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ガリア帝国編

オレールの話

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 今回のお話は“狂乱のレベッカ”、並びに“アンチ・クライスト・オーダーズ”を一緒に御覧になられると、より理解が深まるかと存じます。
ーーーーーーーーーーーーーー
「どうだ?メリー、奴はいたか?」

「ううん、ダメだった。何処からも気配が感じられないもの!!!」

「こっちにも、何の気配もありませんでしたわ・・・!!!」

「こっちもだ。本当にこの街の何処かに、奴がいるのか・・・?」

 そう言って顔を見合わせ、俯いてしまう蒼太と花嫁達であったが時は6月の中旬、早暁。

 彼等はイタリアはローマにある、“バチカン市国”に来ていた、ここにハウシェプスト協会の最高司令官にして総元締めである長老(メイヨール)、“アレクセイ・デュマ”が潜伏している、との情報を得たためであるモノの、それをもたらしてくれたのが誰あろう、例の“オレール・ポドワン”その人であり、彼を尋問している最中に当人の口から実に様々な事柄が明らかとなったのであったが当初、オレールは頑なに口を割ろうとせずにおり、何を聞かれても下を俯いたままでブツブツと意味不明な言葉を呟き続けていたのだ。

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「どう思うかね?蒼太君・・・?」

 その様子を“取調室”に設置されているカメラから眺めていた蒼太達にポールが尋ねて来るモノの正直に言って誰も彼もがこの“オレール”と言う男の存在を軽視していた只中において、ポールと言う上層部役員にその名を連ねている存在を味方に引き入れられた事は誠に幸運と言って差し支え無く、だから蒼太は正直に答えた、“あれは擬態ですね”とそう告げて。

「以前の戦いで捕らえている、“エカテリーナ”と言う存在がいるのですが。・・・彼女はどうやら本当に魂を消失してしまっている様子ですので最早どうにもなりませんが、この“オレール”と言う男に関しましては話は別です。彼は明らかに演技をしている、と言わざるを得ません・・・!!!」

「それだけあの組織に付いての、重大な秘密を握っていると言う訳か・・・!!!」

 蒼太の言葉にポールも思わず臍を噛むが、捕らえられてからと言うモノ彼は殆ど毎日ずっとこんな調子であり、此方がどうやって脅かそうが迫ろうが、何の反応も示さずにいたのであった、その為。

 今のままではこれ以上、尋問を続行しても何にもならないと、尋問官の誰もが思い始めていた中でしかし、蒼太だけが違っていた。

 彼はオレールの態度に付いて、些か思い当たるフシがあった、ハウシェプスト協会の暴力的狂信性とデュマの持つ禍々しさを合わせては鑑みてみれば、自ずと答はたった一つのシンプルなモノへと集約されて行ったのであるモノの恐らく、彼はデュマから“もし組織を裏切ったりしたならば”、“お前を必ず殺してやる、例え何処に逃げようともな!!!”位の辞申し渡されていた筈であり、しかもデュマの場合はそれが単なる脅しとは思われない程の悪意と殺気とを身に纏っていた為に、余程正義感の強くて芯のしっかりしている人物か、そうで無くとも幾度となく修羅場を潜り抜けて来た精神的猛者でも無い限り、これをやられた対象はまず心身が萎縮してしまい、一種の“マインドコントロール”状態に陥ってしまうのである。

 ましてやオレールは何の心得も無い一般人なのであり、その効果は覿面(てきめん)であったであろう事は想像に難くないモノの、蒼太はそれ以外の“何か”をもオレールの態度や言動から感じ取っていた、それは今まで何人かの敵対戦士や狂信者共、はたまた事件の犯人達と相対して来た彼の直感であったのであったがただ単に“殺される”と言う事に対するモノだけであるのならば、幾ら何でも大の大人であるオレールが恥も外聞も投げ棄ててでも、と言う一種の思考停止状態に追いやられてしまうほどの精神的ダメージを負うことはまず無いはずであり、つまりは彼はそれ以上の不安や恐怖をデュマによって植え付けられてしまっている、と言う事に他ならない訳であった。

(恐らくは・・・。“拷問してやる”とでも言われているんだろうな、そう簡単には殺しはしない、と言う訳か。だけど・・・!!!)

 “それだけではあるまい”と、デュマと言う存在を曲がり形にも知っている蒼太は更に考えを深めるモノの、相手に究極的な恐怖を植え付けて自らの思い通りにさせる方法を取っている奴が、“裏切り者”と言う立場の存在にどのような懲罰を与えるのか、と言えば救済、取り分け魂の“それ”を成し得る余地などを、決して残してはおかないだろう、と言う事であったのだ。

(僕も、同じような事が出来るから解るけれども・・・。多分オレールはとどめとして“魂を消してやる”とでも言われているのだろうな。つまりは“消滅刑”を言い渡されている、と言う事になる!!!)

 そう思い立って蒼太は改めて“ハウシェプスト協会”と言う組織の持っている狂気と横暴性を目の当たりにしたモノの、彼等の根底にあるものは慈悲や信頼の心等では決して無くて、何処までも何処までも底知れない暴虐と恐怖なのでありそれだけ見てもとてもの事、“真っ当な”組織等では無い事が伺い知れた。

 しかし。

「ダメだ、どうやっても口を割らない・・・っ!!!」

「何某かの、マインドコントロールでも施されているんじゃないのか・・・?」

 流石に裏組織の諜報員を長年に渡って勤め上げているだけはあって、取り調べを担当したエメリックやアルベールもまた真実にかなり近しい所まで来ていたモノの、そんな彼等からしてもオレールの恐れている事柄に付いては遂に掴みきれないでいた。

 その為。

「僕がちょっとやってみます・・・!!!」

「・・・・・?」

「そうか?まあ何事も経験だ、試しに尋問してみるのも良いだろう・・・!!!」

 そう言って小一時間程尋問を行って来た2人組と入れ違いになる形で今度は蒼太が“ハアァ・・・ッ!!!”と言う溜息と共に取調室に入って行った。

「“消滅”がそんなに恐ろしいのか?魂を殺される事だ・・・」

「・・・・・」

「苦しむのは一瞬らしいぞ?何しろ無に還るんだからな。苦しみも何も感じなくなる、と言う訳らしいけれども・・・」

「・・・・・」

「・・・アイツと。“メイヨール・デュマ”と同じような力を、僕も使うことが出来る。それを君に対して用いたって良いんだよ?」

「・・・・・っ!!!」

 するとそれを聞いたオレールの表情が僅かに引き攣ったのを、蒼太は見逃さなかったがどうやら彼の思った通りの事柄が進行していたらしく、要するにデュマによって脅しを掛けられてしまっていたオレールはその為、必死になってこの場をはぐらかそうとしていたのだ、と言う事が蒼太にはアリアリと見て取れた。

「聞かされているかどうかは解らないけれども・・・。僕達は一度、デュマを打ち破っている。アイツの魔力は確かに他のどんな存在よりも群を抜いているけれどもしかし、だからと言って決して勝てない訳じゃない・・・」

「・・・・・」

「君が知っている事を、正直に僕達に話してくれれば超法規的措置により君の身柄を保護する事を約束しよう。・・・勿論、君が逮捕される事も無くなる」

「・・・・・」

「だけどもし。君がこのまま何も言わないのであれば、思い切って裏社会に情報を流す事にする。内容はこうだ、君がハウシェプスト協会を裏切って僕達にルテティア支部の情報を伝えた挙げ句、そこまで道案内した、と。それだけじゃない、例のラビリンスの正体や構造、配置されている人員等、内部情報の詳細なデータまで提供してくれたと、そう言ってな!!!」

「・・・・・っ!!?」

「僕達がハウシェプスト協会の配置型カウンター・マジックである“暗闇のラビリンス”を突破してルテティア支部を制圧したのは事実だからな。それを内部からの協力者がいた事にすれば話としての信憑性は大幅にアップする事だろう!!!」

「・・・・・っ!!!」

「デュマに何を言われたのかは、解らないけれども・・・。君は恐らくは“ハウシェプストを裏切るような真似をすればお前の魂を殺してやる”とでも言われていたのだろう?ついでに言えばその前に拷問する条件付きでな、いかにもアイツのやりそうな事だよ・・・」

「・・・・・っ。う、ううっ!!!」

「知っている事を洗い浚いしゃべれ。そうすれば必ず僕達は、君の身柄を守り通す事を約束しよう。・・・勿論、今まで通りの生活もね!!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「デュマは恐ろしい人物だ・・・!!!」

 暫しの沈黙を置いてから、漸くにしてオレールが話始めるモノの、それによると。

 彼が“ハウシェプスト協会”に入会したのは今から四年も前の事だったらしく、当時から行き付けの店であったカフェバー、“ル・ジャルダン・ティエリー”店内で1人でいた所をスカウトされた、との事だったのだ。

「最初は単なる興味本位で入会したんだよ、そう言う“秘密組織”って誰もが憧れるモノだろう?“自分をミステリアスに見せたい”って言うかさ、あんな感じだったんだ。それで集にも何度か足を運んでいる内に上層部の連中に目を掛けられるようになった、特に国家公務員としての僕の仕事が決まってからはね?居心地も悪いモノでは無かったよ・・・!!!」

「君の仕事は区役所の徴税官だからね。そりゃあ連中だって下にも置かない処遇をしてくれただろうさ・・・」

「うん、それは解っていたのだけれども・・・。それでも僕は気持ち良かったんだ、僕の事を調べたのならばもう、解っているとは思うけれども僕は“ニヒリズム”を信奉していたんだよ。神様の事とかはあんまり知らないし、解らない。いいや、そもそもそんなモノはいないんだって思っていたんだ。だから“無理に神を信じなくても良い”って協会の人々から言われた時には胸がすく思いだったよ、何しろそれまでの連中ときたら僕に神の事を話はするけれどもそれが具体的にどんな存在で何処にいるのか、とか。なんでこの世の中を良くしてはくれないのか、と言う質問には揃いも揃って答える事が出来なかったからね・・・!!!」

「・・・それをハウシェプストの連中は答えてくれたのか?」

「・・・いいや、違うよ。“本当の神はここにいる”と、“ハウシェプストにこそ神はいる”とアイツらはそう言って来たんだ。“だからいつかは君も奇跡を目の当たりに出来るだろう”、と。“それが超自然的存在のいる、確かな証拠となるのだからね”とそう言っていた」

 “それで”とオレールが続けて言った、“ある日僕は、あの男と出会ってしまったんだ”とそう告げて。

「あの男・・・。“アレクセイ・デュマ”だな?」

「ああ、そうだ!!!」

 そこまで話を進めた時、不意にオレールはガタガタと震え始めた、恐らく相当な不安、恐怖をデュマによって直接、刻み込まれたのであり彼自身、それに抗う事が出来ないでいるのだろうと蒼太は理解するモノの、しかし。

「それで、その・・・。デュマは君に何をした?」

「解らない、なんて言って良いのか。良く解らないんだけれども・・・、だけどいろんな事をされたよ。最初は内は握手をしたり、一緒に壇上まで誘われてそこで皆に紹介されたり、そんな事の繰り返しだったと思う。そこまでは確かに、“人の良さそうな老人だな”食らいにしか思っていなかったんだよ、僕だってね?だけど・・・」

「・・・・・?」

「なんだか知らないけれども“火と水の儀式”とか言うのを受けさせられてから、急に人が変わったみたくなってさ。目に力と言うか凄みがあって、まるで此方の一挙手一投足を悉(つぶさ)に観察されている様な、そんな気がしてちっとも落ち着かなくなっていったんだ!!!」

「・・・・・っ。それで?」

「言葉にも変な魔力みたいなのが宿っていたらしくて話し掛けられると心底、気持ちが悪くて怖気が走ったよ。それにまるで正面に立って睨まれるとそれだけで、なんかこう、心臓を鷲掴みにされた様な感覚になって、全身が縮こまっていってしまって・・・。終いにはもう、なんか言われる度に思考が凍り付いてしまう、とでも言えば良いのかな?とにかく気付いたらもう、向こうの言うがままになってしまっていたのさ・・・!!!」

「デュマに具体的に、何を言われた?」

「“裏切るな”、と。“もしそれをすれば恐ろしい拷問が待っているぞ?”と、そう言われて・・・。だけど僕はその時の顔が恐ろしくて恐ろしくて、二度と忘れられなくなってしまったんだ。一般人の僕でもハッキリと解ったさ、あれは間違っても人間の放つ気配じゃ無かった・・・!!!」

「・・・それ以外では、どうだ?デュマは君に何をさせた、その目的は何だったんだ!!!」

「・・・今年に入ってから、デュマにスマートフォン端末と量子アニーラーを渡されてこう言われたんだ。“これを使って国家の情報中枢にアクセスして量子コンピューターの開発に携わっている人間に付いて調べ上げろ”と。“ソイツの存在が、組織としては極めて重要になって来るから”と」

 “ポールさんの誘拐未遂事件の事だな?”という蒼太の言葉にオレールが黙って頷くモノのこの時、彼は続けて自分がエグモント達に連絡を取った事、彼等にポール氏誘拐を依頼してその身柄をバチカン市国にまで運ぶように指示した事等を認めていった。

「なぜバチカンに運ぶように指示を出したんだ?別にプロイセンでもエイジャックス連合王国でも良かったと思うけれども・・・」

「良くは解らないけれども・・・。デュマは執拗にバチカンを気に掛けていたんだよ、そこで“AIエンペラー”がどうとか、“偽キリストシステム”がどうとか。そんな会話を幹部の連中と何度か話し合っていたみたいだったけれども・・・!!!」

 そこまで話を聞いた時。

 蒼太の目付きと表情とが些か険しいモノへと変わるがこの瞬間、彼の中で“大まかな流れとしては”話が繋がったのであり、そしてそれ故にもう少し“詳しく話を聞きたい”とオレールに詰め寄っていった。

「“AIエンペラー”に付いて知っているのか?それに“偽キリストシステム”とは何だ、具体的に答えろ。いいや、それよりも何よりも、どうしてそれらをバチカンで起こそうとする?」

「・・・・・っ!!?い、いやちょっと待ってくれ!!!」

 するとそんな彼の勢いと言うか、気迫に驚いたオレールが思わず後退(あとずさ)りながら言葉を発した。

「自分も詳しくは知らないんだけれども・・・。少なくとも奴は、デュマは“そこでそう言う事を引き起こす自体に意味がある”って言っていたよ?なんでも“人々の信仰心を一番、手っ取り早く踏み潰せるから”と・・・!!!」

「・・・・・」

「人は“希望”がある限りかは人としての尊厳を持って、どこまでも強く生きて行く事が出来るそうなんだけれども・・・。だからそれを砕いて木っ端微塵にしてやれば、支配する事は容易い事だと、よっぽどの強弱で無い限りかはその絶望に抗い続ける事等出来はしない、と。そう言っていたよ・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「希望や幸福感、感謝、勇気、正義心。そして何よりかにより大切な光である愛情、そう言った中心点に存在しているのは、カトリック教徒にとっては神だからな。それを根元から取り去る事がデュマの狙い、と言う訳か・・・!!!」

 そんな取り調べの様子をモニター画面を通して見聞きしていたメリアリア達花嫁と、ポールやエメリック等“ミラベル”隊員の面々は、驚愕すると同時に困惑していた、今現在の世界的な情勢においては確かに、カトリック教徒と言うのは大半を占めており、またその中には敬虔な神父やシスターを始めとして、祈りを捧げている人々は一定数存在しているモノの、そう言った彼等がその中核たる信仰心を打ち壊されてしまった時に一体、どうなってしまうのか、と言う事に付いては想像に難くない。

「前にあの人が、蒼太が言っていたわね。“ドラクロワ・カウンシル”と言う組織の狙いに付いて。なんだかあの時と話が被るわ・・・!!!」

「ドラクロワ・カウンシル?蒼太さんが飛ばされたあの並行世界に於ける“ハウシェプスト協会”の事でしょうか・・・?」

「奴等は根っこが同じらしいからな。思考や目的、行動が似通っていたとしても別段、不思議な事は無いだろう・・・っ!!!」

 三人がそんな事を話し合っている最中も、蒼太の尋問は続いていった。

「ポールさんを掠ったのは、どうしてだ?何故その計画にポールさんが必要だったのか、答えてもらおう!!!」

「“AIエンペラー”を最新鋭化する為だ」

 青年の質問にオレールが答え始めるモノの、彼が言う所によれば“ヒルベルト空間論”を熟知すると同時に“量子コンピューター論”に付いても精通しているシステムエンジニアのポール・アギヨンを掠って来てバチカンにまで連れて行き、そこに予め設置してあった“AIエンペラー”の古典的回路を最新鋭の量子型のそれへと変換、バージョンアップさせる事をデュマは目的としていた、と言うのだ。

 ・・・そう言う風に“キング・カイザーリン”から指示されていたようだった、と。

「“キング・カイザーリン”・・・?何者だ、ソイツは!!!」

「僕も詳しくは知らないよ。・・・だけどあのデュマすら裏から操っている大ボス中の大ボスさ。その正体は全くの謎に包まれているけれども、だけど確かにデュマは彼女の事をそう呼んでいて、かなり慕っている様子だった・・・!!!」

「・・・・・」

「僕が知っているのは、ここまでだ。言っておくけれども“キング・カイザーリン”の正体に付いては、僕は本当に知らないぞ?アイツはいつも、僕達の前に現れる時は影の姿でやって来るんだ、何やらよく解らない“通信呪法”を使ってね。だから本当に解らないんだよ!!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 “解ったよ・・・”と蒼太は一息付きつつそう述べて、しかしオレールから視線を逸らそうとはしなかった、彼は基本的に“敵”の目前で油断と言うモノをしない人物である、不測の事態にもいつでも対応出来る様に、身体に多少の緊張感と同時に力みを持たせているモノのしかし、その内心では“どうやら嘘は言っていないようだな・・・”等と考えていた、とは言えどもなんら物的証拠の無い中での話である、後は裏付け捜査を進めて彼の話が間違いなく真実である、と言う事を証明しなくてはならなかった。

「・・・“キング・カイザーリン”に付いては後ほどまた質問させてもらう事にして。まずは“AIエンペラー”と“偽キリストシステム”に付いてだな。特に“偽キリストシステム”の話を詳しく聞かせてもらおうか」

「“偽キリストシステム”と言うのはただ単に、カトリック教徒達の信仰心を破壊する事だけが目的じゃない。あれは今現在、欧州各国において配備が進められている“5Gネットワーク”に“AIエンペラー”を接続させる事で人工的な神を作り出す事を目的としている代物なんだ」

「“5Gネットワーク”の放つ総エネルギー量は、“4G”等とは比べ物にならない位に強大なモノになる、と聞く。それもハッキリと人体に影響を与える程のモノだ、とね。そこに“AIエンペラー”を接続させれば確かに、“人工的な神”を誕生させる事も、そう難しい話では無いだろうね・・・!!!」

「・・・・・っ。君は“AIエンペラー”を知っているのか!!?」

 青年の言葉に驚愕するオレールだったが、一方の蒼太は平然と彼を見返しつつもこう語った、“此方の情報収集能力を、甘く見てもらっては困るな!!!”とそう言って。

「一応、言っておくけれども嘘偽りや隠し事は無しにして話を進めてもらおうか。さっきも言ったが此方もそれ相応に情報は持っているんだ、真実と違う事を言っても辻褄が合わなくなるからすぐに解るぞ・・・?」

「・・・・・っっっ!!!!!!?」

 そこまでオレールに語った瞬間、蒼太は彼にしては珍しく“脅し”を使う事にした、自身の目から相手のそれへと直接、膨大な量の殺気を叩き込んでオレールを忽ちの内に“蛇に睨まれた蛙”の状態にしてしまった。

 特に一般人でそう言った事に対する心得を何一つとして持ち合わせていないオレールにとっては恐ろしい程に効果覿面であったが元来、小心者でネガティブ性の強い彼は直ぐさま自分が殺されるイメージが湧き上がって来て竦み上がり、どうにもならない状態へと追いやられて行ってしまったのだ。

「あっ。ああ、あ・・・っ!!!!!」

「・・・解ったか?解ったれ話を進めてもらおう!!!」

「あ、ああっ。解った、解ったから・・・っ!!!」

 オレールが必死になって頷いたのを見届けると、蒼太は漸くにして殺気を放つのを止めて改めて彼へと向き直る。

「・・・それで、だ。こっちが今一番、聞きたいのはどうしてハウシェプスト協会の連中が“AIエンペラー”を持っているのか、と言う事に付いてなんだ。あれは確か合衆国(ステイツ)が極秘裏の内に開発して来た最新鋭の人工知能搭載兵器なのだろう?それがなんでハウシェプストの手に委ねられているのか、と言う事についての詳細な話が知りたいんだが」

「・・・答えは至って簡単だ」

 すると蒼太の質問を受けて、漸く正気に戻ったオレールが答え始めるモノの元々、“合衆国(ステイツ)”自体がハウシェプスト協会の下部組織である“フリー・メーソン”によって建設された、巨大な会社であり農場であり工場であり、そして様々な勉学、研究を行う為の実験場に過ぎないと、彼は断言する。

「事の起こりは今から四、五百年ほど前、合衆国(ステイツ)が誕生するよりも遥か以前の時代にまで遡るがあの時代、ここ欧州各国で権勢を誇っている一族がいた。今でもエイジャックス連合王国に本拠地を置く、“ロスチャイルド一族”だ。彼等は元々、金貸しを生業にしていたのだがちょうどこの頃から徐々に頭角を現し始めて行った。・・・何故だと思う?」

「・・・・・」

「“フリー・メーソン”だ、彼等は当時地下組織として各地に密かな広がりを見せていた“フリー・メーソン”に入会したんだよ」

「フリー・メーソン・・・?」

 “フリー・ピープルズじゃなくてか?”と怪訝そうな顔を覗かせる蒼太に対してオレールが語るが当時のフリー・メーソンには既に、貴賎貧富様々な人々が集まって来ていた、迫害された騎士団、日の目を見ない商人、自由を求める石工、落ちぶれた貴族、果ては“汚らわしい職業だ”と人々から罵られ、白い目で見られていた金貸し業者。

 それらの人々の中にロスチャイルド一族は自然と溶け込んで行くと同時にそこで上手く立ち回っては独自のネットワークを構築して行き、自家を中心点とした情報網と流通網とを次第次第に整え始めて行ったのである。

 当然、それらは表舞台にも活用されて行く事となりその結果、例えば金相場がどうだとか、誰々が何々を欲しているだとか、果ては何処と何処とがどう言う関係で繋がっているのか、と言った事柄が手に取るように解るようになっていったロスチャイルド一族はそれらを踏まえて時には法外な金額を瞬時に用意して貸し出ししたり、または対象者に希求物を買い与えたりする事で、社会の中でも日に日に頭角を現し始めていったのであった。

 そして気が付けばフリー・メーソン内部のみならず、金融業界、物流業界に於いても誰もが無視できない程の権力と勢力とを持ち合わせるに至っていたのであったがちょうどそんな折、当時まだエイジャックス連合王国の植民地に過ぎなかった合衆国(ステイツ)に於いて独立戦争の機運が高まりを見せていた。

「“ナポレオン戦争”に代表される幾つかの戦争によって既に莫大な富を得ていたロスチャイルド一族は、ここでも上手く立ち回った。そもそもステイツ全国民に独立を唆(そそのか)したのはフリー・メーソンの連中だったんだ、ジョージ・ワシントンとかトーマス・ジェファーソンとかね。当然、そこにはロスチャイルド一族の思惑が絡んでいたんだ、当時武器産業に多額の資金を投入していた彼等はその更なる成長と合衆国(ステイツ)と言う実験場を作り出すために戦争を引き起こさせる事にしたんだよ。・・・勿論、独立後も自分達が裏から治める為の傀儡国家として運営する目星を付けた上でな!!!」

「・・・・・」

「そして後は歴史の示す通りさ、合衆国(ステイツ)は独立してロスチャイルド一族の思うがままに事は進んでいったんだけれども・・・。途中で予期せぬ事が起きた」

 “ロックフェラー一族だ”、とオレールが語るが元々、ロスチャイルド一族の門番の1人に過ぎなかった彼等はアメリカに渡るとロスチャイルド一族の代理人となり、彼の地で金融業や石油、鉄鋼業等様々な国家的中枢産業で財を築き、大成功を収めていった。

 そしてその権勢は気が付けばロスチャイルド一族を凌ぐ程のモノとなり、両家は同じく“フリー・メーソン”に所属しながらも、それと同時にしのぎを削り合うライバル関係に陥ってしまって言ったのである。

 ところが。

「アメリカのリーマンショックを知っているだろ?あれはロスチャイルド一族が彼等ロックフェラーを嵌めて蹴落とす為に仕掛けた計略だったんだよ、つまりはロックフェラーはロスチャイルドに“お仕置き”された、と言う訳だな・・・!!!」

 “結果として”とオレールは尚も話を続けた、“合衆国(ステイツ)は無事にロスチャイルド一族のモノに戻り、今では金融は元より軍需産業、政府高官、果ては最高法院までをも、皆ロスチャイルド一族の言いなりだよ”とそう言って。

「だからこそハウシェプスト協会は無事に、そして何の抵抗もなく“AIエンペラー”を合衆国(ステイツ)からバチカン市国にまで運び込む事が出来たのさ」

「・・・解らないな」

 そこまで一気に話し終えて一息付いているオレールに対して蒼太が素朴な疑問をぶつけてみるモノの、彼はどうしても合点がいかなかったのである、ロスチャイルド一族が“フリー・メーソン”に入会した事を皮切りに、内部の人脈金脈をフル活用して権勢の階段を駆け上がって行った、その事に付いては良く理解出来たのであったが、それがどうしてハウシェプストと繋がるのか、と言う事に対する説明がまだ、オレールの口から為されておらずにそこだけが失われた鎖、即ち“ミッシング・リンク”になっていたのだ。

「ロスチャイルドと“フリー・メーソン”、そしてハウシェプスト協会。この三つの繋がりに付いて話してもらおうか・・・!!!」

「・・・これは聞いた話だけれども」

 と些か疲れたのだろう、語気を落としつつオレールが答え始めた。

「そもそも“フリー・メーソン”の原型は五、六世紀のエイジャックス連合王国、当時は“ウェセックス王国”と言う名前で呼ばれていたけれども、そこで既に形作られていたんだ。・・・と言っても当時のそれはまだ“地下組織”と言うのが正しい表現方法であったのであって、決して今のような“秘密結社”的な有り様では無かった、それに“秘教儀的思想”を植え込んだ連中がいたんだ。・・・“ガーター騎士団”さ」

「“ガーター騎士団”だと?あのエイジャックス連合王国王室を、裏から操っている、と言われている?」

 蒼太の返答にオレールは“そうだ”と短く頷き尚も続けた。

「元々、“ガーター騎士団”は“テンプル騎士団”と言う名前で活動していたんだけれども・・・。彼等はローマ教皇に目を付けられて壊滅させられてしまった、その一部が逃げ延びて潜伏した場所こそが“フリー・メーソン”だったのさ」

 “そこから”と彼は語った“フリー・メーソンが単なる石工達の自由組合から秘儀的教養を全員に、満遍なく浸透させて行く為の場所に様変わりして行ったんだ・・・”とそう言って。

「・・・つまりは“フリー・メーソン”はローマ教会と同じく元々はカトリック的神秘主義者の集団だと言いたいのか?だとしたらちゃんちゃらおかしいな。何故そのフリー・メーソンが“反キリスト”を掲げているハウシェプスト協会と繋がっているんだよ。まさかテンプル騎士団の復讐だ、とでも言うんじゃ無いだろうな?」

「・・・・・っ。いいや、違うね」

 するとそこまで落とされていたオレールの声量が一層、小さなモノとなる。

 顔付きは険しく、しかし真剣そのものと言った表情で心拍数も決して嘘を付いている人間のそれでは無かった、ただ少し緊張している様子である、蒼太は一旦、深呼吸してはどうかと彼に提案すると、その言を受け入れたオレールは何度か大きく吸って吐いてをゆっくりと繰り返すと幾分、生気の戻ってきた面持ちとなって話しを始めた。

「これは余り知られていないが・・・。“フリー・メーソン”と同時代、いいやもっと古い時代から存在している闇の秘密結社があるんだ・・・」

「・・・“闇の秘密結社”?」

「そうだ」

 オレールは頷くとゆっくりと静かにその先を述べ始めた。

「“バビュローン同窓会”、人によっては“CJS”と呼ばれてもいるんだけれども、本当に一握りの人間しか入る事の許されない秘儀秘承呪術師集団だ。彼等はフリー・メーソンより遥か以前から暗躍していて“真理の抹殺”、“霊的堕落の推奨”を影ながら行っているらしい・・・。何でも“悪魔(デーモン)”と契約を交わしてその盟友になる事から始めるのだそうだ」

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!?」

「“悪魔(デーモン)”だと・・・っ!!?」

 その様子をモニターから見ていた花嫁達がまたもザワつくモノの、蒼太は構わず話を続けた。

「・・・ソイツらが、どうかしたのか?」

「彼等がフリー・メーソンに接触して来たんだよ。勿論、自分達の真の目的、正体は伏せたままでね」

「・・・・・っ。奴等の真の目的とはなんだ?その正体とは?奴等は人間じゃ無いのか?」

「僕も聞いた話しだから、良くは解らないけれど・・・。彼等は悪魔にその身を捧げて人間を捨て去るらしいんだ、それで“眷族”になって一生を送るらしいんだけれども・・・。その真の目的と言うのは五千年前に成し遂げられなかった悲願を今こそ達成させる、と言う事らしいよ?」

「・・・・・」

(まるで“ニムロデ王の系譜”みたいな組織だな。・・・いいや、違う!!!)

 そこまで考えた時に蒼太の頭の中ではピースが徐々に埋まり始めていったのである、即ち。

 その“バビュローン同窓会”、即ち“CJS”こそがこの世界に於ける“ニムロデ王の系譜”そのものなのであり、だとすればやはり、ハウシェプスト協会こそが此方の“ドラクロワ・カウンシル”と考えて差し支えが無い、と言う事になる、いずれにせよ大きな収穫であり前進だった。

「それでその・・・。“バビュローン同窓会”こと“CJS”は一体、何を考えてそんな事をしたんだ?」

「目的はただ一つ、バベルの塔をこの世界に復活させて神への反抗を成し遂げるのだそうだ。だけどそれが一体、何を意味しているのかは、僕にはサッパリ解らないんだ・・・!!!」

「・・・・・」

 オレールはそう言って思わず溜息を付くモノの、しかし蒼太にとっては意味の解る話しであった、どうやらあっちの世界で掴んだ彼等の存在意義や目的等に付いてはこっちの世界でも応用が聞くらしい。

「それでその・・・。フリー・メーソンはどうなったんだ?“バビュローン同窓会”が接触して来たんだろう?」

「結論から言おう、乗っ取られたのさ。内部に巣くっていたガーター騎士団諸共、バビュローン同窓会にな!!!」

 そう言ってオレールは“あくまでも聞いた話だから!!!”と言って言葉を紡ぐが、それによるとそもそもが地下組織だった事に加えてガーター騎士団によって秘密主義を取り入れていた“フリー・メーソン”が“CJS”に“寄生”されて主導権を奪われるまで、そう時間は掛からなかった、と言う。

 彼等は無法を自由と言い、暴虐を創造の為の破壊に置き換え、霊的真理を自然界の摂理の一つである弱肉強食にすり替えて皆に知らしめ、その分かり易さと納得のしやすさから短時間の内に一気に勢力を拡大、ガーター騎士団のもたらした教義は都合良く変色されて今に至っている、と言う事であったのだ。

「そしてその後は見ての通りさ。フリーメーソン、即ちバビュローン同窓会は世界各地で猛威を振るい、今やあらゆる国のあらゆる歴史上重要な事件には悉く関与して来た、と言われる程に至っているのさ・・・」

「・・・・・」

(真理を頭ごなしに否定するのでは無く、上手く利用する形で立ち回っているな。これをやられてしまえば経験不足で無知蒙昧な輩はアッサリとその教義を信じ切ってしまうだろう。何しろ彼等の言い分も一見、“一理あるような”言葉で着色されているからな・・・!!!)

 蒼太は思うが真理を知っている、と言う事は即ち“宇宙の法則”に付いて精通している、と言う事であって、つまりはそれなりに力のある霊的存在が背後にいる事が伺えるのである。

「それで?そのフリーメーソンとハウシェプスト協会の関係はどうなったんだ、まだ説明が為されていないぞ?」

「・・・そもそもハウシェプスト協会の歴史はそれほど古いモノではない」

 オレールが説明を始めた。

「ハウシェプスト協会の起源は十八世紀半ばに当時、フリーメーソンに所属していた“ヴァイスハウプト伯爵”によってより秘密教義の具現化に特化した集団が設立された事から始まる。当初こそ、より厳しい修行に於ける真我の獲得を目指す、との主旨を発表していた彼等だったがすぐに本性を現してね。殺人、裏切り、謀略、暴力と裏社会でやりたい事はなんでもやっていったのさ・・・」

「・・・・・」

「何しろ彼等は無法こそ真の自由であり、破壊は宇宙の生活サイクルの一つである、と声高に喧伝して回っていたからね。しかもただ言うだけなんじゃ無くて、実際にそれをやってもいる。皆恐れ慄いていたのさ・・・」

「・・・・・」

「話を元に戻そうか。つまりは元々、フリー・メーソンから派生した組織だったんだハウシェプスト協会は。それで最初の内は二つは対等の立場にあったんだけれども徐々にその均衡が崩れ始めて行ったんだよ・・・。ある凄腕の、“呪い師”が登場したお陰でね」

「・・・・・?」

「それが君も良く知っている、あの人だよ。メイヨール・デュマだ。彼は前任者を殺してハウシェプスト協会の秘密司祭に昇り詰めたらしいんだけど、その直後に“神”からお告げが来たらしいんだよ」

「・・・神だと?」

 “キング・カイザーリンの事か?”と尋ねる蒼太に対してオレールは頭(かぶり)を振ってこう答えた、“いいや違う!!!”とそう言って。

「違うって?じゃあ他にも君達には“神”がいる、とでも言うのか?」

「・・・・・っ。ああ、そうだ!!!」

 そこまで答えたオレールは、一息付いた後で蒼太に向かってこう答えたのである、“太古の昔に打ち棄てられてしまった神、反逆皇神ゾルデニールがな!!!”と。
ーーーーーーーーーーーーーー
 長くなりそうですので一旦、ここで切ります。

 またいきなりで申し訳無いのですがこの度私、pixiv様の方に小説を三作品程投稿させて頂いております(内容は主ビアのR-18ラブラブ純愛モノです、“主ビア”、“小説”で検索すれば出て来ます)、もしよろしければ御覧下さい(主ビア派の方、ビアンカ派の方には是非ともお読みいただきたいと思っております)。

 余談ですが私はリュカ(アベル)ってきっと絶倫な上に巨根持ちだったと思います(だってあのパパスの息子ですもん)、性器の大きさと言うモノは“基本的には”体格に由来しますがパパスはガッシリとした体躯の偉丈夫でした(勿論、ただ単に筋骨が隆々で頑健だっただけではありません、肉体は全体的にしなやかで弾力性があり、戦士としても超有能です)、加えて王族と言うのは昔から(栄養学的に)栄養価の高い物を食べて育って来ていました(その上で適度な勉強、適度な運動、そして適度な休息を取り続けて来たのです)、主人公はその先祖代々からの血筋や肉体、そして何より遺伝子を引き継いでいるのです、そんな彼がヒョロガリ短小だったとは到底、思えません。

 それに奴隷をしていた時もそうだったでしょうけれども解放されてからと言うモノ、過酷な旅を続けて行く内に身体もよりガッシリ、しっかりとしたモノに作り込まれて行った事でしょう、食べ物だってちゃんとしたモノを食べられたでしょうしね(また食糧事情や休息等に関しましては奴隷をさせられている最中だってヘンリーが一緒にいてくれたから、上手いことやってくれていたと思いますよ?←小説版にはその辺りの事情が詳しく記載されています)。

 第一、何よりかによりの話しとしてはリュカ(アベル)のような、ああ言う一見、人畜無害な顔している男こそが一番、とんでもないモノを持っていたりするんですよ、おっかないですね(だからこの世って油断がならないんですよ)。
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