メサイアの灯火

ハイパーキャノン

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ガリア帝国編

偽キリストとコンピューター脳

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 セイレーンに於いては“正統な”任務以外にも、熟さなければならない事柄が多々存在していてその内の一つが“己の腕を磨く事”、要するに“日々の鍛錬に精を出す事”であったのであるモノのその為、女王位達を始めとする隊員各位はそれぞれの目標を定めてのストイックなトレーニングに励み続けていたのである。

 当然、蒼太もその例外では無くて、メリアリアを始めとした数名の同志達(と言っても大半はアウロラとオリヴィアだったが)に手を貸してもらいつつも、修業に精を出していたのであった、と言っても何も最初から我武者羅に二人を相手に組み手を行ったのではない、それ以前の事前準備として幾つかやっておかなくてはならない事があったのだ。

「・・・・・?」

「“オーバードライヴ”?」

「うん、そう!!」

 “本当は”と蒼太が続けた、“超過活性っていうんだけれども”とそう言って。

「・・・・・?」

「超過活性だと?しかし私達には“統一呼吸法”と言うモノが存在している訳なのだが・・・」

「そう、その通り。それを更にパワーアップさせたモノだよ!!!」

 蒼太は説明を始めるモノの本来ならばこれは、メリアリアだけでなく彼女達との婚約を定めた時からいつか“二人にも施さなくてはならない”と思っていた事だったのであって、それを青年は実行に移すことにした、やり方は簡単な様でいて中々に難しく根気のいる作業であるモノの、コツさえ掴めれば誰でも出来るようになるモノであった為に、蒼太は二人にもそれを伝えて活かしてもらおうと考えていたのだ。

 それというのもこれらは今後、二人が蒼太の花嫁として彼と戦線を共にする時や、はたまたこうした訓練の際にどうしても必要な力だったのであり、現に今現在の彼女達の実力では“オーバードライヴ”を使用しているメリアリアは元より蒼太にすらも簡単に背後を取られたり、鍔迫り合いで打ち負けたり(もっともこれに関しては男女の体格差や力関係から言っても無理からぬ事であったのだが・・・)、はたまた俊敏さでハッキリと二人に遅れを取ったりと、様々な弊害が出始めて来ていた為に、蒼太としてはどうしても彼女達の持って生まれた底力を発揮させるべく指導を行う必要があったのだった。

「良いかい?それぞれのチャクラ、72000のナディ、正系十二脈、奇系八脈、その他神経系節、裏神経節を活性化させるイメージをしつつもゆっくりと深呼吸をして外から更に内側に光のエネルギーを取り込むイメージをして。その時に更に胃袋を使って息を吸い込むんだ」

「ナ、ナディ?裏神経節・・・?なんでしょうか、それらは一体・・・!!!」

「い、胃袋までをも用いるのか・・・?」

「正系十二脈と奇系八脈については後でイメージで伝達してあげるとして・・・。裏神経節って言うのは要は末梢神経であったり体の深い所を通っている神経系の事でナディはそれらを含めたエネルギーの流れる道の事を言う。ここに光のエネルギーが入って来て活性化して来るイメージをしながら深くて大きな呼吸を行うんだ、そうすると全身の調和が取れて、潜在能力を今までよりも一層、発揮しやすくなる・・・!!!」

「・・・・・っ!!!」

「わ、解った。やってみる・・・!!!」

 そうやって最初は戸惑っていた二人であったがすぐにこの新たな呼吸法を己のモノとして用いる事が出来るようになるともう、それまでのように容易くは行かなくなった、前述したメリアリアは元よりアウロラもオリヴィアも、相当なパワーアップを遂げる事が出来たのであり、以来蒼太は総合戦闘能力戦で彼女達の後ろを取る事が出来なくなってしまったのである(自分の後ろは取られまくったが)。

 それでも彼は拗ねたりグレたりする事をせずに黙って受け止め、また時には困ったように笑いながら彼女達と共に鍛錬に汗を流していたのであるが、そんなある日。

 蒼太がメリアリアやアウロラ達とまったりと過ごしていた休日の午後に、“彼”は突然、蒼太と言う名の旧友を訪ねてやって来た、と言っても現実的に足を運んで訪問して来たのでは無い、所謂(いわゆる)“リモート”でタブレットの向こう側からこんにちは、をして来たのであるモノの、そんな電子端末を使い熟している彼は名前を“アントワーヌ”と言い、幼い頃から優れた魔法の才能を発揮してきた男であったがその日はなんだかしょげかえっていて、何をする気力もないように見受けられた。

「ど、どうした?なんかちょっと見ない間に暗くなった気がするけど・・・?」

「いやー、参ったよ。それがさぁ・・・!!!」

 と、のたまい始めた彼の言葉を要約すると“最近なんだか能力(ちから)が弱くなったみたいなんだ”と言う事であって、調べてみた所以前は確かに、右脳が活性化していた筈の彼はその実、何と左脳型に脳波のパターンが移ってしまっている事が判明したのだ。

 このアントワーヌと言う人物は蒼太とは同性の幼馴染の一人でもあり、尚且つアンリとも親交があって、メリアリアやアウロラ等とも蒼太を通しての知人の間柄であった、ちょっと気が弱くて内向的な性分ではあったモノの、それでも悪い奴では無かった事と正邪の区別はキチンと付ける心根の持ち主であった事から、昔から浅からぬ親交があったのだったが確かに、ここの所“魔法使い”として持って鳴らした彼の能力(ちから)は伸び悩んでいた所か落ちる一方だったのだ。

「・・・ど、どうだ?蒼太、何か解ったか?」

「解ったも何も。お前“魔法使い”としては退化してしまっているぞ?脳の働きを見てみるに、右脳が落ち着いて来てしまっていて、反対に左脳が活発に働くようになってしまっているよ・・・!!!」

「げえぇ・・・!!?」

「それに伴ってだろう、霊力も落ちて来てしまっているし・・・。お前、最近自堕落な生活ばかり送っていたんじゃ無いのか?例えばろくに鍛錬にも出ないで家に籠もり、パソコンゲームやネットばかりしていたりとか・・・」

「う、うん。それはあるんだけど・・・。だけどどうしてそんな事が解るんだ?って言うか、なんでそれだけで右脳型が左脳型になったり、霊力が落ちたりするんだよ!!?」

 その話を聞いて蒼太は頭を抱えてしまった、仮にも“魔法使い”ともあろう者が、こんな初歩的な事も解ってはいなかったのかと些か泣きたい気持ちになってしまうが、さて。

「・・・お前ね、“オタク”って人種を知っているだろう?その中でも特に重度の奴らが陥りやすい道と同じ類いの罠に引っ掛かってしまっているぞ?」

「・・・・・?どう言う事だよ」

「お前さっき、家に籠もってゲームやネットばかりしていた、と言っていたな?そればかりだと感性が育たなくなっちゃうんだよ、五感や六感が全くと言って良い程働かなくなっちゃうんだ。それだけじゃない、ネットばかりに依存していると頭が所謂(いわゆる)一つの“コンピュータ脳”になってしまうんだ、機械的な言語や理屈ばかりを優先的に認識して他の一切の情緒を切り捨ててしまう、“ロボット人間”になってしまうんだよ・・・!!!」

 蒼太が語るがそもそも論として人間の感性は“アナログ式”に代表される、情緒豊かなコミュニケーションによって発達、構築されて行く場合が殆どなのに対してこう言った“リモート式の対面”やら“テレワークシステム”やらの、所謂(いわゆる)“デジタル式”のやりとりばかりを試していると、徐々に意思の疎通が出来なくなってしまうことが判明しているのである。

 理由は至って簡単であり、人間のコミュニケーション能力の中で言語の占める割合と言うのは全体の7%程でしかなく、残りの93%は“間を意識する”事であったり“空気を読む”と言った空間認識能力や、または相手の表情や身振り手振り等の所謂(いわゆる)“ボディランゲージ”に占められる、と言うのだ(これを“メラビアンの法則”と言う)。

 人間はそもそも、相手の感情を肌で察して(相手から出る波動を全身で感知して)それを元に“返しの言葉”を、それも“声のトーン”等も決めて発生させている訳なのであるが、これがリモート式の対面だと中々に、活かしきれない事があると、2020年代より繰り返し警鐘が鳴らされて来た(この時代に於いてもそれは続いている)。

 その答は簡単であり、人は、人では無くてパソコンや撮影機材を目の前にすると、例えばそれが対面交渉の席であってもその向こう側に人がいる事を忘れてしまい、結果表現が通常よりも過激化し易い兆候にある事が指摘され続けて来たのであるが、これにはそうした“相手の存在や波動が感知され難い”事が一つの要因として挙げられて来るのであって、そしてそれこそが、“相手を見ながらモノを言う”と言う、人としては極々当たり前の“感受性の後退”を現実的なモノにしてしまっていたのである。

「・・・もともと。人間は肌で感じる情報を元にその時々で取るべき態度、行動を決めてきた。肌って言うのはそれだけ、物凄い感受性を秘めているモノなんだ、それを脳が体内言語やイメージに直して自分自身に認識させている訳なんだけれども。だけどデジタル式のコミュニケーションツールだと、それが働かなくなってしまうんだよ、相手から受け取れる情報と言うのが、言語ツールだけになってしまうからね。そうするとどう言う事が起きるのか?それまで右脳で情緒的に処理されていた物事すらをも左脳で考え、答を出すようになって行くんだ、要するにイメージや直感では無くて理屈で考えるように“されてしまうんだ”よ」

 “それが”と蒼太が言った、“ロボット人間と呼ばれている連中の正体だ”と。

「悪い事は言わない。“ネットでのやり取り”は必要最低限にして、リアルを生きた方が良い、と言っても僕は別に唯物論を推奨している訳では無いからそこら辺は勘違いしないでくれよ?要するにネットやパソコンばかりに依存していると感性が破壊されてしまうんだ、と言う事を声を大にして言いたいんだよ。そればっかりをやっているよりも神社とか、お寺とか。そう言う場所に参拝して少しでも自然や神様を感じるんだ、それも自分の全身でね。神様って言うのはね?“完全調和の愛”そのものなんだよ、それを感じるようにしろってこと。そうやって超自然的なモノに意識を向けていってごらんよ、お前ならきっと何かを感じ取る事が出来る筈だよ?だって今まで出来ていたんだから。そうすれば霊力だって自然と戻るよ、感受性が高まれば、まず間違い無く入って来た情報をイメージで処理するようになるから、右脳が活性化されるからね?さもないとお前、終いには何でも理屈で考えるようになってしまって霊力もクソも無くなってしまうぞ?」

「そ、そうなのか?でも確かに最近俺、頭でっかちって言うより、理屈でなんでもかんでも考えるようになっちまっていたなぁ。そういや確かに、魔術の腕が落ち始めたのもその頃からだった気がする・・・!!!」

「・・・人間は自分の考えている方向と同一ベクトルのモノであればあるほど、集中して埋没して行くからね。だけどそれを電脳空間内に於いて余りにもやられすぎてしまうと知らず知らずの内に、お前のように活字漬けにされて感性を殺され、結果として神々や真理から引き離される事になるんだよ」

 そこまで話した蒼太はふと、自分が日本にいた頃に聞いた話を思い出してアントワーヌに聞かせてやった。

「ねぇ、アントワーヌ。お前、“偽キリスト”って知っているか?」

「“偽キリスト”?ああ、ネットでも度々話題になっているよ、2020年代にもそんな“陰謀論”が噴出して来ていたんだってな!!」

「・・・・・っ。お前、“陰謀論”のサイトを見てるのか?」

「いや、それも俺が目を通しているモノの一つってだけだ。別に俺はそこまで真剣に、陰謀論を信奉している訳では無いからな!!」

「・・・だったら良い、あんなの見なくて良い。見たって何の役にも立たないんだからな!!」

「それについては、俺も考えない訳じゃ無いんだけどな・・・。所でその偽キリストがどうした?」

「お前、“偽キリスト”ってなんなのか、知っているのか?」

「いいや知らない、なんなんだろうな?ってかどんな奴なんだろう。だけど“偽”と付いていても“キリスト”を名乗る位だからそれなりの霊能力は持ち合わせてはいるんだろうな!!」

「違う、違うんだよ。アントワーヌ!!」

 するとそれを聞いた蒼太は半ばウンザリしたような表情と仕草で手をヒラヒラさせてアントワーヌに見せた、所謂(いわゆる)一つのボディランゲージであったが、さて。

「“偽キリスト”って言うのはな?あれは個人名じゃあ無いみたいなんだ、どうやら5GとAIを組み合わせた支配型の情報ネットワークシステムの事らしいんだよ。で、その目的はな?お前みたいな左脳型のコンピュータ人間ばかりを生み出させては自分達の都合の良いように管理する事らしいんだ・・・」

 蒼太がそう言って続けるモノの、一体左脳型コンピュータ人間の何がそれほどいけないのか、と言うと、一言で言ってしまえば理屈でばかり物事を考えてしまうために常に斜めに構えるようになってしまってその結果、“素直さ”とでも言うべきモノが全くと言って良い程にまで無くなってしまう所にある。

 そう言った人間達はだから、“愛”や“永遠”と言った“超自然的かつ普遍的で確かな事象の波動”を何も感じ取れなくなり、はたまた“感じよう”ともしなくなり、そしてそれ故に理解出来なくなってしまって(信じられなくなってしまって)最後には忘れ果て、捨ててしまう、と言うとんでも無い状態に陥ってしまう可能性をその内側に秘め続けているモノなのだが、事はそれだけに留まらない。

 そう言う輩は大抵は、“唯物論”に走ってはその場限りの欲望と破滅的な快楽だけに生きるようになってしまい、終いにはしみったれた妄想ばかりを繰り返すようになってしまうのがオチと言ってよいのだが、現にオタク達の中でも特に重度のレベルに達している者達の多くは既にしてそうなってしまっており、それこそがこれを単なる冗談で片付ける訳には行かない理由になっているのだ(彼等の多くはだから、そう言う事も相俟って“恋愛”が全く出来ない、自分に自信が無いだのなんだの、恋愛を事象では無くて理屈で考えてしまっている為に、怖いと思うと同時に面倒臭くなってしまって余計にそこから遠ざかってしまうのである)。

 蒼太の言う“偽キリスト計画”はだから、こう言ったオタクのような人間達を大量生産すると同時に3S政策(セックス、スポーツ、スクリーン)で徹底的に霊感を奪い、愛や永遠と言ったモノを、間違っても人々に感得出来ないようにする事をこそ、その主目的に据えている訳なのであった、そしてー。

 その最大の切り札とでも言うべき“モノ”を、彼等は既に用意していた、それこそが世界各国に於ける“王族の破滅”、もしくは“王族のレプティリアン化”であったが元来、王族と言うのは天と人との間に立って上は“正しき神々”の言葉やエネルギーを降ろすと同時に逆に、下々の人々の願いや思いを神々に届ける事をその主要な役割としていたのであって、即ち“神々と直結している事”、これこそが王を王たらしめていた、最大の要因だったのだ。

 当然、“正しい神々”と繋がる為には豊富な知識と暖かな人格、そして高い霊力が必要になって来る訳であり、そしてそれ故にこそ王族は(本来的には)人々に尊敬されては、その精神的な支柱、即ち“権威”となる事が、出来て来たのであるモノの、その王族が破滅していなくなったり、或いは既にレプティリアンに魂を売り渡していた、となれば人々はその誇りと精神的支柱を失い、暗闇の中に放り出されるであろう事は決して、想像に難くない事象であって、それをこそ“ハウシェプスト協会”の連中は虎視眈々と狙い続けて来ていたのである。

 恐るべき事にー。

 彼等には邪神である“反逆皇帝ゾルデニール”及びその后であり巫女である“皇妃王キング・カイザーリン”が存在しており、そしてその正体は最高位の総司令官である“メイヨール・デュマ”ですらも知る事は出来ないが、この二柱の邪神達はその事に関してならば、既に百数十年程前に“事はなった”と彼に告げて来ていたのである、“世界で最も影響力のある、巨大な帝国の王になれた”と、そう言って。

 “世界で最も影響力のある”、と言うのはまだ良い、しかしもう一方の“帝国の王”と言う表現が、イマイチピンと来ないデュマであったがそれでも取り敢えず、彼等が何らかの権威、権勢を行使できる立場にいる事は明白であり、何れの日にか自分達の前に姿を現して具体的な指示を与えて下さるだろう、と考えていたのだ。

 いずれにせよ。

 “偽キリスト計画”は今も尚、彼等の中で着々と進行している事態であって当然、事情を知っている者達は警戒を強めていたモノの今の所、残念ながらそれを覆せる決定打は存在していなかった。

 しかし。

「お前な、アントワーヌ。陰謀論なんか見ている暇があるんだったら、神様と繋がれるチャンネルを見るようにしておけ、どっかの神社とか、寺院の映像とか、スピリチュアルな動画だとか、ユーチューブにいっぱいアップされているだろ?もし見るんならああいうのを見るようにしろ。って言うか自分でも外に行って人や自然や神々を感じるようにしなよ、そうしないとお前、真面目にやられるよ?ネットとかゲームとか、リモート式の対面だけじゃなくてさ」

「そうか、そんな事で感性が下がってしまっていたのか。それで俺は直感よりも理屈で考えるように仕向けられていたんだな。それも電脳空間の中でしか、生きられないようにされてしまって・・・」

「・・・それともう一つ、あんまり電脳空間の中ばかりに籠もっているとね?“幻想の力”が無くなってしまうんだよ、物事を想像する力や創造性が欠落してしまうんだ、全ての事柄を“0”か“1”かでしか考えられなくなるからね。さっきも言ったが“情緒”ってモノが切り捨てられてしまうのさ、そう言うのを確保するためにもなるべく体を動かすようにしないとな?」

 “それこそが”と蒼太は続けた、“ハウシェプスト協会の様な連中の進めている、偽キリスト計画に対抗できる唯一の方法なんだ”とそう告げて。

「“偽キリスト”な。ハウシェプストの連中、本当にそんな事をやっているのか?だとしたなら由々しき大事態だが・・・!!」

「彼等はずっと前から存在していて、幾つもの凄惨な事件、事故、そして戦争等を誘発させて来た。そんな彼等が目指しているモノはなんなのか、と言う事に付いては僕もまだ解らないけれども・・・。いずれにせよ何かを仕掛けて来る事は間違い無いよ、この前の“AIエンペラー事件”のようにね。そして仮にそうなった時にキッチリと直ぐさま動けるように万全の対策だけは立てておかないと・・・」

「うん、解った。有り難う、それじゃあな・・・」

 そう言って通信を切ったアントワーヌであったがそんな彼を慮(おもんぱか)りながら、蒼太は真っ暗になったタブレット端末の画面を見つめて一つ、大きな溜息を付いた。

 友人がパソコン漬けになっていたとは気が付かなかった、自分も気を付けなければと、内々にそんな事を考えるモノの、しかし。

「ねえメリー、アウロラ、オリヴィア。“オーバードライヴ”を実行した後の体の調子はどう?」

「頗(すこぶ)る良いわ!!!」

 メリアリアが応えた。

「やった後はちょっと精神的に草臥れるけれども・・・。だけど身体が活性化して来て気分もとってもリラックス出来て、ポカポカとして来るのよね~っ!!!」

「そうそう、そうですっ!!!」

 アウロラが続いた。

「それに体幹がしっかりとして来て、今まで気が付かなかったコリが解れる、とでも言うのでしょうか?とにかく全身が活き活きとしている感じが良く伝わって来て・・・!!!」

「気力もうんと充実して来て、自分が満たされているのを感じる。全く以て凄い技術だよ、これは。それに以前は“女王の能力(ちから)”を使うと恐ろしい程疲れていたのに、“オーバードライヴ”を使うと反対に調子が良くなって来るまである、大変に助かるよ・・・!!!」

「・・・もしかしたなら、君達の“女王位の能力(ちから)”と言うのは元々は、“オーバードライヴ”込み込みで発動されるのが本来の姿なのかも知れないね。だけど昔は洋が東西に分けられてしまっていた為、いつしか東洋の整体やインドのヨガについての知識が失われて行ってしまった、それで知らず知らずの内に、今現在の形に落ち着いてしまっていたのかも知れないよ?」

 オリヴィアの言葉に“そうか”と頷いて更にそう続けた後で、蒼太は今度の休みには三人を連れてルテティア郊外にある森にまで、散歩に赴く事に決めた、アントワーヌの事ばかり言ってはいられない、自分達もリアルに自然を体感して能力と感性とを深め無くてはならないのだ。

「明明後日さ?また休みになるだろ、そうしたら皆でルテティアの森にまで散策に行こうよ、それで帰りに“聖ジョセフ・ピエトロ寺院”によってお参りして帰ってこよう?・・・何か途中で、美味しいモノでも食べながらね?」

「賛成っ!!!」

「楽しそうですっ!!!」

「聞くだけでテンションが上がるなぁっ!!!」

 夫からのその言葉に、三人の花嫁達は口々にそう応えると嬉しそうに“どこに行こっか?”、“何食べようか?”とかしましく燥ぎながら、互いに会話を深めていった。
ーーーーーーーーーーーーーー
 ハウシェプスト協会=イルミナティと考えてもらって差し支えありません(“フリー・ピープルズ”は“フリー・メーソン”です)。

 ちなみに“偽キリスト計画”は果たして実在するのか否か、正直な所、遂に私には解りませんでした。

 ただし集めて来た情報や教えてもらった事柄から鑑みるに、あってもおかしくは無いだろうと推測しましたのでこのお話を造りました、皆様方、適度に身体は動かすようにしましょう(私も頑張りますから)。

 あとくれぐれもコンピュータ脳にならないようにしましょう(最近、多いらしいんですよ、元々はスピリチュアルな世界に生きてこられた方々がコンピュータ脳に変質させられ、その持ち合わせていた直感力や霊力を発揮できなくなっている事例があるそうなのです←それこそがまさにイルミナティの連中の“思う壺”になっているそうです、彼等としてみれば宇宙や自然、神々と繋がる人々が増えて来るのが一番、困る事らしく、それが勝手に自滅して行ってくれているので助かっているようだ、との事でした)。

 あと陰謀論系サイトに関しましては(皆様方が御覧になられるとは思いませんけれども)あんまり見る事をお勧めしませんが、もし見る場合はキチンと情報を精査した上で見る事をお勧めします(私はそう言うサイトを見た事が、全く無い訳ではありませんがそれでも、“じゃあ見ているのかよ?”と言われて“見ています”と言える程詳しく見ている訳でも無いのです←要するに本当に暇な時に、サラッと流す程度で見ているに過ぎないのです。中途半端で申し訳御座いません)、精査のコツは真実7、8割、嘘2、3割だと考えるのがベストらしいです(つまりは嘘が混じっている様なんです、だから本当に気を付けましょう!!)。

                   敬具。

             ハイパーキャノン。

         追申です。

 ネットそのものと言うよりも、“ネットでのやり取り”をやり過ぎると危険だと言う事です。
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