことになったのです。
別れの日、リリィは黙って旅立ちました、セラフはそれを見ていていてもたってもいられなくなったのですが、彼は自分がどうしたいのか、どうすればいいのかさえも解りませんでした。
言いたいことはいっぱいあったのにそれらを話し合う事も出来ずに結局は、セラフは一人になってしまいました、後に残されたのはリリィとの切ない思い出だけです、だけどそれらは。
彼を変える事に、立ち直らせる事に役立ちました、彼はここに来てようやく自分と向き合い、自分を信じ、そしてだからこそ、人の言葉を信じることが出来るようになったのですが。
その時にはもう、遅すぎました、彼に出来る事など何一つとしてありません。
それでももし、唯一出来る事があるとすればそれは、ただただリリィをの事を思って夢を見る事だけです。
リリィとセラフ第一章より
作 セラフ・ゴールドウィン、
共著リリィ・マグワイア・ゴールドウィン夫妻
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エイジャックス連合王国の誇る、王宮直属魔導騎士団“レウルーラ”。
そこに所属している数多の騎士団員達の中においても、特に“超新星(スーパーノヴァ)”と呼ばれている最高戦力の一人に彼女はいた。
“レイチェル・エルシー・ルクレール・ウィンザー”、通称“黄昏のルクレール”。
今年で22歳となるこの才媛の誇る戦闘能力は他の超新星達の中でも頭一つ飛び抜けており、“泉の騎士”の称号を与えられている至高の存在“玉泉のマーガレット”を除けば誰もが敵(かな)う者は無し、とまで言われ続けていた女傑であった。
そんな彼女には同い年の恋人がいる。
相手はクイーンズベリー公爵家の次男“ロバート・ダニエルズ・ウェズリー・ウェリントン”だ。
ついでに言うとこの二人は幼馴染みで遠縁の遠縁のそのまた遠縁に当たる許嫁同士でもあったから、自然に二人の関係は両家にとっても目出度い上に応援して然るべきモノとなっていったのである。
「ねえレイ(レイチェルのニックネーム)」
「なによボブ(ロバートのニックネーム)」
「どうして日本人の描く女の子って言うのは、こんなにもチャーミングで魅力的なんだろうなぁ!?」
「あら?」
とその言葉を聞いたルクレールは、否、“レイチェル”は些か拗ねたような、それでいて何処か甘えたような表情をロバートに対して向けるモノの、そんな彼女に対してロバートもまた微笑みながら“ごめんごめん”と若干、慌てふためきながら返して宥める。
「もちろん、君が一番魅力的さ、レイ。僕の心が君にしか無いって解っているだろ?」
「ふふっ。それだったら許してあげる・・・っ!!」
そう言ってー。
チュッとその唇に唇を重ねるモノの、この時のレイチェルの見せる顔は間違いなく一人の素敵なレディのそれであり、幼い頃からロバートの知っている彼女のそれだった、ちなみに。
ロバートもまたエイジャックス連合王国の秘密組織である“M16”でエージェントとして活動しておりその関係上、当然の成り行きとして彼女の“役職”も知っていた、そしてそれは逆もまた然りであったがそんな二人の関係はだから、オフに恋人同士で出会えた時には一般人達のそれとは比較にならない位に激しく燃え上がり、かつ仲睦まじくじゃれ合って過ごせるモノだったのだ。
“自分達がいつ死ぬかも知れない”、“今を逃したならもう、この人と会えるチャンスは無いかも知れない”。
その思いが彼等を、もっと言ってしまえば彼等の意識を“今、この瞬間に”のみ集中させて行きその結果、気が付くと二人はお互いに対して全身全霊で向き合えるようになっていた、自然と神経を研ぎ澄ませつつも相手の事を良く見つめる事が出来るようになっていたロバートとレイチェルはだから、そのスタイルや心境の変化、気持ちの機微と言ったモノをいち早く察して見抜く事が可能であったし、それ故につまらない喧嘩や言い争いと言った事も、あまり起きないようになっていたのだ。
「だけど凄いね、その“ソウタ”って言うヤツ。何者なんだろうね、君を圧倒するなんて・・・」
「単に戦闘技術が云々って言う問題じゃ無いのよ?そう言った事も含めて全体的な運び方や戦法の採り方が凄い上手い男の子なのよ!!」
「ううーむ・・・」
レイチェルの言葉にロバートも思わず唸ってしまうが彼だってマーシャルアーツの使い手であると同時にフェンシング、果てはジョストまで修めている身である、そう言う訳だったからもちろん、エージェントとしての側面からの知的好奇心もあるモノの、一個人としてもそう言った、武術や格闘技と言ったモノについては少なからず潜在的な興味を持っていた人間だったのである。
それになにより。
自身の大切な恋人の事を一敗地に塗れさせたのであり、そう言った意味においても同じ男として意識せずにはいられない存在と化していたのだ。
しかし。
「確かに尊敬すべき敵なんだろうけれど・・・。だけど君をやったのは許せないな、今度は僕が相手になってやる。ソイツの事を伸(の)して来てやるよ!!」
「もうっ、ロバートったらまたそんな事を言って・・・!!」
“ダメよ!?”とレイチェルは釘を刺すモノの、一人の女としてはやはり、彼氏がこう言ってくれるのはとても嬉しい事であったし、なにより。
レイチェルはロバートの、こう言う所を愛していた、どんな強敵に対しても決して臆さずに立ち向かって行く勇気、あるいは闘争心の塊のようなその姿と姿勢を。
それは時には無鉄砲すぎて彼女をヤキモキさせるモノの、一方でそんな彼氏の男らしい姿に彼女の女の部分が疼いてしまい、“しょうがない人ね”と思ってしまう。
「だけど貴男(あなた)も変わったわよね?昔はあんなに根暗で内気で引き篭もりだったのに・・・」
「もう、その話は止めてくれ!!」
と、それまでの戦闘モードはどこへやら、“敵わないな”と言う呈でロバートが彼女に向き合うモノの、その顔には苦笑いが浮かび上がり、どこか憐れみをこうような、寂し気な眼差しをこの幼馴染みの恋人へと投げ掛けて行く。
「僕は本当にただのクソッタレ野郎だったんだ、それを立ち直らせてくれたのが君さ!!」
「そんな事を言わないで!?」
と、不意に床に視線を落として暗い面持ちとなった恋人へと駆け寄ると、レイチェルは一生懸命にフォローを入れた。
「貴男は立派な男の子だったわ!?確かに閉じ篭もりがちだったけど卑怯じゃ無かったし。それにとっても勇敢だったわ、私の事を一生懸命に守ろうとしてくれたじゃない!!」
そう言ってレイチェルはかつての日々を思い返すがあれはまだ、二人が7歳になった前後位の事だったかと思う。
その日、レイチェルは実家であるウィンザー家の所有している森林で遊んでいた、ここは中々広大で500年以上にも渡って生態系が失われておらずそのため、関係のあった貴族や政財界の大物達等が良く、頻繁に訪れる事でも大変、有名な森だったのだ、そんな森の中をー。
レイチェルは一人で歩き回っていた、季節は5月を少し過ぎた辺りであり新緑に燃える草木の中を風が優しく吹き抜けて行き、火照った彼女の頬をソッと涼めて行ってくれた。
ちなみにこの日はレイチェル一家以外にもロバート達の“クイーンズベリー公爵家”の面々も連れたって遊びに来ており、しかも“家族水入らずでゆっくりと過ごしたい”と言う両家の意向から護衛やお供達の人数は必要最低限にまで絞り込まれてしまっていた。
即ち人員に余裕が無かったのであるモノの、その上途中からは“お昼は皆でバーベキューにしたい”と言う意見が出始めていた為に、ただでさえ数少ない供回りの面々はその準備に追われて大わらわとなっていたのだ、そしてー。
そんな中で“事件”は起こった、上機嫌で散歩を楽しんでいた彼女の前に突如として3匹の大型野犬が姿を現したのである。
「ウウウウ・・・ッ!!!」
「ガルルル・・・ッ!!!」
「・・・・・っ!!!」
一応、その時点のレイチェルにも魔法の心得はあったモノの何分、まだ習いたてだった事もあって生成が満足に覚束無ず、しかも使えるのも初級のそれらが一個か二個、やっとと言う有様であった。
即ち。
「あっ。あ、あ・・・っ!!」
(ど、どうしよう!?どうしたら良いのっ?誰か助けてっ!!)
「とりゃあああぁぁぁぁぁっ!!!!!」
とてもの事、一人で戦闘が行えるような状況等では決して無く、それ故にー。
思わずパニックに陥ってしまった少女がその場にへたり込みそうになってしまった、まさにその時。
太めの木の枝を右手に持ったロバートが助けに来てくれたのであるがこの時の彼は確かに勇敢だった、普段は宮殿の自室に籠もってやれパソコンだ、ゲームだ、等と言ったモノに現を抜かしていた筈の少年はしかし、こう言ったいざの際にはどんな難敵相手にも立ち向かって行く事の出来る勇気と強さを持ち合わせていたのだった。
「レイから離れろっ!!こいつら、この、このっ!!ぐわっ、いたい、いたいぃぃぃっ!!!」
「あ、あっ。あ・・・っ!!!」
最初は優勢だったその戦いもしかし、アッという間に逆転してしまっていた、やはり普段から家屋の中で遊んでいたロバートの腕力ではまだ、野犬の群れを相手にするのは分が悪すぎたのだ。
「レイ、速く逃げてっ。逃げて・・・っ。レイィ・・・ッ!!」
「いやあああぁぁぁぁぁーーー・・・・・・・・・っっっ!!!!!!!!」
「・・・っ?ん、ん?」
「なんだ!?今のは・・・!!」
腕や太腿、身体等の至る部分に噛み付かれてツメを立てられ、ロバートの身体から血が噴き出して来るモノの、それを見たレイチェルは無意識の内に叫んでいた、自身の日常を構成していた幼馴染みの少年が、自分が本当に大切にしていたモノが無残にも引き裂かれて行くその現実そのものが我慢できずに彼女は叫び声を挙げるという形でそれを拒否したのであるモノの、それをー。
周囲にいた警備や庭師、両親等の大人達が聞いていたのであり、異変を察して駆け付けて見るとなんとロバートが野犬の群れに襲われながらもそれを振り解こうと必死になってのたうち回っているではないか!!
「コイツら!!」
その場で衛兵が空に向かって警備用ライフルをダァーン、ダァーン、と撃ち放つとその音に驚いた野犬達は途端に及び腰となり、方々の呈でその場から逃げ去って行ってしまったのである。
「ボブ、ボブウゥゥゥッ!!!」
「なんと言う事だ!!」
駆け付けた衛兵らによってロバートは直ちに近くの病院へと運び込まれ、そこで念入りな治療と同時に“狂犬病”等に対する各種ワクチンの接種を行いそれから経過を見るためにと、実に2週間の間、入院する事となった。
「ごめんなさい、私の為に・・・」
「そんなこと、気にしなくて良いんだってば!!」
処置が終わって一段落し、体調が落ち着いた後でお見舞いへとやって来たレイチェルは泣きじゃくりながらロバートに謝罪した、しかし。
「第一君のせいじゃ無いだろ?気にしなくて良いよ」
「うえ、グス・・・ッ!!うん。でも・・・!!」
“本当にゴメンね?”とレイチェルは改めてそう告げるモノのあの時、もし下手な事をすればロバートは確実に死んでいたのかも知れないのであり、それが故にー。
本当に極限状態に追いやられてしまっていたレイチェルはこの時に、ハッキリと自身の中に秘められていた彼への気持ちを理解したのだ、“自分はボブの事が好き”と言う“恋心”を、である。
ただし。
そんな二人が正式にお付き合いし始めたのはそれから更に5年も経ってからのことであり、それまではロバートが中々、陰気で後ろ向きと言うか、自分に今一歩、自身が持てずにいた為に、彼女の気持ちに応えられずにいたのであるが、皮肉な事にそんな彼がようやく自分の殻を破って本格的に立ち直って行ったのは兄弟の中の誰よりも武術の才能があったからであって、例の“野犬事件”の後に「お前も少しは身体を鍛えろ!!」との父であり現当主であった“ロード・ハリー・トーマス・クロージャー・ウェリントン”の意見に従って、マーシャルアーツを習い始めてからの事であったのだ。
彼の家庭教師に就いたのが当時、“M16”において武術を教えていた“ジョシュア”と呼ばれていた男性であって、彼から厳しく指導されたロバートはみるみる内にその才覚を現して行き、彼の主催するジム(門下生には当然、“M16”や警察等に勤務している者も多い)の中でも常にトップ3に入る程の実力を身に付けるに至っていたのだ。
(僕、こんな強かったのか!!ってかやれば出来んじゃん、僕って!!)
この時の経験から彼はようやく自分の事を一人の人間として意識する事が出来るようになって行き、そして“己自身の貴重さ、大切さ”と言うモノを認識するようになっていったのである。
そしてそうなった瞬間にー。
彼は意識が覚醒して行くのをハッキリと感じ取り、文字通り世界が広がった気がした、それまで思いを馳せる事が出来なかった人の気持ち、人の好意と言ったモノが理解できるようになって、そしてようやく“他人を受け入れる”と言う事が、出来るようになったのである。
そしてそれと同時に。
ロバートは悟ったのである、レイチェルの自分へと向ける気持ちを。
その純真にして嘘偽りの無い、どこまでも真っ直ぐなまでの恋心を。
それしてそれがどれだけ貴重で有り難くて、大切なモノなのか、と言う事も彼は“実感として”理解したのでありそれ故にこそー。
そんな大切な女性(ひと)を窮地に追いやった“ソウタ・アヤカベ”と言う人間を、このままにしておくことは出来ないと心に決めたのであり、何とかしてヤツを討伐しなければ、と言うある種の使命感にも燃えていたのだ、しかしー。
「断っておくけれどー」
と彼が何をするつもりなのか、大体の所で理解しているレイチェルは先に釘を刺しておくことにした“下手な手出しは無用だからね?”とそう言ってー。
「ヤツは必ず私が倒す。この前のリベンジマッチを果たす意味でもね、だからあなたは絶対に手を出さないで!!・・・解った?」
「ああ。よく解っているよ、レイ・・・」
恋人からのその言葉に、取り敢えずはそう頷いて見せたロバートだったが腹の中は違っていた、彼はどうしてもソイツと戦ってみたかった、勿論、恋人に苦杯をなめさせた憎き怨敵ではあるけれども、一方でこの武闘派貴族な御曹司は彼女の強さをよくよく知っていたのであり、それを打ち破ったと言われているソウタと言う男の実力に、少なからず興味を持ったのである。
そして更にもう一つ、実はこれが彼としてみても、なによりかによりの理由となる最大のモノであったのであるが、ロバートはこのまま、その“ソウタ”なる人物を野放しにしておくことは将来的な重大なる禍根となるのでは無いのか、と言うかなり強い懸念があった。
そしてそれは回り回ってレイチェル自身へと跳ね返って行く事になるのでは無いか、と言うある種の危機感のような感覚が働いていたのであり、それが彼をしてレイチェルからの制止を振り切らせる事を“止む無し”と判断させていたのである。
(レイチェルに、嫌われたくはないけれど・・・。それでもやはり、これは今のうちに“処理”しておかなくてはならない問題なんじゃないのか?いいや、間違いなくそうだ!!)
そう腹の中で結論を出したロバートは、先ずは情報収集から行う事とした、相手の詳しい素性、能力が解らなければ、そしてそれ以前の問題として居場所が判らない限りかは此方としては何にも出来ない。
(本部のコンピュータに、アクセスしてみるか。この子達の報告した状況表や住所なんかが乗っている筈だ・・・)
心の中でレイチェルに“ごめんねレイチェル”と詫びを入れつつ、ロバートは密かに行動を開始し始めて行ったのだった。
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読者の皆様こんにちは、いつも小説を読んで下さりまして誠にありがとうございます。
ハイパーキャノンと申します。
今回は少し趣向を変えまして、敵側のルクレールちゃんのお話で御座います。
なぜこのタイミングで、敵側のお話を書いたのか、と申しますと、それには一つの理由が御座います。
と申しますのはもうそろそろ第二部が完結いたしますのでその前に登場したキャラクター達の物語(エピソード)を少し深めておこう、と思ったからです。
もう後、この話を入れまして3話~4話程度で第二部は完結いたします。
少しネタバレになってしまうのですが、今後は蒼太君達は“ガリア帝国”へと帰る事になります。
そこでかつての仲間や他の幼馴染み達と再開し、総力をもってこの世界での“ドラクロワ・カウンシル”であります“ACO”(“アンチ・クライスト・オーダー”、もしくは“アンチ・クライスト・オーガニゼーション”の略です)の面々との間に決戦を挑むことになります。
その前に少しでも、キャラクター達同士における掛け合いをやっておきたい、と思い至りましてこのような物語の生成と相成りました事を、ここに御報告させていただきます。
ちなみに、この“ルクレールの憂鬱”と言うお話には“元ネタ”が存在しております。
ただしそれは他の作家さんや先生方の書かれている“漫画”や“小説”ではありません、まったく違うジャンルのモノなのです。
ではそれは何か、と言われますと、実は“音楽”なのですが皆様は“ELLEGARDEN(エルレガーデン)”と呼ばれるバンドを御存知ですか?
その方々の作曲されました“SUPERNOVA(スーパーノヴァ)”と言う楽曲がこのお話を描く切っ掛けと申しますか、発想をくれたのです。
この歌の歌詞自体は凄い切ない系なのですが、曲は凄いアップテンポでイカしたモノです、ユーチューブで視聴できますので、宜しければ是非聞いて見て下さいませ(中でも“和訳”と書かれているのが特に良いです!!)。
応援ありがとうございます!
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