メサイアの灯火

ハイパーキャノン

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ガリア帝国編

昔日との邂逅

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 今回のお話は、ちょっと私的に思う所があって、わざとエッチシーンでは無くて蒼太君とメリアリアちゃんの“平和な日常生活に於ける何気ない二人の風景”を描写してみました。

 決して立派な人間ではありませんが、それでも私は戦争なんて大嫌いです、再び全世界に平和が訪れる事を願ってやみません(この世では意志と意志とがぶつかり合う事もあるので、時折“小競り合い”と言うか“戦闘”は起こってしまうかも知れませんが、そしてそれは本当にどうしょうもない事なのかも知れませんが、戦争だけは話は別です、戦争だけは絶対に嫌です)。

 それにしても今回のロシアとウクライナとの戦いを見ていて、改めて感じさせられましたね、何をか、と言いますと“ラブ&ピース”の大切さをです。

 これは多分、皆様方も感じてらっしゃると思いますがやはり、なんだかんだ言っても“愛と平和”は最高です、人々の基本となるモノです。

 どうかどうか、早く世界に平穏が訪れますように祈っています(あと核兵器も早く全廃されますように)。

                敬具。

          ハイパーキャノン。
ーーーーーーーーーーーーーー
 潜在能力を解放したままの姿で途中に随所の休憩を挟みつつ、その後凡そ3週間に渡ってアウロラを抱き続けてきた蒼太はだから、最後の一週間は二人でバスマットの上に寝そべったり座り込んだりしたままお菓子を食べてはお茶を飲み、のんびりと過ごしつつも後戯やピロートーク等に花を咲かせていたモノの、お陰で体力も気力も充分なまでに回復させる事が出来た為に、“時間”になるとお互いの身体とバスルーム全体をシャワーで綺麗に流しつつも、最後は元気よく彼女の元から出立していった、次に向かう先はオリヴィアの部屋であったがなんと彼は一日の内に(と言っても“時の涙滴”内部においては都合上、一ヶ月間が経っていたのであるモノの)二人の女性の部屋をはしごして、最終的にはメリアリアの元へと向かおうと思い続けていたのである。

 ところが。

「・・・・・?」

(あ、あれえぇぇ・・・?)

 アウロラの部屋から出て来て階段を下へと降りて行くとその途中にある踊り場の只中において知っている女性の気配を感じて足を止めるが、それは彼が一番最後に向かおうとしていた人のモノだった。

 即ち。

「メリー・・・ッ!!?」

「ああ・・・っ!!!」

 蒼太が思わず声を掛けると、するとそこにはツインテールにしている髪の毛の片方を弄くりながらも壁に向かってもたれ掛かっては悲しそうな面持ちで俯いているメリアリアの姿があった。

「あなた・・・っ!!!」

「メリー、どうしたの?」

「・・・ううん。なんでも、無いの。なんでも!!!」

「・・・・・」

 蒼太に気が付いたメリアリアが一瞬、ホッとしたかのような表情を浮かべて此方に視線を送るモノの、直ぐにまた、何やら思い詰めたような顔付きとなって髪の毛を弄くり回し続けていたが、それを確認して彼女の雰囲気を察した蒼太は直ぐに事の真相に気が付いた、これは彼女が強がる時によくやる行動だったのであり昔、同級生達に蒼太との関係を揶揄われた時等にも彼女が見せた仕草だったからである。

「メリー・・・」

「・・・・・」

「メリー、おいで?」

「・・・・・っ!!!!!」

 蒼太が優しい面持ちと声色とでメリアリアに片手を差し出すモノの、するとそれを見た彼女は漸くにして喜びの色を全面に押し出しては彼の胸元へと飛び込んで行ったのであるが、元来。

 お転婆で芯が強い反面、彼女はその実、誰よりも寂しがり屋で怖がりで、甘えん坊さんなのであり、そして蒼太はそれを知っていたからこそ愛妻淑女を自分の元へと招き寄せては力強く抱き締めて見せたのだ。

「あなたっ。ああ、あなた・・・っ!!!」

「メリー、僕の事を待っていてくれたの?今日は甘えん坊さんだね・・・」

「・・・・・っ。えへへへ、だってぇ!!!」

 “寂しかったんだもん!!!”とメリアリアは蒼太の胸板に顔を押し付けながらそう告げると、改めて自身の夫である、この幼馴染の青年の事を見上げるモノの、事実として彼の思った通りでメリアリアは蒼太がアウロラを抱きに行っている間中、寂しさの余りにいてもたってもいられなくなってここで彼が来るのをまっていたのであり、一刻も早く夫に会いたい、抱き締めて欲しいと希う傍らにおいて、“やっぱり自分は我が儘なのでは無いか?”、“なんて弱い人間なのだろう!!!”と言う自責の念にも駆られる余りに板挟み状態となってしまっており、結果どうして良いのか解らなくなってしまって途方にくれていた、と言う次第であった訳である。

 けれどもそんな彼女をしかし、蒼太は何も言わずに黙って暖かく、力強く受け止めてくれたのであり、少年の頃から少しも変わらぬ純真で人懐っこい微笑みを浮かべては、余計な言葉も詮索も無しにただただ一言“おいで?”と告げてはしっかりと抱き締めてくれたのであるモノの、そんな夫の。

“んちゅ、ちゅむっ。ちゅるちゅるっ、じゅるるるっ。じゅる、じゅる、じゅる、じゅるっ、ちゅるちゅるっ。じゅるるるるるる~っ♪♪♪♪♪ぷふううぅぅぅっ!!?ぷふぅーっ、ぷふぅーっ、ぷふぅーっ。ぷふううぅぅぅ・・・っ❤❤❤ん、んちゅっ。じゅるっ、じゅぷじゅぷっ。ちゅううぅぅぅ~っ、ちゅるちゅるっ。じゅるるるるるる~っ❤❤❤❤❤レロレロレロレロ、クチュクチュクチュクチュ・・・ッ。ちゅ、ちゅぱっ!!じゅるじゅるじゅるじゅる、じゅるるるっ。じゅるるるるるるるるるるるる~っっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤”

“んむ、ちゅるっ。じゅぶじゅぶっ、ちゅるるるるるる~っ!!!!!ちゅぷちゅぷ、じゅるじゅるっ。じゅるるる、ちゅううぅぅぅ~っ。レロレロレロレロ、クチュクチュクチュクチュ・・・ッ。ちゅ、ちゅぱっ!!じゅるじゅるじゅるじゅるっ、ちゅるるるっ。じゅるるるるるるっ!!!!!”

 気持ちが嬉しいメリアリアは幸せいっぱいの余りに瞳を閉じては彼に向かって爪先立ちで立ち、唇を突き出して見せるモノの、これは彼女の“キスをして欲しい”と言う訴えに他ならなかった、身長差が18cmもある二人はだから、それに加えて蒼太が少しだけ腰を曲げる事で漸く体格差が是正されてキスが出来る体勢が整うのである。

“じゅるじゅるじゅるじゅるっ、ちゅぱちゅぱっ。じゅるるる~っ♪♪♪♪♪ん、んちゅっ。むちゅっ、じゅるっ。じゅぷじゅぷじゅぶじゅぷ、ちゅるちゅるっ。じゅるるるっ!!!じゅるるるるるるるるるるるる~っっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤ぷふううぅぅぅっ!!!ぷふぅーっ、ぷふぅーっ、ぷふぅーっ。ぷふううぅぅぅ・・・っ❤❤❤ん、んちゅっ。レロ、クチュッ。ちゅぱちゅぷっ、じゅるるるるるるっ。レロレロレロレロ、クチュクチュクチュクチュ・・・ッ。ちゅ、ちゅぱっ!!じゅるじゅるじゅるじゅるっ、ちゅるるるっ。ぢゅるるるるるるるるるるるる~っっっ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪”

 二人の間にもう、それ以上の言葉はいらなかった、互いに見つめ合って相手を抱き締め、唇に唇を重ね合わせて行くモノの、特に蒼太の事を待ち焦がれていたメリアリアの貪りは凄まじく、涎で口元がベトベトになるのも厭わぬ程に、彼を求めてしゃぶり付いて行ったのだ。

 まるで押し潰し合うかのようにして顔同士を交差させ、強く深く密着させては舌先に舌先を絡めて擦り寄せ、挙げ句の果てには上顎や奥歯の付け根等口内のポイントを残らず刺激して溢れ出て来た唾液を啜るが、しかし。

“じゅぷじゅぷじゅぶじゅぷっ、じゅるじゅるっ。じゅるるるるるるるるるるるる~っっっ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪ぷふううぅぅぅっ!!!ぷふぅーっ、ぷふぅーっ、ぷふぅーっ。ぷふううぅぅぅ・・・っ❤❤❤んじゅるぷっ、ちゅるちゅぷっ。ちゅううぅぅぅっ、じゅるじゅるっ。レロ、クチュッ。レロレロレロレロ、クチュクチュクチュクチュ・・・ッ。ちゅ、ちゅぱっ!!じゅるるるるるるっ。ちゅるるるっ、じゅるるるるるるるるるるるる~っっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤ぷはああぁぁぁっ!!?はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ。はああぁぁぁ・・・っ❤❤❤”

 流石に三人もの女性を相手にしているだけあってメリアリアのそれよりも、舌遣いや刺激の仕方、呼吸の方法等、口付けのテクニックは蒼太の方が上手であり、殊に大好きな人との激しい接吻に段々と蕩けて来てしまっている事も手伝って、愛妻淑女は徐々に受け身へと回って行った、それを見越した蒼太は。

「はあはあっ、はああぁぁぁ・・・っ❤❤❤えへへへ、あなたっ。あなたぁっ♪♪♪」

「メリー、可愛いよ?とっても色っぽくて艶やかで、ますます夢中になっちゃうよ、本当に蕩けてしまいそうだ・・・!!!」

「あん❤あなたったら。でも嬉しいのっ❤❤❤」

 彼女が完全に腰砕けになってしまう寸前でキスを止めては花嫁をしっかりと抱擁しつつもそのハチミツ色の髪の毛に覆われている頭頂部分をソッと何度も何度も繰り返し撫で続けてはメリアリアを思う存分、大事に愛でて行くモノの、一方でそんな夫の自分に対する思いが嬉しい愛妻淑女は“溶けて、溶けて?”と言いながらも我が身を蒼太の肉体へと擦り寄せて行く。

 そうして。

 再び激しい接吻を開始しては、夢中になって青年との口付けにのめり込んで行くモノの、一頻りそれが済んで互いの心が満たされると二人はどちらともなく唇を離して抱擁を解き、見つめ合ってはニッコリと微笑み合う。

 特に。

 メリアリアの甘くて豊潤な体臭が鼻腔を擽り一瞬、青年の意識を蕩けさせるが、それに気付いた蒼太は慌てて“いけない、いけない!!!”と自制をする。

(今、暴発するわけにはいかない!!!)

 蒼太は思うがメリアリアをその溢れ出す思いの丈ごと抱き締めるのはアウロラは元より、オリヴィアとの行為を済ませた後の事で無ければならず、さもなくば彼女を満足させる事は出来ない所か却って余計に悲しませるだけである、と言う事を、蒼太はキチンと理解していたのであった。

「そうだ、メリーッ!!!」

「・・・・・?」

「散歩、行かない?」

「・・・・・っ。行く、行くわ!!!」

 “このままではいけない!!!”と言う自分自身への気付けの意味も込めて叫んだ蒼太のその言葉にメリアリアも“お散歩に、行くの!!!”と即座に頷いては青年と手を取り合いつつも女子寮を後にした、とは言っても二人に特別、向かう先の宛てがあるわけでは決して無くて、自然と足が向いてやってきた先は彼等が幼少の砌によく遊び歩いていた、ルテティア郊外にある国定自然公園だったのだ。

 豊かな森林と緑地、そして広大な敷地面積を誇るここは1年を通して催し物やら何やらで賑わうルテティア市民憩いの場であり“ルテティアっ子ならば訪れたことが無い人はいない”、と言われる程の知名度を誇っている、彼等にとっての精神的支柱の一角であったのだが、しかし。

「ここも変わらないわね・・・」

「全ルテティア市民の、寛ぎと癒やしの空間だからね。・・・それでも何度か開発の候補に挙がった事はあるみたいだけれども!!!」

 “その都度抵抗運動が起きているんだってさ!!?”と蒼太が告げると同時に足下の小石を拾い上げては近くにあった池へと向けて水平方向に回転を掛けて投げ飛ばすモノの、すると小石は水面を何度か反復跳躍した後で、池の中へと水没していった。

「うわぁっ!!!」

 それを見ていたメリアリアの表情が、思わずパアァッと明るくなる。

「それ、出来るようになったのね!!?」

「そうだよ、メリー。よく僕にやって見せてくれたよね?あの時の僕、中々コツが掴めなくてさぁっ!!!」

 そう言って蒼太がメリアリア共々、意識を過去の自分達へと向けるがそれはまだ、蒼太がメリアリアと出会って間も無い頃の事だった、それでも既にメリアリアの家に何度か遊びに来ていた蒼太はある日、彼女の家の敷地内にある泉の畔で遊んでいる際に、メリアリアから声を掛けられたのである、“ねぇ、これ出来る?”とそう言って。 

 見ると彼女が手にした石を泉に投げようとしていたのであり、“それ位誰だって出来るだろ?”と思っていた蒼太はしかし、次の瞬間驚愕する事となってしまった、それというのは。

「えいっ!!!」

「うわぁっ。凄い凄いっ!!!」

 叫び様、彼女が放った石の礫は“バチャ、バチャ、バチャ・・・ッ!!!”と水面を何度も連続で飛び跳ねた後で、最後に“ジャボンッ!!!”と言う音を立ててゆっくりと沈んで行ったのであるが、それを見た蒼太は。

「ねえねえ、メリー。今のどうやったの?もう一回やってよ!!!」

「もうっ。蒼太ったら、やり方を教えてあげるから自分でやりなさい!!!」

 夢中になって年上美少女幼馴染(ガールフレンド)にせがむモノの、それがあんまりにもしつこいモノだったから、最後には呆れると同時に疲れて来てしまったメリアリアは“やり方を教えてあげる・・・”と言って彼に丁寧かつ根気良くレクチャーしてくれたのだった。

「い~い?まずはなるべく平べったい石を探すのよ?そうしたらこうやって、輪っかを造るようにして持って、水平に向かって飛ばすの!!!」

「う、う~ん。こうかなぁ・・・?」

「違うわ、蒼太。こうよ?」

「くっそー・・・!!!」

 と、そんな調子でメリアリアは微に入り細に入り、まだ未熟な少年だった蒼太に教えてくれた訳なのだけれども結局、その時の蒼太は石を跳躍させる事は叶わずに最終的には思わずむくれてしまった訳だが、しかし。

「大丈夫よ?蒼太・・・」

 その様子を見ていたメリアリアが“しょうがないわね”と呟きながらも、それでも微笑みつつも力強く励ましてくれたのである、“あなた運動神経は悪くないみたいだから、コツさえ掴めば直ぐに出来るようになるわ!!?”とそう言って。

「本当かなぁ?」

「諦めなければね?夢って必ず叶うモノなのよ、だから“夢”って言うの!!!」

 とメリアリアは自身が両親から聞かされたばかりの言葉を自信満々に、この年下幼馴染(ボーイフレンド)の少年に力説して見せたのだが、お転婆だった事に加えてこうやってお姉さん振る事も多かった彼女は時には蒼太と衝突しつつも(でも大概は、蒼太が謝って仲直りする)、まだ幼くて稚拙な日々を、二人で力を合わせつつもそれでも何とか懸命に生き延びて行ったのだった。

「だけど本当に凄いわね、あなた。ちゃんと出来るようになっていたなんて!!!」

「そりゃあんだけ熱心に教えてもらえていたならね?僕も家に帰ってからコッソリ練習していたし・・・」

 遠い昔日の事を思い返しながらも愛妻淑女の言葉に応える青年の語調にも、段々と軽口の色が出て来始めていた。

「メリーに何度も強請(ねだ)ったんだっけか?見せてくれって言い続けて・・・」

「本当よ、もう!!!」

 メリアリアが腰に手を当てつつも呆れたように蒼太を見た。

「あなたったら、“もう一回、もう一回”って何度もせがんで来るんだもん。それも凄く一生懸命にね?あの時のあなたを見ていたら、嬉しかったわ。だってなんだか弟が出来たみたいな気分になっちゃったんだもん!!!」

「あ、こらっ。年下扱いしたな~っ!!?」

「きゃ~っ。あははははははっ!!!!!」

 そう笑って逃げ回るメリアリアと、そんな彼女を捕まえようとする蒼太の間でちょっとした追いかけっこが起こってしまうが木々の間を縫うようにして上手く身を躱しながら進むメリアリアに対して直線的な動きしか出来ない蒼太は大苦戦してしまった、勿論彼だってその肉体は良く練れていてしなやかく、また柔らかい方なのであるモノの、メリアリアのそれは段違いにまでに俊敏であり、しかも彼の動きをキチンと読んで先を行くため蒼太は中々捕らえる事が出来ないでいた。

「メリー、待てっ。こらっ!!!」

「あははははははっ。捕まえてみなさいよ、あなたったら!!!」

 先程までの暗い表情は何処へやら、そう叫んで底無しの笑顔を見せてくれる花嫁に対して内心でホッと息を付きながら、蒼太は彼女を捕まえようと躍起になって追い掛け続ける。

 思えば昔は本当に、よくこうやって二人で遊んだモノだった、おままごと、ダンス、隠れんぼ、追いかけっこ。

 誰も見ていない彼女自身の部屋で、二人で王子様とお姫様に扮してちょっとしたじゃれ合いを演じた事もあったがそのどれもが掛け替えのない程にまでキラキラと光る宝物であり、蒼太とメリアリアはお互い相手と過ごす時間に夢中になって己を解放させて行ったのである。

 特に。

「ち、ちょっと蒼太っ。何やっているの!!?」

 メリアリアも昔から好奇心旺盛な少女であったがそれ以上に子供の頃から変わった事に興味を示す男の子だった蒼太は公園等で寝そべっている人の顔を覗き込んだり、かと思えば唐突に会話を試みたりして彼女を困惑させた事も屡々あった、あったがしかし。

「もうっ。何をやっているのよ、蒼太ったら!!!」

 そう言って注意しつつも、メリアリアはそんな幼馴染(ボーイフレンド)の事が殊の外お気に入りであり、なんだかんだ言ってもその行動を“しょうがないわね・・・!!!”と言って許容していった、それどころか時には寝ている人にまで熱心に話し掛けようとする彼の仕草に思わず“ぷっくくくくく・・・!!!”と吹き出してしまう事さえあったが、そんな心温まる時間を二人で過ごしていた蒼太とメリアリアにはだから、相手に対する特別に強い思いと絆とが自然自然と育まれて行き、それと同時に“無言の内の意思疎通”とお互いに対する相互理解とが一層、深まって行く結果となっていったのだった。

「捕まえた!!!」

「きゃっ。あははははははっ!!!」

 往時を偲んで思い出しながらも、蒼太とメリアリアが相手との“懐かしい遊び”に思う存分興じている最中、それは起こった、漸くにして愛妻淑女の動きを見切った青年が跳躍しつつも彼女の来ていたジェンダーレスTシャツの袖を掴んで抱き寄せるが、するとそれでもまだメリアリアは思いっ切り笑い転げてしまっており、蒼太も釣られてつい破顔してしまうモノの、そんな二人の。

「・・・・・?」

「・・・・・」

 まるで子供の頃に戻ってしまったかのような無邪気な態度と面持ちとに、周囲にいた人々はポカンとしながらもそれでも、“まあ平和だからな・・・!!!”と大目に見てくれていたのだが、実際の二人は命懸けの任務の只中に於ける束の間の休息を満喫しているだけに過ぎずにその辺り、一般市民の面々は見事に誤解をしていたのであるモノの、この時の二人にとってはそんな事は、全く以て関係なかった、この時の彼等は久方振りに夫婦の間柄から幼馴染のそれへと戻って楽しく遊び回っていたのであり、童心に帰って燥ぎまくっていたのである。

 ところが。

「あっはははははは・・・っ!!!あ、あれ・・・?」

「あはははははは・・・っ!!!ど、どうしたの?あなた・・・」

「あ~っ、やっぱり。ソー君とメリアリアちゃんだぁっ(*'▽'*)(*'▽'*)(*'▽'*)」

 旧友の気配を感じ取った二人の耳の鼓膜に、一瞬の間を置いて伝わって来た空気振動の音波の波形に聞き覚えがあった彼等が、その声のする方へと向けて恐る恐る振り返ってみると、果たしてそこにはー。

「あははははははっ!!?奇遇だねぇ、ヤッホー(*^▽^*)(*^▽^*)(*^▽^*)」

「あちゃ・・・」

「・・・・・っ!!!!!」

 これまた先程までの自分達に負けない位の満面の笑みを浮かべた“ゆるフワピンクのお騒がせ生命体”こと、“ミネオラ・ノエル・キサラギ”が立っていて、此方に向かって手を振っていたのであり、しかもその直後には(彼女なりに)急いで二人の方へと向かって駆け出して来てしまっていた、こうなるともう、逃げも隠れも出来ない。

「・・・・・っ!!!!!」

「・・・・・っ!!!!?」

(そ、そんなバカな!!!)

(どうしてノエルがここに・・・!!?)

 平静を装いつつも内心で驚きふためく蒼太とメリアリアであったが、そんな彼等の思惑など知った事では無い、とでも言わんばかりの体となってノエルは夫婦の元へとやって来た。

「こ、こんにちは。ノエルさん、良いお天気ですねぇ~・・・!!!」

「げ、元気に過ごしていたのかしら?それだったら何よりだけれども・・・」

「あははははははっ。元気、元気~っ。私は元気なだけが取り柄だからねぇ~っ(≧∇≦)b(≧∇≦)b(≧∇≦)b」

 全く悪意無く微笑むノエルに対して二人は些か複雑な思いを抱いていた、彼女は悪い人間では無い、悪い人間では無いのであるが、しかし。

(何というかな。色々ぶっ飛びすぎているからなぁ、この人は!!!)

(蒼太がお世話になった挙げ句に、私達も何かにつけて力を貸して貰ってはいるのだけれども・・・。どうにも素直に“有り難う”って言い辛い人なのよねぇ~・・・!!!)

 夫婦でそんな事を思っていると、漸く息を整えたノエルが何やら目を輝かせて言い放った。

「ソー君とメリアリアちゃんは幼馴染同士なのよねぇ~( ̄∇ ̄)( ̄∇ ̄)( ̄∇ ̄)」

「・・・・・」

「そうだけど・・・。それが一体、どうかしたの?」

 メリアリアが怪訝そうな顔付きとなってノエルにそう返した時だった、“解るわぁ!!!”と突如としてノエルが告げたのである、双眸を閉じてウンウンと頷きつつも、まるで本当に噛み締めるかのようにして、腹の底から声を発して。

「解る解る。幼馴染って良いわよねぇ~っ。なんと言っても特別な関係だもん(*´▽`*)(*´▽`*)(*´▽`*)」

「・・・・・」

「まあそりゃ、ね?って言うかノエル。あなたこんな所で一体、何をしているのよ!!?」

 突然の事に面食らっていた二人であったがやがて、思考が現実に追い付いて来ると至極当然の質問を口にするモノの、それに対してノエルは嬉しそうな笑みを浮かべて彼等を見つめるのみであったのだ。

「・・・・・?」

「なによ、一体。ニコニコしちゃって・・・」

「ふっふっふっふっ。知りたいのかな~?二人とも~(。・∀・。)ノ(。・∀・。)ノ(。・∀・。)ノ」

 “そっかそっか、知りたいんだぁ。知りたいんでしょう、そうでしょう?”と暫くの間、一人で勝手に納得していたノエルであったがやがてスマホを取り出しては“ジャジャーン”と蒼太とメリアリアの前に差し出して見せたのであるモノの、するとそこには。

「・・・・・」

「・・・・・?」

 ゲームセンターのような場所を背景にして、ノエルと一人の爽やか系スポーツマンイケメンの男性が映り込んでいた写真が提示されていた、スマートフォンに向かって二人で並んで同じポーズを取っていたモノの、蒼太とメリアリアにとっては面識の無い人物であったため、何とも答えようの無いフォトショットであったのである。

「「・・・・・」」

「・・・・・」

「「・・・・・」」

「・・・・・」

「「・・・・・」」

「・・・・・」

「「・・・・・」」

「・・・・・」

「「・・・・・」」

「・・・・・」

「「・・・・・」」

「・・・・・」

 “いや。これ何、てか誰?”と堪りかねて蒼太が尋ねるモノの、いきなり何処の誰かも解らない人物とのペアルックをドドーンと見せびらかせに来た彼女の真意がどうにも解りかねたのであり、もし出来るのならば一緒に写っていた男性との関係性も、ぜひとも説明して欲しい所である。

「あん。もうっ、本気で解らないの?ソー君たら、このニブチンさん。やだ私ったら、思わず“チン”だなんて。まだまだ“チンマンセックス”はこれからだって言うのに(//∇//)(//∇//)(//∇//)」

「・・・・・」

「・・・・・」

(わからん。一体全体、何に対して恥じらっているんだ?この人は・・・)

(前々から危ない人だとは思っていたけれども・・・。とうとうここまで来たって訳ね!!?)

 謎の羞恥を発揮しては一人で勝手に身悶え続けるノエルに対して蒼太とメリアリアとがやや幻滅と言うか、些か以上にゲンナリとした頭の中でそんな事を思うモノの、そうこうしている内に漸くにして、この男の人の正体が明らかとなった、結局はこのゆるフワピンクの年上女性友人が紹介してくれたのであったが、それによると。

 どうやら彼こそが彼女の意中の男性である“レアンドロ・ド・ヴェルジック”その人であったらしく、つい先日二人で会ってその際に取ったフォトショットである、との事だったのだ。

 そして。

「実はこの度~っ。晴れて私とお付き合いする事に決定いたしました~っ(≧∇≦)b(≧∇≦)b(≧∇≦)b」

「へえぇっ。そりゃ凄いですね!!!」

「おめでとう、ノエル!!!」

 と、その報告を受けた二人はこの時ばかりは心の底から彼女に祝福を送ると同時に漸くにして合点が行った、要するに晴れて結ばれた恋の喜びの衝動を抑えきれなくなって彼女は、二人に見せびらかせに来たのだろうと理解するが、何にせよノエルはこれで5年以上に及ぶ片思いを見事に成就させた訳であり、とにかく目出度い事に変わりは無かったのであるモノの、しかし。

「だけどよく、彼と連絡を取れましたね?国外通話は制限されている上に、確か告白は“ちゃんとお互いが面と向かい合っている状況下で伝えたいんだ!!!”との事でしたけれども・・・」

「そう言えば、そうよね?一体、どうやったのよ。ノエル・・・」

「そんなの、簡単よぉ~(*'▽'*)(*'▽'*)(*'▽'*)」

 そう言ってノエルが説明を始めるモノの元々、親戚である彼とは秘匿回線を通じての連絡手段が確保されていた事に加えてなんとレアンドロ自身が、国際的なフットボールの試合に出場する為にここ、ガリア帝国のルテティアにまで出向いて来ている、と言うのだ。

「だから前々から連絡自体は保障されていたし~。話もちゃんと出来ていたから夜、彼に“空いている時間はある?”って聞いて、呼び出したの。それで思い切って告白したの~(〃'▽'〃)(〃'▽'〃)(〃'▽'〃)」

「ああ、なるほど。そう言う・・・」

「レアンドロが同じルテティア市内にいたから、二人で会って写真まで撮っていたのね?」

「えへへへへへへ~・・・・・っ(●^o^●)(●^o^●)(●^o^●)」

 そんな彼等の言葉を聞くにつけ、ノエルの顔が再び恍惚とした喜悦の笑みに満たされて行った。

「いやぁ~、人を好きになるって良いよねぇ~っ。その人の事を考えるだけでドキドキしちゃって、夜も眠れなくなってしまって、どうしようもなく幸せな気分になっちゃうんだけど~っ(*⌒▽⌒*)(*⌒▽⌒*)(*⌒▽⌒*)」

「ええ、そうですね!!!」

「解るわ、ノエル!!!」

「それでそれでっ。その人と結ばれた時の喜びって言ったらもう、本当に凄いのよ?言葉では言い表す事が出来ない位に嬉しくて嬉しくて、頭がおかしくなっちゃう位にハイな気分になっちゃうの~っε=ε=(ノ≧∇≦)ノε=ε=(ノ≧∇≦)ノε=ε=(ノ≧∇≦)ノ」

「は、ははは・・・っ!!!」

「良かったわね、ノエル!!!」

 凄い勢いで自慢と言うか事の報告をし続けるノエルに対して蒼太はちょっと気圧され気味になりながらも、それでも笑顔で、そしてメリアリアもまた頷きつつもそれに対して耳を傾けていたのであったが、そんな最中に。

「あっ、そーだ。はいこれっ!!!」

「あ、あれれれ・・・っ!!!?」

「これは・・・?」

 そう言ってノエルが取り出して見せたのが、彼等が持っているモノと同じ“時の涙滴”であったのである。

「四つ目だけど、これあげる。今まで私の相談に、乗ってくれてた御礼だよ?」

「え、えええっ!!?でも、ノエルさん・・・!!!」

「私達、それをもう三つももらっているわ?そんなにいっぱいいただくわけには・・・」

「あははは~、大丈夫よ~(o´∀`)b(o´∀`)b(o´∀`)b」

 するとそう言って流石に遠慮してしまう二人に対してノエルは明るく笑って言った、“実家から、新しく送ってもらって来たモノだから~(@^▽^@)(@^▽^@)(@^▽^@)”とそう告げて。

「もう知っていると思うけれども。これは私の実家の地下宮殿にある、“時の揺蕩う泉”で取れるモノなの~。だから別に気にしなくても良いわ?気軽に受け取ってね~(*゜▽゜)ノ(*゜▽゜)ノ(*゜▽゜)ノ」

「えええっ?でも・・・」

「あはははっ、大丈夫なんだってば~(*´∀`*)ノ(*´∀`*)ノ(*´∀`*)ノ」

「う、う~ん・・・」

「ね?ソー君、メリアリアちゃんo(^o^)oo(^o^)oo(^o^)o」

「・・・・・っ。いやぁ、だけどやっぱりそれは」

「良いじゃない、あなた!!!」

 すると尚も固辞しようとする蒼太に対してメリアリアが提案して来た、“もらっておきましょうよ”とそう言って。

「折角、ノエルが持ってきてくれたんだし・・・。それに彼女が意中の人と、お付き合いする事になった記念の宝石だもの。縁起が良いわ!!!」

「あはははっ。そうそう、そう言う“喜びのお裾分け”の意味合いもあるんだから、ソー君も遠慮せずに受け取ってね~っ(*'▽'*)(*'▽'*)(*'▽'*)」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 “解りました”と暫しの沈黙と逡巡の後に、蒼太は結局はノエルの好意に甘える事にして四つ目となる“時の涙滴”を受け取ると、今度はそれを自分自身で持ち歩く事としたのである、今までノエルにもらったモノは全て花嫁達に渡してしまっていた為に、彼自身の元には一つたりとも残されておらずに、まだ所持する事が出来てはいなかったのであったのだ。

「折角ですから、いただいておきます。有り難う御座います、ノエルさん!!!」

「うふふふふっ。これで私達全員が一個ずつ、持つことが出来るようになったわね?」

 そんな夫の反応に、メリアリアもまた満足そうに頷いて見せたのだが、“これでいい”と彼女は思っていた、これで自分達は何もかもが蒼太とお揃いになる事が出来たと、そんな事を考えては密かに悦に浸るモノの、それに加えてもう一つ、彼女には別の思惑もあった。

 それは。

(・・・もし今。蒼太に強くせがんだら、この人は私を抱いてくれるかも知れない。だってもう一つの“時の涙滴”が手に入ったんですもの、お強請りをすれば可能性はあるかも!!!)

 それであったが一方でそれは、蒼太もまた同じ気持ちであったのだった、彼は思った、“これさえあれば、オリヴィアの所に行く前にメリアリアと愛し合う事が出来る筈だ!!!”と。

 そして彼女の部屋から帰って来た後もまた同様であり、メリアリアの元に向かって再び一つに溶け合えると、そんな事を考えるモノの、一方でそうした蒼太達の思惑等は少しも知らないノエルはニコニコと微笑み続けては二人に御礼を述べ続けて行く。

「受け取ってくれて有り難う、でも良かったわ~。今、ちょうどあなた達の寮まで行く所だったのよ~(。・∀・。)ノ(。・∀・。)ノ(。・∀・。)ノ」

「・・・・・」

「そうだったんだ・・・」

「残念ながら、私はこれからレアンドロとデートをするの~っ。だから今日は一緒には遊べないんだけどねぇ~っ( ̄∇ ̄)( ̄∇ ̄)( ̄∇ ̄)」

「ええっ!?あ、そうなのっ!!?」

「そう言う事なら、早く行ってあげた方が良いわよ?ノエル!!!」

「ううっ、グスッ。ごめんね?有り難うソー君、メリアリアちゃん(。ノωノ)(。ノωノ)(。ノωノ)」

 “私達の事なら、気にしなくていいから!!!”との声に背中を押されたノエルは二人に何度も礼を言いつつも、軽やかな足取りでその場を後にしていった。

「・・・・・っ。良かったわね!!!」

「しかしなぁ。まさかあのノエルさんに、恋人が出来る日が来るなんて・・・!!!」

 “思っても見なかったね?”と蒼太が告げるとメリアリアもそれに素直に頷いて見せた。

「でも良かったじゃない?ノエル、あんなに嬉しそうに燥いじゃってて・・・!!!」

「うん、それは本当にそう思うけれども・・・。それより」

 と蒼太が新たに話題を振った、“どうしよう、四つももらってしまった”と先程ノエルから手渡された、“時の涙滴”をマジマジと見つめながら。

「必要がある時に、使うのは勿論として。はてさて一体、どうするべきかな・・・?」

「あ、あのね?あなた。それなんだけれども・・・」

 するとその言葉を聞いたメリアリアが突然、モジモジとし始める。

「あの、私。その・・・!!!」

「・・・・・っ!!!なにさ、メリー。言ってくれなきゃ解んないよ?」

 そう言って何事かを口にしようと試みるメリアリアの態度を見て、直ぐに彼女の本心を察した蒼太であったが先程のお返しとばかりにワザとらしくすっとぼけ続けては花嫁を問い詰めて行くのだった。

「あの。だから、その・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 “だから、私と。その・・・!!!”と、尚もメリアリアが恥じらいなからも“自身の真意”を口にしようとした、まさにその時、一瞬早くに蒼太が先に彼女を抱き締め、頭を何度も撫でるようにする。

「解っているよ、メリー。僕も」

 “君を抱きたい”と告げてくる夫の言葉に、メリアリアは心底ホッとしたような、それでいて照れたような喜びの微笑みを浮かべつつも“もうっ。イジワル・・・!!!”と呟いて、そして。

「だけど嬉しいわ?私もその・・・。抱かれたい!!!」

 それだけ口にすると、彼の胸元へと顔を埋めてはスリスリと擦り寄せるモノの、それを見た蒼太は“帰ろう?”と言って彼女に、帰路に就くよう促すが、それを受けて。

「・・・・・」

 メリアリアは目を瞑ったまま無言で頷くと、二人は手を恋人繋ぎで繋いだまま、並んで元来た道を引き換えして行ったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーー
 次回はメリアリアちゃんとのラブシーンとなります。

 また今回のお話は、“メリアリア・カッシーニ編1”をごらんになられてから見ていただけますと、より理解が深まるかも知れません。
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