メサイアの灯火

ハイパーキャノン

文字の大きさ
上 下
275 / 405
神世への追憶編

第二次エルヴスヘイム事件21(勇者達の凱旋とエルフの宴)

しおりを挟む
 このお話は第三部の中盤であります“VSレプティリアン戦(レベッカ編)”と“花嫁達の輪舞曲(ロンド)”、及び“ナンバーワンとオンリーワン”に加えて第四部初頭の“第二次エルヴスヘイム事件15(蒼太の波動とドクバのオーラ)”並びに“第二次エルヴスヘイム事件16(軸線転位と時空震)”とを御覧になられてから読まれますとより理解が深まるかも知れません。
ーーーーーーーーーーーーーー
 “次元の狭間”が消失してしまう際に発生する“超時空振動”に危うく巻き込まれ掛けた蒼太達はしかし、辛くもその影響から脱出する事に成功した、蒼太が咄嗟の機転を利かせた為に“現実世界”へと帰還を果たした彼等の出現ポイントは元々の“古代遺跡の神殿跡地”からはかなりズレており、一行はそのままエルヴスヘイムの大地へと軸線移動をして来た上でただひたすらに駆け出し始めたのである。

 不気味な暗黒色に染まっていた空では赤黒い雷光が幾つも迸って稲妻が轟き続け、空間が次元の裂け目へと飲み込まれて行くのがハッキリと確認出来た。

「・・・・・っ!!!」

「あれは・・・っ!!?」

「何という事だ・・・っ!!!」

「走れっ!!!」

 その光景に恐れ慄き、口々に驚愕と悲嘆の言葉を述べる花嫁達以下パーティーの面々に対して蒼太が叫ぶとその号令一下、まるで弾かれた様に彼の一団は飛び出して行った、誰もが皆、自覚していた、“このまま此処にいても助かる見込み等何も無い”と。

 だから。

 青年に率いられた花嫁達や伯爵連中に夫人組、それにノエルとレアンドロはただひたすらに駆け続けた、途中で何度か蒼太の“時空転位魔法”を用いて距離を稼ぎながら、とにもかくにもアウディミアの居城のあった“極北星下の禁足地”から一目散に退避を継続させて行ったのであったが、そんな彼等彼女達が漸くにして“安全地帯”にまで到達したのは実に10分間は走り続けた末であった。

「・・・・・っ!!?もう大丈夫だ!!!」

「はあはあっ、はあはあ・・・っ!!!」

「はあっ、はあっ。はあっ、はああぁぁぁ・・・っ!!!」

「ふうふうっ、ふうふう・・・っ!!!」

 皆、それぞれに大きく息を付きながら今、自分達が駆け抜けて来た後方へと目をやるが、するとそこにはあれだけ濃密に立ち込めていた黒雲が晴れて綺麗な青空が広がっていた、周囲は嘘の様に静まり返って静寂が辺りを支配する。

「・・・・・」

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!?」

「お、終わった。のか・・・?」

 恐る恐る声を発したオリヴィアの問い掛けに対して、暫く自身を起点として彼方此方に意識を飛ばしていた蒼太が頷いた、“ああ。終わったよ・・・”とそう告げて。

「アウディミアは、滅んだ。もう二度とエルヴスヘイムの大地が脅かされる事は無いだろう・・・!!!」

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!?」

「・・・・・っ!!!」

 “お疲れ様!!!”と一際感慨深そうにそう言い放ち、“ハアァァ~・・・ッ!!!”と一つ、大きな溜息を吐き出した夫に対して漸くにして笑顔の戻って来たメリアリアがそう言葉を掛けるが、それを聞いた蒼太は“あははは・・・っ!!!”と微笑みながらそれに応えた、“君もね!!?”とそう告げて。

 特に。

「有り難う、メリー。そしてアウロラもオリヴィアも。君達がいてくれなかったら僕はあの時、確実に死んでいただろうね!!!」

「そんな事・・・。あの時は私、必死であなたの事を思ってて。そしたら自然と身体が動いたの、ううん。それだけじゃあ無いわ?蒼太の、あなたの言葉って凄い安心できて信頼できて。本当に“この人の言う事なら”って気にさせるのよ?」

 “だからね?”とメリアリアは尚も続けた、“あの土壇場でもあなたの事、自然とすんなり信じる事が出来たのよ?”とそう述べて。

「だって、だって私。あなたのこと・・・っ!!!」

「あなたの事を、愛していますから!!!」

 すると更に何事かを言い掛けたメリアリアの機先を制して青髪少女が蒼太に告げた。

「私、あなたの事を愛しています。蒼太さん!!!」

「・・・・・っ!!?」

「な・・・っ。ず、ずるいぞ?アウロラ。私だって蒼太の事を愛している、これ以上無い程に強く激しく。そして誰よりも何よりもだ!!!」

 そんなアウロラに対してメリアリアがビックリした表情を見せて、次いで悲しそうな顔付きとなるモノのそうした愛妻淑女の反応等どこ吹く風と言った塩梅でオリヴィアまでもが花嫁達の列に割って入って来るがしかし、すると青年への愛慕を渦巻かせる黒髪妻に対してアウロラは珍しく敵愾心を露わにした。

「いいえ、オリヴィアさん。こればかりは譲れませんわ!!?蒼太さんを1番深く愛しているのは他ならないこの私なんですから!!!」

「な、何を言っているんだアウロラッ。蒼太の事を1番愛しているのは間違いなくこの私だぞっ。異論は認めんっ!!!」

「・・・・・っ。あ、ああっ。あの、あのね?二人共落ち着いて?こんな所で喧嘩しないで」

 そう告げておっかなびっくり何とか仲裁を行う青年に、裏からソッと近付いた女性がいた、メリアリアだ。

「あ、メリー・・・ッ!!?」

「チュ・・・ッ!!!」

 それに気付いた蒼太が後ろに向き直るとメリアリアは気後れしつつも顔を赤く染め上げて、腕を後ろに組みながらモジモジとしていたのだが、程なくして。

 不意に目を閉じ夫の唇を奪うとニッコリと微笑んでこう述べた、“愛してるわ?あなた・・・”と。

「私だって・・・。二人に負けない位に愛しているから!!!」

「・・・・・っ。メリーッ!!!う、うわっ!!?」

「何をしているんですか、メリアリアさん!!!」

「抜け駆けは良くないよっ。メリアリアッ!!!」

 それを見た二人は更なる燃料が投下された炎よろしくますます過熱して燃え上がって行ったのであったが、そんな彼等の目の前に。

「・・・・・っ。皆、ちょっと落ち着いて。って言うか武器を構えてっ、何者かが此処(ここ)に向かって“時空間転位”を行おうとしているようだ!!!」

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!?」

「な、なんだと・・・っ!!?」

 蒼太の言葉に一瞬、当事者達は勿論の事、事態を沈静化させようとしていた者達や面白半分で眺めていた者達等が揃って緊張すると同時に蒼太に倣って身構えるが、果たしてー。

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!?」

「あなたは・・・っ!!?」

「フォルジュナ様・・・っ!!!」

 眩いばかりの光り輝きの奔流が前方の空間を押し退けて出現し、それは程なくして人の形を取って行くモノの、やがて煌めきの迸りが収まった時にその場に立っていたのはフォルジュナと付き人達、それにサリナの四人であったのだ。

 この時、フォルジュナは珍しく外出用の正装をしていて右手には蒼太のそれよりも更に荘厳な白き杖を握り締めていた。

「・・・・・っ。フォルジュナ様」

「蒼太、そして皆様方。お見事でした・・・!!!」

 彼女の姿を確認した蒼太が恭しく頭を垂れると、まるでそれに応えようとするかのようにフォルジュナが語り掛けて来た。

「蒼太、本当に良くやってくれました。あなたは“白の導き手”としての役割を立派に果たしたのです。そして皆様方も」

 “特に”とフォルジュナはメリアリア達三人の花嫁の前へと進み出て来る。

「あなた方の働きは素晴らしかったですわ?正直に言って蒼太が敗れた時には“もうこれまでか”と諦め掛けましたけれども・・・!!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「あなた方は奇跡を起こされたのですわ?それは本当に素晴らしい現象でした、あのアウディミアの“黒雲の魔術”を討ち破って彼女を敗滅させるなんて、未だに信じられません!!!」

 “どうか”とフォルジュナは尚も続けた、“エルヴスヘイムの全エルフを代表して御礼を言わせて下さい・・・!!!”と、そうして。

 一歩下がって両手を前で揃え直し、ゆっくりと深く頭を下げて言った、“本当に有り難う御座いました”と。

 それを見た他のエルフ達も皆、揃って蒼太達に一礼して礼を述べるが、しかし。

「あなた方のお陰でこの世界はまたしても救われました、この御恩は生涯忘れません!!!」

「・・・・・っ。ち、ちょっとフォルジュナ様!!!」

「そんな、オーバーです。そんな事までしていただかなくても・・・!!!」

「却って此方が恐縮してしまいますわ?どうかお止め下さいまし・・・!!!」

「貴女のお気持ちは充分に伝わりましたから、どうかお顔をお上げ下さい・・・!!!」

 そんな一行の態度と反応に、それでも暫くの間は礼をしたままだったフォルジュナ達は、やがて漸くにして気が済んだのかまたゆっくりと姿勢を戻した。

「詳しい話は後ほどにして、先ずはゆっくりと旅の疲れを癒して下さいね。蒼太、そして皆様方も。私共の“瞬間転位魔法”を用いればここから“アイリスベルグ”まで殆ど一瞬で移動出来ます。勿論、お送りさせて戴きます。それと細やかながら宴の用意も出来ておりますから皆様方は挙って参加為さって下さいね・・・」

 そう述べるとフォルジュナは、持っていた杖を掲げ様、エルフ語で何事か呪いの言葉を口にした、すると。

 その辺り一帯が光につつまれると同時に身体がフワッと宙に浮く感覚がして、全員が思わず戸惑うモノの、その直後に。

 再び地面に足が着いたと思ったらもう、一行はアイリスベルグの“長老の木”の大広間の中央部分に到達していた。

「・・・・・っ!!!」

「・・・・・っ!!?」

「これは・・・っ!!?」

「嘘でしょう・・・っ!!!」

 あまりの出来事に声も出ない一行に対してフォルジュナは尚も優しく、そして柔らかく言葉を掛け続けて来た。

「さあ、先ずは旅の汚れと疲れを洗い流して参りなさい。しかる後にこの広間にて宴を催す事に致しましょう!!!」

 その声が終わると同時に。

 蒼太達は男女に分けられ全員が木で造られている巨大な浴槽の設えられている部屋へと連れて行かれた、そこはかなり広めの間取りで設計が為されており、しかも中から鍵を掛けると自動的に時空断絶用の結界が張り巡らされる仕組みとなっていたのだ、その上。

 浴室にはボディソープやシャンプー、コンディショナー等各種が揃っていた他タオルに手拭い、そして浴室の床に敷き詰める為の分厚いバスマットレスまで用意が為されており、一行はそこでフォルジュナの好意に感謝しつつも湯浴みをして肌を流し、髪を清めて身体と心を洗浄すると同時に癒すと準備されていた新たな服に着替えて再び広間へと通されるが、そこに待っていたのはエルフ達が贅を尽くして拵えた、世にも珍しい料理のフルコースと甘くて濃厚なる葡萄酒であった。

 蒼太達はそれを心行くまで堪能した後で、宴も酣となった所でその日は解散してそれぞれに与えられた部屋へと入り、眠る事にしたのである。

 しかし。

 その夜、蒼太は中々寝付けなくて仕方なしに散策に出掛ける事にした、蒼青や黄金の“魔法の灯火”に照らし出されていた夜のエルフの里は幻想的で美しく、思わず夢心地で歩を進める蒼太であったがしかし、その内にふと、ある人の気配を感じて顔を上へと向かせるとそこには。

 長老の木の外周部分にある客室の一つ、そこに設えられているテラスに出て物憂げな顔で風に吹かれているメリアリアの姿があった。

「・・・・・」

(メリー・・・?)

 蒼太はそんな彼女の様子が気になって思わず部屋へと足を運ぶ、すると。

「・・・・・っ!!!誰?」

「僕だよ?メリー。蒼太だ!!!」

 ノックをして返って来た応えは最初、真夜中の訪問者を警戒しているのかやや硬い感じのするモノだったがやがて漸くにして“間違いなく蒼太本人だ”と波動の感覚で理解したメリアリアが鍵を開けて中へと招き入れてくれる。

「どうしたの?こんな夜中に・・・」

「それはこっちの台詞だよ、どうしたのさ。あんな悲しそうな顔をして・・・!!!」

「・・・ううん、ちょっと」

 そう言ってメリアリアは蒼太から顔を背けるがその態度はどう見ても“ちょっと”等と言うモノではない、何やら思い詰めた表情であさっての方へと視線をやる愛妻淑女に対してしかし、蒼太はある事を、確信を持って思い返していたのである。

 それは昼間の出来事だった、蒼太に何か言おうとしていたメリアリアの脇からアウロラとオリヴィアが出て来て先に“愛してる”と言う言葉を口にしたのだ。

 多分、その事が尾を引いているのだろうと蒼太は予測するモノの、果たしてそれは間違いでは無くて、大事な場面でつい恥じらってモジモジとしてしまうメリアリアに対してアウロラとオリヴィアの愛情表現は非常に熱烈かつストレートなモノがあった。

 時には人目も憚らずに蒼太にモーションを掛けて行く事すら存在していたのだが、いつもそれを間近で見ているメリアリアはだから、ともすれば平静を装ってはいてもその実、内心では嫉妬に狂った事もあったし、且つまた二人に対してある種の劣等感を拗らせてしまっており、それですっかりしょげくれていた、と言う次第だったのである。

 だから。

「メリー・・・」

「・・・・・」

「メリー・・・。おいで?」

「あ・・・っ!!!」

 蒼太は優しく言葉を掛けつつもしかしやや強引に彼女を自らの腕の中へと抱き寄せる、そうしておいてー。

 “今日はずっと一緒にいるよ?”、“二人っ切りで朝まで過ごそう?”と言ってソッと何度もそのハチミツ色をした髪の毛を撫でるように手を這わせていった、すると。

「ううっ、ぐす・・・っ!!!」

 突如としてメリアリアがグズり始めるモノの、ハッキリと言って彼女は寂しかったのである、このままでは蒼太が自分の元からいなくなってしまうんじゃないか、と言う気がして、また自分を見てくれなくなってしまうんじゃないだろうか、と言う気がしてそれを思う時、彼女は辛くて辛くて寒くて寒くて、自分の心が、身体が冷たくなってしまうのをハッキリと感じ取っていたのであった。

 正直に言えばそれでもメリアリアは蒼太の事がずっとずっと一番大好きで、大切な人であると同時に、いつまでもいつまでも思い続けていられる自信があったがしかし、それでもやはり込み上げてくる悔しさ、悲しさ、無念さ、苦しさを、そして何より愛しさを耐え忍ぶ事等出来ずにいたのだ。

 否、それだけではなくて、自分だって蒼太の事を、夫をこんなにも愛しているのにそれを素直に伝えられない、どうして自分には出来ないのだろうと、己自身を責めていたのだ、自分で自分を吊るし上げるようにして自問自答を繰り返していたのである。

「ヒグッ、ぐすっ。蒼太っ、蒼太あああぁぁぁぁぁっ!!!!!」

「・・・こんなに冷えちゃって。今まで一人にさせちゃって、ゴメンね?」

「うわあああぁぁぁぁぁーーーんっっっ!!!!!!!!!!」

 メリアリアは泣いた、蒼太の胸の中で彼に抱き着きながら、且つまた抱き締められながらいつまでもいつまでも泣き通した。

 その涙にはこの旅に出てからだけでは無くて、その前からの分も含まれていたのであるが、それは無理からぬ事であっただろう、例え年上だろうとも、そしてまたどんなにしっかりしていようともやはり、彼女だとて一人の女の子であると同時に夫を愛する妻なのだ、しかもその愛は今や、しっかりと確立されているモノではあったがそれでも胸の奥から絶えず込み上げ続けてくる不安や焦燥を堪える事等出来よう筈が無かったのであった。

 それは取りも直さず、メリアリアが蒼太に対してそれだけの激情や熱い思いを抱いている、と言う事の裏返しに他ならなかったが、果たしてー。

「うっ、ううっ。ヒック、グス・・・ッ!!!」

 一頻り、泣き濡れて嗚咽を漏らし続けた彼女はやがて段々と落ち着きを取り戻して行き、漸くにして元の麗美な面持ちを取り戻していったがそれでも青年は彼女を離さず抱擁したまま、頭を尚も撫で続けていた、まだまだ彼女が寂しそうな、それでいて悲しそうな表情を覗かせていたからである。

「うっ、う・・・っ。グス、ヒック!!!」

「メリー・・・ッ!!!」

「・・・・・?」

 徐々に平常を取り戻してきつつあったメリアリアに対して蒼太は唐突にその名を呼ぶとー。

「チュ・・・ッ!!!」

「・・・・・ッ!!!!!」

 昼間にメリアリアが自分に対して為したように、キスの不意打ちを行って彼女を一瞬、驚愕させるが、しかし。

「チュッ。チュ、チュ・・・ッ!!!」

「チュ、チュッ。チュル、チュパ・・・ッ!!!んちゅ、ちゅるっ。んむちゅぷっ、じゅるじゅるっ。じゅぞぞぞぞぞぞ~っ♪♪♪♪♪ぷふううぅぅぅっ!!?ぷふぅーっ、ぷふぅーっ、ぷふぅーっ。ぷふううぅぅぅ・・・っ❤❤❤ちゅ、ちゅぱっ。ちゅるっ、じゅるっ。レロレロレロレロ、クチュクチュクチュクチュ~・・・ッ!!!ちゅ、ちゅぱっ。じゅるじゅるじゅるじゅるっ、じゅるるるっ。じゅるるるるるるるるるるるる~っっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤❤」

 最初はそれにビックリして固まってしまっていたメリアリアだったが、すぐに夫の思いを受け入れて自身もまた、久方振りとなる二人っ切りでの純粋なる愛の口付けを堪能していった。

 最初は啄む様なバードキスを繰り返していたモノの、やがてはそれでは済まなくなってそのまま彼の首筋に両手を回して己の肢体を青年の肉体に密着させ、鼻で呼吸をするのも忘れる程に夢中で蒼太を貪り続ける。

 舌を舌に絡めて縺れさせ、更には口内のポイントと言うポイントを蹂躙して溢れ出て来た唾液を啜るが、やがて夫婦のそれは白熱して行き互いに互いを刺激し合い、求め合い、一つに成り果てていった。

「ぷああぁぁぁっ!!?はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ。はああぁぁぁ・・・っ❤❤❤」

 そんな激しい接吻の応酬が終わる頃には二人の口唇周りは混ざり合った自身と相手の涎でベトベトになっており、それらがツーッと糸を引いた。

「はぁーっ、はぁーっ。はあはあっ、はあはあ・・・っ❤❤❤ああうっ!!?蒼太、蒼太ああぁぁぁっ♪♪♪♪♪」

「ふぅふぅ・・・。あはははっ、良かった。メリー元気になったね!!!」

 “それに呼び方が戻ってるよ?”と蒼太が告げるとメリアリアは照れ臭そうにはにかみながら“も、もうあなたったら・・・っ❤❤❤”と彼に言葉を返してくれた。

「メリー、僕の一番可愛い人。誰よりも何よりも大好きな人・・・!!!」

「あなた・・・っ!!!」

「もう、何処へも行かせないよ?一人になんてさせやしないから!!!」

「あなたぁ・・・っ❤❤❤」

「メリー・・・ッ!!!」

「あ・・・っ❤❤❤」

 蒼太がそう続けて再び力を込めて彼女を掻き抱くとメリアリアは特に抵抗もせずに彼の為すがままとなった。

 この時青年の取った行動と思いの丈の詰まった辞語とがメリアリアに自信と勇気を取り戻させて、元の元気で快活な彼女を顕さしめるが、ただ単にそれだけでは無くて愛妻淑女は同時に彼の面持ちと雰囲気からなんとなく夫の“つもり”を直感して悟ったのであるモノの、それはまた彼女自身も望んでいた事でもあったのだ。

「お風呂場に、行こうか・・・?」

「・・・・・っ。うんっっっ❤❤❤」

 蒼太の誘(いざな)いにメリアリアは満面の笑みを浮かべて頷くモノの、それを見た青年は彼女を宴会前に通された浴室へと導きつつ、共に歩を進めて行った。
ーーーーーーーーーーーーーー
 メリアリアちゃんは蒼太君の事が大好きです。

 それは例え、蒼太君の心が他の誰かに移ってしまっても(まあ、それも間違いなく有り得ない事ですが)少しも衰えるモノではありません(寧ろますます強く激しく燃え上がります←これはメリアリアちゃんが蒼太君に対して深い、真摯なる愛情と恋慕とを抱いているからだけではありません、それをちょっと“拗らせてしまっているから”でもありますが←要はそれだけ自分の思いに真面目な、極めて純朴なる女の子である、と言う事です)。

 とにもかくにも彼女はそれだけ一途に蒼太君の事を追い求め続け、焦がれ続けているのです、慕い続けているのですが当然、そこには色々と葛藤も入ります。

 今回はその一例を表現してみました、皆様方にメリアリアちゃんと言う女の子の事が少しでも伝わってくれれば幸いです。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:859pt お気に入り:713

こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

BL / 連載中 24h.ポイント:1,043pt お気に入り:783

おっさんが願うもの

BL / 連載中 24h.ポイント:13,436pt お気に入り:331

桜天女

恋愛 / 完結 24h.ポイント:539pt お気に入り:1

みんなの憧れの女騎士様と一線超えまして!?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:104

EDGE LIFE

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:809pt お気に入り:20

【R18】彼等の愛は狂気を纏っている

ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:168

親友彼氏―親友と付き合う俺らの話。

BL / 完結 24h.ポイント:660pt お気に入り:21

処理中です...