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夫婦の絆と子供への思い
蒼太と花嫁達 2
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蒼太は幼少期に於いては“戦術スキル”や“身のこなし”、はたまた“法力操作能力”等で恋人であり後に妻となる定めを持つメリアリアやアウロラ、オリヴィアと言った少女達に打ち勝つことが出来なかった。
当時から彼が勝っていたのは“生命力”や“気力”、そして“霊力”に“精神力”等の基礎構成力であり、本質的には非常に優れた実力を有していたにも関わらず、それらを使い熟せずにいたのだが、そんな彼の“秘めたる輝き”を見抜いて本格的な修業を付けさせようとしたのが蒼太の両親達と“鹿島の神”であった。
特に“鹿島の神”による指導は非常に効果的であり、現に彼は神界に於ける2年半あまりの鍛錬で自身の底力の大幅な向上と戦闘技能としての発現方法、そして何より“神威”を学び修める事が出来たのである。
更にはその後に赴いたパラレルワールドの一つである“ガイア・マキナ”に於いて、数々の激戦を潜り抜け、また様々な経験を積んだ事により立派な青年として逞しく成長した彼は漸く戦士としての己の完成形にまで辿り着く事が出来たのだが、そうして後にこの“現実世界”へと帰還を果たした蒼太の元にメリアリアがやって来た。
最初は呪いにより名も知れぬ異国の少女へと姿形や波長が変えられていた事と、また彼女自身の心に蟠りがあった事も手伝って中々、蒼太に対して素直になれないでいたメリアリアであったがやがてそれらを乗り越えて打ち解け合い、改めて結ばれた際にはその反動と、何より離れ離れになっていた期間に募りに募った相手への思いの丈が一気に爆発した為だろう、燃え滾る激情の赴くままに、子供の頃とは比べ物にならない程にまで深く激しく青年の事を求めて貪って来たのだ。
一方の蒼太もまた、そんな彼女をしっかりと受け止めては互いに互いを愛し合い、蕩け合う毎日を送っていたのだが、そんなある日の事。
蒼太は久方振りに“メリアリアに甘えたい”、“じゃれ合いたい”と言う思いから模擬戦を提案して二人で試合をした事があったのであるモノの、結果は蒼太の全敗だった、やはり迷いを捨てて本領を発揮させたメリアリアは強く、また成長する過程でその技術には更なる磨きが掛かっていたのだ。
だけどもう、その時の蒼太はそれほど悔しがったりはしなかった、自分なりの愛し方や接し方、己がどうあるべきなのか、と言う事に対する答えをキチンと出していたからである。
「ねえ、どうしちゃったの?蒼太。私に負けたのに悔しく無いの?昔みたいに全然食い付いて来ないじゃないの・・・!!!」
(・・・まさか。私との“約束”、忘れちゃったわけじゃ無いよね?蒼太)
一方で。
幼少期とは違ってあまり不満を爆発させなくなった恋人の反応にある種の怪訝さと危惧とを覚えたメリアリアはとうとう我慢が出来なくなって、何度目かの模擬戦の後に思い切って青年に尋ねてみたのである、“負けたのにどうして怒らないのか?”と、“私に対する情熱が無くなってしまったのか?”と。
「メリー、僕はね。君に勝ちたいって本気で思ってるよ?今でも・・・」
「・・・じゃあどうして?全然必死になって怒ってないじゃない。昔みたいにムキになって食い付いても来ないし!!!」
「・・・だって。僕の目的は“半分は”達成されているんだもの、メリー。勿論君との“約束”を忘れた訳じゃ無いよ?だけどね。僕は別段、無闇矢鱈と焦ったりはしないさ?だって君はある意味では今の僕の強さや凄まじさを真正面から一番、よくよく感じ取って。受け止めて、思い知ってくれている女の子だからね」
「・・・・・?」
(一体何を、言っているのかしら・・・)
“何の事を言っているのか?”と疑問に思ったメリアリアは、この幼馴染兼恋人の真意を更に追求する事にした、彼の事は何でも知っておかねば気が済まないのがメリアリアと言う女の子であったのだが、すると。
「・・・ねえメリー。君はさ、例えば体力とか耐久力とか。あと精力とかで僕に勝てると思う?」
「・・・・・?」
「ええとね・・・。なんて言ったら良いのかな、物凄く解りやすく説明するとね?メリー。要するに僕はベッドの上で君に勝てればそれで良いのさ・・・!!!」
「・・・・・っ。バカッ!!!」
“エッチ、蒼太のエッチ”、“もう知らないっ!!!”と、蒼太が正直に自分の気持ちを述べ立てたのに対して返って来た答えがそれだったのであるモノの、そう言って納得すると同時に大いに憤りを露わにする恋人に対して蒼太は粘り強く説得を行って、自分の真心を伝えていった。
「僕はね?メリー、君を圧倒したいと思っているよ。“君に勝ちたい”って心底思ってる、だけどね?それは別に君をぶちのめしたいとか、そう言う事じゃないんだよ。確かに君を征服して自分のモノにしたいけど、それは力づくで君を屈服させて組み敷くんじゃなくて、何よりも君自身に思って欲しかったんだ。“この人にだったら良い”って、“屈服しても構わない”って。君に認めて欲しかったんだよ、僕を受け入れて欲しかったんだ・・・!!!」
「・・・・・」
「君の身体の一番深い所まで僕の証を刻み込んで、僕の凄さを思い知らせて。だけどそれだけじゃなくて、君の心を鷲掴みにしたかった。単に“愛してる”だけじゃ無くて、思いを交わし合うだけじゃなくて、何より君を僕に夢中にさせたかったんだ。“この人はなんて素晴らしい人なんだろう”って、“なんて逞しい人なんだろう”って、そう思って欲しかった。君の心が欲しかったんだ、尊敬されたかったんだ!!!その上で“この人のモノにだったらなってあげても良い”って、そう思って欲しかったんだよ・・・?」
「・・・・・」
「そうやって心と体で繋がり合って、魂同士を重ね合わせて。もう戻れない領域にまで行ってしまいたい、グチョグチョになるまで溶け合いたい。それが僕の望みなんだ、君の身も心も。何もかもが欲しいんだよ?メリー・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
“もうっ。本当に・・・”と暫しの沈黙の後に、メリアリアは思わず“ハアァ・・・ッ!!!”と溜息を吐き出すと漸く肩の力を抜いた、怒りを収めたのである。
「我が儘だわ?蒼太は・・・」
やや困り顔と言うか、呆れ顔と言うか。
しかし何処かに喜びと照れ臭さとを滲ませつつもメリアリアはそう言うと、青年に歩み寄り、その首筋に腕を回して抱き着いた。
「もうっ。しょうがない人・・・」
「メリー・・・?」
クスリと笑うとメリアリアは爪先立ちして蒼太の頬に自らのそれを擦り付けた、“嬉しい”と彼女は思った、そしてそれと同時に安心もした、蒼太は自分に対する情熱を失ったりしていなかったのだ。
“むしろそれを進化させて、より強いモノにしたのだ”、“確かなるモノにしたのだ”と彼女はこの瞬間に正しく理解したのであるモノの、この日を境にして二人の新たなる旅立ちは始まった、と言って良かった。
「だけど蒼太、あなたは本当にエッチになったわ?小さな頃はもっと純粋で初心で、とっても可愛らしかったのに・・・!!!」
「えええっ!!?いや、あのさ。俺ってそんなに変わったかな・・・」
「うん、凄く変わった。特に最近、目付きがとってもいやらしくなった!!!」
そんなメリアリアからの言葉に慌てて目元に手をやって、何とか確認をしようとする蒼太であったが、こう言う単純で素朴な反応は間違いなく幼き日の彼のそれである、それを見たメリアリアは何だかとても満たされた、喜ばしい心持ちになった、凄く安心出来たのだ。
「あはははっ!!!御免なさい、冗談よ?だけど良かった。蒼太が昔のままで・・・」
「・・・えっ、えっ!!?何それ、一体どう言うこと?」
「んーん。さあね?どう言う事なのかしらね、“蒼太ちゃん”!!!」
「ちぇっ、何だよ急に。子供扱いして・・・!!!」
そう言って訝しむ青年を尻目にメリアリアは満面の笑みを浮かべて彼との思い出に意識を飛ばすが、実のところ。
彼女は一抹の寂しさと不安と、そして怖さを抱いていた、それというのも最近の蒼太は“大人の男の顔”をするようになって来ており、特にエッチの際にはギラついた眼差しを向けて来る事があって、それが彼女を心細くさせていたのだ。
だから蒼太が昔のままの蒼太だと知った時にはメリアリアはとても嬉しくて嬉しくて堪らなくなり、心底安堵したのである。
「でも蒼太、あなたは本当に欲張りだわ?勿論、私にそれだけの熱情を抱いてくれるのは嬉しいけれど・・・。それにエッチで私に勝てれば良いとか、昔のあなたからは絶対に想像できない事を言うようになったわよね?」
「だけどさ?メリー。僕は必ずしも“セックス=愛”では無い、と思うんだけど。それでもセックスって最高の愛情表現の一つには違いない、って思うんだよね。それに例えるならさ、男女の逢瀬って“ディナーショー”の“コース料理”だと思うんだよ。ムード作りから始まってオードブルを堪能し、最後に一番大事なメインディッシュが待っている。それこそがデートに於けるセックスだと思うんだけど、そのセックスに於いて男が下手くそだったり情け無かったりで全然満足できなかった、等となったら君だって嫌だろう?」
「・・・まあ、それはね?」
「君だって僕が情け無いままでいるよりも、逞しくて立派であった方が嬉しいだろう?そう言う事を言ってるんだよ、僕は・・・」
“それに”と蒼太は続けた、“僕は君の中で最高の男になりたいんだ”とそう告げて。
「ただ単に愛を交わし合うだけじゃなくて、君に自分を賭けさせる程の男になりたいって思ってるんだ。君の中で何があっても絶対に忘れられない男になりたいって、本気でそう思ってるんだよ?メリー・・・」
「・・・・・っ。それじゃあ」
それを受けてメリアリアが応えた、“もっと良い男になりなさい”と。
「私を夢中にさせられるような、全てを忘れさせられるような良い男になってね?蒼太・・・」
そう言うと、メリアリアは双眸を閉じてこの幼馴染兼恋人である青年に“チュ・・・ッ!!!”と強めのキスをした。
当時から彼が勝っていたのは“生命力”や“気力”、そして“霊力”に“精神力”等の基礎構成力であり、本質的には非常に優れた実力を有していたにも関わらず、それらを使い熟せずにいたのだが、そんな彼の“秘めたる輝き”を見抜いて本格的な修業を付けさせようとしたのが蒼太の両親達と“鹿島の神”であった。
特に“鹿島の神”による指導は非常に効果的であり、現に彼は神界に於ける2年半あまりの鍛錬で自身の底力の大幅な向上と戦闘技能としての発現方法、そして何より“神威”を学び修める事が出来たのである。
更にはその後に赴いたパラレルワールドの一つである“ガイア・マキナ”に於いて、数々の激戦を潜り抜け、また様々な経験を積んだ事により立派な青年として逞しく成長した彼は漸く戦士としての己の完成形にまで辿り着く事が出来たのだが、そうして後にこの“現実世界”へと帰還を果たした蒼太の元にメリアリアがやって来た。
最初は呪いにより名も知れぬ異国の少女へと姿形や波長が変えられていた事と、また彼女自身の心に蟠りがあった事も手伝って中々、蒼太に対して素直になれないでいたメリアリアであったがやがてそれらを乗り越えて打ち解け合い、改めて結ばれた際にはその反動と、何より離れ離れになっていた期間に募りに募った相手への思いの丈が一気に爆発した為だろう、燃え滾る激情の赴くままに、子供の頃とは比べ物にならない程にまで深く激しく青年の事を求めて貪って来たのだ。
一方の蒼太もまた、そんな彼女をしっかりと受け止めては互いに互いを愛し合い、蕩け合う毎日を送っていたのだが、そんなある日の事。
蒼太は久方振りに“メリアリアに甘えたい”、“じゃれ合いたい”と言う思いから模擬戦を提案して二人で試合をした事があったのであるモノの、結果は蒼太の全敗だった、やはり迷いを捨てて本領を発揮させたメリアリアは強く、また成長する過程でその技術には更なる磨きが掛かっていたのだ。
だけどもう、その時の蒼太はそれほど悔しがったりはしなかった、自分なりの愛し方や接し方、己がどうあるべきなのか、と言う事に対する答えをキチンと出していたからである。
「ねえ、どうしちゃったの?蒼太。私に負けたのに悔しく無いの?昔みたいに全然食い付いて来ないじゃないの・・・!!!」
(・・・まさか。私との“約束”、忘れちゃったわけじゃ無いよね?蒼太)
一方で。
幼少期とは違ってあまり不満を爆発させなくなった恋人の反応にある種の怪訝さと危惧とを覚えたメリアリアはとうとう我慢が出来なくなって、何度目かの模擬戦の後に思い切って青年に尋ねてみたのである、“負けたのにどうして怒らないのか?”と、“私に対する情熱が無くなってしまったのか?”と。
「メリー、僕はね。君に勝ちたいって本気で思ってるよ?今でも・・・」
「・・・じゃあどうして?全然必死になって怒ってないじゃない。昔みたいにムキになって食い付いても来ないし!!!」
「・・・だって。僕の目的は“半分は”達成されているんだもの、メリー。勿論君との“約束”を忘れた訳じゃ無いよ?だけどね。僕は別段、無闇矢鱈と焦ったりはしないさ?だって君はある意味では今の僕の強さや凄まじさを真正面から一番、よくよく感じ取って。受け止めて、思い知ってくれている女の子だからね」
「・・・・・?」
(一体何を、言っているのかしら・・・)
“何の事を言っているのか?”と疑問に思ったメリアリアは、この幼馴染兼恋人の真意を更に追求する事にした、彼の事は何でも知っておかねば気が済まないのがメリアリアと言う女の子であったのだが、すると。
「・・・ねえメリー。君はさ、例えば体力とか耐久力とか。あと精力とかで僕に勝てると思う?」
「・・・・・?」
「ええとね・・・。なんて言ったら良いのかな、物凄く解りやすく説明するとね?メリー。要するに僕はベッドの上で君に勝てればそれで良いのさ・・・!!!」
「・・・・・っ。バカッ!!!」
“エッチ、蒼太のエッチ”、“もう知らないっ!!!”と、蒼太が正直に自分の気持ちを述べ立てたのに対して返って来た答えがそれだったのであるモノの、そう言って納得すると同時に大いに憤りを露わにする恋人に対して蒼太は粘り強く説得を行って、自分の真心を伝えていった。
「僕はね?メリー、君を圧倒したいと思っているよ。“君に勝ちたい”って心底思ってる、だけどね?それは別に君をぶちのめしたいとか、そう言う事じゃないんだよ。確かに君を征服して自分のモノにしたいけど、それは力づくで君を屈服させて組み敷くんじゃなくて、何よりも君自身に思って欲しかったんだ。“この人にだったら良い”って、“屈服しても構わない”って。君に認めて欲しかったんだよ、僕を受け入れて欲しかったんだ・・・!!!」
「・・・・・」
「君の身体の一番深い所まで僕の証を刻み込んで、僕の凄さを思い知らせて。だけどそれだけじゃなくて、君の心を鷲掴みにしたかった。単に“愛してる”だけじゃ無くて、思いを交わし合うだけじゃなくて、何より君を僕に夢中にさせたかったんだ。“この人はなんて素晴らしい人なんだろう”って、“なんて逞しい人なんだろう”って、そう思って欲しかった。君の心が欲しかったんだ、尊敬されたかったんだ!!!その上で“この人のモノにだったらなってあげても良い”って、そう思って欲しかったんだよ・・・?」
「・・・・・」
「そうやって心と体で繋がり合って、魂同士を重ね合わせて。もう戻れない領域にまで行ってしまいたい、グチョグチョになるまで溶け合いたい。それが僕の望みなんだ、君の身も心も。何もかもが欲しいんだよ?メリー・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
“もうっ。本当に・・・”と暫しの沈黙の後に、メリアリアは思わず“ハアァ・・・ッ!!!”と溜息を吐き出すと漸く肩の力を抜いた、怒りを収めたのである。
「我が儘だわ?蒼太は・・・」
やや困り顔と言うか、呆れ顔と言うか。
しかし何処かに喜びと照れ臭さとを滲ませつつもメリアリアはそう言うと、青年に歩み寄り、その首筋に腕を回して抱き着いた。
「もうっ。しょうがない人・・・」
「メリー・・・?」
クスリと笑うとメリアリアは爪先立ちして蒼太の頬に自らのそれを擦り付けた、“嬉しい”と彼女は思った、そしてそれと同時に安心もした、蒼太は自分に対する情熱を失ったりしていなかったのだ。
“むしろそれを進化させて、より強いモノにしたのだ”、“確かなるモノにしたのだ”と彼女はこの瞬間に正しく理解したのであるモノの、この日を境にして二人の新たなる旅立ちは始まった、と言って良かった。
「だけど蒼太、あなたは本当にエッチになったわ?小さな頃はもっと純粋で初心で、とっても可愛らしかったのに・・・!!!」
「えええっ!!?いや、あのさ。俺ってそんなに変わったかな・・・」
「うん、凄く変わった。特に最近、目付きがとってもいやらしくなった!!!」
そんなメリアリアからの言葉に慌てて目元に手をやって、何とか確認をしようとする蒼太であったが、こう言う単純で素朴な反応は間違いなく幼き日の彼のそれである、それを見たメリアリアは何だかとても満たされた、喜ばしい心持ちになった、凄く安心出来たのだ。
「あはははっ!!!御免なさい、冗談よ?だけど良かった。蒼太が昔のままで・・・」
「・・・えっ、えっ!!?何それ、一体どう言うこと?」
「んーん。さあね?どう言う事なのかしらね、“蒼太ちゃん”!!!」
「ちぇっ、何だよ急に。子供扱いして・・・!!!」
そう言って訝しむ青年を尻目にメリアリアは満面の笑みを浮かべて彼との思い出に意識を飛ばすが、実のところ。
彼女は一抹の寂しさと不安と、そして怖さを抱いていた、それというのも最近の蒼太は“大人の男の顔”をするようになって来ており、特にエッチの際にはギラついた眼差しを向けて来る事があって、それが彼女を心細くさせていたのだ。
だから蒼太が昔のままの蒼太だと知った時にはメリアリアはとても嬉しくて嬉しくて堪らなくなり、心底安堵したのである。
「でも蒼太、あなたは本当に欲張りだわ?勿論、私にそれだけの熱情を抱いてくれるのは嬉しいけれど・・・。それにエッチで私に勝てれば良いとか、昔のあなたからは絶対に想像できない事を言うようになったわよね?」
「だけどさ?メリー。僕は必ずしも“セックス=愛”では無い、と思うんだけど。それでもセックスって最高の愛情表現の一つには違いない、って思うんだよね。それに例えるならさ、男女の逢瀬って“ディナーショー”の“コース料理”だと思うんだよ。ムード作りから始まってオードブルを堪能し、最後に一番大事なメインディッシュが待っている。それこそがデートに於けるセックスだと思うんだけど、そのセックスに於いて男が下手くそだったり情け無かったりで全然満足できなかった、等となったら君だって嫌だろう?」
「・・・まあ、それはね?」
「君だって僕が情け無いままでいるよりも、逞しくて立派であった方が嬉しいだろう?そう言う事を言ってるんだよ、僕は・・・」
“それに”と蒼太は続けた、“僕は君の中で最高の男になりたいんだ”とそう告げて。
「ただ単に愛を交わし合うだけじゃなくて、君に自分を賭けさせる程の男になりたいって思ってるんだ。君の中で何があっても絶対に忘れられない男になりたいって、本気でそう思ってるんだよ?メリー・・・」
「・・・・・っ。それじゃあ」
それを受けてメリアリアが応えた、“もっと良い男になりなさい”と。
「私を夢中にさせられるような、全てを忘れさせられるような良い男になってね?蒼太・・・」
そう言うと、メリアリアは双眸を閉じてこの幼馴染兼恋人である青年に“チュ・・・ッ!!!”と強めのキスをした。
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