メサイアの灯火

ハイパーキャノン

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神世への追憶編

マーガレットの策略

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 轟々たる爆煙が巻き起こり、駐車場に停められていた自動車の窓ガラスが粉々に割れ果てた。

 アスファルトは溶けて猛毒のガスを吹き出し、人々は互いに“なんだなんだ?”、“何が起きたんだ?”と口を揃えて興味本位にスマートフォンを片手に現場へと近づいて来る。

 そんな最中。

「引くぞ!!?」

「アンリ?しかし・・・っ!!!」

「これ位の事でへこたれる奴等じゃあるまいよ。しかも群衆が集まって来てしまっている、これ以上の長居は無用だ・・・!!!」

 “俺達は秘密組織なんだからな?”とそう告げるとアンリは残りのセイレーン隊員達を統率する形で負傷した者を中心に据えて密集隊形を取り、ある者は塀をジャンプで飛び越え、またある者は攀じ登って突破しそれぞれに現場を後にしていった。

 蒼太には済まないと思ったがとてもの事買い物をしている余裕は無かった、この事を本部に報告して指示を仰がなくてはならないし、第一。

(これ位でやられるような連中じゃない。手応えはあったモノの、あれが効いているかどうかは解らん・・・)

 それの確認はセイレーンの現場検証部隊に任せる事となるだろうが取り敢えず、逃げおおせるだけの時間は稼いだ、自分の実力で出来る事はここまである。

「・・・・・」

(済まない、蒼太。俺の力ではここまでが精一杯だよ。後は逃げるだけだ・・・!!!)

 心の中で再度親友に詫びつつも後はもう、後ろを振り返る余裕は無かった、アンリ達は応援が来ているであろう方角に向かって(つまりはセイレーン本部のある方角に向かって)、ただひたすらに駆け出して行き、走って走って走り続けていったのであるモノの、一方で。

「・・・・・っ!!?」

(ルクレールさん・・・っ!!!)

 アンリ達の裏手を突く為に大回りをしていたエヴァリナ達は騒ぎを聞き付けて何事かが起こった事を察知した。

「あ、あんたら。危ないぞ!!?」

「駐車場で爆発が起きたんだよ、まだ起きるかも知れないから近づいたらダメだ!!!」

「お気遣い無く・・・!!!」

 何も知らない群衆はしきりに自分達を心配してくれており、その事に対して多少の心の痛みを覚えながらもエヴァリナは戦友の安否を確認するべく、まだ焼け焦げた匂いの充満している駐車場へと親衛隊の面々を引き連れて突入していった。

「・・・・・っ!!!」

(ルクレールさん・・・?)

 駐車場のアスファルトは2箇所ほどが地面が見える程にまで抉り取られ、その内の1箇所からはまだ火の手が上がっていた、最初の爆発地点には人影は無く、対してもう一方のそこには数名程の人集りが出来ている。

 間違いなくルクレールが率いていた親衛隊の片割れだったが、それを確認したエヴァリナが近付いてみると、果たしてー。

「ルクレールさん・・・!!!」

「ごめんなさい、エヴァリナ。いっぱい食わされたわ・・・?」

 そこにはなんとルクレールが涼しい顔をして立ち尽くしているではないか。

 しかも彼女の衣服には些かの乱れも無く、煤や埃に塗れてさえもいなかった、彼女は全くの無傷だったのである。

「やってくれたわね、アンリ。こっちに主導権を握らせずに圧倒するだけ圧倒してサッサと立ち去るなんて・・・!!!」

「・・・ルクレールさん、アンリと言うのは?」

「今回、私が相手をした男だわ。セイレーンの隊員よ!!!」

 “ソウタ・アヤカベと知り合いみたいなのよ”とルクレールは続けるモノの、それを聞いたエヴァリナは一瞬、驚いたような、それでいて怪訝そうな顔を見せた、ルクレールともあろう者が一般隊員を相手に手こずるとはとてもの事思えない。

 とすればその“アンリ”とか言う隊員はそれなりの実力を有していた、と言う事なのであろうがそれだけでは多分、あるまい。

「・・・向こうも只者では無い、と言う事ですわね?」

「“エンケラドゥスの盾”までも使わされる羽目になったわ?もう、本当にやんなっちゃう!!!」

「アンリは多分、まともに戦えば勝ち目の無い事を知っていたのでしょう。それで追撃をする代わりに急いでこの場を後にした。中々判断力や感性の優れた相手らしいですわね・・・」

「剣の技量も中々に油断できないモノがあるんだけれども・・・それよりなにより咄嗟の判断力や戦闘時の駆け引きなんかには特に秀でていると思うわ?お陰で見事にしてやられちゃったわ?」

 ルクレールが悔しそうに話をしていると遠くからけたたましいサイレンの音が響いて来た、どうやら警察がこっちに向かって来ている様子である、ここは急いでこの場を立ち去らなくてはならない。

「一旦引きましょう、皆。モンマルトルにある隠れ家へ行くわよ?」

「そうしましょう、今日の所は出直した方が良さそうですし・・・!!!」

 そう言って頷き合うと、ルクレールとエヴァリナは配下の親衛隊の面々を引き連れて急いでその場を後にした。

 時同じくしてー。

 帰還の途上で増援部隊と合流する事に成功したアンリ達はそのままセイレーン本部へと駆け込んで、心配そうな面持ちで待ち構えていた蒼太やマリアに対して事の一部始終を報告した。

「アンリ様、よくぞ御無事で・・・!!!」

「ああ、マリア。ただいま帰って来たよ・・・!!!」

 一頻り、そう言って恋人兼婚約者と抱き締め合うアンリだったが暫くして抱擁を解くと蒼太やメリアリア達に戦闘経過を語って聞かせた。

「あれは只者じゃないぞ?蒼太。俺もレイピアには些か自信があるんだが全く以て歯が立たなかった」

「ああ、解ってる・・・」

「アイツら、本気を出していなかったんだ。奴等が本気ならば今頃こっちは首だけになっていただろうよ・・・」

 “俺の実力じゃあ”とアンリが続けた、“隙を見て逃げ帰るのが精一杯だったよ”とそう言って。

「アイツら、多分またどっかで待ち伏せを行っているだろうぜ?こんな事がミラベル上層部に知れたら・・・」

「・・・・・」

「蒼太は行かせないわ?絶対に!!!」

 するとそれを聞いていたメリアリアが口を開いた、その瞳に強い決意の光りを宿したままで。

「敵の狙いは明らかだわ?こっちを動揺させてこの人を、蒼太を引き釣り出そうとしているのよ。そんな手には乗らないんだから!!!」

「・・・相手はレウルーラの“超新星”との事でしたわね?それならばいっその事私達が一般の隊員に成り済まして出撃し、向こうをおびき出して雌雄を決する、と言うのは如何でしょうか?」

「それは良いアイディアだわ?ただ私や蒼太は顔を見られてしまっているから、一緒には行けないわ・・・?」

「大丈夫ですよ、メリアリアさん!!!」

 アウロラの言葉に一瞬は“パアァッ!!!”と顔を明るくし掛けたメリアリアであったがすぐさま以前の彼女達との接触を思い出して困ったような表情を見せて俯いてしまった、そんな愛妻淑女に対して。

 青髪少女は尚も続けて言った、“ちょっと変装してしまえば、遠くから見た位では解らないでしょう”とそう告げて。

「サングラスを掛けた上で髪の毛を後ろで結わいて帽子を被れば多分、遠目からではメリアリアさんだとは気が付きませんわ?それに私達“女王位”も同じようにして集団で同行致しますから、そうすればレウルーラ相手にも圧倒的優勢のままに戦況を持って行く事が出来ます!!!」

「それは・・・!!!そうかも知れないけれど・・・」

「・・・ふむ、それは一理あるな」

 アウロラの提案に、オリヴィアもまた頷き掛けるがこの時点でメリアリアにはある懸念があった、それは自分達が出撃するのは良いとしてその間“誰が蒼太を守るのか”と言う事である。

 もし万が一にも自分達がこの場を離れた事が露見した場合、レウルーラは此方をまともに相手をせずにここ、セイレーン本部に強襲を仕掛けて来るかもしれないのである、彼女達の狙いはあくまでも蒼太本人なのであるから別段、無理して此方と雌雄を決する必要がまるで無く、そうなるとただ単に向こうに絶好の機会を提供してしまうだけの結果となってしまうのだ。

「アウロラ、やっぱりその作戦は・・・!!!」

「いいや、その作戦で行こう!!!」

 すると不確定要素が多すぎる、と言う理由から反対意見を述べようとするメリアリアの機先を制する形で蒼太が口を開いた。

「良いアイディアだと思うよ?ただし一部修正を掛けるならば、だけれども・・・」

「・・・・・」

「・・・・・?」

「修正とは・・・?」

 皆が怪訝そうな面持ちとなって蒼太を見つめていると、青年は“自分も一緒に同行する、と言う事さ?”とにべも無く言い放った。

「えええ・・・っ!!?」

「なんですって・・・っ!!?」

「そ、それはどう言う事なんだ?蒼太・・・!!!」

 するとそれを聞いていたメリアリアとアウロラとオリヴィアとが驚愕の顔付きとなって自身の夫に問い質して来た、冗談では無かった、そんな事を了承すれば蒼太を確実に危険に晒す事になるではないか。

「アウロラの提案は実に良く練られているんだけれどもただ一カ所だけ、失念してしまっている部分がある。それは連中がこっちの注文通りに雌雄を決しに来てくれるとは限らない、と言う事さ?奴等からして見れば僕を抹殺するか捕縛すれば良い訳であって別段、君達と無理をしてまで勝負を着けなければならない理由は無いからね?だけど僕が一緒にいるとなれば話は別だ!!!」

 と蒼太はメリアリアが言わんとしていた事を述べ立てて指摘したばかりかそれを逆手に取ってレウルーラ撃滅の為のある計画を提案してみせた、それによると。

 ルクレール達の目的はあくまで自分なのであるから自分とメリアリア達の双方が一緒に行動して行けば自然と自分を防衛しているメリアリア達とも否応無しに戦う事にならざるを得ないだろう、そう言う風にすればアウロラの作戦をほぼ確実な形で完遂させる事が出来る、と言うモノだったのだ。

「それに今だったら連中の戦力もまだ限られている、ここで時間を掛ければエイジャックス本国から更なる人員と物資とが送り込まれる事態になりかねないんだ。そうなれば此方は余計に不利になり打てる手も限られてしまうようになるんだよ、頼むよ皆。事態打開の為に、どうか力を貸して欲しい・・・!!!」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「このままだと結局は、ジリ貧に追いやられてしまう、と言う訳だな?蒼太・・・」

「そうだ・・・!!!」

 途中で蒼太の考えを読み取ったアンリが援護射撃を掛けてくれたが幸先は芳しくなかった、それだけメリアリア達は蒼太の身を案じていたのである。

「確かに話は良く解ったけれど・・・!!!」

「到底、賛成は出来ませんわ?」

「何よりも大事な君を、一番危険な目に合わせるような作戦を提起する訳にはいかないよ・・・!!!」

「・・・う~ん」

 花嫁達からの反対意見やその意思と言うのは相当に根強いモノであり、そんな彼女達の反応を見ていたエマやクレモンスと言った他の女王位達までもが徐々に同調しようか、と言う雰囲気に陥って来ていた、その時だ。

「大変だ、みんな!!!」

 別の男性隊員が血相を変えて“女王の間”に飛び込んで来るモノの、彼の話によれば空港で捕まったエイジャックス連合王国の秘密工作員達を護送中の特殊車両が何者かによって襲撃され、セイレーンの隊員3名を含む合わせて15人が重軽傷を負った、と言うのだ。

 どうやらアンリを襲ったルクレール達とは別に動いた者達がいたらしいが、蒼太達には否が応にもその目星が着いていた、レウルーラの最強騎士である“玉泉のマーガレット”その人に違いあるまい。

「エイジャックス側の秘密工作員は奪われ、犯人は蒼太、君を名指しで探しているらしい。しかも拙い事にその情報が複数の国内メディアにリークされたようなんだ!!!」

「・・・なんだと?」

「メディアにリークした?わざわざエイジャックス側がか?」

 蒼太とアンリが顔を見合わせてから男性隊員へと向き直り、そしてそんな夫と婚約者の姿を心配そうな面持ちのまま、メリアリア達やマリアが見つめ続けていた。

「どこから漏れたか解らないが多分、そうだろう。わざわざセイレーン側やミラベル上層部が流す訳は無いからな。今頃上層部は火消しに躍起になっている筈だ。蒼太、拙いぞ!!?」

「・・・・・」

「今現在、ミラベル上層部からはポール・アギヨン氏らが出席してメディアへの対応を行っているが・・・。事態がこのまま進めばいずれ上層部は君を庇い立て出来なくなるだろう、そうなったら・・・!!!」

「そんな、酷いわ!!?」

「そんな事って・・・!!!」

「奴等の手の内じゃないか、これじゃあ・・・!!!」

 男性隊員から告げられた言葉にメリアリア、アウロラ、オリヴィアがそれぞれに口を開くモノの、それを見ていた蒼太は“してやられたな”と直感した、出鼻を挫かれた、等と言うレベルではない、完全に遅れを取った形であり主導権を奪われた格好である。

 となると今後の此方の動きもある程度、向こうに読まれていると考えなければならないだろう、残念だがアウロラの立てた作戦は今からではとてもの事、実行に移せる余地は無い、かに思われたがー。

「・・・いいや、まだだ!!!」

 蒼太は頭(かぶり)を振って言い放った、“作戦はまだ生きている!!!”とそう告げて。

「僕が出て行くしかない、こうなったら他に方法は無い・・・!!!」

「・・・ダメよ、そんなの!!!」

「絶対にさせません、そんな事・・・!!!」

「認める訳にはいかないな・・・!!!」

「・・・・・っ。だけど皆、このままじゃ」

 尚も自分を思い留まらせようと縋り付いて来るメリアリア達に対して“埒が空かなくなるよ?”と蒼太が言い掛けた時だった、“女王の間”の非常電話回線がけたたましく鳴り響いてそれにオリヴィアが対応する。

「・・・もしもし?」

「もしもし、オリヴィア君か?私だ、ポールだがそこに蒼太君はいるかね?」

「・・・蒼太は確かにおりますけれども。どう言った御用件でしょうか?」

「余人には言えないんだ、彼に直接伝えたい・・・!!!」

「ではお受けできません。それに私達は余人ではありません、蒼太の妻ですので夫の事は何一つ取っても無関係ではありませんよ・・・?」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 オリヴィアの言葉を受けて“蒼太君に出撃命令を出す事になった”と暫しの沈黙の後でポールが述べた、“申し訳無いとは思うのだが他に方法が無い”とそう続けて。

「蒼太君と代わってくれ、彼に直に伝えたい・・・」

「そんな命令はお受けできかねます、蒼太は渡しません!!!」

 それだけ言うと。

 オリヴィアは一方的に通信を切った、それを側で聞いていた蒼太は流石に“これは拙いな”と思った、レウルーラのみならずミラベル上層部まで敵に回したら今後ガリア国内でも自分達は立ち回っていけなくなる。

 それを避ける為には今回の緊急事態を解決して沈静化しなければならないのであり、そしてその為にはどうしてもメリアリア達の力を借りる他無い。

「メリー、アウロラ。オリヴィア!!!お願いだから力を貸してくれ。ここを出て生き延びる為には君達の力が必要なんだ、エイジャックスのレウルーラを討ち破る為にはどうしても・・・!!!」

「大丈夫よ、蒼太・・・!!!」

 するとそんな蒼太の言葉を途中で遮る形で青年にしがみ付いていたメリアリアが口を開いた、青空色のその双眸に彼への超愛と狂気の光を湛えながら。

「あなたは、何も心配する事は無いわ?私達が必ずあなたを守ってあげるから・・・。例え全人類を敵に回したとしてもね?」

 そう言って彼に抱き着いたまま瞳を閉じて安らいだ面持ちとなり、愛しそうにその肉体に自らの肢体や頬を強く擦り付けるようにするモノの、それは何も彼女だけでは決して無くて、アウロラもオリヴィアもまた同じように青年に抱き着いて来てはその身をグイグイと摺り立てて来る。

「蒼太さん。ああ蒼太さん、蒼太さん・・・!!!」

「君さえいれば良い、他には何もいらない・・・!!!」

「・・・・・」

 それを聞いた蒼太はもう、何も言えなくなってしまった、全員を抱擁して彼女達の気持ちに応えつつもチラリとアンリを見ると、彼もまた困った表情を浮かべてお手上げのポーズをする、しかし。

(やっぱりダメだ、このままじゃ・・・!!!)

 改めて蒼太が思うがこのままでは拙い事は、流石に彼は良く理解していた、やはり事態を打開する為には此方から打って出てルクレールやマーガレット達を討ち破る以外に方法は無い。

 そしてその為にはどうしてもメリアリア達の力がいるのであり、彼女達を納得させなくてはならなかったが現状、それは極めて難しいと言わざるを得なかった。

 ならば。

(こうなったら、最後の手段だ・・・!!!)

 蒼太は考えに考え抜いた、向こうがテレビの力を借りるのならば此方も奴等のネットワークを利用してやろう、と。

(多分、本部の何処かに以前、捕らえていたエイジャックス側のスパイの無線通信コード記録が残っている筈だ。周波数と暗号乱数表が変わっていなければ奴等のネットワークに侵入出来る、そしたら“本部で決着を着けてやるから掛かって来い”と言って挑発しよう。向こうだって俺の抹殺を命じられている以上は任務を遂行する為に結局は乗ってこざるを得ないだろうからな・・・!!!)

 “その為には”と蒼太は尚も考えを巡らせていた、“自分とメリアリア達以外の本部の戦力を一時的にゼロにしなければならない”と。

 そうやって向こうが乗って来易い状況を整えてやる必要があるモノの、これをやるに当たって流石に蒼太はメリアリア達にある種の後ろめたさを覚えてしまった、結局は自分の力だけではどうする事も出来ずに彼女達を危険に巻き込んでしまう事となったのである。

 以前、確かにメリアリアからは“どうして一緒に死のうと言ってくれないの?”、“死ぬ時は一緒よ?だけど必ず生きて帰りましょうね・・・!!!”と言ってもらえていたし、そんな彼女の真心と覚悟には少しの嘘偽りも虚飾も微塵も無かった。

 そしてそれはアウロラもオリヴィアもまた、同じ思いであったモノのそんな自身の愛する妻達を戦闘に巻き込んでしまう事に対しての申し訳無さと、そう言う作戦を立ててしまった事に対する罪悪感を覚えて蒼太は思わず暗い顔になる、しかし。

(このまま行ったんじゃジリ貧に陥って押し切られ、結局は皆殺しにされてしまう!!!)

 それは間違いなく確信を持って言える事だしだからこそ“守っているだけじゃ、ダメなんだ!!!”と彼は己を奮い立たせた、そうだ、これは自分自身を守る為だけではない、メリアリア達を守る為に、ひいては全員で生き延びる為にはどうしてもやらなければならない事なんだと、そこまで思い立つと。

 改めて覚悟を決めた青年はメリアリア達に気付かれないように、自分のスマートフォンからアンリのそれへと作戦計画の詳細が書かれている長文メールを密かに送信した、そこにはポール氏への謝罪文や敵戦力の把握に努める事、本部を決戦の舞台にするべく準備をする事等と同時に今回の作戦が成功した暁には誰にも一連の騒動に関する責任の追及を問わないようにする事、と言った内容が書き連ねられており、しかもこれらを“ミラベル上層部に諮問して確認してくれ”と結ばれていた。

 これらの内で特に“責任の追及をしない”と言うくだりはミラベル上層部からの命令に楯突いた格好になってしまっているメリアリア、アウロラ、オリヴィアの助命嘆願の為に添えられたモノであったが最初にこれを読んだ際には流石のアンリも内心で色々と度肝を抜かれたモノの確かに、事態を打開する為にはこの方法以外に道は無かった為に彼の計画案に乗っかることにしたのであった。
ーーーーーーーーーーーーーー
 今回も筆が赴くままに書いたのですが。

 途中で気が付いたのですが、何だかメリアリアちゃん達が思った以上にヤンデレ化して来ていますね、一体どうすれば良いのでしょうか←“筆が乗る”と言う事は“キャラが生きている”と言う事ですので正直に申しあげまして書いていて凄く楽しいと言いますか楽なのですが、同時に少し怖くなって来ました。
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