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ガリア帝国編

アレクセイ・デュマ

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「そっちに行ったかっ!?」

「いいや、来てはいないぞっ!!」

「こっちでも姿は見ていないわ!!」

 多重城塞都市ルテティア、その第3環状区画北西に位置している、“聖ガリア大聖堂”、そこのー。

 地下3階に存在している“宝剣の間”に安置されていた“ヴァネッサ・カルネカの聖遺体”、その腰に鞘ごと佩かれていた“カルネカの剣”こそが今回、“ハウシェプスト協会”が(もっと言ってしまえば“アンチ・クライスト・オーダーズ”が)その目的成就の為に選定した品であった。

 ところがー。

「はあっ、はあ・・・っ!!」

「な、なんて事なの・・・っ!?」

 夜の夜中に手筈通りに聖堂内部に潜入を果たし、“そこ”へと至った“ハウシェプスト協会”の面々を待っていたのは彼等の目指した聖剣等では決して無かった、それどころかー。

 むしろ自分達自身こそが標的の捕縛の対象となってしまっている事を知った彼等は愕然となりながらも、それでも現場から必死の逃走を試みるモノの、しかし。

「く、くそっ。なんなんだ、この今夜、我々が来ることを予め解っていたかのような警備態勢は・・・っ!!」

「こ、こんな筈では決して無かった、今回こそは我々は、奴等の裏を完全に掻いていた、その筈ですらあったのに・・・っ!!」

 “潜入組”の面々は一目散に撤退を開始しながら各々が思った事を述べるモノの、既にこの時点で仲間達の内数名は確保されてしまっており、残されていた者達に付いても決して“逃げ切れる”等と楽観できるような状況下には、間違っても無かったのであった。

「く、くそっ。なんてこったっ!!」

「エカテリーナ様に、何としてでも連絡を取らなくては・・・っ。きゃあああぁぁぁぁぁっ!!?」

 尚も遁走を試みた彼等が、前を向いて駆け出した瞬間。

 不意に地面がぐらついたかと思うと急に辺り一帯が酷い泥濘(ぬかる)み状態となり、彼等は揃ってその中へと向けて足を取られてしまい、しかもそのままズブズブと、身体が沈み始めて行くでは無いか。

「ち、畜生っ。なんだよこりゃああぁぁぁっ!!?」

「か、身体がっ。沈み込んで行く・・・っ!!」

 そう呻くと同時に二人が尚もそこから逃れようとして、無闇矢鱈(むやみやたら)と暴れ回るが、するとその度毎に身体は泥濘みの中へとより深く沈み込んで行ってしまい、遂には首以外の部分がその中へとスッポリと埋まり尽くしてしまったのである。

「・・・・・」

「・・・・・っ!!!」

「す、凄いですっ。アデールさん・・・っ!!!」

「ああ。流石は“水の星の眠り姫”、アデールだな・・・!!!」

 その様子を、現場より10キロ程離れている、魔法剣技特殊銃士隊“セイレーン”の本部ビル、その地下11、12階ぶち抜きで設置されていた大広間、“女王の間”のモニター画面で蒼太やメリアリア、アウロラ共々目撃していたオリヴィアが、頷きつつも呟くモノの今回、彼女達“セイレーン”はその上層組織である国家高等秘密警察“ミラベル”と共同で、ハイウィザード達指揮の下(もと)、“結界防御作戦”を発令、始動させておりその一環としてアデールを始めとする数名の同志達を“聖ガリア大聖堂”へと配備させていた、と言う訳である。

 ちなみに彼女達セイレーンが“ハウシェプスト協会”による“聖遺物収集行為”に対して“待った”を掛ける事が出来たのはこれで3度目の事であり、その都度増える捕虜人員達への聞き込み等から概ね、次に連中が姿を現す場所や時期、得てしてその計画内容までもが悉(つぶさ)に蒼太やオリヴィア等の頭脳班の活躍や、ハイウィザード達の能力の限りを尽くした“霊的占術”の効能によって予想、判読する事が出来るようになっており、その結果として彼等はここ一ヶ月の間は、ろくにその任務を達成する事が出来なくなっていたのであった。

 もっとも。

 捕縛に成功しているのは、その大半が下級構成員達、要するに下っ端でしか無かった為にそれ以上の情報(例えば組織の全容を知っている者だとか、その究極の目的がなんであるのか)と言った事までは解明のしようが無かったモノのそれでも、現実に彼等のような存在がいる事、そしてその大まかな目的について等は、何とか掴み始める事が出来るようになっていたのだ。

「“人類恐竜化計画”・・・?」

「ああ、そうだ・・・!!」

 勿論、魔物に魂を売り渡しているような輩は論外だったが、そうだとしても捕まえられて来た面々の多くは司法取引に応じる事と一生涯、その身を危険から(もっと言ってしまえば“ハウシェプスト協会”の復讐から)守る事(要するに自身の身を保護する事)等を条件として取り調べに対して割かし素直に応じていたモノの、その日の犯人(ホシ)は些か事情が違っていた、遂に蒼太達が待ち侘びていた人物である“中堅クラス”の幹部候補生が雑兵に混じって逮捕されたのであり、連行されて来たのだった。

「間違いないか?」

「ああ、ありゃ間違いなく中堅クラス以上の人さ。多分な・・・」

「私達はいつも、暗がりでフードを被って集会をしているから、同志達がどんな存在なのかは私達自身でも解らない。だけど話し方や声色、雰囲気なんかが知っている人にそっくりなんだ・・・!!」

「・・・・・っ!!?」

「・・・・・っ!!!」

(アデール達がやってくれたか、後で礼を言わなきゃな・・・!!)

 見聞に立ち会わせた構成員達の反応から“逃す手は無い!!”と判断した蒼太達は心の中で仲間達の奮闘に対して敬意と感謝の念を向けるとと同時に早速にしてこの男の尋問を開始するモノの、するとその最中に彼の口からはとんでもない単語が飛び出して来て一時、一同は騒然となったが、それによるとまずは第一段階として人間達を堕落させ、享楽にのみ耽るように仕向けさせて行く。

 “自分達が何者であったのか”、“何の為にここにいるのか”と言う事を完全に忘れさせておき、そうしておいてその生活サイクルやエネルギー消費量をかつての恐竜達と同じレベルにまで退化、もしくは増大させて行き、優しさも何もかもすっかりと見失わせた所で、そう言った存在の発する“暴虐の暴走”とでも言うべき濁流に近いエネルギーを以てこの世界における自然の調和のメカニズムを完全に破綻させる、それこそが目的であるとの事だったのだ。

 その為には正常な判断力を奪わせる事がなにより必須事項であり、その為に“セックス”、“スポーツ”、“スクリーン”と言う3つのSを用いた手段でまずは人間を快楽漬けにして足下を見なくさせ、“自分とは何か?”、“何のために存在しているのか”、“何処から来て何処に行くのか”と言う事にまで頭を回らなくさせるように仕向ける、と言うのである。

「正常な人間って奴には必ず正常な判断力がある、正常な価値観、正常な感性を持っていやがる。先ずはそれを奪うのさ、ただでさえ、毎日毎日体力と精神力の限界まで仕事をさせてクタクタになっている所へ“3S”をやってやるとどうなるのか。人間て奴は自分の心に潤いを持たせなければ生きてはいけないからな、まあ“存在”ってのはどんなモノでも皆そうなんだが結果、人間同士のコミュニケーションよりも自分の中の世界に没頭するようになって行くんだ。お前ら自分達の事を思い出してみろ、近くいてくれる愛しい人の事よりもゲームや趣味に逃げる奴等の割合の方が、遥かに多いことに気が付くだろうぜ?社会でクタクタになっちまうから、そう言った連中と愛を育む余裕が無くなっちまうのさ、人としての基本であり一番大切な事なのにな。それでも昔はタフネスな奴等の方が多かった、何故かと言うと“体を使う職業”の方が主体だったからな。例えば兵士やグラディエーターなんかは勿論の事、農業や林業、大工に職人もそうだ。中でもスゲぇのが各地を回って武者修行している戦士とかいただろう?あー言うのはただただ体力があるだけじゃ、到底務まらねぇんだよ、身体も精神も相当に強靱で絶倫さがないとな。それに多少なりともやった事がある奴なら解るだろうが、これらは皆、恐ろしい程の重労働だ、ガキの頃からやらされてりゃ嫌でも力も付くし体力も付く。ガッツだって生まれるだろうさ、だから仕事が終わった後でもセックスは平然と出来ていたんだ、所謂(いわゆる)“子沢山”て奴だよ!!」

「・・・・・」

「それに比べて今の奴等は出来損ないも良いところさ、確かに頭の持つ情報量や、そのやりとりの煩雑さ自体は進化したかも知れないが、ただそれだけのゴミクズさ、欠陥品だよ!!それだけじゃねぇ、足下も非常に疎かになっている。自分の事も省みようとせず、自分の近しい人の事も省みようとしない。そうするとどうなるか?コミュニケーション能力の欠如した奴や、どうやったらコミュニケーションを取れるのかさえも解らない奴等が増えるのさ。自分の事が解らない奴等は他人の事も解らねぇ、こんな当たり前の事にすら気付けなくなっちまう位の薄鈍(うすのろ)が増加して来たって訳だぜ!!」

「・・・・・」

 “今に見てろ”と男は尋問員達に対してほくそ笑みながら口にした、“このまま行けば今後人間は心と身体が退化して頭だけがでっかちになって行く”と。

「“グレイ”って種族の宇宙人がいただろう?あんな感じになって行くだろうぜ?もうお前らはその美しい顔や肉体を持ち続ける事は、出来はしないって訳だ、残念だったな!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「残念だったのは、お前達の方だろうが」

 するとそこまで黙って様子を見ていた蒼太が始めて口を開いた、とは言っても彼等は別段、取調室の中に入って犯人(ホシ)と直接対峙している訳では決して無かった、それをやっているのは“ミラベル”の人間である。

 では彼等は何処にいるのか、と言えばそれはあくまで外から特殊偏光防弾ガラスを隔てて中を覗き込んでいたのであり、蒼太はそこに設置されていたマイクを通して語り掛けているに過ぎなかった。

「人間はそこまで愚かでは無い。既に気付き始めている人々は気付き始めている、それに第一、ガッツのある人、幸せになれるだけの力、体力、精神力。そして何よりも“運”を持っていた人は、洋の東西古今を問わずに皆、それを成し遂げているじゃないか。それを知らなかった、とは言わせないぞ?」

「・・・・・」

「自分達でそう言った人間達の可能性を奪っておきながらよく言う。だがそれだって徒労に終わりつつある、最近は単なる自己啓発で終わりじゃなくて、その成果を自分のモノとして成長する事が出来ている人々が少しずつではあるが増えて来ているんだ、それにフィジカルやメンタルの面から見ても、仕事帰りにボルダリングをしたり、ジムで汗を流している人も結構いるぞ?君も人の事をバカにしている暇があるんなら彼等彼女達を見習って一生懸命に生きてみたらどうだ?」

「はっ、冗談じゃ無いね!!」

 吐き捨てるように男は言った。

「さっきの話を聞いていたのか?社会に出ている一般人は、その体力と精神力とをせっせと使って仕事をするが、その“本質的な稼ぎの大半”を、誰が受け取ると思ってる?会社、社長、重役、そして役所と国だ、個人に還元される訳では無い!!」

「しかし君は言っていたではないか、昔の人はそれでも愛を育み合う事が出来ていた、と。そうだよ?そうやって一生懸命に生きている人々こそが、この世を支えてくれているんだよ。だから君もそんな謎の上から目線を貫くよりも、1銭でも稼いで国に収め、天下国家を支えたらどうだい?」

「はっ!!」

 “話にならねぇな!!”と男はまた、吐き捨てるようにそう言った、その目は地を当てもなくはいずり回っており、最早こちらに対して完全に興味を失っているかのように見受けられるが、しかし。

「とにかくだ、俺が知っている事は全部喋ったぜ?もうこれ以上、話す事は何もねぇよ。さっさと取引に掛けてくれ、俺は早く自由の身になりたいんでね」

「せっかくだけれども」

 と、するとそんな男の態度に別段、腹を立てる訳でも無くて、蒼太があくまで穏やかさを保ったままでそう言った。

「それは出来ない相談だ、君の喋っている事はまだたった1つしかないぞ?それすら中途半端じゃないか。“人類恐竜化計画”、それは一体なんなのか、と言った要点を纏めてキチンと話してくれない限りは、此方も取引には応じられない!!」

「なんだよ、それ!!」

 すると男はここに来て始めてあからさまな不快感を示し始めた、“心外だ”と言わんばかりの態度を取ったのである。

「さっきの計画なら、ありゃお前らの勝ちだよ。最初は上手く行っていたんだ、確かにな。しかし結局は失敗した、国々や企業が意識だエコだなんだと、そう言った“自己啓発”やら“環境保全”に対する取り組みを開始しちまったんでな、お陰で汚染や堕落がストップしちまったのさ!!」

「それはそうだろう」

 蒼太が静かに頷いた。

「人間と言うモノは、そう簡単には自分自身を見失ったりはしないもんだよ、少なくとも我々は、お前達が考えていたよりもずっと強い。・・・いつまでも無知で愚かなままでは無い、と言う事さ!!」

「はんっ。だがまだだ、まだ終わった訳じゃあ、決してねぇ。何しろ人間て奴は結局は、自分が痛い思いをしなければ解らねぇ、目を覚まさねぇと言うお目出てぇ部分があるからな。こっちはそれを知っていたから、手を変え品を変え、地球を汚染してやろうと思っていたのよ!!」

「・・・・・っ!!?」

「・・・・・っ!!!」

「何という事を・・・っ!!!」

「・・・何故だ?」

 蒼太が尋ねた、“何故地球をそこまでして憎む?”と。

「お前達にとっても恩がありこそすれ、間違っても仇のあるモノでは無いだろうに・・・!!!」

「・・・・・」

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「・・・・・」

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「・・・・・」

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「・・・・・」

「「「「・・・・・」」」」

 “やはりそれは”と蒼太が続けた、“神々が作り出した、最高傑作の1つだからだろう?”とそう言って。

「神々から聞かされた事がある。この地球も生命の揺り籠、その“実験体”として生み出された惑星であると。生命達にとっての楽園になるようにとの願いを込めて創造された星である、と。神々に対する復讐を目論んでいるお前達の事だ、その神々が丹精込めて設えたモノが、培って来た思いや愛情、そして様々な概念そのものが憎くて憎くて仕方が無いと、そんな所なんだろう・・・?」

「・・・・・」

「「「「・・・・・」」」」

「・・・・・」

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「・・・・・」

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「・・・・・」

「「「「・・・・・」」」」

(誰か、口を割ったか・・・?)

 そう思った男だったモノのそれでも、表面上は涼しい顔をして口を噤み、黙って前方の空間を凝視していた、“例えどんな局面に陥ったとしても、決して自分の感情は表に出さない”。

 そう言った訓練を、男は受けて来ているからだったのだが、しかし。

「黙っていたって無駄だ、お前達の事ならば既にある程度は調べが付いている。本来ならばそれを、5000年前の“ニムロデ王”の時代に行うつもりであった事も、その野望を受け継いで現代に“バベルの塔”を復活させようとしているのだ、と言う事もな!!!」

「・・・・・」

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「・・・・・」

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「「「「・・・・・」」」」

 “そこまで知っているのであれば、話は早い・・・!!”と男は自嘲気味に笑うとそう告げて、まるで蒼太の事を見つけ出そうとするかのように宙を仰いだ。

「どうやって調べたのかは知らないが、よく掴んでいるじゃないか、こっちの内情をな。だったらもう、余計に俺から話す事なんか何にも無いぜ?万が一の場合に俺が喋ろうとしていた事は、今の声の主によって粗方言い尽くされちまったんだからな!!」

「いいや、まだだ・・・!!」

 蒼太が続けるモノのこの男は先程から肝心な事は何一つとして喋ろうとはしなかった、喋っているのは皆抽象的な事だけであり、これだけではとてもの事、司法取引に応じる訳には行かないと、再び語気を強めて圧迫した。

「真に司法取引を望むのならば、もっと具体的な内容の話を喋ってもらおう。例えばなんでお前達がエイジャックス連合王国といつまでも誼(よしみ)を結んでいられるのか、そしてレベッカの、エカテリーナの狙いは何処にあるのか。いいや、それよりもなによりも、もっと言ってしまえばそもそも論として、お前達の首領は何処にいる誰なのか。そう言った事を話さないのであれば、この話は無かった事になる!!」

「な、なんだよそりゃぁっ!!」

 するとそれまでの態度が一変して男が立ち所に狼狽え出すモノの、蒼太は追求の手を緩めない。

「そりゃあねぇよ、ここまで話をさせといてっ!!第一そんな話は知らねぇっ。さっきも言ったが俺は下っ端なんだ、そんな組織の中枢にいる人達の事なんか、解るわけねぇだろうがっ!!」

「・・・なんでエカテリーナが組織の中枢にいる人物だと知っている?僕はそんな事は一言も言わなかったぞ?」

「き、汚ぇっ、汚ぇよ、あんたっ。“カマ”を掛けやがったんだな!?俺はそんな事は知らねぇっ。話がこれっきりになっても構わねぇからこれ以上は何も、話すつもりは一切ねぇぜっ!?」

「言わなければ、司法取引によって罪が軽くなる事も無くなるぞ?それでも良いのか?」

「構わねぇって言っただろうがっ!!」

「ではこうしてやる。今現在、捕まっている人間達の内の何人かが口を割った。エイジャックスとの関係やエカテリーナの事、組織の事を知っている分だけ洗い浚い喋ってくれた、と言う事を、裏社会に潜入している仲間を通じてお前達のボスに届くように言い触らしてやるよ、お前達のボスは嘸(さぞ)かし激昂するんじゃないのかな?」

「てめぇっ!!」

 男が椅子を蹴り捨てて、勢い良く立ち上がっては宙を睨むがその顔には明らかなる怯えの表情が、そしてー。

 その瞳にはハッキリとした戦慄の光が宿り溢れていたのである。

「止めやがれっ!!そんな事されたら、俺はっ。俺はあぁぁ・・・っ!!」

「・・・・・」

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 “止めて欲しいか?”と蒼太は些か意地の悪そうな微笑みを湛えて言った、“それならば知っている事を、洗い浚いしゃべるんだ”とそう告げて。

「大丈夫だ。もし君が本当の事を喋っている、と判断したのならば。我々は必ず約束は守る、司法取引に応じて罪を軽くし、君の身柄を奴等から一生、保護してやるよ。約束する!!!」

「・・・・・」

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「「「「・・・・・」」」」

 “お前達が本当の事を言っている、と言う保証はどこにある?”と、半ば自棄っぱちになっている男から、見るからに怯えながら為された質問に対して蒼太は言ってやったのである、“最低限度の約束すらも守らない程に、守れない程に信頼も力も無いのならば、我々は特務機関として今日まで裏社会でやっては来られなかっただろう”と。

「それはそうだろう?現に我々の悪評を、君達は聞いた事が無い筈だ、だって阿漕(あこぎ)な事は何一つとして行って来てはいなかったのだから!!」

「・・・・・」

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「成る程な・・・」

 すると暫しの沈黙の後に男が漸く口を開いた、“それは解った”とそう告げて、しかし。

「もう一つ。お前達が本当に、俺のことを守り抜ける、と言う保証は?」

「保証も何も」

 “これが答えだろう?”と蒼太が再び語り掛けるモノの、彼からしてみれば今現在、捕縛されている男を始めとして囚人達は皆、自分達が極秘の内に立案させた計画を察知されて、セイレーン本部に捕らえられて来ているのである、これが彼等セイレーンの実力を示していなくて、何とすると言うのであろうか。

「つまり現状、君達よりも我々の方が実力、勢い、そして立場共に上回っている、と言う事だよ。それ以外に何か話はあるか?」

「・・・・・」

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「・・・・・」

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「・・・・・」

「「「「・・・・・」」」」

 “解った”とそこまで蒼太の言葉を聞くに及んで漸く男が頷いてみせた、ただし。

 “本当に守ってくれるんだろうな?”と念押しするように宙を睨んだ上での事であったのではあるモノの、取り敢えず話をしてくれる気にはなった様子である、“ドラクロワ・カウンシル”の鉄壁の結束と言うべきか、“徹底的なる秘密主義”を知り抜いている蒼太にしてみればこれは僥倖と言っても良い、極めて稀有な出来事であったのである。

「約束する。少なくとも用が済んだからと言って、ポイ捨てするような真似はしないよ!!」

「・・・・・」

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「・・・・・」

「「「「・・・・・」」」」

 “あの女がやって来たのは・・・”と男が少しずつ喋り始めた、“今から2年程前の事だった”とそう告げて。

「忘れもしねぇ、ありゃ土砂降りの雨の日の集会での事だった。“今度から新しく幹部になる存在だ”とか言って“メイヨール”が連れて来たのよ・・・!!」

「・・・・・」

「・・・・・っ!!?」

「・・・・・っ!!!」

(メイヨール・・・?)

 その言葉に、蒼太を含めた4人全員が怪訝そうな顔を見せるが男は構わず話を続けた。

「あの女はそれからと言うもの、メキメキと頭角を現していったよ。どうやったのかは知らないけれども古代からの秘宝やら何やらを持ち出してはメイヨールの言った事を皆、確実に実行していった・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「古代からの秘宝・・・っ!!?」

「静かに・・・っ!!!」

 “そんなに前から盗みを繰り返していたって事なんですかっ!!?”と言っては憤りを露わにするアウロラの事を制すると、オリヴィアは蒼太に“男を急かすように”と目で合図を送るモノの、しかし。

「・・・それで?」

「アイツは変な奴だったが、しかしメイヨールのお気に入りでもあった。だからたまに任務で失敗する事があったとしても、奴だけは罰せられる事無く大目に見られていたんだ、まるで本当の親子か、孫にでも接する感じでメイヨールは接していたな・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「“変な奴”と言う事だったが。何がどう、変な奴だったと言うんだ?そこの所をもう少し詳しく教えて欲しいな・・・」

「どう変だったかって言われてもな・・・。妙に少女趣味だったと言うか、子供じみていたと言うか・・・。何か嬉しい事があると所構わず燥ぎ回る所とか、かな?変にキャピキャピしている女だったぜ」

 “少なくとも”と男は苦笑しながら言った、“メイヨールの前でだけはな”とそう告げて。

「それ以外だと、アイツは真面目にヤバい女だったんだ。ちょっとした事でもすぐにキレて暴れ出し、自分の思い通りにならないと絶対に気が済まねぇ。反対意見なんざ言える奴はいなくなっていったんだよ・・・」

「・・・・・」

(まさにレベッカそのものだな・・・!!)

「思考も完璧なまでに自己中で、世界は自分を中心に回っているって言う感覚の持ち主だったな。ありゃぁ・・・っ!!」

「よく、そんな女にいつまでも従っていられるモノだな?普通ならやっかみや不平不満ぐらいは、彼方此方(あちらこちら)から噴出して来そうなモノだけど・・・」

「出ているさ、そんなモノはとっくにな!!」

 そこまで蒼太が言った時、男が“冗談じゃ無い!!”とでも言わんばかりの表情でそう言った。

「だがな、表立って言える奴なんか、まずいやしねえよ。俺達“ハウシェプスト協会”の中にはな!!」

「・・・・・」

「・・・・・っ!!!」

「“ハウシェプスト協会”・・・っ!!?」

「それが奴等の組織の名前か・・・っ!!!」

 “いや、まだだ!!”と驚愕しているメリアリア達に対して蒼太が告げるが、彼等からすればまだ本当に、敵の名前がそれである、と言う保証が無い、捕まった時の為の、口裏合わせに過ぎない場合もあった、油断は出来ない。

「・・・それで?その“ハウシェプスト協会”の真の目的はなんだ、何を狙って犯罪行為を繰り返しているんだ?」

「・・・俺が知っているのは、さっき言った“人類恐竜化計画”の事だけだよ、それしか知らされていない」

 “答えろ!!”と三度語気を鋭くする蒼太の呼び掛けに対して、男はややウンザリしたようにそう答えた。

「ソイツを知っているのは、“幻惑のエカテリーナ”と“ガイヤール・デュポン”、そして“デマーグ・バーグマン”の3人だけだ。コイツらは“ハウシェプスト協会”の中でも上位の者達しか入れない組織。“アンチ・クライスト・オーダーズ”に入っている!!」

「“アンチ・クライスト・オーダーズ”?」

「そうさ、“アンチ・クライスト・オーダーズ”さ!!そしてそれを束ねている者こそがアレクセイ・デュマ。通称“メイヨール・デュマ”と呼ばれている、正体不明の男だよ!!」

「・・・・・っ!!!!?」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・?」

(あなた・・・?)

 次々と明るみになる相手の素性、正体に思わず絶句してしまっていたアウロラとオリヴィアだったが、一方でメリアリアは直ぐ側にいた、夫の様子が気になっていた、何故ならば。

 “アレクセイ・デュマ”、その名を聞いた途端に蒼太の表情が凍り付き、心ここに非ず、と言った様相を呈していたからであるモノの、かと思うと。

 暫くそのまま俯き加減で何事かを考え倦ねていた彼は、次の瞬間拳を握り締めてワナワナと震えだし、そしてー。

「・・・・・っ!!!!?」

「・・・・・っ!!!!!」

「そ、蒼太さ、ん・・・っ!!!!?」

 あの時に近い位の、そう、メリアリアを連れ去ろうとしたカインに向けたのと、極めて近しい憎悪と殺意に満ち満ちた眼差しと面持ちとを覗かせて、だけどー。

 恐ろしい程静かに動いて男に向かって語り掛けた。

「アレクセイ・デュマ。そう言ったな?確かに・・・」

「・・・・・っ。あ、ああっ!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 “奴は今、何処にいる?”、それが蒼太の口から発せられた次の言葉であったモノの、その口調には有無を言わさぬ凄絶さが込められていて、直接に相対している訳では無いにも関わらずに男は思わず気圧されてしまった。

「し、知らねぇ。いや、これはマジで知らねぇっ。メイヨールの居場所は最高機密に属しているんだ、直接に指示を与えられるのはエカテリーナの様な幹部達だけで、俺だって直接に姿を見た事は数える位しか無いんだからな!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「蒼太・・・?」

 そこまで男から話を聞いた時にー。

 蒼太はゆっくりと腰を上げてはマイクのスイッチをきった、そうしてー。

 その黒曜石の双眸を閉じてはゆっくりと宙を仰いで“はあぁぁ・・・っ!!”と溜息をつくモノの、この男、アレクセイ・デュマこそがかつて任務中だった彼の父清十郎の命を奪った宿敵であり、挙げ句に母親である楓にも呪殺呪法を重ね掛けして呪い殺した張本人であったのだ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
 事の起こりは今から凡そ9年前にまで遡ります。

 当時から既に、エイジャックス連合王国とプロイセン大帝国とは共同で、“対ガリア戦線”とでも言うべき作戦を展開させている真っ最中でした、と言っても何の大義名分も無しに戦争を引き起こしたのではありません。

 彼等が行ったのはあくまでも、“静かなる侵略”でしたがこれはガリア帝国の辺境部にある街や村々に工作員(エージェント)や素性を隠した“呪術戦士”等を多数、送り込んでは地元住民との間に誼(よしみ)を通じて顔見知りとなり、知らぬ間に“実効支配”を完了させる、そうしておいてー。

 そう言った地点、コミュニティをガリア帝国への更なる侵攻を果たすための足掛かりにしようとしていたのみならず、自分達の開発している新型薬毒や、魔法の実験の場として利用しようとしていたのです。

 その事に気付いたガリア帝国上層部の判断でミラベル、セイレーンの両組織から多数の“討伐隊”が編成されては送り込まれて行った訳だったのですが、当然、こうなるであろう事を予測していたエイジャックス連合王国、プロイセン大帝国の双方からは腕利きの増援が送り込まれて来た事もあって三度まで行われた遠征は、その悉(ことごと)くが失敗に終わってしまい、隊員達は皆、方々の体で逃げ帰ってくる事を余儀なくされていたのです。

 そこで白羽の矢が立ったのが蒼太の父、“綾壁 清十郎”でした、比類無き剣の使い手であると同時に勇敢なる戦士でもあった彼は、その高潔なる人格も相俟って組織内でも抜群の人望と知名度とを誇っていたのです。

 上層部達は彼に一縷の望みを掛けては戦場へと送り出して行きました、そしてそんな周囲からの期待、熱望に清十郎は見事に応えて行ったのです。

 現地に赴いた彼は直ぐさま“調査”と“暗闘”とを開始しては2つの村と街とを開放して人々を守り導き、敵対関係にあった“隠密組織”に強かに打撃を与えました。

 ところが。

 5度目の討伐作戦の折、彼はある男と遭遇しますがコイツこそが当時、“キング・カイザーリン”からの直々の指令を受けてこの地に“監督官”の肩書きで赴任して来ていた男、“アレクセイ・デュマ”だったのです。

 既に中年であったデュマはそれでもその憎悪と怨念から湧き上がってくる魔力に裏打ちされた“魔闘術”を使い熟し、清十郎と幾度も切り結んでは互角の戦いをしていました、ところが。

 清十郎を殊の外手強いと見たデュマは、一度撤退して準備を万端にしてから再度戦い直した方が良い、と判断するのですがその際、追撃される事を恐れて清十郎へと語り掛けます。

 曰く“今までお前が開放して来た街の人間達には全て、東洋における蠱毒を改良した新型呪法が仕込まれており”、“自分の一存でそれらを今すぐ発動させる事が出来るのだ”等と説明をして聞かせた挙げ句に、“これを発動させたら最後、奴等に宿り潜んでいる毒虫達が腸(はらわた)を食い破って表面へと這い出して来る”、“想像を絶する痛みと苦しみとにのたうち回って死んで行く事となるだろう”と告げて、最後に“我々を追い込んだお前が悪い”との言葉を突き付けてはそれらを発動、人々を死に追いやろうとしたのです。

 一方で、義侠心に厚い清十郎はそれを見てとてもの事、黙って等はいられませんでした(もっともデュマもそれを見越してわざとやったのですが)、急いでテレパス用の宝玉を用いて楓に連絡を取ると2人で、当時としては最大最後の治療法術である“完治聖命の法”を用いて街や村々の人々を救う事にしたのですが、ただしそれにはリスクも伴います。

 これは自分の命そのものを糧として発動させる法術である為に、掛ける対象者の数が余りに多いと術を使用した張本人も死んでしまう可能性があるのでした。

 その時も同様であり、つまりは復活させるべき対象者の命の数が余りにも多すぎるので、流石の清十郎を以てしてもまだ足りないであろう、と感じた楓は夫と半分ずつ、受け持つ事にしたのです。

 結果、法術は大成功して街や村々の人々は辛うじて一命を取り留めると同時に忌まわしき呪いからも、解き放たれる事が出来たのですが。

 清十郎と楓は力尽きてしまい、虫の息状態となってその場に倒れ込んでしまったのでした、そんな彼等に。

 デュマは止めを刺す事にしたのですが(清十郎と激しい戦いを演じたり、呪いを発動させたりしていた為にデュマもこの時点で相当に消耗をしていたのですが)、先ずは現場にいた清十郎の首を掻っ切って殺害した後、返す刀で楓に対しても自らの力の続く限りで呪殺呪法を次々と連続して発動させてはその命の灯火を、封殺させてしまったのです(それで楓は病に伏してしまったのでした)。

 もし清十郎や楓が元の万全なる状態であったのならば、彼等は苦もなくそれらを弾き返して相殺させ、むしろ却って反撃に転じていたのでしょうけれども(清十郎ならば本気を出せば、勝てないまでも撃退する事は出来ていたでしょうし、また楓に関しても呪術合戦に持ち込まれたとしても、総じて互角の戦いをする事が出来ていた筈です)、しかし自らの命を削る法術を駆使してしまい、疲労の極致にあった二人にはもう、その余力は残されてはいなかったのです。

 罪も無い街の人々の命を玩具の様に扱った挙げ句に、もはや身動きすらも満足に出来なくなった両親達を、笑いながらも惨殺して行くデュマの姿を蒼太は神界で鍛錬に勤しんでいた折、神から見せられていたのでした。

 そして、もう一つー。

 “神人化”の修業の際に、その最終段階として召喚された清十郎と楓の口から“アレクセイ・デュマ”の名前を聞いたのです、それで蒼太君はデュマの存在を知ったのでした(ただし何処にいる誰なのか、と言う事に関しましては神々も両親も、一言も告げてはくれませんでしたが)。

 最後に、蒼太君は鹿島の神から言われたのです“いずれお主はあの者と戦って討ち滅す事になるであろう”と、そしてその際“相手を人間だと思うな”と、それでデュマの事を密かに探っていた訳なんですね、それが漸くにして、ここに来て報われた訳です(ただしまだ、本懐を遂げた訳ではありません。全てはこれからなのです)。

 ちなみに。

 清十郎と楓は元々、楓の持つ占いの術で自分達の命が長く無い事を知っていました、即ち蒼太君が大人になるまで側にいてやれない事を知っていたのです。

 これは前に何処かの後書きで書いたかと思われますが、彼等はこれを“そうなったらそうなったで仕方が無い事だ”、“これも運命だ”と信じて受け入れてしまっていたのです(そう言うこともあってこんな無茶で無謀な事を行ってしまったのです)。

 もしこれが蒼太君やメリアリアちゃん達だったならば“嫌だ!!”、“自分はそんな運命は絶対に受け入れない!!”と言って、ガンとして跳ね返す事が出来ていたのですけれども(特に蒼太君やメリアリアちゃんは、子供の時からそうだったと思いますけれども“どうせダメだから”と言って泣き寝入りするような子達では、間違ってもありませんでした、これは“メリアリア・カッシーニ編”において特に書かれているのですが、むしろそれなら“私達が何とかする!!”の精神で突き進んで行ったんですね、だから周囲から無理だと言われていた“親の病気”を治したり、“花火大会”やら“サッカー観戦”やらにも子供の時分から見に行く事が出来ていたのです、運命を切り開いて行ったんですね←アウロラもまた、その辺りは同じ事です。彼女も“トワールおばさん”の館を探索する際に、無理を言っても蒼太に付いて来ましたね?あれもそう言う事だったのです)、清十郎や楓は本来ならばだから、まだ命がある内に子供達のこういう部分を勉強するべきだったんです、でも彼等はそれをしませんでした。

 今の話が終わったら書こうと思っている、“ハーレムバージョン”(今後展開して行くハーレムルートとは根幹部分は同じですが、また別のお話です)ではそれが為されて二人も生きている世界線が展開して行きます。
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